モリト(9837) 一坪社長インタビュー!売上1.5倍、営業利益2倍、株価3.8倍の理由は? ~企業改革とM&Aで100年企業が新たな成長軌道に!~
【9837】モリト
| 開催日 | 2025年 10月 21日 |
| 出演 | 一坪 隆紀 代表取締役社長 |
モリトの一坪社長に、事業内容、M&Aの取り組みについてインタビューしました。
社名の由来
モリトの創業者は森藤寿吉です。最初は社名を「森藤」と書いていましたが、途中からカタカナの「モリト」になり、そして今回、横文字の「MORITO」にしたというのが名前の由来です。
一坪社長 プロフィール
私の「一坪(いちつぼ)」という苗字も珍しいです。岡山県の備前に「長船(おさふね)」という刀鍛冶の里があります。長船の名刀は有名ですが、江戸時代にそこで刀鍛冶をしていました。だから、土地が狭くて「一坪(いちつぼ)」だったわけではないです。
社内キャリアのほとんどが海外畑でした。入社したのは貿易部で、そこからオランダの法人会社設立があったのでそちらに行きました。帰国後、貿易部長を経て、本部長、そして管理本部長を務めさせていただいたという経歴です。オランダはヨーロッパ大陸の中でも一番英語が通用する国でしたので、ほとんど会話は英語でした。現地の社員たちと一緒に英語で業務を行っていました。そして2013年に社長に就任し、今に至っています。
会社概要
モリトは、ニッチ分野で「つなぐ」「留める」「飾る」という機能を持つ付属品を製造、調達、販売をグローバルに展開している会社です。もともと1908年創業です。明治時代の末期ですが、当時は着物から洋服へ、下駄から靴へと、和から洋に変わった時代で、靴に着目しました。創業を始めたきっかけは、靴紐と、靴の紐を通す穴についている丸い金具「ハトメ」でした。鳩の目のように見えるので「鳩目」と言います。英語では「アイレット」と言います。これが始まりです。
今では様々な事業を展開していますが、元をたどれば全てここから始まっています。例えばホックは、今でもダウンジャケットなどで「ポチポチ」と留めるアパレル系に使われています。靴紐は、携帯電話の初期の頃についていた細いストラップなど、ほぼ当社の製品でした。そこから様々なところで作られるようになり、紐から発展してストラップになりました。ストラップがあるなら、ストラップを吊るすカメラケースを作ろう、というように広がっていったのが、汎用資材系、当社でいうプロダクト事業関連です。
もう一つのハトメは、車のカーマットに使われています。カーマットがずれないように、昔はマットに穴が開いていて、下からフックが出てきて固定していました。今はマジックテープのようなものもありますが、当時は大きな穴の周りに大きなハトメが付いていました。これをグロメットと言いますが、これが輸送機器関連事業へと発展していきました。
アパレル、汎用資材(プロダクト)、そして輸送機器と3つの事業がありますが、それぞれこの「つなぐ」「留める」「飾る」から始まりました。「たくさん色々なことをやっているね」と言われるのですが、実はオリジンはここにあります。私たちの生活にとても身近な製品が多いです。生活空間、つまり衣食住の「食」以外のものであれば、だいたい見かけると思います。「あの付属ね」「あれ繋いでいるやつね」というように。皆さんも知らないうちにお世話になっています。
1908年創業で、最初は製造ではなく卸売から始まり、途中から製造機能も持つようになりました。戦前は中国大陸などでも靴紐やハトメなどを作っていたようですが、その後、現在に至って製造はアメリカ、そして今は中国とベトナムでやっています。だいたい全体の中で、自社製のものが3割くらいです。縫製製品など色々なことを始めていて、それらも含めるとかなりボリュームが出てきています。そういった製品の企画も自社でやりますし、OEMで受けてやるというのも結構あります。
大きくはアパレル関連、プロダクト関連、輸送関連の3つの事業に分かれます。
アパレル関連事業
アパレル関連事業は幅広く、ベビーからアダルトまであります。カジュアル、フォーマル、作業服、アウトドア、スポーツなど、様々な分野に進出しています。皆さんがご存知のブランドには、どこかに当社のものが付いているのではないでしょうか。これは付属品ですので、その付属品を使って製品を作る所にお届けするBtoBビジネスです。今BtoCにも力を入れていて、ECサイトでレディースのアパレルやアクセサリー、バッグ、ウェアなども始めています。最終製品も自社で手掛けています。
輸送関連事業
プロダクトの前に、輸送関連について少しお話しした方が分かりやすいと思います。輸送関連機器で一番分かりやすいのは、新幹線の座席の前にネットがあります。あのフレームとネットそのものをセットで提供しています。このプラスチック製のコの字型のフレームは、後ほどご紹介しますが優れものです。飛行機ではCAさんが食事などを用意する時にカーテンを閉めます。何も無い時はカーテンが開いていますが、それを止めているホックも当社のものが使われています。緩くてはいけないので、色々ありますが、CAさんも頑張って「クッ」とやるくらい固めにセットされています。固めのホックや柔らかめのホックも作れます。薄生地用、厚生地用など。単にホックで一種類とかではなくて、ホックは4つのパーツからできています。頭が出て、こちらにバネがついていて、これらを打ち付けます。そしてこちらには凸部があって、凸部がこのバネに「ポチン」と入る。このバネの種類も色々あります。用途によって色々使い分けます。アパレル用の薄生地用とか、汎用資材系の飛行機だったら、外れてはダメだというのでカチッとテンションが強くなるものです。お客さんから単に「ホックちょうだい」と言われるだけでなく、強めのものや大きめのものなど色々なオーダーがあります。あまり情報がない場合はこちらから情報を伺って、どのホックが良いのかご提案もさせていただきます。そこが会社の強みです。
輸送機器はそういったネットや飛行機の関係です。一番大きなビジネスは、自動車の内装加飾部品です。例えば、運転席と助手席の間にあるコンソールボックスの蓋とか、カーマットにアルミのエンブレムで自動車会社のマークや車種のロゴを施したものなど、これらもほぼ国内は当社です。それから、トランクボード。ハッチバックとかの後ろを開けるとボードがありますが、あの大きなものも当社がやっています。あとは、見えないところにマジックテープが使われています。車の天井で配線をまとめています。自動車会社はかなり大きな顧客です。日系の皆さんご存知の会社さんです。EV化が進んでもあまり影響はありません。エンジン周りなどですと大変ですが、内装の加飾部品は、形が変わっても空間がある以上、必ず何かがあるものです。
プロダクト関連事業
アパレル、輸送、それ以外がプロダクト関連事業と思っていただければ間違いないと思います。汎用資材系も多いのです。例えば、線などをきれいにまとめるコードカバーや、珍しいところでは、飲食店の厨房の上で油を捕集する換気扇につけているグリスフィルターなどがあります。これは性能によってダクトに油が残りづらいとか、防カビにもなります。油が溜まりすぎると火事になってしまいますから。それから、厨房とお客さんのフロアがワンフロアになっているところもあると思いますが、そうすると空気もきれいになりますので、環境や安心、安全という面で対応させていただいています。
フィルターは交換するサービスも提供しています。フィルター自体を売っているのではなく、洗浄するサービスを提供しています。フィルターを持って行って設置し、定期的にそれを取りに行って新しいものと交換する。そして古いものは持って帰って洗浄し、また次に使う。月1回、月2回など、お店によって違うと思いますが、定期的に交換に行くというサブスクモデルのようなイメージです。
それからボード関係、横乗りのスノーボードやサーフボードなどです。当社は昔、かつてスキーが全盛だった頃、映画「私をスキーに連れてって」が流行しました。あの時は若者の社交場がゲレンデで、スキーウェアもキラキラしたものが流行り、ワッペンがたくさん付いたり、ホックが付いたり、紐が付いたりしていました。あそこの付属は全て当社が、スポーツ大手のメーカーさんに入れさせていただいていました。だから縦乗りはやっていましたが、横乗り系はやっていないという話になり、マニューバーラインというところと縁があってM&Aでご一緒になったのです。そこがボード自体も扱っていますし、ボードの中の部品もやっています。それから滑り止めや、サーフィンだとボードと足をつないでいるリーシュコードなどです。スノーボーダー向けのウェアやシューズなども扱っています。
それからマジックテープを使った様々な製品があります。一つはサポーターです。腰痛防止のサポーターや、スポーツだとバレーボールの膝や肘のサポーター類なども手掛けています。あと、当社は防水バッグも手掛けているのですが、これが優れもので、自然災害で洪水があった時に中に水を汲んで運ぶことができます。保証はしていませんが、適量であればこれで十分運べます。自社でバッグ自体を企画・製造して売っています。
高付加価値商品「ステンレススナッパー」
特別な製品としては、ステンレススナッパーがあります。この優れものはなかなか他社ではできないと思います。まず、磁気を帯びないステンレスのホックです。磁石にくっつかない。ステンレススチールでも若干磁力が出るものもあるし、製造工程で材料の板を立体的に絞り込むプレス加工の際に、摩擦などで磁力が発生することもあるのですが、ここをクリアしている商品です。これをつけて服を着てMRI検査が通るのです。MRIは磁力に反応すると大変なことになりますから、製造工程で鉄の成分が混ざらないように厳密に生産し、磁力が発生しないような作り方をしています。他社には真似できないです。それから、心電図の電極もそうです。日本は吸盤タイプで「クチクチッ」とつけるものが多いですが、アメリカなどでは救急車の中にあるような、剥がして「ペタッ」とつけるタイプがあります。丸い電極なのですが、そこにステンレスの凸部がついていて、裏は樹脂ですが特殊なメッキがかかっていて通電性が良くなっています。この凸部にアタッチメントキャップをポンとはめて心電図を取るわけです。この凸部とキャップを供給していて、メディカル系とワーキング系です。
高付加価値商品「シートバックネット」
新幹線のネットは、よく見ていただくと分かるのですが、網目のクロスしているところに結び目がないです。新聞や雑誌などを入れる時に、上も全て伸縮性がありますから、引っ張って入れて、出す時も「ぐちゃぐちゃっ」となったり新聞が破れたりすることがないように。ペットボトルも右の方とか左の方とか自分の好きなポジションに置けます。半分だけとか、すぐ取り出せるようにということができます。でも何もない時は、スペースができるわけです。他に電車にあるネットは、ストレッチが効いてなくてちょっと立体的になって「タルーン」となっているものがあります。たまに何かを引っ掛けたりすることもあります。だから皆さんは気がつかないけれど、ストレスを気づかないうちに感じさせない商品です。JRさんも恐らくそういうところで採用されていると思います。これも東北、北陸、東海道、山陽、九州、それから関西で言ったら近鉄特急など、姿形は違うのですが同じ機能を持つようなもので供給させていただいています。特殊な編み機を使っていて、結び目がないというところがミソです。それと、上のテープのところまで伸縮します。だから上のテーブルよりも奥に入って付いています。
地域別、事業別売上構成比
売上の割合を地域別で言いますと、だいたい日本が70%くらいで伝票を切っているところです。当社も海外拠点が色々あるのですが、海外拠点がないエリアには日本から送っています。日本発海外のような形です。ですから、消費しているところは日本ではないけれど、日本の売上になっているので、そういう面から言うと日本が70%で、アジアと欧米が約半分です。ちょっとアジアの方が多いかというくらいです。でもやっぱり消費で見ると、日本とそれ以外(海外)というのは50%ずつぐらいの感覚です。そのうちやはりアパレルが、今回M&Aを最近させていただいたのがどちらもアパレル系の2件、Ms.ID、ミツボシコーポレーションです。そこが入るとアパレルが60%、プロダクトが30%、輸送関係が10%で動いています。
モリトの強み
モリトの強みは衣食住の「食」以外の、ウェアにしてもそうですし、生活空間にあるもの、本当に形は変わっても絶対になくならない需要です。服は絶対着ます。そういう面では先人の努力というか、築き上げてくれたものに本当に感謝しているのですが、中でも生活必需品が多いので、あまり流行や季節に左右されないという点です。ベビーウェアでも、股のところに「ポチポチポチポチ」と留めるものがあります。作業服もそうですし、あまり左右されないものというのがメディカル系もそうです。
常識で言うと生活必需品はすごい価格競争になって、利益が出なくなるような厳しいビジネスじゃないかみたいなイメージがあると思うのですが、ピラミッドの下は行かないです。ミドルハイです。無駄な競争では、一生懸命頑張って売上を上げるけど、たくさん数が出るけど、下まで行ったら「お疲れ様です」となります。先ほど言いましたように、アパレル関連事業、輸送関連事業、それからプロダクト関連事業と大きく3つに分かれていて、バランスが取れています。ポートフォリオが分散していています。そしてニッチであるがゆえに、色々なアイテムで主力になるもののシェアがすごく高いです。例えば先ほども申しましたようにカーマットのエンブレムもそうですし、それからズボンのジップを上げたら金属の鍵ホックが付いています。留め金で留まるところ。レディースもあります。あれはほぼ当社です。シェアとしては1位です。ホックもそうです。だからそういう面ではかなりシェア率が高いというのが大きなところです。
何よりも増して、私がお伝えしたいのは「製造・調達・販売をグローバルに展開している」という点です。モリトの強みというのは、色々な拠点が海外にあるのですが、なぜあるかというと、そこに市場があるから置いています。お客さんがいるということです。ですので、そこで地に根の生えた商売をして、しっかりとした安定的な利益も出していくというのが一つと、グローバルに事業を展開しているお客さんに対して、例えば営業をかけるところ、物流をするところ、ケアをするところ、サービスをするところと、拠点が違うのです。違うけれど、その営業をかけるところに売上は上がらないけれども、グローバルなモリトグループとしての役割としてそれを徹底している。お客様の拠点が世界各地に分散しているけれども、だからこそモリトもそれぞれの場所の近くにいます。
例えば、大手ベビーウェアがあったとして、注文をいただく。それがアジアの方で縫製をすることになって、しっかりとモノづくりをして縫製工場にお届けする。だから営業する、お届けする。今度生地に打ち付けるわけです。そうすると機械を提供して、打ち付けるときも例えばステッチが入っているところに打ち付けると、糸が切れてしまったりする可能性もあるし、二重に折っているところと一重のところの真ん中に打つと、ホックが少し傾いたりします。生地の厚さもあるので、本当にお客さんが、私たちが営業して取ってきたその商品が本当にその生地に合っているかどうかというのを、きっちりと見極めて現場で見届けないといけないです。サンプルもきっちりお作りして、マスプロダクションの時も機械もケアをする。そうすると、そのモリトグループが関わっている縫製工場から世界に出荷する時に、「絶対に安心だよね」というのが一番大きいです。高いかもしれないけれど、何かあった時のことを考えると「絶対いいよ」ということです。
国によって安全基準も違います。例えば染色系のもので、この材料を使っちゃいけないとか、あるいはホックでもニッケルを使っちゃいけない。材料の中でニッケルアレルギーとかがあったりして、ベビー服ですとすごく繊細です。打ち付けが下手だとポロッと取れた時に赤ちゃんが口に入れるかもしれない。だからそういうことも踏まえると、「それはやっぱりモリトグループにお願いしたら絶対いいよ」という、この信頼を得るということがグローバル展開することの意義です。一番大事なところだと思います。単にその製品が手元に届くだけじゃない安心があるということです。品質、価格、納期。これも当たり前の世界です。それが「こっちがいい」「こっちが悪い」という比較をするようなレベルだと、今年は取れても来年は違うところに行っちゃうということですけど、そうじゃない。パッケージを通じて、背景にある会社、モリトという会社を理解していただくということが一番大事なところで、それが今のところできているということだと思います。
競合他社が真似しようと思うと難しいです。一つはサービスです。機械のメンテナンスとか機械の搬入とか、打ち付けのサンプルを作るとか。何かあった時にきちっと対応できますかというのも、やはり対応できない会社さんもいらっしゃいます。ホック一つが何銭だけど、その製品がトラブルになったから何億円ということもあり得るわけです。使われる数はすごいですから。その時に最悪の状況の時でも、きちっと逃げずに会話ができて、ちゃんと対応してくれるというのが、やはり大きな部分です。歴史があるという面では、良い部分というのはそういうところです。
分社化に伴う構造改革
社長就任後、様々な構造改革をしてきました。まず業績は、社長に就任した2013年当時、売上高が331億円、粗利益が84億円、営業利益が13億円という状況でした。それが直近2024年11月期の実績では、売上が485億円、粗利益が141億円、営業利益が28億円。さらに今期2025年11月期においては、売上高で560億円、営業利益で32億円の計画値で、この12年間で伸びています。その前の12年間はどうだったかというと、結構横ばいというか、2001年の頃は売上高368億円、営業利益が12億円でしたから、順風満帆でずっと業績が伸びてきたわけではないです。私の前の時代は少し停滞をしていたところから、グッとさらに成長軌道に乗ったというところです。
118年の老舗です。大企業さんも恐らく同じようなものだと思うのですが、やはり健全な危機意識の欠如というのはあります。私たちの部署は今年あまり良くないけど、他の部署が頑張ってくれているから、なんとか賞与は出るだろう、といったような。どこか他人事のような、組織の中で危機感が薄らいでいたのです。昔だったら高度経済成長期などであれば、それはその時の経営があったと思うのですが、バブルがはじけてリーマンショックなどもあって、これからどうしていくのだという時に、このままの状態で会社が、未来にモリトという会社が、そしてそこで働く社員とその家族が、本当に幸せで頑張っていけるのだろうかという危機感というのはものすごくあったのです。
古い会社ですと、真っ向からその反対をする人、黙っているけれど変化を望まない人はいます。しかし、それを放置したらやはり何も変わらない会社で、「行く末どうなっていくのか」という危機感がありました。社長に就任した時は、「このままではいけない」という強い思いがありました。それが一番大きかったです。簡単にできることではなくて、やはり先ほど言ったように、なかなか変化を好まない人たちというのも、今までずっとそれで来たので、「やるしかない」と思いました。様々な反対意見や抵抗もありました。私には直接来なかったこともあると思いますが、ただ、そこのところでやはり管理本部の方とか、色々なところがやはり社員といろいろコミュニケーションを取ってやってくれたというのは、すごく大きかったと思います。私だけではなく、従業員が一丸となって変化してきました。
粗利率とCCC
売上総利益率なども上がっています。2013年は25.6%だったのが、2024年では29.1%。単に売上の規模を追いかけただけでなく、質も上がっているというところです。油断していれば価格競争になりがちなビジネスの領域で、むしろ粗利益率が上がっています。これは分社化したことによって、各社で「見える化」ができたのです。元々気づいているけれど、気づかないふりをしているわけではなく、その課題を改善しようとする前向きな気持ちが、やはりちょっと薄かったのかなと思っています。2019年に分社化しましたから、我が事のように捉えるようになってきたわけです。従来はモリトという事業会社が上場しているわけですが、そこからこの事業の部分を子会社化して、モリト自体はホールディングカンパニーになったということです。
2022、2023、2024年と見ていただいたら、売上は微増です。でも、営業利益は「ガーン」と上がっているでしょう。メッセージは一つでした。「粗利益率を5%上げよう」。みんな我が事のようにやっていくので、そうすると不採算事業ってあるじゃないですか。先ほども言いましたが、売上はすごいけど全然利益がない。こんな苦労ばかりして意味がない。適正な価格まで値上げをさせてもらおう。それがダメだったらもう撤退しようというところで頑張ったから、売上はそんなに上がっていないです。でも中身は「ガーン」と私が想像する以上に上がりました。だから、社長としては粗利益率を上げようという目標、問題意識があって、それに従業員が応えてくれました。経営層にはCCCと言ったのです。CCCはキャッシュコンバージョンサイクル。要は、そのビジネスの中でどれくらい早くお金が回転しているかということです。仕入れて、在庫して、売る。最後、お客さんから入金スピードを早めようということです。在庫もそうですし、売掛金もちょっと早めにいただくとか。海外からの買掛金ですと、LC(信用状)を開いてもう少し長めにしようとか。色々なやり方があるのですけど、あまり手をつけていなかった。CCC改善。一言「改善」って言ったら、1年間で30億、40億のキャッシュが生まれる。ということは、「過去に何をしていたのだ」ということなのです。
先人たちの努力で、財務・財政的なところはもうすごく強いです。だから、そのお金のことで困ったことがないです。私を始め、みんな。だから、仕入先さんに注文するのも、「うちもしてるし」みたいな。「いや、もう50個じゃダメです。100個でないと」とか言われると、「100個でいいよ」とか。お客さんから「うちはもう120日払いで」と言われたら、「分かりました」みたいな。そういうところ一つ一つ、我が事のように皆さんがやっていってもらったら、もう見違えるような内容になってくるのです。
だから分社化をして、それぞれの子会社の社長さんたち、あるいは部長さんたちに、当事者意識を持たせたというところがミソです。それに伴って社員の皆さんも、やはり「やらないといけない。もう会社ごとに賞与の原資が決まるよ」みたいな。「ちょっと人が少ないから、もっと入れてくださいよ」みたいなところを、「いや、いいです。私たち頑張りますから」という話になってくると、みんなそれで頑張ろうという一つのパワーにもなるわけです。だから持ち株会社制という仕組みを作って、そしてCCCを改善せよとか、粗利益率5%改善せよという目標を設定すると、みんながすごくいい動きをしました。
大方針を出して、あとの個々の戦略というのは、事業それぞれ違います。例えば、輸送機器関連だとISOの世界になってきますから、スーツを着てネクタイをしてお客さんと話します。アパレルだったらもうTシャツ、ジーンズと全然違います。商習慣も。その商習慣が違ってやり方も違うのに、「じゃあどうやって比較をして、どうやって評価するのか」というのが、まず私の中にありました。だから、きちっと正当に評価してあげようとすると、やはりそれぞれのところでやる。ダメなところを直してもらって、成果を上げて、その分はみんなで分けていこうぜというベースで皆さんやってくれていると思います。
各従業員、子会社に、粗利益率とCCCを意識させたのがポイントです。他にも色々な注目する指標って経営者の方によってはあると思います。営業利益率という人もいるだろうし、ROIだという人もいるだろうし、色々な目標が考えられると思います。経営していく上においてベースとなるところというのは、PL(損益計算書)ではやはりどれだけ営業利益を出しますかというと、それは粗利益額を上げないといけない。売上もそうだけど、でも本当に力を入れるのだったら、「ダメなものはダメだよ」「もっと違うところに力を入れよう」というそのPLの世界と、かたやBS(貸借対照表)はしっかりとそこを押さえておくと、売掛金、買掛金、在庫というのを、この2つを押さえていると、何か言わなくても自らが考えて皆さんやってくれたということです。今のPLにおいては売上総利益に注目すべき。そしてBSにおいてはCCCを見ておけば、売掛金も在庫も買掛金も、全体像をつかむことになるから、この2つ見ていれば良い。それはやっぱり事業会社として集中してもらいたいのは、「良い商売をしてほしい」「モリトの存在価値のある仕事をしてほしい」ということです。競合もありますし、「なぜモリトなのだ」というところをしっかりと私たちがスタンスを持ってお客さんに表現しながら、その付加価値はしっかりと価格に反映しなさいというところのPLです。BSはお金に困ったことのない会社だったので、在庫も「お客さんがもう半年分これだけいる」と言われたら「分かりました」とか言って、月々入れればいいものをドーンと半年分入れるとCCCが悪くなります。そういうところの意識改革は大きかったと思います。やっぱり社長、役員、幹部は、少なくともその辺のことは過去に勉強しているはずなので、そこのところをもう一回掘り起こしました。また当社が一番集中できていなかったところでもあるわけです。
M&Aの取り組み
M&Aはやはり我々と同じニッチな部分が多くて、シナジーも期待できて、なおかつそれなりの利益が見込めるというところがベースです。お金がない会社ではないので、M&Aしようと思ったら、お金を出せばできますけど、売上の数字を作るためにM&Aをやるということではなくて、やはりどれだけ我々がベースを強く、未来に向けてできるかというところが、M&Aの基本だと思っています。そういう面ではクロスボーダーも一つ。アメリカの、かつては私が営業をやっていた頃の大コンペティター(敵)だったのですけど、スコーヴィルという、200何十年の歴史があるのですけど、ここが言ったらハトメ、ホック。だからアパレルというよりも汎用資材系の、例えばボートの色々なところの部材のホックですとか、車関係も一番ありますし、多いです。これは大きかったです。今までこれぐらいの投資をしたことがない会社でした。取締役から通すのはまず大変でした。「本気ですか」みたいな話になりました。そこそこの金額でしたので。お持ちのファンドさんが良いファンドさんでした。綺麗にしてくれていたので分かりよかったのですけど、でも逆にそのBSはもうカラカラでした。「こんなカラカラなところにそんな金入れるのかい」みたいな。そういうところから説明しました。アメリカ、特に海外はそのリーガルなところでしっかりと結んで、法的なところでの信頼関係になってくるのです。それは一つ大きな勉強になりました。
国内の方ではやはり一つは印刷をやっているところですけど、ホテルとかのパンフレットとかもやっている神戸にある会社、マテックス。それが織ネームとかにプリントしてアパレル系もやっていて、そこが最初でした。そことM&Aをして、スコーヴィルになって、それからボードのマニューバーラインが2018年です。そこでちょっとベース固めをして、「さあ、行くぞ」って言っている時に、2020年コロナに入りました。コロナは、もう私は会社が赤字になってもいいと思いました。社員とかその家族とかやっぱり一番大事なので。いいと思ったのですけど、まあみんな節約もして頑張ってくれて、利益も期待した以上に、予想した以上に出してもらった。コロナが明けてから本格的にM&Aをやっていくぞというのが、今年2件やったというところにたどり着くわけです。Ms.IDとミツボシです。特にスコーヴィルは初期の頃、ニッチトップ企業で比較的近い領域の会社をM&Aして、マニューバーラインはグループシナジーで、やや関連領域です。さらに今の第三ステージとしては、収益基盤を安定させる形で、M&Aのカテゴリーが若干シフトしてきています。
スコーヴィルのM&Aは、今から11年前ですが、振り返ってみてやって良かったと思います。今この瞬間で言いますと、トランプ関税があります。これが大きいです。スコーヴィルとモリト2社でメキシコにも設立しているのです。こうすると今度車関係も現地生産できる。アメリカ生産できるというのがあります。結果的にはリスク分散にもなっています。当時、トランプさんは登場していなかったから意識していませんでしたが、結果的には非常に効果を生み出しています。ただ、地産地消が進んでいっているでしょう。そうするとアメリカの企業でも、「現地で入れてくださいね」という感じになるのです。そうすると、現地で調達するか、製造するか、あるいはアメリカから持っていくか、日本から持っていくかという話ですけど、一番何がいいのって言ったら、調達と現地の製造が一番良いわけです。そうなるとアメリカの工場というのは、6割ぐらいは汎用資材系ですけど、3割、4割というのはアパレル系が入っているわけです。特にアパレル系は海外の現地に移動していっている。だから「じゃあこの先ちょっとアパレルが落ちるであろう」と見えているその設備どうするの、というのは今議論になっているところです。色々なことを勉強して、今も継続して利益も上げているところです。
モリトのタグライン(2022年6月新コーポレートブランド設定)
色々な会社をM&Aしてきて、さらに2019年には持ち株会社化。今まで一体感があったモリトの子会社が増えてくるし、色々な文化の人が入ってきて、法人形態もバラバラになってきて、みんなの心が離れかねない状況になります。ぶれない大方針、ぶれないグループ会社の運営ということになってくると、やはりそれぞれ頑張ってほしいけど、でもモリトグループだよというところでのこの新しいモリトのロゴです。「MORITO」の「O」の下が消えています。これは付属品をメインに今もやっている「黒子的な部分」がありますよという意味です。ただMは「バーン」と下まで行っている。これはもう稲妻のように、我々は「行くときは行くぞ」と。その躍動感を表して黒子になりつつ、でも行くときは行くよと。なおかつ、やはりモリトってどんな会社、どんなことをしている会社というので、そのタグラインとして新しく「あたりまえに、新しさ」と入れました。これは「あたりまえ」っていうのはみんな気づかないです。まあそのホックでもハトメでも、何も意識せずに初めてボタンを留めようとして「なんかうまく入らない」とかってなって「何これ」みたいな。そこで初めてストレスとか感じるのですが、そうならないように常に当たり前のモノでも、我々は新しく変えていきながらも、皆さんに満足をしていただける、ストレスがない生活をしていただけるという意味も含めて「あたりまえに、新しさ」。先ほどのステンレススナッパーでも、当たり前のようなホックだけど磁力に反応しない新しさがあります。このタグラインは社員が考えました。私はもう「どうするの?どうするの?」と。「あたりまえに、新しさ」。それを製品で体現していきます。
モリトグループの価値観
古くから語り継がれているモリトグループの価値観は「積極・堅実」。本当に積極的に考えて行動もして、最後は営利団体ですので、その堅実に利益を出していく。そして「パーツでつなぐ、あなたとつながる、未来につなげる」。これは、私たちのスタートである付属品というものは絶対に忘れてはいけないという戒めでもあるわけです。BtoCもこれからも増えていくでしょうし、他の事業もひょっとしたらM&Aというのがあるかもしれないですけど、でもモリトの事業としての芯を成している部分というのは付属品、色々な機能を持つ付属品。これは絶対に忘れてはいけないし、これを腐らせてしまうと恐らく他の事業もガタつくのかなと私は思っています。モリトのアイデンティティとして、これはしっかり守っていく。「パーツでつなぐ、留める、飾る」です。
ビジョンは、先ほども言いましたけど、商品、品質、単価、納期とかじゃなくて、やはり商売を通じてモリトという会社を理解していただき、その上で私たちはもっと新しい、お客様が納得していただけるステークホルダーが賛成していただけるような行動を取っていく。多分、お客さんから「こういうの作れるか?」と言われて「NO」って誰も言ってないと思うのです。「分かりました」とか「ちょっとこれ調べさせてください」とか「1週間後にご返事します」とか。そういう感じで必ず何かの形でお客様の要望に応えていく。本当にうちの社員すごいと思います。社員もすごいし、組織の文化として根付いているということです。
中期経営計画
今、第8次中期経営計画の最中で、2026年が最終年度の5カ年計画になっています。第8次中計は3年間横ばいという話もありましたが、筋肉質な利益体質を作っていくというのが一つです。それからやはり未来に向けたM&Aもそうですし、今開示していますベトナムでもモノづくりしていこうということで、色々な投資もしています。積極的な投資をやっていこうというのがこの2つの柱でした。手応えはもうしっかりあります。多分「もっと粗利益率上げようぜ」って言ったら、上がるぐらいみんな頑張ってくれているのと、今まで本当にキャッシュコンバージョンもそうですけど、キャッシュができてあまり困ったことのない会社でしたので、このM&A 2件はどちらも自前でやりましたけど、今後やはり色々な場面の中で間接融資などもしながらやっていくところが増えてくるかなと思っています。まずこの第8次中計の中では、売上高600億円を目指していくところです。来年度なので、世界経済がよっぽどおかしくならない限り着実に実行したいと思っています。
この成長戦略、第8次中計計画の中で特に力を入れてきたのは、やはりアパレル系です。私たちが積極的に手掛けていなかったBtoCのECサイトのビジネスですけれども、この今年M&AしたMs.IDです。ここは本当に機動力もあって、マーケティング力もあって、例えば「今日は曇りだね」と言ったらすぐ画面を切り替えるとか、社内でスタジオがあったりします。Eコマースを手掛けている会社です。それがレディースのアパレルの方で、同じMs.IDでもアクセサリーを扱っているのですが、シルバーアクセサリー「TEN.」というブランドです。これは日本製のもので、すごいデザインにもこだわっていて、男性も女性も使えるような、海外でも今人気が出てきています。これは専門的にやっている会社と一緒になったので、ここらも含めて未来の一つのECビジネスを完成させていきたいし、ただ先ほども言いましたように、やはり付属品というものがベースにあるので、全体の売上の中でBtoCは2割5分とか。ということは1,000億円で250億とか。これ以上いくとやっぱり色々なリスクが違ったりするので、状況にもよりますけど、その辺のバランスは取っていきたいなと思っています。
もう一つ、一緒になったミツボシコーポレーションはもうシナジーをどれだけ出せるかです。作業服系にめちゃくちゃ強いところです。作業服の部品を供給したり、製品を請け負って作ったり、自社でも作ったりするところです。当社もありますけども、ここは統一して彼らが前面になって、その辺のところはもっと成長させていきたい。だから今回M&Aした2件というのは今後注目したいし、未来において輸送機器関連というのは今後もっと、特に内装加飾部品等々も含めてやっていこうとすると、やはり加工する、自社で加工するとか、自社で何かものづくりをするとかという製造的な部分というのは必要になってくるかなと思います。
やっぱり製造ができる、そしてお客様の近くにいることがモリトの強みです。それともう一つは、先ほど厨房のフィルターをお話ししましたけども、食、口に入れるもの以外で、例えば厨房の周りとか、お客さんのテーブルの周りとかでコラボできるものとか、ご一緒させていただける会社さんとかあるかなと思っています。ただ忘れてはいけないのは、そうやって積み重ねはありますけど、「じゃあ既存はどうなのか」。ここもすごく大事です。例えば、今年でもそれなりに成長はしているのですけど、自分が期待していたよりも成長率は低いです。高いところもあればちょっとダメなところもあって、おしなべてということです。だから既存の事業の、極端に言ったら統廃合とか、組織の改変とか、そういうことも同時にやっぱりやっていかないと、隠れて見えない部分で、例えば「もう日本ではこの商売っていうのはもう役割が終わったよね」とか色々出てくるわけです。それはその事業をやっている人のせいじゃなくて、環境の変化がある。環境の流れによってそういうことがあるので、そういうことも含めてやっていきたいなと思っています。
環境への取り組みRideeco(リデコ)は、第8次中計の一つの目玉でもあります。廃漁網は、漁師さんが使い終わったネット、魚取りの網です。これが引っかかって海底に落ちたり、波で流されて海岸に来たりします。それらを回収して綺麗にして、ペレットにしてそこから生地にしたり、あるいは樹脂のパーツにしたり、私たちの得意なパーツにしているのですけど、今回それにプラスしてもっと細い糸を作って、ウェアの生地、前はバッグとかランドセルとかやっていたのですけど、もっと薄手のものができるようになったので、今積極的に展開しています。それから縫製工場で出る端切れがあります。その切れ端と紙とを混ぜて作る「混抄紙」があるのですが、これがお店に行くと値札がいっぱいあります。ビジネスで言ったら名刺、便箋、封筒とかにも展開をしていく。この2つが大きな環境対応というのはポイントで進めていっています。繊維に関わるところでのリサイクルという意味です。
第9次中期経営計画とその先へ
2030年で800億円。長期的には1,000億円に。やはり1,000億円企業と言ったらカッコいいかなと思います。そういうのを作るのに、わざわざ数字作りで何か変な投資をするとか、変なM&Aをするとかということじゃなくて、しっかりとベースを作りながら、600億の30億というのがボトムで第8次中計というのはセットしています。次は第9次になるわけですけれども、これはやはりお楽しみにしていただければいいかなと思います。投資もしっかりやりながら、人的資本ということも含めると、やっぱり人件費もどんどん増えていくのですけど、でもそれはそれで、働いて頑張ってそこで生活の糧を私たちが得ているわけですから、より充実したものに社員もなってもらいたいなと思っています。
社長としてこの将来、例えば800億円とか1,000億円をイメージできます。できるのですが、自分がイメージしているような世界の経済状況とかで、日本はどんどんその人口減になってもいくし、もっとグローバルに目を向けないといけないところも出てくる。とはいえ、やっぱり日本の会社ですので、やはり日本市場というものをどう捉えていくのかというのはまだ見えないところはありますけど、でもやはりある程度は想像できるのです。その大前提としてやっぱり人的資本が今後ますます大事になってくると思います。
長い歴史の中で、私も長いこと役員をさせてもらっていますけど、やっぱり社長の権限ってめちゃくちゃ強かったです。ああしたい、こうしたいと思っている人も「ダメ」って言われたら何もできなかった時代が長くて、色々な能力を持った社員がいるのに、それを解き放ちたかったのです。だから、今もう解き放ってみんなこうガンガンやってくれています。だから大方針の中で、まっすぐ行く人もいれば壁にぶち当たって行く人もいればもうそれはそれでいいから、とりあえず自分の能力をみんな発揮してもらいたい。それを最終的にまとめ上げていくのは私の仕事でした。今はだから手綱をもう引っ張っていないです。そこが組織の作り方であり、でもバラバラにならないように求心力としてちゃんと会社としてのタグライン、ビジョンは持ちつつ、うまくこうみんなが動ける組織になっている。「分からん、どうしたらええねん」といつも言っています。「どうしよう」とか、そういう感じです。そうするとみんな頑張ってくれます。
株主還元策
株主還元には、配当の還元もあるのですが、社長になった2013年当時、株価が412円だったところ、直近では1,500円から1,600円のレンジで、株価にすると3.8倍ぐらいです。同じ期間のTOPIXが2.5倍ぐらいですので、インデックスと比べてもはるかに大きなパフォーマンスを上げています。株主さん、ステークホルダーさん受けする発言というのは大事だと思いますが、社員が本当に頑張ろうと思ってもらえる環境にしたい。それは仕事環境もそうだし、ペイでもそうだし、我々が成長する上において、もっと成長したい、もっと自分も頑張ろうと思ってもらえるような条件を整えていきたいです。そうすることによって会社は大きくなって、利益も上がっていって、本当に110何年積み込んだ剰余金というのが厚いです。ROEという一言を言われてもなかなか大変ですけど、でも純利益は出しながらも純資産はできるだけ抑えながら。これはある程度数字目標が推奨されているところに一つの目標として頑張っているのですけど、それをするためにやるというのではなくて、それをやることによってステークホルダーの皆さんが幸せになっていただきたい。その結果として上がっていくというのが理想的だと思っています。
これからはこのDOE4%以上が基準です。配当性向50%掛け算してROE8%というのが当面の目標です。5%と50%だったら10%になります。なので、今だとROEが8%で、そのうちの50%を配当すると考えると、DOEが4%になる。仮にROEが10%、配当性向が50%だとすると、DOEが5%になります。そういうところまで行ってみたいなと思いますが、やはり成長性、未来に対して投資家さんが見られた時に、「そうか、しっかりベースができて成長しているよね」という指数にできるだけ、もっと明確に持っていけたら、もっと当社のことを応援していただけるのかなと思っています。でもそこに強くこだわるわけではなく、あくまで会社の配当、成長のためには従業員がちゃんと心一つに頑張れることが一番大事だと思っています。実際にはこの配当、着実に年々増えていっているところです。そしてモリトは11月決算ですので、次の配当は11月末に保有している株主に対して配当金が支払われます。2025年11月期の期末配当は1株あたり36円の予想となっております。この第3四半期まで順調に業績推移していますから、お楽しみにしていただければと思います。
最後に投資家の皆様へ
目標連結売上は「目指せ1,000億円」という合言葉で頑張っております。次の第9次中期経営計画は2027年度からですので、お楽しみにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
