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土地再評価差額金


土地再評価差額金とは?

土地再評価差額金とは、金融の円滑に資すること等を目的として制定された「土地の再評価に関する法律」(平成10年3月31日 法律第34号、最終改正平成15年5月30日 法律第54号)に基づき、事業用土地について時価による評価を行い、事業用土地の帳簿価額を改定することにより計上されたものをいいます。

なお、土地再評価法に基づく再評価は、当該法律の施行日である平成10年3月31日から4年後までの期間の決算期において1度しか認められず、この再評価実施期間後の決算期においては認められません。

普通、土地の時価評価は認められていないのですが、例外的に時価評価を認める、というのがポイントです。

土地再評価差額金の狙い

なぜこのような法律が導入されたのかというと、バブル崩壊後、自己資本比率が低下していた金融機関の自己資本を充実させることが狙いのひとつでした。

土地再評価差額は自己資本に算入されるので、含み益のある土地を多数保有している金融機関にとっては、これにより自己資本比率を上昇させることができました。

 

例えば、土地の簿価100円、時価300円ならば
土地再評価差額金300-200=100円
を自己資本に算入できます(税効果は無視)。

導入当初の平成10年~平成11年はこのような使われ方をしました。

平成14年ころにはまた別の使われ方をします。
平成14年当時は、将来の減損会計の導入を見越して、土地再評価差額金の計上を行った企業がありました。

例えば、土地の簿価1,000円、時価300円の土地を持っているとします。
減損会計を適用すると  減損損失700円が計上されます。
仕訳でいうと (借)減損損失 700円/(貸)土地 700円 となります。

ところが土地再評価法による再評価を行うと。 土地再評価差額金700円が直接資本へ計上される。(税効果は無視)
仕訳でいうと (借)土地再評価差額金 700円/(貸)土地 700円  となります。

減損会計を適用すると700円の減損損失が計上され、当期純利益が減少しますが、
土地再評価法を適用すると700円が損益計算書を経由せず、直接に資本の控除項目となります。

結果として、株主の持分が700減少することに代わりがありませんが、
土地再評価法を利用すれば損益計算書を経由しないことで見かけの業績はずっと良くなります。

土地再評価法についての参考 時事会計No7

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