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日本リビング保証【7320】住宅設備の延長保証で住まいの安心をサポート


住宅設備のアフターフォローを手がける日本リビング保証【7320】のIR部門を訪問してきました。

Japan Living Warranty.jpg (163 KB)日本リビング保証の本社所在地は、東京都渋谷区代々木3-28-6 いちご西参道ビルです。
最寄り駅の京王線初台駅からは徒歩3分と近く、日本一の巨大ターミナル駅、新宿駅からも15分程度です。

ビル名のうち「いちご」は、いちご【2337】のグループ会社運営によるJ-REIT、いちごオフィスリート投資法人【8975】のビルであることから来ています。

一方「西参道」は、ビルが立地する南西角の交差点名から取ったと思われますが、前面の道路は参道そのものではなく、明治神宮西参道の入り口から国道20号(甲州街道)に至る4車線道路です。

この「西参道」という名前からも想像できるようにビルの南側には明治神宮とそれに続く代々木公園の広大な緑があり、一方北側には甲州街道や首都高速道路を挟んで西新宿の超高層ビルを望むという、大都会ならではの景観があります。

日本リビング保証は、こんな周辺環境で事業を行っています。


1. 世の中にないサービスの提供を目指して創業

日本リビング保証は、住宅設備を延長保証や検査補修でフォローし、住む方に安心を届ける事業を行っていますが、住宅メーカーや不動産関連業務に携わっている方以外は、社名も事業内容も、あまり聞き慣れないのではないでしょうか?

日本リビング保証の創業は2009年で、今年でやっと10年。しかも「いままで世の中にないサービスを提供しよう」ということで始めた会社です。

新しいサービスでしたが、時代に合ったサービスだったので不動産の販売事業者などから次第に受け入れられて成長しましたが、一般の知名度浸透はこれからという若い会社です。

それでは創業の経緯から見てみましょう。

2006年に、後の日本リビング保証設立に関わる3名(現代表取締役社長の安達慶高さん、現代表取締役会長の荒川拓也さん、現取締役の竹林俊介さん)を含む、大手損保や都市銀行、外資系大手保険会社に勤務経験のある7名が、日本震災パートナーズ株式会社という会社を設立します。

この会社は、2006年4月施行の改正保険業法で新たに設置された「少額短期保険業者」の第1号登録となった会社で、従来の地震保険では不足しがちな部分の補完・補償として、住宅向け地震補償商品を開発し、販売していました。

しかしながらこの地震補償の販売は思わしくなく、経営方針を巡って次第に意見が分かれるようになりました。

結局7名のうち安達さん、荒川さん、竹林さんの3名はこの会社を離れることになり、この3名に吉川淳史さん(現取締役)を加えた4名が出資して日本リビング保証を2009年3月に設立しました(設立時は別社名。4ヶ月後に現社名に商号変更)。

日本リビング保証は、2009年8月には新築住宅(戸建・マンション)の販売業者向けに「住設安心サポート」として住宅設備の延長保証の販売を開始します。

この頃すでに、家電や自動車の分野では延長保証はかなりの認知度がありましたが、住宅設備の延長保証商品は、まだありませんでした。

それまで世の中に存在しないサービスだったので販売には苦労しましたが、横浜・川崎を地盤とする中堅マンションデベロッパーが、大手との差別化を狙って1棟全戸にこの「住設安心サポート」を付けて宣伝したところ話題になり、それがきっかけで多くの業者から問い合わせが来るようになり、販売が伸びていきました。

その後、中古住宅についても仲介業者に向けた検査・保証サービスや、積立型メンテナンス保証サービスなど、商品を拡充して売上を伸ばし、2018年3月東証マザーズ上場を果たし、現在に至っています。


2.事業の中心は、故障すると誰もが困る住宅設備の延長保証

それでは日本リビング保証の事業を見ていきましょう。

日本リビング保証の売上高は12億87百万円、経常利益1億58百万円、当期純利益1億3百万円(2018年6月決算。以下同じ)です。

事業セグメントは「おうちのトータルメンテナンス事業」と「BPO事業」の2つです。

「おうちのトータルメンテナンス事業」は、(1) 保証サービス、(2) 検査補修サービス、(3) 電子マネー発行サービスの3つのサービスで構成されています。

 

(1)保証サービス
保証サービスは、創業以来のサービスで、事業の根幹をなすサービスです。

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主な延長保証対象設備

新築住宅を購入したとき、その住宅設備(給湯器やシステムキッチン、洗面化粧台、温水洗浄トイレ、インターホンなど)のメーカー保証は通常1年か2年ですが、これに「住設安心サポート」に加入することで、トータル5年または10年の保証が受けられるようになる、というものです。

住宅設備は誰でも「使えて当たり前」と思っていますので、突然の故障、たとえば「給湯器の故障でお湯が出ない」「IHコンロが使えない」「トイレのボタンを押しても作動しない」など設備の故障が起きたときは、すぐに生活に困ってしまいます。

こういった緊急時には、ともかく故障修理・機能回復が優先され、保証対象ではない場合、想定外の出費が発生することがよくあります。

この場合でも「住設安心サポート」に加入していれば、メーカー保証同等の出張修理や部品交換のサービスが無料で受けられます。

 

中古住宅についても同様の保証ニーズはありますが、設備の状態は一律ではないので、新築同様の保証を付けることは困難です。

そこで中古住宅の設備を事前に検査し(場合によっては補修し)、適合した設備を保証対象とする「売買あんしんサポート」を2012年5月から販売しています(業界初)。

「売買あんしんサポート」の場合は、経年劣化が進んでいる対象設備もあるので、保証期間は3ヶ月~2年としています。

保証サービスは、住宅の購入者がオプションとして申し込む場合もありますが、一方で住宅販売業者が他社との差別化をはかるために、販売時に組み入れられることもあります。

 

(2)検査補修サービス
Kensa Hosyou Merit.JPG (45 KB)検査補修サービスは、上記の「売買あんしんサポート」から派生したサービスです。

不動産販売会社に保証サービスの拡販をしている中で、「売買あんしんサポートの中の、検査だけをやって欲しい」、検査で故障や不具合が見つかると「修理補修もして欲しい」という要望が顧客から寄せられるようになり、単独のサービスとしても成り立つようになりました。

この背景には、2018年4月施行の改正宅建業法があります。

この法改正で既存住宅(中古住宅)の重要事項説明において、建物状況調査(ホームインスペクション)に関する説明が義務化されました。

ホームインスペクションは、国の認めた講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)の調査によらなければならず、これにより消費者が安心して中古住宅の取引ができる市場づくりを目指しています。

日本リビング保証は、このホームインスペクションにおいても業界トップクラスの実績を上げています。

ホームインスペクションは建物全体についての調査報告ですから、設備機器に限らず建物躯体についての不具合も報告します。

その結果、住宅基礎や壁などの躯体を含めた住宅全体の補修も受注する機会が増えて、検査補修サービスの売上が増えています。

 

(3)電子マネー発行サービス
電子マネー発行サービスは、このサービス名だけ聞くと「住宅と電子マネーがどう関係するの?」と思われる方も多いと思います。

「電子マネー」というより「ポイント」といった方がイメージしやすいかもしれません。

家電量販店などでは商品購入時に、ポイント付与のサービスをしているところもあります。この付与されたポイントは、次回購入する商品代金の支払いとして使うことができますね。

日本リビング保証の電子マネー発行サービスも、不動産業者が住宅販売時に、値引きする代わりに「おうちポイント」を発行し、将来の修繕やリフォーム時の代金(の一部)として支払いに使えるというものです。

また「おうちポイント」は、修繕積立制度の積立ポイントとしての活用もあります。

たとえば1口月額3,000円で3,050ポイントが積立てられ、将来の修繕時には1ポイント=1円換算で修繕費用として使えるので、住宅所有者にとってお得感があります。

おうちポイントは「住設安心サポートPremium」という商品名で、新築住宅の購入時に限らず、住み始めてからも積み立てを開始できる商品となっています。

この商品も業界初であり、電子マネー発行は、子会社のリビングポイントが担当しています。

マンションと違って戸建住宅では、修繕費用の積立が行われていないことが多く、10年後、15年後の大規模修繕やリフォームが行われない、ということが良くあります。

「おうちポイント」で修繕積立をすれば、お得に積み立てたポイントを使用して修繕費用が賄われるので、住宅のメンテナンスやリフォームが行われやすくなります。

住宅販売業者にとっても、ポイント積立によって10年後、15年後のアフターマーケットを獲得することができるので、魅力的な商品となっています。

保証サービス、検査補修サービス、電子マネー発行サービスを合わせた「おうちのトータルメンテナンス事業」セグメントの売上高は9億65百万円で、セグメント利益は△23百万円です。

セグメント利益の赤字は、一般他社の赤字事業と少々性格が異なるので、後ほど解説します。


3.顧客企業の保証事業を支えるBPO事業

BPO事業は、主に住宅設備メーカーなどが、自社で延長保証サービスを行う場合、損害保険会社との契約や仕組みの整備などの延長保証制度構築から、コールセンター受付や保証料徴収代行、修理要員の現場派遣(修繕代行)などの実務を請け負う事業です。

このBPO事業では、住宅設備メーカーに限らず、タイヤ延長保証などを行うカー用品販売大手企業などからも受託しています。

「おうちのトータルメンテナンス事業」との一番の違いは、BPO事業では保証債務を日本リビング保証が負わない(顧客企業が負う)ことにあります。

BPO事業セグメントの売上高は3億21百万円、セグメント利益は1億85百万円です。

現状はBPO事業が利益の柱になっています。


4.ビジネスモデルと会計の特長

日本リビング保証の中心事業である保証サービスでは、概ね2年以上の長期の保証契約において、その期間中の故障・修理費用発生リスクに対して損害保険会社と保険契約を締結しています。保険料を払うことで、リスクを損害保険会社に移転しています。

こういった長期保証の仕組みの特長から、会計上、保証料を最初に全額受け取っていたとしても、保証契約期間に応じ分割して売上計上します。

よって「住設安心サポート」加入時に、5年または10年の保証料全額の入金があっても、売上は経過期間に応じて分割計上しなくてはならず、キャッシュフローと毎期の損益には大きな差が出る構造となっています。

よって、日本リビング保証の決算書を読むときは注意が必要です。

たとえば、財務分析で安全性を示す自己資本比率と流動比率ですが、自己資本比率が6.3%と、とても低い数字であるのに対し、流動比率は350%と非常に高い値を示しています。

これは負債の内容が、銀行からの借入金などで自己資本比率が低いのではなく、分割されて翌期以降に売上計上される金額の合計が、長期・短期の「前受収益」として「負債の部」に計上されているからです。

また損益計算書の営業利益についても注意が必要です。

単純化した分かりやすい例でいえば、10年保証契約を獲得できたとして、期間に応じた分割計上のため、初年度は契約額の10分1しか売上を計上できません。

初年度は契約獲得のために人件費などの経費がたくさんかかりますが、売上は期間に応じた10分の1しか計上できないため、事業を開始した当初は営業利益が赤字になりやすくなります。

しかしながら事業を継続しているうちに、過去の期に受注していた分の分割売上が、当期受注の分割売上分と併せて計上できるようになるので、売上が大きくなり経費を差し引いたあとの利益も出やすくなるという特長があります。


5.競合、今後の事業展開

日本リビング保証は、いままで世の中に無かった住宅設備保証サービス市場の創造者ですので、もちろんこの市場ではトップシェアです。

競合としては、ジャパンベストレスキューシステム【2453】、SOMPOワランティ【非上場】、BPOではプレステージ・インターナショナル【4290】などがあります。

今後については、市場が新しいだけに延長保証の普及率も4割程度と推定され、まだまだ競争の中で売上・シェアとも伸ばしていく必要があります。

一方で日本の将来人口減少予測の中で、新築住宅の供給も減少することが見込まれています。これは日本のハウスメーカーや不動産販売会社にとって大きな問題です。

B2B2C.JPG (56 KB)これからは新築住宅だけでなく、売った後も顧客と定期的につながりを持ち、リフォーム需要などを取り込まないとジリ貧になってしまいます。

日本リビング保証では新築住宅設備保証にはじまり、中古住宅設備保証、そして検査や補修というように隣接するマーケット事業を広げてきました。しかもハウスメーカーや不動産販売会社を通じてその住宅購入者に提供してきました。

「補修」や「おうちポイント」の業務は日本リビング保証が行うのですが、住宅所有者はハウスメーカーや不動産販売会社が行っているように受け止めます。

このことで、住宅所有者はハウスメーカーや不動産販売会社に対して、「売ったら終わり」ではなく「売った後も丁寧にサポートしてくれる」という印象を持つようになります。

そういった付き合いが継続していれば、住宅所有者は「リフォームしよう」と思った時に、ふだんから丁寧にサポートしてくれるハウスメーカーや不動産販売会社を真っ先に候補にしてくれるでしょう。

日本リビング保証の戦略・商品群は、ハウスメーカーや不動産販売会社などの顧客企業の将来業績にも資するものです。このような特長に対する認知が広まるにつれ、住宅設備保証に対するニーズはさらに高まるのではないかと思います。

 

インタビュー後記
「世の中に無いものを創ろう」を行動指針の一つに掲げる日本リビング保証。

その指針通りに新しいサービスを多く提供して、住宅所有者の安心を高めていると思いました。
今後も日本リビング保証には、生活者の困りごとを、低コストで解決してくれる新しいサービスの開発を期待したいと思います。

以上


※当コンテンツは当社がアクションラーニング会員及びそれ以外の個人投資家に向けて、個別企業を見た印象を記事にしたものです。
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