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自己株式


自己株式とは?

自己株式とは、企業が過去に発行した自社株式を自ら取得したものをいいます。
自社株といわれることもあります。

自己株式の取得は、企業が株主に金銭を渡すことから、株主還元の一形態です。
企業に株式を売らなかった株主は、金銭はもらえませんが、下記に述べるように1株当たり株主価値の上昇に伴う株価上昇により恩恵を受けることができます。

株式投資を行う上でのポイント

自己株式の取得

   ↓

市場で流通する株式の減少(供給の減少)

1株当たりの企業価値の増加

   ↓

株価の上昇につながる+税金もかからない。

 

自己株式取得の目的

自己株式の取得は様々な理由で行われるが、株式投資において特に重要なのは、余剰資金を株主に還元する目的で行われる自己株式取得です。

   ↓

過去に株主が払い込んでくれた資金の一部を株主に返還する

   ↓

純資産(株主の持分)のマイナス項目となる。

 

自己株式取得が株価に与える影響

具体例

発行済株式総数100株、当期純利益100円。
このとき、1株当たり利益は1円。

   ↓

自己株式を10株取得した。

これによって、流通している株式数が100株から90株に減少する。

   ↓

1株当たり利益は、 100円 ÷ 90株 = 1.11円 になる。

   ↓

自己株式の取得により、株主1人当たりの取り分が増加した。

   ↓

自己株式の取得は、株価を上昇させる効果がある。

 

自己株式取得は経営者からの無言のメッセージ

自己株式の取得は、「今の株価は安すぎる」という経営者からの無言のメッセージ

経営者の思考プロセス 
 「今、手元にある余剰資金は当面使う予定がない。
  そしていま、当社の株価は安すぎる水準にある。
  それならば、この余剰資金を使って自己株式を取得し、株価を上昇させたい。
  そのことで今の株主に恩返しをしたい。
  将来新たな資金が必要になったら、適正な株価水準で新株発行をすればよい。
  よし、自己株式の取得を行おう。」

 

自己株式の取得の形態

自己株式の取得については、特定の第三者から市場外で取得する場合と、不特定多数の投資家から市場で取得する場合があります。

 

自己株式の処分

自己株式を処分(第三者に売却)した場合は、逆に自己株式が減少するため、株主資本における自己株式の控除額が減少します。

すなわち、控除額が減少するため、結果として株主資本が増加することになります。

自己株式の処分についても、特定の第三者に市場外で売却する場合と、不特定多数の投資家に市場で売却する場合があります。

 

投資部門別売買動向の事業会社

毎週第4営業日(通常は木曜日)に東京証券取引所が投資部門別売買状況を発表しています。

そのなかに「事業法人」による売買状況が記載されています。これは事業法人(通常の企業)が株式を売買した金額なのですが、この多くは自己株式の取得であると考えられます。

株式の持ち合いが少なくなった現在において、事業法人が株式を売買するのは、自社株買いの場合が多くなっています。

 

キヤノンの自社株買い

キヤノン【7751】は株価急落時に数百億円単位で迅速に自社株買いを行っています。

これにより既存株主に株価下落による与える損害を緩和すると同時に、株価を維持することで将来的にファイナンスを実施する選択肢を残すことを意図していると考えられます。

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