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新株予約権


新株予約権とは?

新株予約権とは、企業に対して権利を行使することにより、企業の株式の交付を受けることができる権利をいいます。

公募増資では十分な資金を調達できない企業が使用することがあります。

また、敵対的買収から自社を防衛する際に使用されることもあります。

なお、新株予約権のなかでも、特に経営者等の報酬として使用されるものはストック・オプションと呼ばれます。

 

新株予約権の多い企業は、純資産が多くても、自己資本比率は低くなる場合があります。

それだけでなく、将来、新株予約権が行使されると、発行済株式数が増加するため、直近実績×PERが減少する(希薄化する)おそれもあります。

そもそも、資金需要がある場合は、通常の新株発行を行えばよいところ、新株予約権を発行するということは、通常の新株発行による資金調達が難しいことの裏返しであることが多いです。つまり、財務的な健全性に疑問符がついているということです。

このため、新株予約権を発行している企業に対する増資には注意しなければなりません。

ただし、ストック・オプションとして従業員に与えている新株予約権については、このような悲観的な見方はしなくて良いでしょう。

ちなみに、決算短信や有価証券報告書に「潜在株式調整後1株あたり当期純利益」が掲載されています。これは、すべての新株予約権が仮に行使された場合の1株利益を示しています。新株予約権の行使により、どれだけ1株利益が減少するかを知るためのものです。

決算短信の表紙に1株あたり当期純利益の金額と、潜在株式調整後1株あたり当期純利益の金額が記載されています。

この「潜在株式調整後1株あたり当期純利益」と「1株あたり当期純利益」との差がほとんどない場合には、希薄化がほとんどないことを意味するため、新株予約権による希薄化については問題視する必要はありません。

一方で、両者に大きな差がある場合には、注意が必要です。その場合には、希薄化効果を考慮したうえで、直近実績×PERを計算するようにしましょう。

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