セグメント情報
セグメント情報とは?
セグメント情報とは、事業、商品(郡)、顧客(層)、チャネル、地域などの切り口(セグメント)ごとに集計した損益情報等のことです。
「セグメント情報の開示に関する意見書」により、有価証券報告書の作成上、3つのセグメント情報(事業の種類別セグメント情報、所在地別セグメント情報、海外売上高)について開示が義務付けられています。
このセグメント情報は連結ベースで作成されます。
なお、すべての企業が複数の事業を営んでいるわけではありません。一つの事業が全体の90%を占めている場合(指標は売上高、資産)は、セグメント情報の開示は求められていません。
何のためにあるのか?
セグメント情報からは、連結財務諸表をより掘り下げて、その企業が展開している事業の数・規模とその事業に対する成長性や競争力等を知ることができます。
その結果、「選択と集中」といった経営戦略の巧拙までみえます。
連結財務諸表は企業グループに属する複数の会社を一つの会社とみなして作成する財務諸表なので、企業グループ全体としての財政状態、経営成績ならびにキャッシュフローの状況を把握することができます。
しかし、複数の企業からなる企業グループでは複数の事業が営まれており、将来的に企業グループがいかに発展していくかを予想するためには、それぞれの事業ごとの財務情報が投資家に開示されなければなりません。
具体例をあげれば、以前、再生支援がニュースとなっていたカネボウはペンタゴン経営といわれるように化粧品、繊維、食品、薬品、住宅などの5事業を展開していました。
セグメント情報を見れば、化粧品事業が儲かっていて、繊維事業は儲かっていないといった事業ごとの状況を把握することができます。
また、国際的に展開している企業がどこの地域への売上(例えば、自動車産業の北米市場に対する売上)で利益を上げているのかも投資家にとっては重要な情報です。
こういった情報を得るために、セグメント情報が役立つのです。
具体的にどのような情報がある?
有価証券報告書で開示される3つのセグメント情報について具体的に見ていきます。
①事業の種類別セグメント情報
製品の系列別の情報であり、製品の種類や性質、製造方法、販売市場等の類似性に基づく同種・同系列の製品グループの情報のことです。
損益情報(売上高、営業損益)と資産情報(資産、減価償却費、資本的支出)が開示されています。
②所在地別セグメント情報
親会社及び連結子会社の所在地別(本国と本国以外)の情報です。
販売元を基準とした情報で、連結会社の所在する国または地域ごとの情報です。
これにより地域別の損益状況を知ることが出来ます。
③海外売上高
親会社及び連結子会社の日本からの輸出売上高と海外連結子会社の日本以外への売上高に関する情報開示です。
販売先を基準とした情報です。
セグメント情報の見方は?
実際の企業で見てみましょう。
日本水産【1332】の有価証券報告書を見てみます。
日本水産の場合、有価証券報告書の中盤から終盤にかけてセグメント情報が掲載されています。
他の企業でも概ね有価証券報告書の中盤以降にセグメント情報が掲載されています。
・セグメントの概要
日本水産が行っている事業の概要を知ることができます。
日本水産の場合、水産、食品、ファイン、物流の4つがセグメントとして挙げられています。
※日本水産のホームページより引用。
・事業の種類別セグメント情報
事業別の売上高を見ると、水産と食品が中核事業であることがわかります。
・地域ごとの売上高
地域ごとの売上高を見ると、日本での売上が多いことがわかります。
北米とヨーロッパも売上があり、その他の地域でも売上がありますので、日本に留まらず、世界でも販売できていることがわかります。
過去複数年の有価証券報告書のセグメント情報を比較することで、拡大・縮小している事業や売上が増減している地域を知ることができますので、定期的に確認するようにしましょう。