長期投資家のためのIR情報
バリュートレンド

ユニバーサル園芸社【6061】 世界一の園芸会社を目指す!


記念すべき1社目は、ユニバーサル園芸社【6061】です。さっそく見ていきましょう。

ユニバーサル園芸社 本社へ向かう

私(日根野)は、愛車プリウスαに乗り、大阪府茨木市佐保193-2にあるユニバーサル園芸社の本社に向かいました。 阪神高速を茨木インターで降りて10分ほどでしょうか。

まだ寒い2月上旬、小雨が降る中、なんともさびしい天気でした。

カーナビによると本社のすぐ近くまできているのですが、どこが本社かよくわかりません。 ひとことで言えば、山の中です。周りには何もありません。

グーグルマップで見ると、こんな場所です↓。

6061_google_map.jpg (96 KB)

どこが本社かな~、と車をノロノロ走らせていました。。。

6061_house.jpg (98 KB)

後から気が付いたのですが、何気なく通り過ぎていたこの建物。 これがユニバーサル園芸社の本社でした。 上場企業の本社としての自己アピールがほとんど無い、いや、むしろ逆にあるのかもしれません。

ともかく、引き返して駐車場に車を置き(レストランやショップが併設されているので駐車場は豊富です)、本社前に・・・、 と思ったのですが、次はどこが入口かわかりません。 ウロウロしながら、よーく見てみると、門柱には木彫で「ユニバーサル園芸社」と書いてあるではありませんか。 どうやらここがユニバーサル園芸社の入口のようです。 「この木彫りが上場企業の『看板』か」と思うと、それだけで和んでしまいました。

6061_entrance.jpg (98 KB)

中に入ってみると、建物のなかは明るく、緑が置かれています。 「こんにちは~」と入ると、従業員のみなさんが立ち上がって「いらっしゃいませ~」と挨拶してくださりました。 社長が挨拶について厳しく指導されているのだろうな、と思いました。

さて、応接室に案内され、安部取締役と挨拶を交わしました。

後日開催した社長セミナーをご覧いただければ分かりますが、森坂社長と同じく安部取締役も朴訥な雰囲気で、 ひとことひとこと語りかけるような、優しい雰囲気の方でした。 業績がぐんぐん伸びている企業という雰囲気はありません。植物を扱う優しい企業という雰囲気です。

アクションラーニングの事業内容を簡単に説明した後、さっそくヒアリングが始まりました。

ここからは、日根野がヒアリングした内容を、事前に調査した内容等も踏まえて総合的に記述していきます。 企業が正式に公表した見解・事実等ではないので、ご留意ください。

1. 顧客について

事業内容は、グリーン事業、小売事業、卸売事業に分類されます。 グリーン事業はさらにレンタルグリーン事業、園芸関連商品取扱事業、造園事業に分けられます。

なかでも中心的なのは、レンタルグリーン事業です。法人が主な顧客です。

6061_slide_business.jpg (94 KB)
(文中の説明資料は全て「2017年2月23日 機関投資家向け決算説明会」資料からの抜粋です)

オフィスビルには、たくさんの法人が密集しているため、効率的な営業先です。 このため、新たなオフィスビルが建設されるとなると、当社も競合他社も懸命に営業活動を行います。

東京、大阪、名古屋など、オフィスビルが狭い範囲に集中して建設されている場所は、 営業効率が高いですし、サービスを提供する際にも効率がよいです。このため収益性が高くなります。

なので、関東、近畿、名古屋は、自社でサービスを提供しています。 それ以外の地域は、それぞれの地域の同業者と提携して、協力店としてサービスを提供してもらっています。

地方については、積極的に営業を展開しているわけではありませんが、 顧客が全国展開している企業であれば、各地方に支店があります。 その支店についてもレンタルグリーンを受注することがあるため、地方でも受注が生まれます。 大きな企業の顧客満足を得るには、同業者の協力店も重要なポイントですね。

2.典型的なサービス例(レンタルグリーン事業)

さまざまなパターンの契約がありますが、典型的な契約は月額契約です。

月2回訪問し、その際に水やり・剪定などを行います。 (上述の通り、関東、近畿、名古屋は自社で行い、それ以外は地方の協力店が行います。)

月2回の訪問(つまり2週間に1回の訪問)ですが、顧客は自分で水やりをしなくてもよいように工夫しています。 このため、顧客は水やりや手入れをする必要がありません。造花の場合は、3ヶ月に1回交換します。

観葉植物1つにつき、2,500円/月。観葉植物2つ5,000円/月から、受注します。

万が一、植物が枯れたときの対応もします。 オフィスに新たに観葉植物を導入する際には、オフィスに合う植物の見つくろいも行います。

6061_slide_example.jpg (95 KB)

3.競合について

競合はたくさんあります。小さな企業がひしめく業界です。主な競合としては、

が挙げられます。

6061_slide_tactics.jpg (95 KB)

推計によれば、レンタルグリーン市場(約400億円程度)に占めるユニバーサル園芸社のシェアは約5.0%程度です。

「たった5%!」と思うかもしれませんが、 当社がトップシェアのため、当社より小さい規模の競合他社が多数存在すると言えます。

4.景気循環の影響を受けやすいのか?(景気循環株か?)

約10年前のリーマン・ショックの時にも、解約は2割にもならなかったそうです。

この理由を考えるに、当社は顧客が多業種に分散しており、かつ、 それぞれの顧客は小口で多数に分散しているので(特定の顧客に売上を大きく依存しているわけではないので)、 顧客企業に対する景気変動の影響が打ち消し合い、結果として当社の業績への影響は緩やかになっていると見ています。

5.成長戦略は?

これまで国内は、地道にレンタルグリーン事業を拡大するほか、 ビバ工芸、高島屋植物園などをM&Aすることによっても拡大してきました。

海外はまず中国に進出しました。中国には独資で展開したのですが、事業を拡大するのに非常に時間がかかりました。 そこでアメリカではM&Aによりスピードを重視した展開を図りました。アメリカの市場は期待できると思います。

6061_slide_oversea.jpg (95 KB)

海外もレンタルグリーン市場は、日本と同じように需要があります。他国にも展開しようと目星をつけている国があります。

今後、国内需要は横ばいか微減していくと思います。 ただし、市場が縮小していくとはいっても、ユニバーサル園芸社のシェアは5%程度ですから、伸び代は十分あります。

伸ばして行く事業は主にレンタルグリーン事業です。

このように成長を指向するようになったのは、上場を目指すと決めたとき(10年くらい前)。それまで業績は横ばいでした。

6061_slide_vision.jpg (96 KB)

森坂社長によれば、日本一の園芸会社は達成できたので、次は世界一の園芸会社を目指したい。 売上高300億円を目指していきたいとのことでした。

6.社長について

この会社において森坂社長は、まるで「父親」のように感じます。家族的な雰囲気の会社です。

盛和塾に入っています。 ※ 盛和塾は、もともと京都の若手経営者が、京セラ株式会社の社長であった稲盛和夫から、 人としての生き方「人生哲学」と経営者としての心の持ち方「経営哲学」を学ぼうと1983年に立ち上がった自主勉強会です。

7.後継者について

森坂社長は69歳になりますが、まだまだお元気です。次の社長で決まった人がいるわけではありません。 会社のそのときの状況に応じてふさわしい人を選ぶことになります。

8.日根野の感想

(良い意味で)中小企業としてのパワー、リーダーシップ、一体感を感じました。

上場するという方向に舵を切っても、変化できない経営者はたくさんいます。 環境の変化に対応できない経営者もたくさんいます。 そんななかで、森坂社長は変化を生み出し、上場まで到達しました。

そして、今、国内・海外の同業他社を買収して、さらなる成長を目指しています。 企業が成長するのに伴って柔軟に変化する社長、という印象を持ちました。

経営者のちからを強く感じました。(一方で、経営者が変わったときのリスクが大きいとも言えますが)

経営者が仮に変わったとしても、この経営姿勢を維持する限り、 長期に渡って成長しうるビジネスであるし、成長しうる企業だと感じました。

編集後記

インタビュー第1号は、多くの上場企業が集まる東京のオフィス街ではなく、山中に本社を構えるユニバーサル園芸社でした。 こんな山の中に、アメリカ企業をM&Aするような野心的な企業があるなんて、おもしろいですね。

競合他社は小規模企業が多く、景気循環の影響を受けやすいように思われるのですが、 顧客が多業種であるため、影響が緩やか、というのがビジネスの特性を理解するためのポイントになると思いました。

やはり実際に企業を訪問し、経営者に話をお聞きすることで得られるものは、とても多かったです。

今後もいろいろな企業に足を運び、いろいろ伺った上で有用な情報を会員の皆さんに発信していきたいと思います。

※ 本稿は、日根野がヒアリングした内容を、事前に調査した内容等も踏まえて総合的に記述しています。 企業が正式に公表した見解・事実等ではないので、ご留意ください。

ページトップへ戻る