ベクトル(6058) 西江社長にインタビュー!ショート動画へ全振り! ~モノを広める次世代インフラの提供とFAST COMPANYの実現~
【6058】ベクトル
| 開催日 | 2026年 04月 23日 |
| 出演 | 西江 肇司 会長兼社長 |
ベクトルの西江会長兼社長に2026年2月期決算、ショート動画戦略についてインタビューしました。
2026年2月期 通期業績
2026年2月期の業績は、売上高637.9億円で前期比107.7%、そして営業利益91.1億円、前期比で113.5%と非常に良い結果となりました。
セグメント別 PR・広告事業
セグメント別に見ますと、PR・広告事業が売上高348.7億円、営業利益が48.9億円で増収増益であり、特に利益が非常に伸びています。タクシーサイネージの調子が良いのと、今期の後半からショート動画事業を始めているので、その辺りが当たった形です。4クォーターぐらいに出てきた感じです。
セグメント別 プレスリリース配信事業
PR TIMES、プレスリリースの方も売上高95.4億円、営業利益36.2億円で、前期に広告費などを一旦踏んだ部分を取り返し、絶好調です。
セグメント別 ダイレクトマーケティング事業
そしてダイレクトマーケティング、こちらも順調でして、売上高163.5億円、営業利益11.3億円で増収増益です。これはビタブリッドジャパンが上場したこと、つまり投資先の企業や子会社が無事に上場し、非常に好調でした。
セグメント別 HR事業
HRの方は29.9億円で、こちらはマイナスの0.2億円でしたが、これについては「あしたのチーム」を売却したことによるものです。主に残る事業としては、JOBTVがあり、こちらに今期以降注力してやっていこうというところです。
セグメント別 投資事業
最後、投資の方は売上高2.8億円です。この事業は前々期、2025年2月期は投資の利益が大きかったのですが、今回はむしろ利益を温存しました。
それでも全社で見ると過去最高の売上高・営業利益ということで、非常に良い決算だったと感じています。
株主還元施策(配当)
それを受けて、配当金についても、2026年2月期は1株33円、2027年2月期は36円で、増配の結果になっています。
PR・広告事業 好業績の要因
特に今回、PR・広告事業は業績が非常に良かったのですが、各期ごとに並べてみても売上高177億円、売上総利益97億円、営業利益44億円で、全ての指標で過去最高となっておりました。
好業績の背景には、この1年での戦略の変化があります。
それは、ショート動画に全振りしようという戦略の切り替えです。
一つは以前からお話ししているように、テレビCMの相対的なシェアが低下していること、というよりテレビ自体を見ている人が減っているからです。
もう一つは検索広告市場の変化です。ネット広告で有名になっていた検索広告も、皆がAIで検索するようになったため、バナーなどを見なくなっています。スクロールもしていないかもしれません。
検索したらAIが答えを用意してくれるので、広告の場所がないのです。
ネット広告も崩壊気味で、検索結果をクリックすること自体がすごく減りました。正直、私も今Googleで検索しなくなっており、ここがネット広告とリンクしているため、厳しい状況になるのかなと思っています。
では、マーケティングをしたい企業側からすると、テレビCMは誰も見ておらず、検索結果も見てくれない。
でも、モノは売りたいわけです。
そういった企業はどういう行動をとるかというと、ショート動画です。
予算を減らすのではなく、8兆円超ある広告業界の予算をショート動画に置き換えるという行動です。広告予算は今後AIが普及して人員削減が始まったとしても、構造上絶対削減されないので増えていくと考えています。
そこで8兆円の中の置き換えゲームが始まる、ゲームチェンジが起こっているという考え方です。
広告市場8兆円をターゲット
ベクトルは、すでにアジアナンバーワンのPR会社ですが、ここから世界ナンバーワンのPR会社にしていきます。
これまでのPR市場は国内1,500億円でしたが、ショート動画に力を入れることで8兆円の広告市場が視野に入ってきます。今から倍ぐらい行ったらPRで世界ナンバーワンですが、どっちかというと国内の8兆円を狙っています。
攻めていくコンセプトは、以前から言っている広告業界の「FAST COMPANY」です。ローコストで、まあまあのクオリティで、スピーディーを狙っています。
従来の総合代理店がオートクチュール(オーダーメイド)だとしたら、我々はファストファッションのような立ち位置を狙っています。
スピードも、従来のコマーシャル制作には企画から撮影まで2、3ヶ月かかっていましたが、PRとショート動画なら、今日記者発表したら2週間以内に全部伝わっています。
コストは10分の1以下を狙っており、品質も「最適品質」という考え方です。今っぽいクリエイターが作るよりも、スマホで撮って出ししているような動画の方が実は見られるため、そういう考え方でやろうと思っています。
企業側からすると、総合代理店とどう使い分けるのかという問いに対し、我々はPRで入り込んでいるという強みがあります。
PRとショート動画を合わせることで広められるのです。PRは効果がある一方、お金を足してもこれ以上メディアに取り上げられないという限界があるのですが、ショート動画は予算を足せばいくらでも広げられます。
モノを広めるインフラカンパニーというのが一番やりたかったことであり、それが完成したと感じています。
0円から1億円でモノを広めるインフラカンパニー
競合との違いは、8兆円のマーケットの8割を占める大企業の予算をクライアントとして持っている点です。
ショート動画の会社は若い子が多いですが、大企業ではなく化粧品などのアフィリエイト品をネットですぐ売るような会社が多い。かつ、AI検索時代への対策として、ショート動画をメインでやりましょうという会社がないため、そこを狙っています。
プレスリリース、PRコンサル、ショート動画、インフルエンサー、デジタルマーケティング、タクシーサイネージと、中小の競合にはないフルラインのサービスを横串で相談できるのがベクトルの強みです。
ショート動画市場の拡大
広告市場の半分がインターネット広告になっており、その中で検索結果が見られなくなってショート動画に流れてくる現状を狙います。
ショート動画のマーケットは2023年に526億円でしたが、2024年に900億円、2025年に1,163億円と伸びており、間違いなく拡大します。
きっかけは、政治家のショート動画が一瞬で広まるのを見て、これが最大のメディアだと気づいたことです。
参院選の調査でも、動画視聴の約90%が切り抜きなどのサードパーティによるショート動画でした。政治家本人の長尺動画は誰も見ておらず、失言や言いたいことを切り抜いたショート動画をみんな見ています。
ショート動画事例(他社事例含む)
これと同様に、企業がYouTubeで15分のタイアップ動画を出しても10万回再生で終わっていましたが、一番言いたいことを切り抜いて20チャンネルぐらいから発信すると400万回再生されます。これが売上に繋がるパターンです。これは1回2円から3円でいけるので安いです。自社でメディアやアカウントを100チャンネルぐらい持っているので、そこから拡散していきます。
国内で月間4,200万人利用されているTikTokの平均年齢は約40歳で、おじさんメディアになっていますが、若い子だけでなく年配の人もそれしか見ていないという状況です。プラットフォームもYouTube ShortsやTikTok、インスタなど全部動画化しています。
ユニクロの例を見ても、ショート動画を見ている人に発信していくとアルゴリズムが自動でターゲティングしてくれます。また、やり続けるとファンが増えていくことに気づきました。PRとそっくりで、リテーナー(継続契約)で仕事がもらえるビジネスモデルです。インフルエンサーの影響力も、動画の中身が重要になることで変化しており、有名人が出るかはあまり関係なくなってきています。
広告業界の変化
広告業界が劇的に変化し、テレビが接触時間ナンバーワンから陥落しスマホが首位になり、AI検索でサイトまで行かなくなる中、我々は先頭を切っています。
今までスポットでショート動画をやっていたのを、継続的に予算を組んでやるという方向に変えました。
テレビCMの制作費が3,000万円かかるのに対し、1,000万円もらえば500万人くらいに当たる。長く見た人を認識するアルゴリズムが優秀で、継続することで5回目ぐらいには30万人ぐらい自分のファンに当たるようになります。10個か20個上げて、一番回った3つをピックアップしてAIで切り抜き、広告を当てることで合計300万回を目指す。下手すれば10倍違うので、時間をかけて作るより、ABテストのように流す方が早いです。
みんなショート動画は見ているのにやり方が分からなくてネット広告もダメ、テレビも見ていないという現状がある中で、広報担当者に我々の考え方を見せると「やりましょう」となります。
スマホが雑誌化するとは、ゴルフを見ればゴルフの動画ばかりが当たるように、アルゴリズムが特定のカテゴリーに最適化されることです。
また、映画やドラマなどのプロモーションが挙げられます。従来の映画公式サイト(ファーストパーティ)による公式動画配信では、1回の投稿で100万回再生程度にとどまる傾向にありました。
しかし、映画などの映像データをAIで自動的に切り抜き、30アカウント規模のサードパーティから一括してショート動画として投稿・拡散させることで、わずか2〜3週間のうちに約700万回、最終的には約1,000万回近くまで再生回数を引き上げ、一気に情報を拡散するアプローチを可能にしています。
ショート動画構想の全体像
現在、ショート動画ビジネスにおいては、ユーザーが自発的に素人風の動画を制作・投稿する「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」の領域をメインに展開しています。
このUGC領域ではオーガニックな動画再生を通じて、まず3,000社のクライアント獲得を目指しています。
これに付随して自動的に広告(アド)運用が組み合わさる構造となっていますが、次に狙っている最重要領域が「ショート動画コマース」と「ライブコマース」です。
ここにはあらかじめ手を打っており、中国のライブコマース最大手企業と提携しています。これにより、動画内のボタンをワンタップするだけで、衣服や食品などあらゆる商品をその場で直接購入できる時代が到来します。
このコマース領域でもさらに1,000社ほどの獲得を狙っています。
たとえば、最近ニュースにもなった松屋さんは、コマースとライブコマースによって月商8,000万円(年商10億円以上)を売り上げています。原価率が30%としても年間約7億円の利益が出ており、そこに多額の広告費はかかっていません。
UGCで2,000万回、コマースで5,000万回再生されるようなサイクルが回れば、1億〜2億円規模の売上が立ち、ネット購買だけでなく実店舗への送客効果も期待できるなど、非常に優位な立場を築いています。
今後のターゲットとしては、去年8月から本格始動して現在約800社を開拓しており、3年で3,000社のクライアント獲得をキーと捉えています。
収益モデルとしては、顧客1社あたりの年間平均粗利益を500万円と想定しており、3,000社で粗利益150億円となります。将来的には顧客単価が1,000万円まで引き上がるポテンシャルがあり、その場合は300億円規模の市場を狙うことができます。
また、企業の関心が高いショート動画をフックに営業活動を行うことで、従来のPR事業(リテーナー契約)もセットで獲得できる強力なクロスセル構造が生まれています。
ショート動画エコシステムの確立
このビジネスモデルを支えるのが、今期中にほぼ完成を予定している自社開発の一元管理SaaSです。
中国では5年前からUGC、アド、コマースの境界線がなく、スマートフォン画面内で完結するエコシステムが機能しています。これを日本市場に最適化する形で、動画配信から管理、さらにPOSデータや検索行動の連動による購買効果の測定までを一元化するDXツールを構築しています。
このSaaSには大きく3つの主要機能が搭載されます。1つ目は動画配信と計測を行う「ビデオ配信タイムズ」のような機能、2つ目はAIによる動画自動作成機能、そして3つ目は商品を売りたい企業とインフルエンサーをマッチングするプラットフォームです。
これにより、クライアントがSaaS上でオーダーすると、翌日には数百個の動画が生成され、その中で反応の良かった上位数パーセントの動画に後から広告を集中投下し、システム内で利益を分配する、無人かつスピーディーな仕組みが実現します。
M&Aもショート動画領域に全振り
このショート動画領域への投資として、シナジーがありすでに利益が出ている会社を利益の3〜5倍の価格で買収するM&A方針を維持しています。
これまでの実績として、約1.5億円で買収した化粧品メディアは1年で約4億円規模に成長し、化粧品メーカーが直接コンテンツ制作を依頼する人気媒体となっています。
また、年間で3億人以上が視聴するおでかけ・グルメ系動画メディアや、韓国人が日本などへ海外旅行に行く際に最も見られている旅行系SNSメディアも買収しました。
これらの自社メディア群を通じて、枠売りの広告ではなく、観光地や飲食店の魅力を伝える独自の動画コンテンツとしてクライアント情報を発信できる体制を整えています。
2027年2月期 連結業績予想
これらの戦略を踏まえ、2027年2月期の連結業績計画については、売上高680億円(前期比106.6%)、営業利益100億円(前期比109.7%)、純利益55億円(前期比107.7%)を目標として掲げています。
セグメント別では、核となるPR・広告セグメントで54億円の利益(前期比110.2%)を固めに見積もっています。
ショート動画は「安価でスピーディー、かつ確実な効果を求める」クライアントのニーズに合致しており、このエコシステムを確立することで、「FAST COMPANY」が実現できると見込んでおります。
最後に
去年まではショート動画戦略に自信はそこまでなかったのですが、1年やってみて効果が凄まじく、これで広告業界ナンバーワンを目指せると確信しました。ぜひ投資していただければと思います。よろしくお願いいたします。
