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ベクトル(6058)西江会長兼社長にインタビュー!「広める」は広告からSNSやニュース動画へ ~早く、安く、スマートに広めるFAST COMPANY~


【6058】ベクトル

開催日2025年 04月 16日
出演西江 肇司 会長兼社長

ベクトルの西江会長兼社長に2025年2月期決算、FAST COMPANY構想についてインタビューしました。

2025年2月期決算概況

ベクトルの2025年2月期決算は、売上高が592.5億円で前年同期比100.1%と増収となりました。当初計画の630億円には届きませんでしたが、増収で着地しました。EBITDAは91.4億円で前年同期比114.4%、営業利益は80.2億円で前年同期比115.7%、こちらも計画の85億円には若干届きませんでした。当期純利益は41.9億円で前年同期比89.5%となりましたが、これは前年に子会社売却益という特別利益があったため、減少はやむを得ないと考えています。全体として、想定よりは良くなかったという印象で、計画は少し未達でした。しかし、事業自体は15%ずつ伸びていますので、事業の成長は継続しています。EBITDAや営業利益は計画通り15%伸びています。

 

セグメント別概況 PR・広告事業

PR・広告事業の売上高は324億円、営業利益は36億円で着地しました。営業利益は当初計画の41億円には若干届きませんでしたが、PR・広告事業自体は順調に進んでいます。売上が若干減少したのは子会社売却の影響がありますが、そもそも売上ベースではあまり見ていません。粗利益率が非常に高いので、会社としては粗利益で管理しています。粗利益、売上総利益で見ると、今期は181億円、前期が178億円と増益になっています。

資料にある「自社完結型SNS運用案件が増えた」は、企画から広告出稿、動画制作まで一気通貫で手掛けることを指します。代理店は全てを完結させる型ではないことが多いですが、ベクトルはSPA(製造小売業)のように全てを完結させる型を目指しています。インフルエンサーだけ得意、デジタル広告だけ得意、SNSだけ得意、縦型動画だけ得意といった会社が多い中で、モノを広めるときにPRから全てを組み合わせて最も効率的に実行できるのがベクトルの特徴です。それを「自社完結型」と表現しています。

 

PR・広告事業(戦略PR事業)

PRは現在非常にニーズがあります。広告業界全体で7兆円のマーケットがありますが、フジテレビの問題などもあり、テレビCMを見る機会が少なくなっています。テレビがなくなると、雑誌も、新聞もほとんど読まれなくなります。ショート動画や縦型動画には、15秒のクリエイティブなCMはもうありません。従来の概念の広告はないでしょう。

このような時代において、PRの考え方が非常に重要になります。PRの考え方と縦型動画は非常に相性が良く、インフルエンサーを通じて話すこと自体がPRの目線です。クライアントの商品を、メディアを通じて消費者に届けるのがPRの仕事でしたが、現在ではクライアントの商品をインフルエンサーや縦型動画、メディアを通じて視聴者に届けるのが仕事となっています。やることは変わりませんが、広告が媒体ではなくなり、広告という手法を使わない中で、PR的な考え方が一般的になってきています。

地上波を見るという概念がもうありません。皆ストリーミングで視聴しますし、その際にCMはほとんどありません。もしかすると5年後には広告自体がなくなっているかもしれませんが、広告業界は7兆円ありますので、全体としては新たなゲームが始まるという感覚です。これまでの四大メディアにかかっていた予算が、ベクトルのような会社に流れてくるという側面があります。テレビはまだしも、雑誌や新聞はすでに四大メディアとは言えません。

リテナー契約が着実に増えてきています。ベクトルにとって多いのは、最近の傾向として中国企業や大企業です。BYDなど、大きな中国企業が日本に多く進出してきており、そういった企業との契約が増えています。そういった大企業が国内で自社商品の認知度を高める際に、ベクトルとリテナー契約を結んで戦略PRを進めています。まずPRで記者発表をしたいというニーズがあります。そこから記者発表を行い、PR TIMESを使ってニュースリリースを配信し、その後動画にして広めたい、インフルエンサーを呼びたい、その動画をピックアップしてデジタル広告で展開したい。ベクトルに声をかければ一気通貫で実行できるのが最大の特徴です。リテナー契約は、直近の決算では904件あり、1社あたりの単価は1,000万円から2,000万円、3,000万円くらいです。1社あたりの予算も今後増えていきます。

 

PR・広告事業(海外事業)

PR・広告セグメントにおける海外事業は、売上総利益に注目すると増加しているものの、やや横ばいという状況です。国内1位、世界でも1位を目指しています。海外事業は、大きな数字が出ているわけではありません。今期は赤字などもあり、それらを全て解消し黒字化させようとしています。

例えば、中国は今期から本格的に手掛けますが、これまでは日本から中国に行く、つまり日本企業が海外に進出する際のPRを手掛けていました。現地の日本企業の知名度を高める、いわゆる「日光ホテル」のようなイメージです。今期から戦略を変更しますが、どう見ても中国企業が今日本に多く進出してきています。家電メーカーもテレビも、冷蔵庫などもほとんどが中国メーカーになっています。海外事業の方向性を変えて、中国企業ブランドの日本進出支援を手掛けようと考えています。韓国は好調で、ASEANも色々と手を打っているところです。

世界一になるというのは、率直に言って、先ほどの7兆円のマーケットをPR会社だけに限定しているわけではありません。結局、モノをどう広めるかというPRの概念も、広告もいずれなくなる可能性があります。だから、モノを広める際にやらなければならない会社の定義として、PRという切り口で、やはり7兆円のマーケットのゲームに参加すべきだと考えています。

海外でもどちらかというと7兆円のマーケットにショート動画などが色々と入ってきていますので、これらを海外でも手掛けます。海外ではどちらかというと景気が悪くなった際にM&Aが最も分かりやすいと考えています。

基本的には国内の広大な7兆円というマーケットがありますので、そこで十分に世界一を目指していけます。世界一を目指すからには国内だけで大きくなっても意味がないので、景気が悪くなった際の海外M&Aは視野に入れています。

 

PR・広告事業(タクシーサイネージ事業)

タクシーサイネージは好調で、ほぼ全てのタクシーに搭載されています。ソニーのS.RIDE(エスライド)の広告をベクトルが手掛けており、決済などはソニーが手掛けています。もともと仲が良かったのです。

S.RIDEは関東だけではありませんが、全国で展開するからといって効率が良いわけでもないので、かなり絞って展開しています。実は超ローカルのニーズはありません。どちらかというと、やはり首都圏で展開したいという方が多いです。これもまた来期以降に面白い話があり、売上が変わっていきます。

 

プレスリリース配信事業

プレスリリース配信事業、PR TIMESは順調に進捗しており、営業利益も当初計画の19億円に対して18億7,700万円と、ほぼ達成という形になっています。このプレスリリース配信事業の今後の見通しについて、2026年2月期は営業利益がかなり増える計画になっています。最初の契約に合わせて進捗しています。あとは、販管費などをコントロールできる事業なので、広告宣伝費などのコントロールが可能ですし、新規事業が黒字化し始めるなど、様々な要素を含めて現在好調です。次の計画では、営業利益で31億4,900万円を目指す計画となっています。

 

ダイレクトマーケティング事業

ダイレクトマーケティング事業は、当初の営業利益計画12億3,000万円に対し、7億4,700万円と、若干苦戦しました。 「紅麹問題」のような影響を前半に受けましたが、後半は数字が回復してきていますので、来期以降は元に戻るでしょう。もともと同じマーケットですので影響を受けるのです。マーケットが30〜40%落ち込んでいたので、その影響を前半に受けていたというくらいです。したがって、四半期別で見ると、来期以降も全く問題ないです。基本的には第1、第2四半期で広告を打ち、第3、第4で刈り取るというモデルです。広告を打っている場合は売れているということなので、費用対効果も良く、トライアルなども提供しています。事業自体は順調です。

 

HR事業

HR事業については、当初の営業利益目標が6億3,500万円であったのに対し7,400万円と、こちらも若干苦戦しました。ここが課題でした。あしたのチームとJOBTVが主な要因です。JOBTVは来期もこの方針で進めるので、数字を出せます。あしたのチームも今期は良くありませんでしたが、来期は数字を回復する形になるでしょう。経営の問題もあり、ずっと悪いわけでもなく、良くもない、ずっと横ばいが続いていたという感じです。あとは販管費を少し使いすぎたところもありました。あしたのチームと今乗ってきているJOBTVは事業自体の関連性はそれほどありません。JOBTVは今期から利益を出し始めるので、少し遅れていましたが利益を出せて、あしたのチームは少し回復してきます。

JOBTVは特に2025年2月期の第4四半期で一気に跳ねています。悪くはないのですが、今期中には間に合いませんでした。次の第1四半期以降も利益は出てきます。

新卒支援だけだった頃は季節変動がありましたが、現在は色々なサービスを展開しているので、まだ変動を読み切れていません。新卒支援だけでなく転職支援、新卒支援の派遣だけでなくイベントも手掛けていますし、新卒向けのメディアも制作しています。それを縦型動画で運用してほしいといった、人材派遣ではない仕事も増えてきています。ベクトルの得意なPR的な仕事が増えてきているので、最初は人を派遣してお金をもらうモデルだったので季節変動がありましたが、色々なマネタイズのポイントが増えてきているので悪くはないです。

JOBTVは学生が自分で動画を撮影して応募・参加し、企業側も自分で撮影するというものです。最大のポイントは、説明会に行くのが面倒だという点が、JOBTVで見えるという点です。それがメインです。どちらかというと、マッチングがそこまでうまくいっているかというとそうでもありません。ただ、それによって人が集まっています。おそらく大学生のほとんどがJOBTVを知っているのではないでしょうか。競合のリクナビ、マイナビは文字と写真なので、それに比べればこちらを見るでしょう。したがって、メディアとしては非常に見られていますし、登録者も多いです。

ただ、これは誤算でしたが、人事部からすればリクルートやマイナビのシステムを何十年も利用してエントリーを行っているのです。したがって、エントリーから全てを覆すことができると考えていましたが、こちらの視聴率が高くても、一気に切り替わることはありませんでした。

採用担当者自身がマイナビやリクナビで就職した人たちだから、というのもあります。やはりマーケットは大きいですが、システムが全て、楽天を利用していたのに、いきなりこちらが便利だからといって全て変わるわけではありません。それが少し誤算でした。

ユーザーは集めているものの、企業の採用活動全てがいきなり変わるわけではありません。徐々にシフトしていくことも最近は考えていません。動画としてのメリットは非常に大きいので、人材採用はあまり費用をかけずにできるようになります。最初始めた頃はリクナビ、マイナビに勝つくらいの感覚でやろうとしましたが、そうではないマーケットも多く存在します。そこを今、攻めているところです。

HR事業で人材採用コンサルティングを手掛けるFINDAWAYを買収しました。人材はもう全ているので、これを企業に当てはめています。企業も全て勝手に登録してきます。それを今度は動画で採用していくのです。縦型動画で採用者を募ります。この会社は、長年リクルーティングを手掛けていた企業がどのようにすればよいかという専門的なノウハウを持つ会社です。

 

投資事業

投資事業セグメントは、当初の営業利益計画6億円に対し実績が16億9,400万円と、大幅に上回って着地しました。かなりの数の会社に投資している中で、以前から保有していた一部を売却して利益確定しました。

 

2026年2月期 連結業績予想

2026年2月期の連結業績予想は、売上高630億円、営業利益85億円、経常利益83億円、当期純利益50億円と、ほぼ前期の2025年2月期の当初予想に近い計画となっています。営業利益100億円という中期計画を2027年2月期に1年ずらしたというのが現状です。売上高は勝手に行きますが、最終利益は少し頑張らないといけません。

計画している配当は1株33円で、前期が32円でしたので、増配です。

セグメント別で見ると、営業利益85億円のうちPR・広告で40億円、プレスリリースで31億円、ダイレクトマーケティングで10億円、HRで2億円、投資事業はバッファーで見ています。基本的には投資事業なしで85億円です。今期の数字はどちらかというと投資がプラスアルファで貢献してくれたところがあり、来期、再来期は仕事が順調にあります。かなり仕事が入ってきているので、どちらかというと投資はバッファーで見ています。メインの事業であるPRからHRまででしっかり増益を図り、一応バッファーで投資事業を見ています。HR事業など、目標達成しなかった数字や赤字のものを全て整理しています。本業自体は投資を除いて、本業で達成できるように計画を出しています。

PR・広告事業は、今回40億9千万円の目標で、前期と比べると112.5%となっています。昔に比べるとポートフォリオが大きくなっていますので、利益が3億円だったときと全く違います。15%くらいの伸びはあります。規模が大きくなりましたので十数パーセントでもかなり大きいです。1%や2%違うだけで上場できるくらいの数字になります。

2012年2月期は売上38億円でした。ものすごく伸びています。営業利益も当時4.9億円だったので成長はしています。あまり落ち込まないように手を打っています。メインのビジネスモデルもPR TIMESもそうですが、継続性の高いモデルが多いからできるという点もあります。

売上高の伸びもありますが、EBITDAや営業利益の伸びもかなり安定感があります。M&Aも手掛けてきましたが、M&Aはこれまで相殺されてきたので、まだそこは表面化していません。M&Aを行った際に、ベクトルは日本基準なので、のれんの償却があります。買収して数年間は、3億円の利益が出ているものでも、結局3、4年後くらいに表面化してきます。今回2025年2月期の決算でも4億5千万円くらいののれん償却がありました。

 

中期利益計画

2027年2月期に、1年ずらして営業利益100億円。ベクトルをゼロから始めましたが、その会社が営業利益100億円に到達します。ただ、私自身は本当に300億円とか500億円とかを頭で描いています。最初上場した時、3億円を30億円にしました。簡単に言うと5年くらいで。それも結構難しいのです、3億円を30億円にするのは。そして30億円から100億円というのも自分に言い聞かせました。だから今言い聞かせているのは100億円を300億円にすることです。最低でも500億円くらいには行きたいというベースがあるので、それを自分に洗脳している感じです。自分でこれからどうやるかというすごく単純なグラフがあるので、どのように粗利益を増やすかよく見ています。

スマホの中に、PR事業だったら5年で10倍。例えば30億円だったら60億円になる。今30億円で、5年だったら50億円になる。そうすると数字が出る。M&Aはこのようになる。サイネージも、10億からそれほど伸びていませんが15億にはなる、というのを全て入れているのです。5年で今の時点では300億円なのです。それを対外的には200億円くらいで出します。足りなかったらM&Aで30億円くらいは行けるだろうとか、あと2、3億円ぐらいの新規事業を10個くらい作る。プラスどこかの会社をM&A、という感じです。そのような、すごくシンプルですが、それが自分の仕事です。財務的な部分で言うと、ROEが25%、連結配当性向で30%を目指していくことは変わりません。2030年代に営業利益200億円を目指します。

 

経営戦略

ベクトルはPR会社の中で、アジア1位、そして世界で6位。さらに上がっていけます。一応10%か15%くらいずつ上がっていますので、5年より少し時間がかかるかもしれませんが、理論上は6年、7年で達成できます。

エデルマンは1番のPR会社でおよそ2倍の差があります。エデルマンもかなり優秀です。ダボス会議などでもよく登場し、様々なことを全世界で手掛けています。私が言うのも何ですが、すごく良い会社です。独立系なのです。それ以外はWPPやオムニコムグループといった持ち株会社が広告業界でM&Aを行っており、その流れの子会社が多いです。

海外は実は広告代理店という概念がありません。全くないというのではなく、ブランディングエージェンシーのような立ち位置なのです。だからPR自体はアメリカなどでは当たり前です。例えば、良い悪いは別にして、ワクチンなども全てPR会社が手掛けます。どのように戦略的にPRしていくかを全て手掛けていきます。

ベクトルが日本一になれている理由としては、PRだけにこだわっていないという点が大きいです。例えば、日本のPR会社であれば、現在PR会社もかなり変わってきていますが、ずっとPRだけを手掛けます。デジタル広告は異なる領域になりますし、SNSも異なる領域です。ショート動画も異なる領域ですし、ITが得意ではないといった代理店もあります。だからそのような垣根を取り払い、顧客目線でモノを広める際にやらなければならない、0円から1億円くらいで必ずやらなければならないインフラをベクトルが取りに行こうという考えで、PRだけにこだわっていないという点が大きいです。

世界一を目指していく上で、海外でも伸ばしたいのですが、現在は海外事業がそれほど絶好調ではないので戦略を切り替えます。あとは、おそらくユニクロのように一気に世界に行けたら一番良いのですが、海外に行くというのは非常に曖昧な表現で、どこに行くのかという問題があります。海外は一国だけではなく、現状で言うと、それほど海外で非常に成功している会社でもないので、とりあえず武器を持って、韓国であれば韓国、韓国はかなり強いのですが、国ごとにいきます。繰り返しになりますが、景気が悪く、マーケットが落ち込んでいる時に、グローバルエージェンシーのM&Aにも興味があります。広告業界は景気後退局面で買収されている時がかなり多いのです。WPPとかオムニコムグループとかは、どちらかというとファイナンス系、ファンド系が積極的に買っていますので、海外は、それが一番分かりやすいです。

 

FAST COMPANY 構想

ビジョンでは、広告業界のファストカンパニーになると掲げています。国内のPR市場1,500億円だけでなく、この広告市場7兆円も視野に入れて手掛けていくということです。今回の決算説明資料の中でインパクトがあるのが、「広告がなくなっていく」という点です。本当に広告がなくなる時代が来ています。今はもうテレビを見ない時代になっています。CMで覚えているものは何かと聞かれてもありません。ショート動画を皆スマホで見始めましたが、15秒のクリエイティブなコマーシャル、そもそも縦型のコマーシャルがないので見ていないはずなのです。静止画の広告くらいはあっても誰も見ないので、アルゴリズム的に見られなくなります。現在の時点でこのようになっているので、本当になくなっているのです。

だからこそベクトルのローコスト、ミドルクオリティ、スピーディーというこの広告、PRがますます時代の流れに合っています。今の広告業界ではクリエイティブを非常に重視する時代ではないです。映像作品の見た目もそうですが、テレビのCMを15秒制作し、5,000万円以上かけてタレントを起用し、それに時間をかけてテレビで流すというモデルを、今誰も多分求めていないでしょう。例えば車の格好いいコマーシャルなど、今見たこともない。それくらいやはり時代が変わってきているのです。そしてベクトルがこの意味合いで言うのは、モノを広めるのにお金がかからないということです。

例えば、最近よく話題になる政治家の石丸さん。石丸さんの話がなぜ広まっているのか皆に聞くと、必ず少し年上の方に怒っているようなバズった動画を挙げます。あれをほとんどの人が見ているのです。石丸さんがどんな人モノなのか、あれでも伝わっているのです。石丸さん自体はどこで認識しているかというと、皆それなのです。なぜかというと、都知事選の時にテレビにも何も出ていなかったのですが、そこまで行きました。本当は、自分で切り抜き隊などを雇って、これを全て拡散したりしているのですが、このようなことをPR会社が行うのです。以前ほどお金をかけずにすぐに広まるのです。そのようなものを表して、ローコストでミドルクオリティ、スピーディー、だからマクドナルドやニトリのような意味合いです。つまりそれを一気通貫で、モノを広めたい時に200ページくらいの企画書を書いて、それを何億円もかけて実行していくような時代ではないのです。本当にバズりそうな動画が3つくらいあって、それを一気に拡散する。それほど時間はかかりません。

モノの広め方が変わっています。ショート動画などを使って縦型動画などを使って広めますが、例えば、店舗オープンをベクトルが手掛ける場合です。これは少し古いですが、「ガチ中華」という言葉が急に流行りました。あれはベクトルが広めたのです。これは中国のクライアントからの依頼を受けましたが読めない名前だったので、これでは広まらないので、「ガチ中華」というキーワードをベクトルが作り、メディアに発信しました。店舗がオープンした瞬間に「ガチ中華」というので、皆取材に来るのです。テレビ番組なども行きます。これがベクトルのPRです。SNSのインフルエンサーも、どんどん撮影します。インフルエンサーは、ベクトルと提携もしていますし、インフルエンサーともベクトルは毎日仕事をしているので、インフルエンサーの仕事自体が年間500本くらいあります。だから普通にメディアと一緒です。PRはメディアと仲が良いです。SNSはインフルエンサーと仲良くないとできません。クライアントの商品を、メディアを通じて行うのか、インフルエンサーを通じて行うのか。このインフルエンサー自体がいきなり動画になってきていますので、自分たちで動画を撮影するのです。だから撮影したものがそのまま広まっていきます。さらにその動画をベクトルが少しカスタマイズして、原宿近辺を通る人たち50万人にデジタル広告で配信することもできてしまうので、それが今風の広め方です。

提携しているインフルエンサーがたくさんいます。その人たちが色々自分たちなりにショート動画を撮ってきて発信する感じです。そして、後で再生数などを確認します。マイクロインフルエンサー、ミドルインフルエンサー、ハイパーインフルエンサーといったように、ものすごい予算があるわけではありませんから、「ここは無料で来てもらえる人を20人集めよう」とか、「ここは10人ずつ半期ごとに手掛けよう」といったクライアントごとの対応をしています。また、撮影した動画の著作権などを譲り受けて、その動画を自分で加工してデジタル広告として配信することなども行います。

広告費を払うことでより積極的にショート動画をユーザーに表示させることもできます。広告ですが、見た感じは広告になっていません。現在、小さく「広告」と表示されていますが、気づかない人もいるでしょう。広告の境界がなくなっています。

縦型ショート動画になってきた時に、インフルエンサーが強くなかったのが面白いです。それはなぜかというと、少し前までの時代の流れですが、インフルエンサーがショート動画になったことで、インフルエンサーが出てくる場所も少しなくなってきているからです。どちらかというと動画の中身の方が重要になってきているので、その違いです。少し前はインフルエンサー主義でした。インスタ全盛の頃は本人出演動画でしたが、今はTikTokが全盛で本人出演よりも動画自体がメインになってきていて、ハイパーインフルエンサーでなくても良かったりするのです。その動画が面白かった方が重要なのです。誰が発信したかよりも、その数秒間、10秒間などの動画の面白さそのものが問われます。昔だったら100万人くらいのインフルエンサーがやれば広まるという話がありましたが、今は面白い動画が重要になってきているのです。

モノの広め方が変わってきています。この数年でも強烈に変わっています。15秒のコマーシャルの情報をスマホで見えていくので、マーケットはもっともっと大きくなります。テレビの時代は、例えば15分くらい番組を見て、その間に15秒のCMでした。今は情報量が桁違いです。だからマーケットがまだ気づかれていないのです。縦型ショート動画が流行りますが、ショート動画のクライアントは現在1社あたり500万円くらいなのです。しかし私の勘では、これが上期に1,000万円から2,000万円くらい使い始めるでしょう。テレビで展開するよりも良い。それを3,000社獲得するのが私の現在の考え方です。テレビを長時間見てもCMは4つくらいしかありません。ショート動画であれば、例えば5秒、いや2秒見ただけでも何かしらの情報が伝わります。数も全く違うのです。

あまり意識せずに見ていますが、本当の広告かどうかもう分かりません。

例えば、先日、中国の杭州に行きましたが、杭州に行くときに普通皆TikTokなどで「杭州 観光」と検索するのです。すると杭州の観光地が出てくるのですが、これを見た事によってアドを貰っているかは分からないのです。今は、例えば杭州に行った時に10箇所の場所を動画で見るのですが、私たちの時代はSEOで「杭州観光15選」と文字で見ていました。それよりもTikTokの方が動いているし、早くてきれいです。だから全く変わっている感じです。皆動画で検索し始めています。そのようなノウハウを広告主の企業は全く持っていないから、だからリテナー契約などを結んで教えてほしいとなるのですが、これからです。

今までテレビCMや新聞広告などを出していた会社は、PR会社と契約を結ぶのが増えてきます。だからベクトルが順調だというのをあまり気にしていません。普通の企業で手掛けても、良いものができないという感じはあります。ただ次の時代、中国がそうなのですが、ベクトルは全て手を打っていますが、応募型なのです。例えば、このホテルを宣伝するのに対してインフルエンサーが応募するのです。応募すると賞金をあげます、一番再生されたものに20万、30万あげます、と。それを買い取ってそれを全て広告で配信するのです。ものすごく効率が良いです。このようなシステムなどを考えて、モノを広めるコンビニを、ベクトルは考えています。すでによく再生されている、成功しているものに広告を当てるからものすごく費用対効果が高いです。そのような時代が来ます。中国では一般的です。

今までは企業が広告代理店を通してテレビCMなどを出していた時代だったのが、今はベクトルなどにPRを依頼するという流れになっています。広告代理店がかなり大きな数字を獲得し、今風のSNSやPRなどはベクトルに依頼してくるのです。その構造は10年したらどうなるか分かりません。ただ先ほどのリクルートとマイナビの話と同じで、全てがいきなりベクトルのサービスに切り替わるということはありません。やはりゼネコンのような機能があり、ベクトルは電通から約4割の仕事を受けています。

縦型動画のマーケットは大きく、広がり、影響力があります。例えば、昔の雑誌と同じなのです。自分が金融に興味があったら、金融の縦型動画を見ています。自分が経営者の格言や経営者の本が好きだったら経営者が出てくる。アルゴリズムが雑誌のようになっているのです。自動的に雑誌のようになります。そこに手を打つということは、昔で言うと雑誌に広告を出しているような感覚です。

例えば、昔で言うと検索型広告、テキストの検索広告をGoogleなどが手掛けているものは、非常に高い精度で広告を当てられるようになったが故にマーケットが大きくなりましたが、縦型動画もものすごく精度が上がっていて、費用対効果が高くなっているのでかなり成長します。勝手にその精度が上がっていっているのです。逆に言うと、誰でもできます。PRもそうです。ニュースは誰でも作って、誰でも流せるのでお金勝負ではなくなるのです。モノを一気に広める際に使ったテクニック、例えば「ガチ中華」にするなど、そのようなPRで広めるテクニックをベクトルは持っているのです。そこが重要で、動画でも重要になってきます。例えば、小籠包店をベクトルが手掛ける場合、「小籠包タワー」という映えるものをやるのです。すると、売上が1.5倍から2倍くらいになるのです。それがベクトルの仕事です。

 

重点項目 M&A

M&Aは、色々失敗してきましたが、大体まとまってきました。簡単に言うと利益が出ている会社を買収しています。gracemodeも2.4億円か2.7億円くらいの利益が出ているのです。それをEBITDA4倍か5倍で買収しています。かなりコスメ系のメディアで有名です。だからアイスタイルの次くらいのメディアをベクトルが買収したのです。インフルエンサーが縦型動画で色々と手掛けるので、ベクトルはクライアントが1,000社いますので、相乗効果を狙っています。そのようなM&Aです。あまり高すぎない値段で買収し、なおかつ相乗効果で1年目にEBITDAが3倍くらいになることを狙っています。元々黒字の会社を買う方針です。

あとは、縦型動画のアフィリエイトの会社、縦型動画の飲食店で若い子向けの会社、AI系など欲しいです。

AI自体は、ベクトルの業界では例えばAIは文字が多いです。ニュースリリースをAIで作成するとか一番多いのです。例えば、企画書などもベクトルはAIで作成していますし、PRのネタもAIで探していますし、社内でAIは普通なのです。それに合うような会社を買収したりなど色々と手掛けています。

自社でクリエイティブ制作や企画書作成の段階でも社内でAIを活用しています。ものすごく便利です。例えば、PRのネタだけ考えてくださいというと勝手に考えてきます。その中から面白そうなものを選んで企画していきます。会社の名前も全てAIに聞いて、ベクトル専用にカスタマイズしたAIを活用しています。AIは業界的に一番使いやすいです。

 

株価について

実績として、国内でトップ、世界でも6位です。業績は増収増益で、ものすごい成長市場で戦っています。時価総額400億円、PERにすると9倍ほどですが、まだまだ伸びますので、手を打っていきます。

今はまだ少し色々散らかったことを手掛けている雰囲気ですので、個人投資家の方にとっては分かりにくいかもしれません。理解いただけるようになるまで、もう少し時間がかかりますが頑張ります。

 

最後に(個人投資家に向けてのメッセージ)

今期は計画が少し未達でしたが、実際はかなり順調です。これから広告業界のマーケットはおそらく5倍から10倍くらいになると思っていますので、ぜひ投資いただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

 

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