ビジネスコーチ(9562) 細川社長にインタビュー!上場グローバル企業トップへのコーチング! エグゼクティブの行動変容を促し、顧客の企業価値最大化に貢献する!
【9562】ビジネスコーチ
| 開催日 | 2024年 11月 14日 |
| 出演 | 細川 馨 代表取締役社長 |
ビジネスコーチの細川社長に会社のビジネスモデル、中期利益計画についてインタビューしました。
「ビジネスコーチ」とは何か?(人材開発事業)
ビジネスコーチは、主にエグゼクティブ層の方々の行動変容を促すことによって、企業が成長しイノベーションが起こりやすくなる、という成果に繋げることを目的としております。ビジネス分野で、つまり企業様をターゲットにしています。その中でも、主にはエグゼクティブの方々を対象にしていて当社にとっての『一丁目一番地』です。エグゼクティブはトップマネジメントである社長様、あとはボードメンバー(取締役)、そして部長さんクラスの方々です。新任役員の方なども対象となります。
コーチングとコンサルティングの違い
コーチングは、クライアントの方々が持っている強みをどんどん伸ばすこと、それから、どちらかというと課題となっている点を改善していただく、そういったことを引き出すのです。寄り添って聞き出すのが、コーチの役割です。似た言葉のコンサルティングは、『このように実行すれば良いですよ』という形で指導する、違いがあります。
大企業のエグゼクティブや経営者の方々でもコーチングは必要です。やはり社長が変われば会社はがらっと変わりますし、大きな会社であれば、その部門のトップの方が変わると、組織も変わります。そのことについて、部下がアドバイスできるのか、ということです。社長に、『もっと下の者の話を聞いてください』とか、『それは決めつけではありませんか』などとは言えるわけがありません。ですから、やはり第三者でニュートラルな立場の人間がいて、その上で調査もいたします。多面評価を行い、『このような良い点がある一方で、こういう改善点がある』ということを社長と打ち合わせしながら、改善していくという形になります。
会社へのコーチング導入はお問い合わせが多いです。プライム市場に上場しているような企業様、その中でも特にグローバル企業様が多いです。経営企画室からお問い合わせが来ます。人事部からもございますが、打ち合わせをして、そして『誰をコーチングするのか』と決めていきます。やはり、コーチングを受けるということは、その対象者の方にとってインセンティブになるのです。会社がすごい投資をしますから。少し高額ではございます。ただ、費用対効果で考えますと、社長などが変わることは、非常に大きな価値だと考えております。組織風土も変わりますし、業績も向上し、イノベーションも起こしやすくなります。社長が変わることによって社長の行動が変わるのです。ここがビジネスコーチングの非常に重要なところでして、内面は変わるものではありません。ただ、人の話を聞かない方が、人の話を聞くようになる。それだけでも、やはり周囲で働いている方々にとっては、すごく仕事がやりやすくなります。部長クラスの方々にこのエグゼクティブコーチングの研修を行うことがあるのですが、そうしますと、必ず『これを上の層にやってくれ』という話が、ほとんど100%出てきます。『うちの社長にもやってほしい』『うちの専務にも』と。社長が話を聞いてくれるということで、まず専務が提案をしやすくなります。社長の行動が変わると、専務の行動も変わってくるのです。そうすると、部長も変わってくる。トップマネジメントが変わることによって、組織全体にすごく良い影響を及ぼします。様々な意見を言いやすくなったり、活発な企業風土になっていったりします。ある一つの会社様では、8年ほど、社長様以下、役員・部長と、ずっと50名以上の方にコーチングを続けているところがございます。時価総額も4,000億円ぐらいから1兆円ぐらいまで大きく成長されました。すごい会社です。やはり会社の組織が活性化します。コーチングを受けることで、社長や取締役、部長の方々の行動が変わります。
プライム上場企業を中心とした強固な顧客基盤
お客様はグローバルで戦っていらっしゃいます。人的資本投資という言葉がございますが、これは非常に重要です。どうすれば効果的に人材を育成できるか。日本企業の場合、5000億円ぐらいの投資をしていますが、やはり集合研修が多いです。先生が一人で、聞く人が30人では、行動は変わりません。しかし、グローバル企業の場合は、やはりこのトップマネジメントからコーチングを受けて、ご自身の強みを発揮させる。それから、若い方でも非常に能力の高い方々にコーチングを入れる。また、転職してきた方に対してもそうです。すごい金額で転職してきますから。途中で辞められたり、それから問題行動を起こされたりあります。やはりコーチをつけるという事が当たり前なのです。企業価値を高めるために、人材に投資する、と。日本の場合は、メンバーシップ型で、今まで階層別研修が中心でしたが、この30数年で日本とアメリカの企業の時価総額には大きな差がついてしまいました。ですから、やはり日本企業でもグローバルで戦っている会社様は、そういう人材投資について、もっと効率的に行う必要があると肌で感じていらっしゃるのでしょう。だからこそ、コーチングを導入されているのだと思います。
人材育成や人的資本投資というと、一般的なイメージでは従業員にいかに報いるか、という印象が強いですが、当社のサービスではむしろトップに働きかけます。企業価値を高める一番効果的な方法は何かと考えた時に、やはりトップ、それからポテンシャルのある層の方々となります。社内でも社外でも、影響力が大きいです。ですから、コーチングを活発に取り入れている会社様は、グローバルでも素晴らしい成績を上げていらっしゃいます。
日本企業だけでなく、海外の企業でも、このようにトップにコーチをつけることは多いです。訴訟社会ですから。パワハラなどが問題になって、企業の価値を損なうということがございます。良かれと思って部下に指導しているつもりが、実はそれが強すぎてハラスメントになっている、といったこともあり得ます。グローバル企業ですから、世界中の国々の価値観は違います。やはり問題行動を起こさないようにする、というのは当たり前のことです。日本の経営者の方々の中には、自己主張をあまりされない方もいらっしゃいます。逆に、リーダーシップが弱すぎると、組織をインスパイア(鼓舞)させることができません。その場合は、もっとリーダーシップを強化するというようなコーチングもございます。すべて個別対応ですからオーダーメイドです。360度サーベイをしてからコーチングのテーマが決まり、そして半年とか8ヶ月間、コーチと二人三脚で、素晴らしいリーダーシップを発揮してもらうように当社は支援いたします。お客様は300社以上あり、その約7割がプライム上場の会社かその子会社です。大企業でこそ導入されています。世界で戦っていらっしゃいますから。
ビジネスコーチのビジネスモデル
「コーポレートコーチ」は、一人ひとりをコーチングするわけではなく、分かりやすく言うと、どちらかというと営業の役割に近いです。プライム企業のお客様の人事の方や経営企画の方々、時には社長様に直接お会いして、例えば『何年後に会社を成長させたい』とか、『時価総額を上げたい』といったお話をするのです。そういうお話をいただいて、『では、その中での良い方法としては、エグゼクティブコーチングがございます』というようなお勧めをするわけです。そして、『では、誰をコーチングしましょうか』と。それから、今は『サクセッションプラン』のご相談が多いです。部長クラスの中から次の役員になってもらうとか、役員の中から次のトップマネジメントに行ってもらうとか、そういうものをサクセッションプランと言っていまして、これは欧米の会社では当たり前です。日本の企業でも当たり前になってきました。そういったサポートもするわけです。その後継者候補の方が例えば3人いたら、その3人それぞれにコーチングします。それで、実際に仕事をしていただいて、ある一定期間で改善が見られるかといった中で、社長様が決断をされる。コーチもサクセッションプランの際に、意見を言うこともあります。会社全体のプランをアレンジするコーポレートコーチと、実際に面談をするコーチ、この「パートナーコーチ」は、それぞれのクライアントと一対一で面談する方々です。当社はエグゼクティブコーチのメーカーとして、「プロパーコーチ」という者が当然おります。
プロパーコーチは、社内にエグゼクティブコーチ本部という部署がありまして、コーチングを長年にわたって実践し、世界的にも認められた経験豊富な者たちがおります。その者たちが、自分たちも実践しますが、パートナーコーチという方々を選別します。パートナーコーチは社外、プロパーコーチは社内の方々です。プロパーコーチだけですと、人数が足りません。300社もクライアントがあれば、かなりの人数が必要です。しかし、コンテンツの肝となる部分は、当社がメーカーとして押さえていないといけませんので、そこはしっかりやっております。コーポレートコーチがお客様からお話を伺う際に、当社のプロパーコーチと一緒にお伺いして、『なるほど、ではこのお客様には、このコーチが良いだろう』というような設計をします。コーチが相手をされるのはエグゼクティブの方々ですから、それなりの経験も能力も地位も高い方々です。私どものコーチは、ビジネス経験が豊富です。実際に会社経営に関わっていた方がコーチしています。経営者や管理職の経験です。
ただ、今、欧米などを見ますと、女性のコーチがトップマネジメントの方々にコーチングするケースで、非常に評判が良いと聞いています。ニュートラルな関係を築けますし、厳しいことも逆にクライアントの方が受け止めやすくなる、ということがあるようです。大企業で元々勤められていた方がパートナーコーチとして参画されたり、経営者や管理職経験者が入ってくださったりしています。やはり、コーチとしてのスキルがないと難しいのです。ビジネス経験がある、しかし、コーチとしての経験があり、ニュートラルである、そういうところを見て、この方は向くだろうと。これは結構、厳しい選別がございます。コーチが、エグゼクティブの方と一対一で話すのはスタンダードで2週間に1回ぐらい、1時間程度です。それが半年間。エグゼクティブの方は忙しいですから。なかなかそんな時間はないという方ばかりです。以前は対面でしたが、この頃はやはりリモートですので、時間を取っていただきやすくなりました。ビジネスモデルとしては、例えば半年間のセットで契約をして、サービスを提供していく、という形です。
コーチングを提供する他社と比べた際の特徴として、まず重要なことは、『行動が変わるかどうか』『リーダーシップが本当に効果的になったか』、そこだけです。クライアント様は一人ひとり固有の強みなどがございますので、それを生かすのが良いのです。一方で、一対n型、つまり集合研修では、トレーニングやロールプレイが盛んに行われます。役割を体験していただくのです。私たちが推奨しているのは、まず集合研修(一対n)で経験を積んでいただき、その後にコーチをつけていただく(一対一)、という流れです。しばらくしてから、ビフォーアフターを確認するという方法もお勧めしております。一度コーチングを受けて、経営層やエグゼクティブの方々が、ご自身で行動が変わったな、とか部下からの信頼が厚くなったな、と感じたら、次に『君も受けてみたらどうか』と展開していくことも多いです。ですから、大手企業様の場合、本当にご自身がまず受けてみて、それを他の役員にも勧める、ということがございます。もともとは、一対n型の方が多かったのです。まずコーチングとは何かということを学んでいただく。それから、1on1ミーティングが日本で非常に普及しまして、そのやり方について一対n型で学ぶ、といったご要望もございます。上司と部下が、仕事以外のことも含めて色々と話し合う、というものです。しかし、なかなかうまく機能しないのです。上司の方がほとんど話してしまっている、とかです。あれは本来、部下のためのミーティングなのです。いずれにしても、その一対一のミーティングが機能しているかどうかは、様々なテック系の商品でサーベイを取ることが、今では本当に簡単にできます。『定着していますよ』『していませんよ』というのも分かります。
創業の経緯と日本におけるコーチングの普及
もともと私は生命保険会社におりまして、6つの支社を同時に立ち上げるという営業本部長でした。しかし、人の育成は非常に難しく、その時にアメリカで『コーチングはモチベーションも上げるし、行動変容も促すので、すごく良い』と聞き、学び始めました。1997年頃から学んで、実践してみたのです。私は一対一で、社長にコーチングし、支社長にコーチングし、時々は営業職員やグループにコーチングするということをやっておりました。社長のグループや支社長のグループにコーチングするなどです。すると、すごい業績が上がりました。『これは良いな』と思いました。しかし、1990年代当時、コーチングは日本では全く知られていなかったのです。アメリカでは当たり前だったのですが。しかし、コーチングをやってみて、本当に組織が変わりましたからびっくりしました。そういった経験があって、まず一人で、2002年の10月に始めました。私が勤めていた会社が外資に吸収合併されましたので、それを機に独立したのです。やはりコーチングは楽しいです。クライアントの会社の方々が本当に活性化していくので。日経ビジネス様もコーチングに非常に興味を持ってくださいまして、2003年から『日経ビジネスアソシエ』という雑誌で、市場コーチングといった企画をやらせていただき、コーチングのセミナーや編集、出版などをさせていただきました。『生保最強営業マンの実践コーチング塾』という本も日経BPから出させていただきました。その本がまた、よく売れました。あと、コーチングのムック本など、日経ビジネス様とタイアップでやらせていただきました。そこから、やはり大企業の方々からのご依頼もかなり入るようになりまして、『これは面白いな』と。そして、コーチングを日本に普及したいと思い、2005年から、現在の副社長などと一緒に、4月にビジネスコーチ株式会社を創立した、という経緯です。
コーチングの神様との出会い
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』という書籍が2007年に発売されて大変評判が良かったです。この著者であるマーシャル・ゴールドスミスさんが、実際に2007年から当社で色々な指導やアドバイスをしていただいています。私は世界ビジネスコーチ協会という協会に入っておりました。その時に、マーシャル・ゴールドスミス博士がカナダのバンクーバーでイベントをやるというので、参加したのです。その当時から彼は著名な方で、『ピーター・ドラッカーの盟友』と言われていました。彼の一対n型のパフォーマンスを当社も体験したのですが、すごいのです。楽しくて。実際に受けてみて、『これは日本にも本当のコーチングが必要だ』『世界一の先生に来てもらった方が良いだろう』と。タイアップできれば、そのメソッドを日本中に普及できるだろうと思い、2007年にお会いした際に、値段も聞かずに『来てください』とお願いしたら、『OK』と言って頂きました。すぐさま日経ビジネス様とタイアップして、大きなイベントにしようと風呂敷を広げたのですが、それが2008年、リーマンショックの時期でした。当社も大変で、仕事がキャンセルになったりもしましたが、世界一の先生に来ていただけたということは、当社にとって、彼のメソッドが哲学となりました。『行動変容こそがすべてなのだ』というのは、マーシャル博士の教えです。『コーチングが素晴らしい』とか『クライアントが素晴らしい』といったこととは関係なく、『クライアントが周りの人たちに対して、いかに行動を変えたか』、そこが重要なのだと思い知らされました。
リーダーが陥りやすい「20の悪癖」
マーシャル博士の書籍の中で「20の悪癖」が紹介されていますが、特に印象的なものは、『極度な負けず嫌い』です。人の話を全部自分の話に持っていくというのもあります。『君、最近結婚したんだね』『はい、結婚しました』『どこへ行ったの?』『ハワイです』『私も行ったんだよ』と、いつの間にかその人の話になっています。あと、日本人に多いのは、『善し悪しの判断をくだす』です。『彼の行動は、やはりいまいちだよね、ダメだよね』と、勝手に解釈してしまうのです。人それぞれ、ご自身の考え方で行動します。それを、自分の価値観に当てはめてしまっているのです。自分の価値観で人の行動すべてに善悪をつけてしまう。あと、『いや、しかし、でも』で話を始めるのも多いです。『これをやってみよう』『いやー、難しいですよ。今までやったこともないですし』『でも、チャレンジしてみようよ』『いやー、難しいですね』と。だんだん話したくなくなります。部下の立場の人が、上司に『こんなことをやってみたいのですが』と少し言ってみて、『いやー』とか『でもさ、それはちょっと…』と言われたら、言う気をなくします。部下はせっかく考えて言っているのに、『しかし、ダメだよ』と。もう、がくっときますから。これは退職に繋がります。負けず嫌い自体が組織にとって悪い癖ではないと思いますが、どうでもいいことにまで、となるのです。ゴルフをやっているとすごく負けず嫌いな方がいらっしゃいます。自分が負けると思うと、嫌なことを言ったりします。ビジネスとは関係なく、そこは別に良いではないかというところまで負けず嫌いを発揮する、ということです。ゴルフの中では本当に、皆さん必死になり悪癖が出ます。また、情報を教えないというのもあります。社内で、『このようにやらないと大変なことになるよ』といったことを、あまり言わないのです。そして、部下がやってみて失敗すると、『何をやっているんだ、お前は。大変な失敗をしているじゃないか』と。『言っておいてくれたら良かったのに』となります。ちゃんと、『この件については彼が知っているから、彼に相談してやってみると良い』などと言えば、部下もうまくできるのに、何も言わずに『どうなっているんだ』と。教えないのです。あと、世界中で一番多いのが、『人の話を聞かない』。これは本当に多いです。まったく聞かない。そして、そこでまた悪癖が連発するのです。『でもね』と自分の話を始めて、『私も過去はこうだったけど失敗したよ』とか。過去の話を言う。『昔はこうだった』と。これを一つだけでなく、二つ、三つと重ねてしまう方もいらっしゃいます。そういう方がトップの職場は、やはり皆シーンとしていますし、退職する人も出てきます。エグゼクティブの方は、ご自身では認識はないけれども、実はやってしまっている、ということがたくさんあります。私は2,000人以上の方に、この一対n型の研修をしましたが、『ゼロです』という方が3人いました。その方々の会社の人を私は知っているので、調査をしました。『ゼロと言っているよ、あの人。どうなの?』と。『だから、細川さんの研修に行ってもらったんですよ』と。自覚がないからこそ、怖いです。もともとこのエグゼクティブコーチングに関しては、360度サーベイというものがございます。ピーター・ドラッカーが言ったらしいのですが、『私が会っている経営者の半数は、もう学ぶ必要はない。自分の持っている悪癖を直した方が、はるかに良い経営者になる』と。そのピーター・ドラッカーと一緒に仕事をしていたマーシャル・ゴールドスミス博士が、『マーシャル君、人助けをしてくれ』と開発したのが、360度サーベイ、周りの人、同僚などから評価してもらう、というものです。そうした悪癖を持つ経営者やエグゼクティブの下では、優秀な人ほど辞めていってしまいます。本来、色々なアイデアを持っている人が、『この上司の下ではやっていけない』となってしまうのは、もったいないです。ただ、悪癖がある方が、優秀ではないわけではないのです。むちゃくちゃ優秀なのです。アメリカの経営者は、皆さん悪癖だらけです。トランプ氏とか、スティーブ・ジョブズ氏とか。本を読む限りは、強烈な個性ですから。でも、仕事はできるのです。だから、少し直せば良いのです。それだけでも、組織はすごく活性化する仕組みです。業績が悪くなったり、世の中が不況になったりすると、皆ギスギスします。余計に悪癖が出てくるのです。
DX(旧SXi)事業
DX事業は、KDテクノロジーズの石田社長と会ったのが、10年以上前です。石田社長は、もともとソフトバンクの孫さんのところで、系列会社の社長をやっていました。自分でやりたいということで、ソフトバンクを卒業して起業したのが、KDテクノロジーズのスタートです。私が創業した時に、ある方からの紹介で彼と会いました。『お互いに購買を圧縮(今までと同じものを、より安い金額で調達すること)して、成功報酬を分かち合いましょう。当社にもお客様がたくさんいるから、お客様も喜んでくれるでしょう』と思って始めたアライアンス(提携)です。そして、成功した分、つまり減額できた分の半分を、成功報酬としていただく形です。減額した分を人材開発投資に回していただけたら嬉しいな、という気持ちもございました。石田社長はすごく一本気で真面目な男でして、一緒に仕事をする中で、私も彼を非常に信頼しております。現在は、その購買のコンサルティングを中心としながらも、それと連動してDXにも力を入れている、という状況です。購買から入って業務を見ていくと、一番圧縮しなければならないのはシステムなのです。古いシステムを使っている会社様もたくさんいらっしゃいます。ですから、購買で最初の接点を持ち、次にDXをご提案するという形です。今、購買で大きいのは、電気量の圧縮などです。電気代も高くなりましたから。あと、スマートフォン何千台という契約など、大きいビジネスです。コマーシャルなども、契約する会社を変える、といったご提案も効果があるようです。購買の方も伸びていますし、それに関連してDXも伸びている、ということです。当社のお客様とKDテクノロジーズのお客様は同じ大企業様です。当社がコーチングしている会社のエグゼクティブの方々に、こちらのサービスを紹介してあげると、やはりお客様も関心を持ってくださいます。そもそもコーチングでエグゼクティブの方々と関係が築けている、というのが非常に大きいです。今まで、私たちは真面目にコーチングの会社として、大企業の偉い方々にお会いしてきましたが、コーチングの話しかしてきませんでした。主には人的資本の部分です。コーチングはほんの一部です。様々な人事制度など、人的資本に関連したビジネスはたくさんあるのに。当社のパートナーコーチ180名ほどを見てみますと、コーチングもやるけれども、人事制度も専門です、というように、色々なサービスを提供できる者もいるわけです。それから、私はオープンソース、つまり優れた会社様とのタイアップがすごく重要だと考えておりますので、テック系の商品を販売している会社様との提携などを、もっともっと強化しないとダメだなと思っているのです。購買やシステムの分野でコストダウンして生まれた原資を、もっと人への投資に、それもコーチングだけでなく、他の人的な投資にも使っていこう、ということです。
2024年9月期業績
2024年9月期の業績は、売上高16億円と、去年より大きく増加しました。KDテクノロジーズ社をM&Aした部分が加わり、人的資本の方、つまりビジネスコーチ社の方も、110数パーセント伸長しました。もっと伸ばしたかったのですけれども。人材開発の方も順調で、それとM&Aの効果と、両方の相乗効果で伸びました。四半期ごとの季節変動はあります。当社は、第3クォーター(4、5、6月)が少し弱い傾向にあります。新入社員研修や管理職研修が多い時期です。コーチングの対象となるエグゼクティブ層の方々が、自社の新人研修などに時間を取られるため、少し忙しくなるということです。当社は、新入社員研修はあまりやっておりません。管理職研修などは、第4クォーターや第1クォーターが非常に良いのです。ですから、サービスラインナップのところが課題なのです。そこで、今は新入社員に対して、一対一型のサービスも提供し始めております。新入社員も辞めてしまうことが多く、退職が多いと、すごくコストがかかります。一人採用するのに100万円とかかかりますから。その層には今、強化しております。
そして2025年9月期、新年度に関しては、SXiのセグメントを、DXセグメントという名前に変えます。事業の内容としては変わりません。DXのニーズがすごく高まっていて、契約はほとんど継続しますし、継続する案件が大型化していくという形になります。例えば、インフラ系の会社様です。高速道路にたくさんサービスエリアがあります。サービスエリアの中で、例えば『木が出ている』とか、『トイレットペーパーが足りなくなった』とか。『職員の教育が必要だ』とか、そういうのをDXで全部やっているのです。トイレットペーパーの在庫なども、DXで全部調べます。あと、教育もです。道路の清掃の仕方についてとか、雪が降ったらどうするかとか。まさに人的資本の教育研修の部分もあるわけです。それがまた、東日本、西日本と広がり、運送会社様のDXも最近では手掛けております。運送会社様も、やはりシステムが少し古いことが多いようなのです。それを大きくするとか、あとはロジスティクスの会社様などです。物流倉庫などで、今大きいのは、お酒の関係の会社様です。一度入ると、すごく大きく展開していきます。シンプルにDX化、ソフトウェアを開発するという部分と、プラスして、そういった人材育成のような部分に絡むこともあります。ですから、その人材育成のコンテンツを動画でということもあります。動画サービスもやっておりますから。それは、ビジネスコーチの方で動画を作成して、そしてKDテクノロジーズと一緒に納品する、といった形でやっております。自社グループに、そういった開発リソースや教育コンテンツを提供できる部隊があるわけです。動画関連も、現在、ビジネスコーチ社の人材開発事業において、売上の10%くらいを占めております。そういう意味では、それぞれのセグメント間でのシナジーがあるのです。もっともっと活発にしていきたいな、と思っております。
2025年9月期連結業績予想
2025年9月期について、売上高の予想が18億円と、前期の16億円からプラス2億円。営業利益に関しても、8,500万円の増益です。今回は、過去に3回、下方修正をしてしまい、私も本当に申し訳ないと思っておりますので、固く、固く、固く見ております。CFOが新たに入りまして、彼も非常にそのあたりは慎重です。最終的な営業利益率20%は必須です。非常に利益率の高いビジネスですので、事業のパイがもっと大きくなっていけば、20%はクリアしていくと思います。バックオフィス系のコストは、売上の規模が上がっても、それほど拡大するわけではありません。
配当性向は30%を目処に、最低ラインとして年間50円以上になるようにしています。やはり、粗利率が非常に高いビジネスですから、配当はこのくらい出し続けたいな、と思っております。上場する前から配当は出しておりました。上場は2022年10月です。投資家から見ると、配当ももらいつつ、ビジネスコーチの分野やDX分野での成長も期待しつつ、見ていただければよいわけです。
経営戦略・成長戦略
長期的な経営戦略として掲げている「ビジネスコーチは、コーチングを提供する人ではない」。もともと、当社はビジネスのコーチですから、クライアント企業が発展すること、成長すること、時価総額が上がることが素晴らしいことだと考えております。そういう成果をお手伝いするのが当社の役割です。そのためには、コーチングだけでは無理だと考えているのです。コーチング以外の人でも、企業の人的資本投資をお手伝いする、その人たちはすべて『ビジネスコーチ』である、という考え方です。顧客の企業価値を高めていく、それが目的です。私も独立した当時は、社長にコーチングをし、管理職の方にも研修をし、採用が弱いという会社には採用研修もしました。それは保険会社時代に培ったものです。そのようなサービスを提供してきました。そういった目線に変えていくと、ターゲットにしている市場も、今までのコーチング市場、だいたい60億円くらいです。世の中のトレンドも人的資本投資ということで、政府も力を入れております。今までは人材開発だけでも日本企業は5,000億円と言われていましたが、かなり投資するようになりましたから、1兆円は軽くあると思います。人にかけるお金は変わってきています。ですから、今、一対一型でも3,000人とか、当社で対応しております。システム投資も、今まで作ったシステムをさらにアップデートしてやっています。今はすごいオーダーが多いです。企業も本気になってきました。単にコーチングするだけでなく、DXインフラなども含めて、人的資本をプロデュースする、というような意味合いです。やはり日本の企業の経営者の方々が、本気になってきたのではないかと思います。人に投資して、企業価値を高める。ですから、お客様は『ビジネスコーチはコーチングの会社だね』というイメージをお持ちですが、そこを、『実は人的資本経営の総合プロデューサーなのだ』というところで、頑張りたいなというふうに思っております。コーチングの部分は、非常に強力なサービスとして入口にはなるけれども、そこはまだ入口に過ぎないということです。コーチングで、世界で初めて上場した会社ですから、やはりコーチングは『一丁目一番地』です。しかし、それを軸にしながら、色々なサービスがございますし、プロフェッショナルの方々とのネットワークもございますので、ぜひご紹介していくという形です。コーチングサービスの周りにある、例えば研修サービスのマーケット、さらにそれ以外のDXインフラなども含めて、5,000億円、1兆円といった形で、かなり大きく広がっているわけです。
中期利益計画
世界的なレベルで何百万人という単位で診断を行っている会社様とも提携を結んでおります。適材適所の診断などです。最近はグローバルな企業が増えています。日本の企業だけれども、部課長は海外にいる、といった異文化の人たちとのコミュニケーションやチームビルディングが重要になってきますが、そうすると、コーチングの重要度はより高まります。やはりグローバルでビジネスをすると、分かりやすく伝えないとダメです。日本は結構、曖昧な表現が多いですから。そういう分かりやすいマネジメントの仕方などが重要になるようです。やはりそういった経験のあるコーチを、Zoomなどで繋いでやる、というケースもございます。実際に、イギリスの方をコーチングしています。
「人的資本経営のプロデューサー」構想は、職場の風土調査とか、人事評価制度などです。パートナーがいて、そういう会社様と提携を結んだり、人事評価をAIで行う会社様と提携を結んだり、今、盛んに提携しております。当社のお客様は300社、大企業の皆様でいらっしゃいますので、ご紹介しますと、すごく喜んでいただけます。社外のリソースも使いながら、総合的にプロデュースしていく、ということです。当社の方でも、『この会社様だったら本当に信頼できるな』というお客様とご紹介していく、という形になっております。そういう意味では、人事評価だけでなく、組織風土や組織開発、人事戦略、育成研修など、人事といっても様々な領域があります。そういった色々なところを、総合的にプロデュースしていくということです。ビジネスコーチの内部にも、アライアンス専門の部隊が立ち上がっておりますので、サクセッションプランで、きちんと調査する会社様と提携を結ぶなど、盛んにやっております。
さらに、それを一歩進めて、会社の形そのものの変更を今年計画しています。当社は2005年の4月設立ですので、来年の4月でちょうど20周年になります。幹部職員もかなり育ってきておりますので、彼らに系列会社の社長になってもらおうと。若い者では33歳です。しかし、入社して10年になります。非常に優秀な男です。ですから、この『コーポレートコーチ株式会社』は、まさに大企業のニーズに応えて、様々な総合プロデュースをする会社です。2025年1月から、子会社としてやってもらいます。どんどん優秀な人間を採用する。このコーポレートコーチ株式会社を分かりやすく言うと、販売会社です。大企業のニーズを聞いて、プロデュースをしながら、ある時は当社の『エグゼクティブコーチ株式会社』の方に仕事を振ったり、テック系の商品を販売したり、動画を販売したり、プロデュースするのが、コーポレートコーチ株式会社です。それから、『エグゼクティブコーチ株式会社』はメーカーです。コーチングを提供していく、ということです。プロパーコーチを採用し、アサイン(配属)する。『B-Connect株式会社』は、マーケティングの会社です。当社の300社には大企業のリストがすごくございます。そのリストの中で、セミナーを企画したり、ランディングページを作ったり、アライアンスした会社様の商品を紹介したりするのです。今までデジタルマーケティングが弱かったのですが、専門家を入社させましたので、強化していきます。そして、『KDテクノロジーズ株式会社』のDX推進です。それと、アライアンスを組み、次は資本業務提携、そしてM&A。1年に1社ぐらいずつ、M&Aしていきたいなと思っております。今の株価じゃ、どうしようもないですから。『早く時価総額100億円に』と。やはり、プロパーの社員が社長になって、『君たちはとにかく、会社を成長させなければダメだよ』と。まずそれが一番です。あとは、メーカーとしての立ち位置を確立し、マーケティングを使いながら様々なお客様にサービスを提供する、商材を開発するということで、各子会社が発展することが目的です。社長になると、皆、意識が変わります。今年度は少し厳しい見込みを立てましたが、まあ、いくとは思います。経費は増大しますが、売上、利益を上げる。少し厳しめに見て出してはおりますが、やはり勝負の年です。会社を大きくするために、投資をするという年です。経営人材を育成する、子会社の社長にすることで人材育成を図り, さらにそれをもって事業を加速していき、グループ全体の企業価値、株価も高めていこう、と。私は若く見えますけれども、67歳ですので、やはり次の当社のサクセッションプランです。子会社をたくさん作るつもりでいまして、その中で一番優秀な者に、ホールディングスの社長になっていただきたいなと思っております。
中期的な利益計画として、2029年9月期に売上高50億円、営業利益10億円です。子会社も作りますし、M&Aもしますし、アライアンスもしますし、投資もしますので。もっと早くできるのではないかなと、私は思っています。現段階では、システム投資などが必要な局面かもしれませんが、粗利率の高いビジネスモデルですから。きちんと配当も30%出して、年間50円。私は67歳と言いましたが、70歳くらいまでやりたいです。『70歳くらいまでに時価総額100億円にしてくれよ』と、はっぱをかけています。
最後に 投資家の皆様へ
私は、日本のビジネス界にとって、コーチングはすごく重要だと思っております。働く人たちのモチベーションが非常に高くなりますし、イノベーションも起こします。日本にとって、すごく素晴らしいことだなと。ビジネスコーチが、本当に日本のためにお役に立ち続ける、ということが、私の人生の喜びだと思います。それと、ビジネスコーチは私が創業しましたが、自分の家族や子どもたちに、この会社を継がせることはいたしません。当社の社員の中で、一番優秀な人間がこの会社を継いでいただければ。そういう会社であり続ければ、すごく嬉しいなと思っておりますので、社員も非常にやる気になっています。皆で力を合わせて、あとパートナーの方々、アライアンス先の方々と力を合わせて、日本のために貢献できれば、最高の人生だな、と。そういうつもりで頑張っておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
