経営者インタビュー ナットランナ専門で成長を続けてきたエスティック(6161)の伊勢嶋常務にインタビュー!
【6161】エスティック
開催日 | 2017年 12月 22日 |
出演 | 常務取締役 伊勢嶋 勇 |
エスティックの伊勢嶋常務に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューします。
ナットランナ専門のエスティック
エスティックの伊勢嶋常務に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューします。
当社はナットランナを専門にやっている会社です。ナットランナというのは、ボルトナットを締め付ける機械です。特徴としましては、非常に精度の高い締め付けができるということが、一番の特徴です。
簡易的に締めるだけであれば、ホームセンターで売っているようなレンチなどで十分です。動かない家具などのねじであれば緩む可能性が低いのでそれで十分です。しかし、振動するもののボルトなどは振動によって緩む環境にあるので、締め付け管理が非常に重要になってきます。振動するものというと、自動車、電車や飛行機などの乗り物系ですね。車であれば走っている時の振動などで揺れますね。ボルトは物を締結するためのものですが、ボルトが振動で緩むと大事故にもつながりますので、非常に重要になってくるわけです。ですので、我々の製品は自動車メーカーで多く使われています。
トルク(締め付ける力)管理とだけでは、精度はあまり高くならないので、トルクと角度とを管理しながら最適な締め付けポイントまでボルトを伸ばしていくということになります。
一般の方は、ボルトナットというのは思い切り締めておいたら緩まないだろうと思われるんですけれども、締めすぎてもダメなんです。最適なポイントまで締めるというのが緩まない管理なんです。
図をみてください。降伏点というポイントがあります。
ボルトを回転してトルクを上げていくと、この絵にかいているようにボルトは実は伸びていくんですね。ボルトがどんどん伸びるんですね。そして、伸びたボルトは縮もうとする力があるります。それを弾性と言います。その弾性、戻ろうとする力がある範囲内でボルトの締め付け終わらしてしまうと振動が加わると中でボルトが伸び縮みするんです。伸び縮みしている瞬間に、ボルトがオスネジとメスネジの間に隙間ができて、くるくるっと緩んでいく現象が起こる可能性があるわけです。
ですから伸び縮みしないところまで締め付けをしてやるっていうのが緩まない締め付けのポイントなんですね。それが降伏点というポイントです。
めいっぱい回したら逆に、降伏点からずっと伸びていくわけです。降伏点から先に伸びていくということは、ボルトの強度がだんだん弱くなってくるわけです。そして、最後は切れてしまいます。ですので、できるだけ降伏点に近いところで締め付け終わってやるというのが、緩まない締め付けのポイントです。
原理的には降伏点を少し超えたところで止めると言うのを、我々のナットランナはコンピューター制御でそれを実現しています。
ボルトの材質によってドの程度まで伸ばしたら一番最適な降伏点の伸びになるのかっていうのは事前に分かってますので、材質による調整はできます。材料の材質と形状と締め付けられるものによって、ここまで締め付けをすると降伏点にいくというのは、理論上計算ができるわけですが、その理論上の計算通りに一本一本すべて締め付けをするというのが大変なんですね。
それを実現するために我々はコンピューター制御で回転のトルクと角度を検知しながら、実際にはコンピューターでこういうグラフを検知しながら降伏点に達した時点で止めてやるという締め付けをしています。
職人のスキルが関係ないようにするのが一つ目的ですので、誰でもできます。コンピューターが制御して勝手にやってくれます。
我々のお客様は自動車メーカーさんが多いので、車で使われるボルトでいうと、8ミリとか12ミリのボルトがあります。それ以上小さいものはターゲットにしていません。
自動車メーカーが主なお客さんということで、国内売上ですと90%は自動車産業、部品メーカー、完成車メーカーを含めてになっています。あと10パーセントは建設機械だとか、航空機だとかその他諸々あります。海外ですと100%自動車産業です。
飛行機は最近少しずつ使っていただけるようになってきました。飛行機はリベットで止めていくことがやはり多いんですけれども、最近やはボルト締めの箇所が増えてきています。ところがカーボン素材とかが多くて、カーボン素材は締め付けが甘いと割れたりすることもあるので、締め付け管理が大変です。航空機が増えてきたというのは、我々ハンドナットランナという手でもって締め付けができる工具が最近セグメントとして売り上げが上がってきてるんですけれども、この性能がどんどんどんどん今良くなってきたということもあります。性能というのは、締め付け精度というよりも軽くなって使いやすくなって、で去年からはもうコードレスになりました。それまでは電力とデータの受け渡しのためのコードが付いてたんですが、去年からはコードレスになりました。
ハンドナットランナの開発
ナットランナは最終的には機械に組み込まれて使われます。
機械自身はユーザー様の仕様に基づいて一から設計、製作し、都度受注生産しています。そこにナットランナーという我々の製品が組み込まれるわけです。
その機械は最後的には、例えばカーメーカーさんであればエンジンの組立ラインとか
トランスミッションの組み立てラインとかの自動機で使われます。
ナットランナが最終的にこのネジ締付装置としてお客様で使われるという、据え付け型です。ラインの自動機のイメージです。
それとは別にハンディタイプもあります。
もともと私どもは、いま申し上げたナットランナ、それからネジ締め付け装置という製品で事業を起こしました。
しかし、人間が手で締め付けをしたほうが汎用的ですし、例えば車の車体周りで奥まったところは自動化がなかなかしにくいのでそういうニーズがもともとあったんですね。
ただ今、大半はエアのツールで締め付けされています。空気圧で回転力に変えて、それで締め付けをするわけです。圧縮空気で羽根車を回して回転力にしたもので締め付けをします。とても簡単に締め付けができるんですけど、一番の問題は、精度が出ないことです。ハンドナットランナに比べると、精度も出ないし、エネルギー効率も悪いんです。そいういう締め付けの作業工程があって、ナットランナと同じ精度のハンディタイプの工具が、お客さんのニーズとしてもともとあったんです。ところが手でもって締め付けますから、モーターのこの回転トルク、力が最後締めきった時に反力で手に大きく力がかかるんです。すると手が折れてしまったりするわけです。それが、エアーですと、その力を逃す機構が付いていて、オイルを緩衝させて力を逃がすんです。しかし、それをつけてしまうと緩まない締め付け精度が出せないので、電動でやってもエアーと同じことになっちゃうんですね。ですので、なかなかそのよう反力を軽減させるというのができなかったんです。なのでハンドナットランナというのは、ナットランナに遅れてようやく出てきたわけです。ですから反力を受けるアタッチメントを付けて締め付けをするという、作業効率の悪い締め付けだったんです。ですので、ナットランナの精度で締め付けができるハンディタイプの工具に対するお客様のニーズが高かったわけです。そこで我々はその反力を軽減する機構を開発をして、それを世の中に出して好評を頂いています。そして、熱ですとか重さ、いかに重量を軽くして女性などでも持ちやすくできるかということで、毎年のように新しものを出しております。
自動車メーカーさんであれば、エンジンやトランスミッションなど自動化でできるところは据え付け型で、そして、車体周りとかなかな自動化しにくい部分は作業者が手で締め付けをするのでハンディタイプという使い分けをさてています。
それからあとは、据え付け型は結構高い設備になりますから、相当な量の生産台数を生産する工場だと設備投資にお金が掛けれますけれども、年間5万とか3万しか作りませんよと言うと設備投資にそこまでお金をかけられないので、そうすると作業者が付いてて締め付けをするというニーズもあります。
製品別売上高の推移 エアーから電動へ
2014年から2017年までのエスティックの製品別の売上高の推移をグラフで示します。単位が100万円ですから2014年のハンドナットランナの売上が約9億円、次の年が12億円、次の年が15億円で直近では21億円ということです。4年で倍になってます。
もともと先ほど申し上げたように世の中ニーズがあったので、ようやくそのニーズに合ったものを製品として供給できるようになったところはあります。そして、お客様のニーズにどんどん応える形で毎年のように新しい製品を開発してお客さんのニーズに合っていたということと、なおかつエアーから今電動に置き換わるという流れもあります。
理由としては精度が高いということと、エネルギー効率があります。
エアーというのは、コンプレッサーで空気を圧縮してその圧縮空気を配管を通して先端で風を出して羽根車回して締め付けをするとこういう流れになるんですけれども、コンプレッサーでは作った空気が仕事に変わる所で非常にロスが起こるんです。使い方によっては例えば20分の1ぐらいしか仕事量に変わらないんです。エネルギーロスが多いんです。それから、圧縮空気の中にはオイルミストというオイルが入っています。それが空中に拡散され、工場が油でベトっととするという問題もあったりします。一番は、エネルギー効率、環境というところで、エアーから電動にって言う流れがあります。
ランニングコストも電気代も安くつきます。また、エアーツールというのは音が大きいんですが電動だと非常に静かです。今、静かにものづくりをする工場って結構増えてきてまして、そういった意味合いではもうエアーを全然使わない工場などもできつつあります。そういうニーズも相まって今ハンドナットランナがどんどん伸びています。まだまだエアーを使っているお客様は多いです。
ハンドナットランナをお使いのお客様は、まずは制度から入ってます。精度の高い締め付けをしたいけれど自動化ができないのでハンドナットランナを使っていただいているというところから今スタートしています。けれど、精度以外のところでもニーズが出てきてるので、ハンドナットランナは今からまだ伸びてくるというふうに私どもは考えてます。
エアーの市場がどのくらいあるのか、エアーがすべて電動に変わるわけではないので、エアーの中のニーズがどれくらいあるのかをリサーチするのは難しいのですが、低く見積もっても1000億くらいは全世界での市場規模はあると思います。
海外への展開
ハンドナットランナは、メンテナンスフリーです。
エアーのものは部品を交換する必要があるんですけれども、我々のハンドナットランナは基本的に交換部品がないので、耐久まで使えます。
売り上げの50%以上は今は海外です。元々国内メインでずっとやってました。海外は韓国台湾ぐらいしかなかったんですけど、今はアメリカ中国筆頭に、全体で海外の売上はも50%を超えてきてます。直近4年で見ると、国内も伸びてますが、北米が特に伸びています。お客様というのは自動車メーカーですから、車の生産台数が多い国が大きな市場になるわけですけれども、中国・アメリカというのは世界で1位2位の生産大国ですから市場として大きいわけです。北米で生産が上がらなかったというのは、やはり現地の代理店で販売をお願いをして販売活動をしていたためといえます。先ほど申し上げたようにメンテナンスフリーだとは言ってもたまに故障したときにすぐ対応できるか、日本に送り返さないと修理ができないのかというのはお客さんにとっては非常に重要なことです。我々現地法人をアメリカに3年前に出しまして、これを出したことによって現地でメンテナンス対応ができますし、メーカーが直接営業ができますから営業力も強くなったらということも相まって、まずは日系の自動車メーカーからどんどん売上が増えていっています。
ですから海外展開というのは基本的に代理店を中心にはずっとやってきていますが、メンテナンス体制はやはり重要です。私どもはまだまだ中小企業ですから、どんどん海外に拠点を出していってといっても、人材の問題もありますし、会社一つ作るにもノウハウの問題もありますから、今までなかなか現地拠点を作るのは難しかったんです。一番最初は中国に作りました。最初は現地の商社と合弁で作りましたから、会社のオペレーションの立ち上げというのは現地の合弁パートナーに尽力をしてもらって、我々は技術を提供するという作り方で会社を作りました。中国には2001年に、タイは2012年に現地拠点を作りました。タイが初めて我々が単独で一から立ち上げて作った会社です。出資割合としては50%弱ですがコントロールは100%我々がしています。立ち上げをする時に合弁で作った方がスムーズに立ち上がると言った経緯があったので、形は合弁になってますけれども基本的には我々が100%コントロールしている会社ということです。
電気自動車でも需要はあります。
バッテリーの組み付けだとかモーター自身の組み込みにも当然ボルトナットの締め付けがあります。電気自動車だとエンジンが無くなってしまうという懸念をみなさん持たれるんですが、もちろんエンジンの締め付けのポーションというのはだんだん減っていきますが、それ以上に色々な部位を締め付けることのできるハンドナットランナの方が伸びていくと思っています。
自動車のネジをいつ誰がどの強さで締めたのかという記録は全部残っています。一本一本について残っています。昔は機械に残していたんですけど、最近では、ホストコンピューターにつながっていますのでそこに残っています。
記録を残すというのはトレーサビリティと言いますけれども、もし故障が起こった、事故が起こった時に製造者責任を問われる可能性があります。その時にこの部品が外れたから事故につながった、では組み立ての段階で問題があったんじゃないかということを立証するために、データというのは残しておく必要があるわけです。それがちゃんとなってたのであれば、その後に例えば経年劣化なのか修理をしたときに問題があったのかということが立証できるわけです。主にそういうことでデータを残すというのは非常に重要なんです。我々が締め付けをしている部品は非常に重要な部品が多いので、それだけ締め付け管理を注意しなければいけない。壊れると困るというところが多いのでデータを残すわけです。車や飛行機などは人命に関わりますので。
トレーサビリティを取るか取らないかはお客様のニーズによりますけれども、我々の締めるところはトレーサビリティが取れるということです。
自動車メーカーさんにしてみればある意味自己防衛的な、どこまで製造者の責任かをハッキリさせるということになります。
エアーツールだとそれをやりづらいです。我々は最初から電動ツールでやってるのでそういう情報を取りやすいというのはあります。
特に最近はIOTとよく言われますけれどお、いろんなデータを取るだけではなくて、締め付け情報もこういう締め付けをしましょうっていうのも逆に送ることもできます。
ナットランナはハード的にコピーすれば、第三国でもできるじゃないのってよく言われるんですけれども、機構だけじゃなく、今までのデータの蓄積であったりノウハウの蓄積であったり、こういったことがやはり重要なのでニッチですけれど、なかなか新規参入は入ってこれません。私が知る限りは会社を設立して新規で参入した会社はないです。
ただ既存でいきますと、我々まだまだ中小で、海外の競合メーカーというと例えばみなさんよくご存知のドイツのボッシュ、スウェーデンのアトラスコップという会社があって、この2社が世界市場の80%以上のシェアを奪っているという風に我々の業界では分析しています。そういったところと比較するとまだまだ弱小ですから、そういう市場をとっていくっていうことだけでもまた売上は伸ばせる、なおかつ車だけでも自動車の生産というのは世界規模で見るとまだまだ増えてきます。インドやブラジルなどブリックスと言われる国々で車の生産台数が今後増えてくるでしょう。昔は例えば日本で作って世界に輸出してっていうやり方をしてましたけども、今は消費地に近い所でつくるという方式になっていますから、例えばインドでの自動車需要が増えれば、インドで工場はどんどん立って、そして我々の製品の市場が増えていくとこういうことになります。人口に対して、車の供給はまだ足りていないので、国民所得が上がってくれば車も売れてくるので工場もドンドン建っていくことでしょう。
エスティックの沿革
エスティックは24年ほど前に起業しました。
沿革にも載っておりますが、もともと太陽鉄鋼というシリンダーをメインで作っている会社がありまして、そこの一事業部としてナットランナをやっていました。太陽の中で今の代表の鈴木がナットランナ事業を新規事業として立ち上げました。それが、元々の発祥です。
私は、元々機械設計者です。太陽の中で一事業部としてナットランナの商売をしていました。売上も伸びていました。ただ太陽自体は売り上げ全体で200億ほどを売っている会社でしたから、事業部としては一番小さい事業部でしたが、進捗度合いが毎年どんどん上がってきていました。なので将来期待を持てる企業だったんですけど、1993年に会社更生法を出しまして太陽が倒産しました。
その時に当時付き合ってた自動車メーカーさん等々から、ぜひ独立をしてくれと言われました。なぜかというと会社更生法を申請してる会社に新しい設備発注ができないからです。更生できるかもしれないし、破産になるかもしれないような会社に、大きな設備の2ヶ月も3ヶ月もかかるような発注を出せない、メーカーさんにはそういうルール等もあったわけです。技術は非常にいい、製品がいいので何とか継続して供給してもらうために、別会社になったらそれが可能なので、別会社になってくれないかというオファーがあったんです。
そこで一念発起して、今の社長が新しい会社をつくろうということで太陽から独立をしたわけです。
太陽鉄鋼からエスティックの方に移ったのが鈴木、池田、伊藤そして私ですね。鈴木は技術、池田は工場管理など生産、私は経理部門にいました。
意外と独立して最初から業績はよくて、それだけ製品力が高かったですし、お客さんも協力的に色々とに設立当初は注文いただきました。いろいろな問題はありましたが、世間に比較すると順調にやってこれたのかなあと思います。
1993年に起業し、2006年にマザーズに上場しました。
会社を設立して当初から、今もそうですけれども一つの理念としては潰れない会社とうのがあります。当然倒産した会社から出てますから、倒産がどれだけ皆さん従業員にもステークホルダーにも迷惑をかけたかというのを見てきましたから、まず会社を潰しちゃダメだということで、健全性を重要視しながら会社を運営してきました。それと同時にガバナンス体制を築くという意味合いで、株式上場したいという想いはありました。いろんなチェックを受けながら経営をしていくというのは重要なことだという認識ですから、設立当初から上場を目指してました。当時ちょうどナスダックジャパンなんかの市場が出来て、小さい会社でも上場できますよみたいな流れになってきたので、我々も真剣に上場に向けて取り組んでいこうと考えていました。そのような局面もあって比較的早い時期から上場に向けて準備はしてきました。財務的に健全というのもありますが、それ以外にも色んな監査されている、ウォッチされている、そういう立場に身をおくべきだと考えて、小さくてもいいので上場してそういう健全な会社をつくっていこうという、ひとつのポリシーがありました。
無事2006年に、2006年第一号で上場しました。ライブドア事件がちょうどあって、いろいろ心配をされましたけど無事に場しました。
そして、去年東証2部の方に上場しました。
そして、上場したからにはやはり目標として一部には上がっていかないといけないと思っています。一部上場に耐えうるいろんな要素が多分あると思いますからそこらへんが整ってくれば、できるだけ早いタイミングで上がりたいなと思っています。
リーマンショックの時は大変でしたが、赤字にはなりませんでした。決算で赤字は一度もないです。実はリーマンの年の中間は赤字でしたが、期末は何とか黒字になりました。
ファブレスに近い生産体制
生産体制については、ファブレスとまではいいませんがそれに近い体制でやっています。
基本的に部品加工は全て外注、協力企業にをやっていただいていますし、それから組み立ての一部も協力企業に行っていただいていますので、大きい生産設備を持つ必要がありません。非常にフレキシブルにできますし、研究開発もやりますし、社内で製品設計はしますし、耐久試験もやりますけれども。製品として完成すれば部品等は全部協力企業で作っていただいて、最終社内で組立検査をして出荷をすると言うやり方でやっています。だから大きな設備投資は今まで必要ではなかったです。
海外への売上は、日本で作ったものを海外に輸出しています。
設備投資になりますと、どうしても先行投資で多額の資金が必要になってきますので、そのような大きな設備投資をやらなくていいというのはキャッシュフロー上非常にやりやすいですし、リスクをかけなくてもいいというメリットあります。
もう一つは生産のキャパが、比較的ボトルネックが少なくなりますから、社内で部品加工していると加工する量というの決まってきます。しかし、協力企業にお願いしていると2社やっているところ3社に増やすとか4社に増やすということをすれば、製品供給も増えてきますから、製品の受注の増減に対してフレキシブルに対応をしやすいです。
社名の由来
エスティックとは、画面に出ている通りで、エレクトリックのEと、サーボ、サーボというのはモーターの制御をするやり方ですけどサーボのSと、ツールのT、インテリジェントのI、コーポレーションのC、この頭文字を取ってESTIC、エスティックとしております。
会社が潰れて1か月で新しい会社を作ったので社名を決めるのもあっという間だったそうですが、その時から世界に出て行っても呼びやすい会社名をと考えて作ったみたいです。
今後の課題と展開
国内の自動車メーカーにはすべて納めていますけれどもやはり今ボリューム的に多いのはトヨタさんも多くなってきましたし、日産などもあります。海外のメーカーも入っています。
海外、特にアメリカは今から本格的に攻略です。クライスラーさんには一部納めていってますけれどもまだまだ量が少ないです。
東証1部に上場するためには、徐々に株主数も増やしていき、売買高も上げていくということが一つ課題だと思っています。
従業員の中で外国人の方は、まだ1割まではいっていないですがいます。中国人・フランス人・韓国人の方などが国内で働いています。
社長は、経営者ですから、厳しい方です。そして、特に技術者なので本当に物事にこだわるタイプです。実は年齢も79でだいぶ年とっているんですが、全然元気で、今でもバリバリ全権を持ってやっています。中小企業ですから、社長のリーダーシップはある程度大事だと思います。ただ今後一部になっていくような、そのような企業になろうと思えば、ガバナンスをどんどん拡大をしていって、トップダウンだけではない会社にしていかないといけないなと思ってます。
中長期の売り上げ目標は社内ではある程度は持っているんですが、公表するまでにはまだ至っていないので、近いうちに公表できる中期計画というのは作っていく必要があるなということで考えております。
公表したからには責任がありますから、やはりそれなりに精度の高い、自信を持ってやれる数字を上げていきたいです。
最近本当に好調で売り上げもどんどん上がっているので、お客さんがいらっしゃる、製品もいい、それだけでうんと上がっていくとやはり企業運営上、社内の管理体制っていうものもきちっとやっていかないといけません。売ったはいいけどあとガタガタになってメンテナンスはできないは、世に出た製品が不良品がたくさん出てしまった、みたいなことにつながっていってもダメなので、そこらへんもきちっとやっていかないといけないですね。
今後は、我々のセグメントで行くとハンドナットランナをどんどん伸ばしていく、伸ばしていける要素が高いと思ってますので、そこに力を入れていきます。また新しい製品開発も、メーカーですから、当然やっていきます。
脅威といえば、海外の大手競合メーカー、ボッシュとかコプコとかそのような企業といえます。今製品の品質では同じレベルなんですが、ただ価格競争力が向こうにはあります。サービス、メンテナンス体制をきちんと取っていけば、世界展開を広げられると思っていますが、そこに彼らが安値でやってくるようなことが一つ脅威ですね。それにつながりますけど、あと為替ですね。我々の弱点ですが、国内で物作りをしてますから、円高になっていくと海外でものを売りにくいんです。円高になると、今申し上げた価格競争力がなくなってくるわけです。
先ほどファブレスに近いもの作りをやっていますと言いながら、検査とか一部生産、組み立てはやっています。それから、締付装置という大きいものの組み立てもやっていますので、設備の広さが必要となってきます。ですので、もう少し先を読んでその広さを確保ができたらよかったなあというのはあります。
現状はフル稼働しています。本当に大変ですが、今問題はやはり人手不足です。募集をかけでもなかなか集まらない、そこがちょっと問題です。嬉しい嬉しい悲鳴ですけれども。
新入社員は、去年、今年で10名ずつ採用しています。100名前後の会社で毎年10名ですから結構な量なんですけれども、これは先を見通して先行投資です。
去年から新卒をたくさん取っています。これまでは、毎年1人2人しか取っていなくて中途採用の方が多かったんですが。工学部、理系の学生が中心です。
今お話いろいろさせていただいたんですけれども、我々は技術に特化をして、堅実な会社作りを目指していこうと思っています。ですので、ぜひ中長期で、長い目で見ていただいて投資をいただければ、きっと皆さんにも恩返しができるのではないかなと思っていますのでぜひ宜しくお願い致します。