【4177】i-plug
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【i-plug(4177)】2024年3月期4Q 決算説明
2024年3月期の通期の決算説明をさせていただきます。
株式会社i-plugの代表取締CEOの中野智哉と申します。
よろしくお願いします。
2024年3月期 通期実績
本日は、まず通期の実績、さらに戦略の振り返り、新たな中期経営戦略と業績予想の3構成でご説明をさせていただきます。
2024年3月期 通期決算ハイライト
まず2024年3月期の通期決算のハイライトです。
売上高は46億円。前期比23%増となりました。営業利益は1.3億円、前期は営業損失4.1億円からの回復になっています。
受注高は47億6000万円、前期比20.9%増、その内OfferBoxの早期定額型は35億7000万円、前期比23.9%増で着地しました。
業績予想に対する結果は、売上高は50億8000万円の予想に対して実績は46億円で、達成率90.5%。
営業利益は予想7000万円に対して実績1.3億円の達成率176.6%の着地となっています。
受注高に対しては業績予想の53億5000万円に対して、実績47億6000万円で達成率89.0%の着地となっています。
OfferBoxに関しては早期定額型の受注は前年比でしっかり増加でき、各KPIも順調に進捗しています。
新たにチャレンジしておりましたPaceBoxに関しては当初想定したマッチングがなかなかうまくいかず業績低迷となり、2024年の6月をもってサービス終了を決定しています。
他の事業に関してM&Aを実施した事業の減損損失を計上し、当期純損失となりました。
特別損失の計上について
特別損失についてご説明させていただきます。
3つの特別損失がありました。
1つ目は、plugin lab事業及びキャリア大学事業ののれん及び固定資産の減損損失になります。
連結では8700万円の特損、個別決算では8700万円となっています。
今後の方針としましては、店舗数の削減等で収益改善を図りつつOfferBoxの連携強化を実現してまいりたいと考えています。
2つ目は、株式会社マキシマイズにおけるのれん減損損失と関係会社の株式評価損です。
連結決算では1億1300万円、個別決算では1億7000万円の減損となります。
マキシマイズに関しては改めて食品業界にしっかり特化していくというところと、こちらも新卒採用領域におけるOfferBoxの連携強化を図りたいと考えています。
3つ目は、株式会社PaceBoxの預け金に対する貸倒引当金と関係会社の株式評価損です。
連結決算には影響なく、個別決算で9億2000万円の減損を実施いたします。
今後の方針としましては7月に株式会社PaceBoxは吸収合併を予定しています。
中途事業に対してはしっかりと再度ニーズを考えて事業開発フェーズからスタートしていきたいと考えています。
業績ハイライト
業績の詳細になります。
連結の売上高は前期比23%増となりまして通期営業黒字を回復しました。
ただし減損損失の計上によって当期純損失となっています。
昨年の2023年3月期は売上高37億4100万円に対して、2024年3月期は46億200万円の着地になっています。
営業利益は、2023年3月期は4億1100万円の損失であったのに対して、2024年度3月期は1億3900万円の黒字となりました。
サービス別売上高 四半期推移(会計期間)
サービス別売上高の四半期推移です。
OfferBoxの早期定額型の受注増加により前期の売上は増加しました。
またこのサービスの売上計上の特徴から下期偏重型というのは変わっていません。
さらに成功報酬型は、求人紹介サービスのOfferBoxPLUS経由の決定人数の増加もあり、通期では売上増となっています。
営業損益 四半期推移
営業損益の四半期推移です。
第4四半期会計期間では前年同期比で大幅改善となる黒字を実現しました。
前年度は人的投資をかなり行っておりましたのでコスト増になっていましたが、OfferBoxの売上増やサービス終了決定のPaceBoxへの投資減が寄与した結果となっています。
また売上高は季節性が非常に強いので、年度後半に営業利益が増加する傾向にあります。第3四半期累計期間までは赤字でしたが、通期黒字で着地しています。
受注高(早期定額型) 四半期推移(会計期間)
早期定額型の受注高の四半期推移です。
今期は四半期の傾向が大きく変わりました。
これまでは第3四半期にかけて受注が増加する傾向があったのですが、今期は第1四半期がピークになりました。
これは営業活動の改善と市場の早期化の影響が相まって受注が増加するタイミングに変化がありました。
この傾向は2025年3月期以降も続くと考えています。
営業損益 前期対比推移
営業損益の前期比の推移です。
前年度はかなり人的投資を実施しましたので、その影響でHR関連費用が増加をしています。
前年度営業損失4億1100万円に対して、まず売上高が8億6100万円の増加。
HR関連費用は4億4300万円増加しました。またプロモーション費用は昨年と比べて5300万円減少しています。
その他の投資に関しては900万円増加しました。
あとPaceBoxへの投資をストップしまして8900万円の減少。
これらの結果として、営業利益が1億3900円で着地しています。
種類別コスト(連結) 前期対比
種類別コストの前期比です。
先ほどお伝した通り、人的投資の結果、HR関連費用は増加しています。
前年は第4四半期のマーケティングにコストをかけて登録人数を伸ばしましたが当期は抑制しています。
またPaceBoxへの投資は2月にサービス終了を決定したこともあり前年比で減少しています。
従業員数(連結) 四半期推移
従業員数(連結)の四半期推移です。
連結の従業員数は334名になっています。前期比で37名増となりましたが、第3四半期末からは7名減少しています。
これはPaceBoxのサービス終了に伴って配置転換やi-plugからの出向解除、また離職等による子会社の従業員数が減少した影響です。
各種KPI①:企業登録数(累積)
ここからは、OfferBoxの各種KPIについて説明します。
まずOfferBoxの登録企業数(累積)の推移です。
2024年3月期は3月期末時点で1万7469社、前年同期比24.6%増で着地しています。
各種KPI②:学生登録数(累積)
続いて学生登録数(累積)です。
2024年卒の学生登録数は24万6751名、前年同期比13.4%増で着地しています。
2025年卒は2024年3月末時点で18万2512名と前年同期比△4.8%となっています。
前年は下期にマーケティングコストをかけて学生登録数を伸ばした反動もありまして、2025年卒の学生登録数は前年を下回っていますが、最終的な決定につがる数値は順調に推移しています。
各種KPI③:オファー送信数(単月推移・累積)
マッチングの指標となるオファー送信数です。
登録企業の増加もあり、さらに採用意欲もどんどん高まっている、こういった状況からオファーの送信数は今年度も大幅に増加しています。
前期比85.0%の増加になっています。
各種KPI④:オファー承認数(単月推移・累積)
学生さんの反応を示すオファー承認数です。
オファー送信数の増加に応じてオファー承認数も増加しています。
前期比12.6%増となっています。
ただ、学生さんの数に対してオファー送信数が大幅に増えていますので、その影響もありオファー承認率が低下しています。
オファー承認率の低下については、しっかり対策して改善していきたいと考えています。
各種KPI⑤:OfferBox決定人数(四半期毎の業績)
決定人数の推移になります。
2024年卒の決定人数は7394名、前年期比15.1%増となっています。
OfferBoxを通じて就職が決定する決定人数は当社のKGIにもあたります。
学生登録数から決定率の方も改善しながら、最終的な学生の決定人数の増加を実現していきたいと考えています。
学生登録からの決定率について、今年は約3%の着地となっています。
2024年3月期 業績予想に対する達成率
業績予想に対する達成率です。
連結の売上高は達成率90.5%。
さらにi-plug単体の売上高の達成率は96.3%、PaceBoxは6.1%。受注高に対しては達成率89.0%での着地になっています。
なお営業利益は達成率176.6%、経常利益は達成率186.0%で着地しています。
以上、通期実績のご説明をさせていただきました。
戦略の振り返り
ここからは、戦略の振り返りをさせていただきます。
中期経営計画ローリングプラン2023 基本戦略の振り返り
中期経営計画ローリングプラン2023を昨年発表させていただきました。
大きな戦略は3つになります。
1つ目は、新卒のミスマッチ解消に向けたOfferBoxのさらなる成長。
2つ目は、"HRtech×People Analytics"領域における新規事業投資の加速。
3つ目は、エコシステム構築に向けた規律あるM&Aの実行
という3つを基本戦略として実行してまいりました。
まず1つ目のOfferBoxのさらなる成長に関しては、先ほどお伝した通り売上高は23%増、決定人数は15.1%増。OfferBoxの早期定額受注の成長率も23.9%増で、目標にはまだ届いていませんが堅調に成長させることができました。
またこの新卒領域における提供価値の拡大という形で紹介事業であるOfferBoxPLUSの立ち上げもしっかり実現できています。
進捗に対する見解ですが主力事業のOfferBoxは堅調に成長しているのですが、まだまだ伸び代はあると考えておりまして、こちらの投資はしっかりと継続していきたいと考えています。
さらに新卒領域での価値提供の範囲の拡大、こちらもしっかりと実現してまいりたいと考えています。
続いて新規事業への投資です。
まずPaceBoxは立ち上げで非常に苦戦しました。
結果として今年サービス終了を決定し、こちらの領域に関しては再度しっかり求職者・企業のニーズをしっかり深掘りしてゼロベースでしっかりと検討し直して再度チャレンジするかどうかを検討してまいりたいと考えています。
もう一方で、イー・ファルコンが提供しています、アセスメントのeF-1G事業に関してです。
こちらはしっかり成長を実現するための体制整備という時期でした。
体制構築はしっかりできまして、現在既存の領域また新領域に向けても戦略を練り、スタートが始まっています。
3つ目のM&Aの実行に関してです。
M&Aは2件実行できました。2023年3月期に事業譲受した2事業、plugin lab(キャリア大学)とマキシマイズです。マキシマイズは当初計画未達となりましたので、減損処理を実施しました。
グループシナジーの発揮にはまだ課題があるという進捗になっています。
こちらに関しても、ソーシング体制の強化やM&Aの大きな戦略の見直しはしっかりと必要と思っています。また、M&A後のPMI体制の強化が必要と考えています。いずれも改善強化してまいりたいと考えています。
中期経営計画ローリングプラン2023 定量目標の振り返り
中期計画ローリングプランの定量目標の振り返りです。
新卒領域に関しては売上計画未達となっていますが、冒頭お伝えした通り成長は実現できています。
利益計画に関してはしっかり収益性を改善し達成できています。
大きな課題が中途事業及びその他のところで、計画との乖離が生じています。全体的な中期経営計画の見直しが必要と考え、中期経営計画の取り下げを実施いたしました。
中長期戦略と業績予想
ではここから新たな戦略と業績予想の説明をさせていただきます。
今後の中長期戦略の考え方
今後の中長期の戦略に対してはこの2つを重視していこうと考えています。
1つ目は、既存事業の着実な成長ですが、しっかり規律を持った投資を実行していこうと考えています。
既存領域のなかでも特に新卒領域はまだまだ伸び代は大きくあると考えています。
2024年3月期は成長と収益性の改善を実現できましたので、しっかりその学びを生かして規律ある投資を実行しながら、売上成長と共に利益の成長も図っていきたいと考えています。
2つ目は新卒領域以外での事業開発と利益成長の両立という形になります。
やはり長期目線で考えると新卒領域以外の新たな第2の柱は必須であると思っています。
ですからそちらに関しても事業開発をしっかり行いまして、ここは成長できるというところを見出した上で、規律を持って投資を実行していきたいと考えています。
1つ目の既存事業の成長と投資とさらに新しい事業開発を実行しながら、しっかり投資抑制をして利益成長も両立させていきたいと考えています。
中長期的な事業戦略の全体方針
具体的なマイルストーンになります。
今年(2024年)から7年間を2つのステップに分けて取り組もうと考えています。
最初の3年間を挑戦期、その後の4年間を飛躍期と考えています。
挑戦期はOfferBoxの進化と新卒領域の価値提供範囲の拡大を実施していくとともに、新卒領域以外での事業開発を実現したいと考えています。
新卒領域の持続的な成長と新たな柱の種をしっかり作るというのがこの3年間のゴールになります。
その後の4年間の飛躍期に関しては、さらに新卒領域の進化をしていくことと第2の柱による成長の加速を実現したいと考えています。
新卒領域と第2の柱の2つ以上の事業領域でしっかり収益の拡大を実現して、ここから7年かけてしっかりと成長していきたいと考えています。
1 規律をもった投資による既存領域の着実な成長
規律をもった投資による既存領域の成長に関して、具体的に説明をさせていただきます。
まず振り返りますと2020年3月期から2024年3月期は、既存領域に関して平均年成長率29.6%を実現してまいりました。
さらなる成長を目指して新しい領域にチャレンジをしましたが、こちらは結果撤退という形になっています。今後、改善していきたいと考えています。
この新卒領域に関してはOfferBoxが主力でありましたが、改めてマーケットの占有率を考えてみるとまだまだ伸び代が大きくあると考えています。
また価値提供の範囲を拡大するという形で紹介型のOfferBoxPLUSを立ち上げました。OfferBoxPLUSのサービス内容について説明します。大学生の就活生はちょうど4年生の5月6月ぐらいから就職活動の構造が変わります。具体的には、企業がまだ採用活動を継続しているかどうか分からないという時期になります。
その時期に就活生がエージェントに登録して就職活動するという傾向があり、そのニーズに対応するのがOfferBoxPLUSになっています。
新卒領域においても人材紹介の市場は150億円か200億円ぐらいあるといわれています。それまでOfferBoxを使っていた就活生は、その時期になるとOfferBoxから他社の人材紹介に移ることがあったのですが、それにOfferBox内で対応できる機能を作っていこうということで、就活生・企業に対して価値提供を広げていく施策を実行しています。
このように、OfferBoxを使っている求職者・企業の中には、OfferBoxよりもさらに価値の範囲を広げたところで使いたいというニーズがありますので、そういったところにも新たな価値提供範囲を進めていきたいと考えています。
こちらもしっかりと立ち上がってきていますので、主力のOfferBox、さらに価値提供範囲の拡大を実施することで、新卒領域で今後も年率20%台の着実な成長を実行していくと考えています。
1-1 OfferBoxの成長ドライバー
OfferBoxの成長ドライバーの構造になります。
まずKPIの構造に関してご説明します。
OfferBoxの主力の売上高は早期定額型の売上になります。
連結全体でも70%を占めるようなストック型の収益になっています。
これが生まれる構造ですが、マッチング事業なので企業の登録と学生の登録、この2つがスタートになります。
企業側からオファーを送信して学生が承認する、その後に右側の採用決定が生まれます。
採用決定が生まれると、成功報酬で契約いただいている場合は1番右側の成功報酬の売上高に繋がっていきます。
成功報酬で売上が上がったお客様は翌年も利用されるということで、多くは早期定額型の契約に転換されることが多いです。
また、早期定額型を使われているお客様から採用決定が出た場合、成功報酬は出ませんが翌年も早期定額型を使ってさらにアップセルするという構造にありますので、しっかり採用決定人数を伸ばしつつ、最終的に早期定額型の売上高を成長させていこうと考えています。
その中で重要なところは、実際に企業数の登録を支える法人向けマーケティング、さらにそこを活発化させる企業向けのカスタマーサクセス、マッチングを実現するプロダクトの開発、さらに学生さんの登録・アクティブ化を促す学生向けのマーケティング、この4つをしっかりと強化していくことで最終的な早期定額型の売上高の成長を実現させていきたいと考えています。
2 新卒領域以外での事業開発と利益成長の両立
2つ目の新卒領域以外での事業開発と利益成長の両立に関してです。
先ほどお伝した通り挑戦期・飛躍期、2つに分けて進めていきます。
2-1 投資規律徹底による利益確保
数字でお伝した方が分かりやすいので、こちらで説明します。
上場までは新しい領域の投資というのはなかなか実行できていなかったのですが、上場を機に中期経営計画を発表し大規模な投資を実行しました。
実際グラフで見ていただくと2020年3月期から、概ね売上高の10%を投資に回しておりました。
2023年3月期は30%、さらに2024年3月期は20%という形でかなり大幅な投資を実行しておりました。
ただここはi-plugグループ全体としては大きすぎるとして、しっかりそのコントロールができずに撤退という着地になってしまったのは大いに反省しています。
今後は、私たちがコントロールできる範囲の投資比率を保ちながら第2の柱の元となるものを作り、さらに既存事業も成長させながら両立をさせていきたいと考えています。
2025年3月期 業績予想
2025年3月期の業績予想です。
今期2025年3月期はまず売上高は56億4000万円、前期比22.5%増を計画しています。
さらに営業利益は5億5000万円、前期比294.3%。
営業利益率は3.0%から9.8%、経常利益は5億4800万円、前期比298%増を考えています。
今後もしっかりと売上高の成長と利益率の成長、この2つを実行してまいりたいと考えています。
売上高に関しては新卒領域の20%台の成長と第2の柱をしっかり作っていくという形ですが、現状の業績予想に関しては第2の柱はまだまだ予測しづらいところもありますので、現在の業績予想は保守的です。
営業利益に関しては、第2の柱の確立のために投資は行うのですが、投資抑制も考えています。
今後はしっかり毎期営業利益を30%以上増加しながら、トップラインの成長と利益の成長を実現したいと考えています。
最後に
最後になりますが、上場後もこれまでチャレンジをしてまいりました。
そこで得たものもありましたが、反省して改善しないといけない点もたくさんあると思っています。
ただ、このOfferBoxを主としたこのHR領域では、OfferBoxを通じて社会に出て活躍している学生さん社会人もたくさんいますし、その後1人1人のキャリアを明るくしていく上ではさらなるチャレンジが必要と考えています。
経営体制も改善しながら売上と利益の成長を目指して一歩一歩進めていきたいと思いますので、今後ともぜひご支援をいただきますよう、よろしくお願いします。
ご清聴ありがとうございました。