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マーキュリアホールディングス(7347) 豊島社長にインタビュー!ファンドの力で日本の今を変える ~オルタナティブ投資の可能性~


【7347】マーキュリアホールディングス

開催日2024年 06月 07日
出演豊島 俊弘 代表取締役社長

マーキュリアホールディングスの豊島社長にファンドのしくみについてインタビューしました。

沿革

私たちの仕事はファンドを運用することで、会社ができたのは2005年です。今2024年ですので、だいたい20年間ずっと運用を続けています。この間、ファンドという預かったお金を運用してフィーをいただくビジネスモデルのため、運用資産を増やしていくことが大切だと考えてきました。直近では運用資産が3297億円に達しており、これはお客様である投資家から預かったお金なので、マーキュリアのバランスシートの外側にあります。

運用する上で、私たちはただみんなと同じことをやるだけでは良い運用はできないと考えています。そのため、常に何らかのチャレンジをして、何かの壁を乗り越えながらテーマを持って運用してきました。2005年のスタート時点では、まず「国の壁」を越えることから始め、次に「心の壁」「世代の壁」を越え、そしてこれからは「市場の壁」を越えていく、という考え方で様々なファンドをセットし、運用してきたのが私たちの歴史です。

 

事業内容

ファンドの事業内容は、大きく「事業投資」と「資産投資」に分かれます。これらは、私たちの会社の中で2つの運用グループに分かれており、メンバーも異なります。プラットフォームとしてはマーキュリアインベストメント全体のコンプライアンスなどは共通ですが、投資対象を見つけ、管理し、エグジットを行うフロントメンバーは基本的にこの2つのグループで分かれています。

「事業投資」は、簡単に言うと会社に対する投資です。会社の所有権である株式に対する投資ということになります。既存の会社を支配的にすべて買うのが「バイアウト投資」で、これは会社を丸ごと買うイメージです。バイアウトの場合は原則として今ある会社が対象になります。一方、「成長投資」はベンチャーキャピタルに近いもので、自分が丸々会社を支配するのではなく、多くの人が投資をして、これからどんどん伸びていく、あるいは上場するかもしれないという期待に対して投資します。

バイアウト投資であれ成長投資であれ、株券はもう今発行されていませんし、株券を持っていると言っても何の価値か分かりません。そのため、実際にはその株券の裏にある事業がどうなっているのかを、上場している会社ではないため、原則としてしっかりとハンズオンで見て管理していくことが非常に大切です。この管理を通じてバリューアップしていくのが事業投資のポイントです。ハンズオンとは、単純に言えば取引先を紹介したり、海外進出を検討していればパートナーに繋いだりするなど、株を持つだけではなく、色々と事業を手伝うイメージです。また、バイアウトでは同族企業の承継問題などがあります。同族企業には、親戚のお小遣いのように様々な「しがらみ」があるものです。しかし、私たちが投資家の資金で会社を買った後は、そうした会社の無駄をなくしたり、事業内容をきちんと合理化したりして、同族のしがらみなどを解消していきます。

「資産投資」は不動産、航空機、再生可能エネルギーといったアセット(資産)に対する所有権の投資です。不動産であれば土地やビル、航空機であれば空を飛んでいる飛行機、太陽光発電所であれば太陽光発電所です。これらは物理的なものの所有権をしっかりと持つことになります。ただ、これらの物は使われなければ意味がありません。不動産であればオフィスとして借りてもらったり、アパートとして借りてもらったりしますし、太陽光発電は太陽の光が差せば発電してエネルギーを生み出します。資産投資では、事業投資のようなガバナンスや意思決定はあまりありません。組織ではありませんから、取締役会で何かを決定しなくても賃料は入ってきます。しかし、これをしっかりと管理していく必要があります。

リターンのイメージで言うと、事業投資は逆に人を使って会社を管理するため、かなりハードルレートが高く、リターンも高くなければいけません。平均で20%のリターンを狙っていくイメージです。もちろん、それよりもうまくいくこともあれば、苦戦することもありますが、それくらいが目安になります。常にすべてがうまくいくわけではありませんが、投資する際にはやはり20%以上を狙っていくという考え方です。

資産投資は、不動産などではキャップレートという不動産投資利回りのようなものがあります。例えば5億円のネットオペレーティングインカム(手数料などを差し引いた手元に残る利益)で、キャップレートが5%であれば100億円の不動産ということになります。これは事業投資の20%とは全然違います。5%くらいがリターンの目安ということです。

事業投資には「経営」という要素があり、黒字になったり赤字になったりしますが、不動産は空室になることはあっても、よほど変な不動産でない限りなかなかマイナスにはなりません。鑑定相場もあります。しかし、企業は従業員がたくさんいて給料が払えなくなるといった社会的責任もあり、日々のビジネスを管理しなければいけません。そのため、非常に管理する手間もかかるわけですが、その代わりにうまくいったときにはリターンも高い、という特徴があります。このように、管理する人たちのアプローチや仕事の仕方も違うため、チームが分かれているわけです。

 

ファンドのしくみについて

まずファンドは、投資家を集めるところから始まります。投資家とは言っても、何らかのテーマがないと集まってきません。一番最初に、どういうテーマで何に投資するのか、ということを明確にします。投資信託にインデックス型や割安株、成長株など様々なテーマがあるように、私たちもファンドごとに「バイアウトですよ」とか「成長投資ですよ」といったテーマを掲げています。

「世代の壁を超える」という話をしました。この「世代の壁を超える」というテーマに取り組んだのは2016年です。2016年は私たちが上場した年であり、第二次世界大戦が終わった1945年から70年が経った年です。これは、戦後70年で一世代がぐるっと回り、ベビーブーマー世代の方々が全員70歳を超えて高齢になり、年金を受け取らなければいけない時代になったことを意味します。年金のような給付が今後どんどん増えていく中で、常にキャッシュフローを生み出すような投資商品が必要になります。

同時に、日本の個人の金融資産の大半を60歳以上の方が持っています。ということは、上場企業以外の会社を持っているほとんどの人も個人なんです。70歳以上の方々が戦後築き上げてきた中小企業、非上場の中小企業がたくさんあり、株式も多く保有されています。この方々が皆心配するのは、「自分が死んだら相続税を払わなければいけない」ということです。55%という高い税率で相続税がかかるわけです。税理士に相談すると、相続税を減らすには会社価値を下げた方がいいですよ、と言われることがあります。また、全然関係のない節税対策として、趣味でレストランをやろうか、といった話もあります。しかし、その会社には何百人もの従業員がいたり、世界でもっと伸びる可能性を秘めていたりするにもかかわらず、手元に現金がないと相続税も払えないとなると、成長が止まってしまうことになります。

そのため、企業の方で言うと、事業投資的なものでは、「世代の壁を超える」というのは、今の日本の非公開企業を持っている方々が高齢になった時に、次の世代に受け渡す、しかし若い人にはそれを買うお金がない、という問題に対して、私たちのようなファンドが投資をすることで、後継者がなかなかいない企業などの株式をマーキュリアが引き受け、成長を止めない、というテーマを作ることがまず第一にあるということです。そして、そのテーマに関心を示す投資家が出てきます。「それはそうだな、これにはお金が必要だし、ある一定のリターンが必要だ。そういう範囲でこれを運用してくれるのなら、これは社会的にお金を回すべきだ」というプロの投資家が出てくるわけです。

私たちはオルタナティブファンドであり、投資信託ではないので、個人の方は買えません。機関投資家の方々が投資されることになります。金商法の縛りがあり、プロ投資家の方は買えるのですが、個人の方がプロになるには3億円以上の金融資産を持たなければならないため、一般の個人の方は私たちのファンドに投資いただくことはできません。しかし、今の私たちの企業向けの投資ファンドに資金を投入している大きなところは、実は金融機関、例えば地方銀行などです。地方銀行は、地方の会社で非公開企業の承継問題を抱えているところがたくさんあります。これは地域経済にとって放っておけない問題です。例えば、私たちが投資している岐阜県の「水谷産業」という会社は、おそらく日本だけでも従業員が400人ほどいるでしょう。地域の中で大企業と言えるほどの規模の会社です。そうすると、地元の地方銀行には皆さんが口座を持っており、住宅ローンなども借りています。だから、経済圏として非常に大切な存在なんです。銀行は独禁法があるため、原則として5%以上の株は持てませんし、企業支配をするというのは銀行の機能ではありません。しかし、自分たちにとって重要な地域経済に関わる事業にそうしたニーズがあるわけです。その他、生命保険、損害保険、年金基金、海外投資家などが投資家として出資をしてくれることになります。ただ、これは今「資産運用立国」ということも言われていますが、この20年間の間に日本の運用業界も非常に洗練されてきました。そうすると、年金アドバイザーなどのプロの方々が、海外の年金などが入ってくると、「日本の中の運用業者よりも世界で実績のあるところに投資しましょう」ということになるため、例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)でも海外資産に半分くらい投資しています。日本の貯蓄が日本の中で回らず、日本よりも海外へと流れていくわけです。投資信託などでも、今外国株に投資する方が、運用マネージャーが外国のマネージャーの方に流れていくわけです。そういった問題を抱えているという状況です。

しかし、こうして出資で集まったお金に関しては、次にマーキュリアインベストメントが投資先を探してくることになります。良い投資対象を探すためには、たくさんの案件を持ち込んでくれる人がいなければいけません。例えば、承継投資であれば、様々な会社のデータベースなどの中でも、ある程度売上があったり納税していたり、しかも経営者の年齢が高齢である、そして上場していない、といった条件のものを私たちも調べます。世の中にはM&Aの仲介会社や証券会社、銀行など、様々なところでそういった方々のデータベースがあります。やはり税理士さんなども含めたM&A業界の方々が、「事業承継や会社の売却を考えませんか」という人たちの最初のレイヤーになります。そのM&Aエージェントの方も、「こういう会社の売り案件があります」と言った時に、どこに持って行こうかと考えます。上場株式ではないですから、買い取る人というのは限られています。事業会社が買う場合もあれば、私たちのようなファンドが買う場合もあります。そういった専門の方々がいるのですが、その時に大切なのは、マーキュリアインベストメントは「こういうポリシーで、こういう考え方ですよ」というのをはっきりと持っていることです。こういうコンセプトでやっている、こういう狙いでやっている、ということが分かってもらえるようにしています。会社は株主のものなのですが、当然日本の会社は取引先などもいます。そうすると、「誰にでも売られちゃ困る」というのもありますし、従業員の方々の将来の生活もかかっていますから、事業を売却する際には、「こういう会社であれば、会社をぞんざいに扱わず、しっかりと次のステージに持っていってくれるのではないか」という期待が持たれることも重要です。私たちは20年間、投資してきた会社がよりハッピーになることを目指してやってきましたので、マーキュリアに売却するということは、取引先との関係も崩れないし、従業員も新たなやる気を得ることができるのではないか、と思ってもらえるようにしています。つまり、マーキュリアが投資した後に企業価値の向上を支援するわけですが、そこを過去の実績で見られているわけです。「マーキュリアさん、良いサポートをしてくれる」と。逆に、「あいつに投資してもらったら良いことばかり言っていたけどバラバラにされた」という悪い評判が立ってしまうと、次の話が来なくなってしまいます。

一度投資をして、バリューアップして、様々な支援をして企業価値を高めていき、ある程度の期間が経つと、次は「エグジット」というステージに入っていきます。投資信託はオープンエンドで、普通に個人投資家が買うものですが、私たちの投資事業有限責任組合のようなファンドは「クローズドエンド」と言って、ファンドの運用期間に定めがあるんです。終わりがあるということです。何年間、という形で。例えば、バイアウトの場合は「10+2」と言われるのですが、これは運用期間が10年間で、とはいえ、期間きっかりにすべて売り切ることができない事情があったりします。リーマンショックのような時などです。そういう時は2年間延長できるようになっています。当然、投資家は「本当にバリューアップしたらキャッシュで返してよ」ということになりますから、5年くらい投資をして、残りの5年くらいでその投資したものを順次エグジットしていき、お金を売却していくことになります。これで投資資金を回収し、元の出資してくれた投資家に分配していくということです。

まずは分配です。そして、成功報酬が私たちにとって大切なんです。例えば、バイアウトの場合、投資したお金の利回りが8%までは、エグジットしたお金から運用にかかった費用を引いた残りはすべて投資家に分配します。8%までマネージメントフィーはいただきますが、ボーナスは来ないわけです。8%を超えてくると、8%を超えた分の約20%が成功報酬となります。ちなみに、2015年までに運用したファンドは、一通りほぼ回収が終わっています。当時上場前だったのでファンドの規模は小さかったのですが、そのエグジットから出てきた成功報酬が約65億円でした。これはハードルレートを超えた部分の20%ですから、これを5倍するとハードルレートを超えて約300億円強の利益を過去の上場前のファンドから出してきたことになります。しかし、このファンドの中のお金は私たち運用マネージャーのお金ではありません。投資家のお金です。とはいえ、この成功報酬は会社の中に入ってきます。これが上場企業でなければ、運用しているパートナーの間で分けることになるのですが、私たちは上場しましたので、そのお金をかなりの部分を社内に蓄積し、このお金を使ってまた次のファンドを作っていきます。つまり、マーキュリアホールディングスの株主、個人投資家の人も含めて、そういった人たちのものになっているということです。個人投資家がマーキュリアさんの株を買うと、マーキュリアさんが次に様々なバイアウト投資や成長ファンドに投資をし、そこで得た成功報酬がマーキュリアに入ってきて、株主に配当などの形で還元される、という仕組みです。

 

オルタナティブ投資とセイムボート出資ポリシー

投資家にマーキュリアホールディングスも入っています。決算開示を見ていただきますと、「管理報酬」「成功報酬」「自己投資」という3つの分類で売上を開示しています。管理報酬はLP投資家の方々からいただくマネージメントフィーで、投資家の皆さんからいただくものです。マーキュリアが色々と投資先の企業をサポートしてバリューアップしてくれていることに対する報酬です。成功報酬はハードルレートを超えて良い運用ができたことに対するボーナスですが、それと同時に、自己投資という項目を私たちの決算の開示区分の中に載せています。自分たちもこのファンドに投資しています。「オルタナティブ」という英語は「代替、その他諸々」という意味なので、オルタナティブには厳密な定義がありません。オルタナティブの反対は「伝統資産」と言われるもので、これがメインストリームです。伝統資産は、国内と海外の株式と債券の4種類を指します。この伝統4資産以外のものがオルタナティブ、つまり「その他諸々」なんです。

このオルタナティブ投資は、日本ではまだそれほど広がっていませんが、世界では広がっています。そのため、運用業界の人たちから見ると、私たちはまだまだ「下手物」なんです。これだけ儲かりますよ、とか色々な都合の良いことを言っても、「あなたはフィーばっかり儲けたくて言ってるんでしょ」と、ちょっと疑いの目で見られることもあります。だから、そこに自分たちの自己資金をまず入れるんです。「根性を見せないといけない」ということです。「セイムボート」と呼んでいますが、自分たちのお金をそこに入れています。「私たちは良いと思うから、自分たちのお金をまず入れているんですよ」ということです。「自分たちに自信があるんだったら、自分のお金もやるよね」という、まさにその考え方です。皆さんも直感的に、フィーだけ取って自分のお金を一切入れない人というのは、ちょっと信じたくないですよね。私たちは新しい切り口で新しい商品を出しますので、「このパターンと違う、このパターンだからやろう」という人はそんなにいません。市場を作っていくわけですから。だから、このセイムボートという中でも、まず最初に入れますよ、ということもありますし、コンセプト作りの時に先行投資をしなければいけないこともあります。これをセイムボートの中で私は「タイミングブリッジ」と呼んでいます。例えば、太陽光発電のエネクス・インフラ投資法人がありますが、これは私たちがプロデュースしました。しかし、エネクス・インフラ投資法人はもう1000億円以上の太陽光発電施設を取得していますが、そのうちの7割くらいは私たちが探してきたもので、その中のさらにコアになる最初のシードになるようなものは、私たちが最初にお金を入れてから第一次募集のところに繋げました。最初はプライベートだったのですが、もう上場になりましたので、パブリックが投資できるようになります。

2024年3月の決算では、マーキュリアの総資産が191億円あるうち、自分たちで投資している「セイムボート投資」が141億円あります。総資産の約4分の3をセイムボート投資に投入しています。自分たちのマネージするものに投入しています。だから、「なんか儲かりそうだよ、この会社次上場するよ」と言われて投資するということはしないんです。それで、投資家のところにホールディングスが入っているわけです。一般の個人の株式投資家にしてみると、まさにマーキュリアの株を買うと、その資産の4分の3はオルタナティブ投資をしている、ということになります。だから、間接的にマーキュリアホールディングスの株主は、個人では直接買えないオルタナティブ投資を、マーキュリアを通じて一緒にやっていただいている、仲間であると私は思っています。

 

ファンドのライフサイクル

資金を集めるのに1年半くらいかけています。とはいえ、資金は最初からいきなりファンドが満額集まるわけではありません。イニシャルクローズと言って、最初にまずコアになってくれる賛同者が先にお金を出して、第一次募集のような形でファンドをローンチします。そして、中間地点で第二次募集(セカンドクローズ)、最後に第三次募集(ファイナルクローズ)という形で、だいたい3回に分けて資金を集めていきます。だから、イニシャルクローズは100億円だけど、最終的に400億円を目指す、といったイメージです。超人気のファンドなどは、イニシャルクローズでキャパシティがいっぱい集まって、それで終わりということもないわけではありません。ファーストクローズ、つまりイニシャルクローズの時に有名な投資家がお金を出してくれると、注目を集めます。すごく重要なのは、後継ファンドのイニシャルクローズに、前のファンドに投資していた人が参加していれば、「ああ、良い運用をしているんだな」ということが分かるわけです。ハリー・ポッターの1巻が面白かったから2巻も買おう、というのと同じです。マーキュリアさんの最初のファンドが良かったから、第二弾のファンドにもお金を出す、という流れです。だから、イニシャルクローズにいるのが有名な人ということもありますが、前のファンドに投資している人が次のファンドにも投資してくれるというのは、すごく良いメッセージになるということです。

実際、バイアウト1号、2号と続編ができています。成長投資も「ビズテック」が1本目で、今「サプライチェーン」というファンドを立ち上げています。航空機も1号ファンドが2018年にできています。これにはストーリーがあって、2018年に航空機ファンドを立ち上げたのですが、私たちはすごく良い戦略だと思っていました。しかし、2020年にコロナウイルス感染症のパンデミックが起こるとは予想しませんでした。これにより、航空業界はかなり打撃を受け苦しみました。しかし、私たちが言いたいのは、コロナ禍になっても、コロナ禍の中でも飛行機の取得を続けたということです。これは結構勇気のいることです。そのうちの1機はもう売却を決めていますが、コロナが始まってから取得した飛行機は、すごく良いリターンを生み出しています。コロナ禍があっても手を止めなかったからこそ、航空機も次のファンドができるわけです。それぞれ続編が出ているということが、すごく大事なことです。

バイアウトの例で言うと、このバイアウト1号ファンドは全部で750社をリストアップしています。750社をリストアップし、何らかの形でコンタクトを取っています。エージェントの方が持ち込んだりするケースもあります。その中で、100数十社には「LOI(Letter of Intent)」、つまり「私たち興味ありますよ」という、いわばラブレターを送ります。もちろん、その100数十社だけが良い会社なのではなく、他にも良い会社はありますが、そもそも会社はきちんとお金が回っていなければ存続しないわけですから、存続している会社はきちんとお金が回っているわけです。ただ、私たちにも得意不得意があります。私たちは例えばサプライチェーンや製造業は得意ですが、広告代理店などは得意ではありません。得意なメンバーと「自分たちはこれなら見れる」という分野に絞っています。逆に、良い会社であっても「自分たちにはこれを知見がない、苦手だ、分からない」という業界もあります。例えばパチンコ業界などです。だから、「この業界だったら割と私たちにはやりようが分かる」という、しかも「これはやりたいね」という会社に絞っていきます。そうすると、750社が100数十社に絞られ、ラブレターを送るわけです。しかし、良い会社は私たちだけでなく、みんな良いと思っているものですから、取り合いになります。当然、「どれくらい払う気があるの?」と聞かれるので、「予算で言うとこのあたりか」と伝えると、「いや、もっと高く買う人はいくらでもいるから、お呼びじゃないよ」ということも多いです。そうすると、100数十社にラブレターを送っても、「じゃああなたと真剣に話しましょう」という人になると、だいたい20数社になります。そういった会社の人たちは、やはりお金だけで会社を売るわけにはいかないと考えます。残される従業員の幸せも考えなければいけない、取引先の意向も聞かなければいけない、といった様々なケースで「やはりマーキュリアのような上場企業が管理するなら安心だよね」と思ってもらえることが多いです。そういうようなある程度の予見可能性を求められる方々は、割と私たちを気に入ってくださることが多く、少なくともいくら以上払いますよ、というところの目線が合えば、そのあとはお金よりもスムーズに次の世代に、という形で話が進みます。実際にさらに細かな条件やデューデリジェンスという内容精査を経て、最終的に数社に投資を実行することになります。そこで、過去にマーキュリアがどんなサポートをしてきたかが、すごく見られるわけです。「私たちは見ますけど、向こうも見ます」ということです。そして、10社ぐらいに投資を実行します。投資実行してからのバリューアップ、つまり支援も色々とします。これも当然、売り手が売却先を選んでもらう時には、「こういうことができます」ということを言うわけです。

その中で、私たちは「クロスボーダー」、つまり国境を越えてビジネスが伸びる可能性があると考えています。そういったものがあると、従業員もやる気が出ます。だから、今まで例えば投資した会社が国内ばかりでビジネスをしていたとしても、マーキュリアが入ることで「海外もやってみたら」といった助言をするわけです。これが「国の壁を超える」という話です。

日本には良いものがたくさんあるのですが、日本でしか売っていないものも多いです。しかし、中国や東南アジアに持っていったら欲しいというものはたくさんあります。そういったものを、実際には在庫や流通にすごくお金がかかるため、広げるパートナーを見つけることなどが必要です。買収後半年くらいは常駐します。そして、株主が変われば通常は経営者も変わりますので、マーキュリアが日々の執行をやるというよりは、それぞれの業界で様々な実績のあるプロ経営者にやっていただいています。ただ、経営管理なんかはマーキュリアでしっかりと行っていきますし、同時に、会社の中のことは経営していきますが、やはり外側に繋がっていくようなところなどは、やはり金融業としてお手伝いできるところだと思います。2005年に始めた時に「国の壁を超える」というテーマで、特に中国や東南アジアの経済成長に日本の良いものを伝えていくというやり方だったので、海外投資も多かったんです。今、私たちの従業員のグループ会社の半分くらいは外国人、日本国籍ではないです。

バイアウトなどの場合は、「マーキュリアがある会社を取得しました」、上場会社ではないですから、同じような業界でその会社に関心がある人がいても、その人たちは別に株式をトレードしているわけではないですから、ニュースなどで出て初めて「マーキュリアが取得したんだな」と分かるわけです。しかし、そうすると「この会社、どこかでエグジットされるのなら、私たち興味あります」という人が出てきます。マーキュリアが買った時点で、5年後とか10年後くらいには売却されるだろうということも分かるわけです。同族の方が同族支配している時に、「あなたの会社を売って」というのはなかなか言えないです。しかし、ファンドが持つことによって、「ファンドは条件次第で売ってくれるんだな」ということで、上場企業の方なんかでも「買いたい」と申し出てくることがあります。「実はあの会社に注目していたから買いたい」と。上場企業は一方で、不祥事があると、知らないままに買うとまずいです。だから、ファンドなどが入ってきちんと綺麗にして、ガバナンスを整理させた方が買いやすいということもあるわけです。

私たちがM&Aでもすべてドアノックするのではなく、ドアノックを専門にする業者がいるわけです。不動産でも「あなたのお家を売りませんか」という人がいるように、M&A業界で専門業者というのはたくさんいますから、逆にファンドが持っているところについても興味のありそうな人を見つけてくれるんです。証券取引所のように板が立って、すぐに時価が決まるようなものではなく、流動性が低い。だから、「低流動性」と言うのですが、こういう人を介して取引が成立します。

いわゆるファンドの第一次募集、第二次募集をやっているファンドレイズ期間が、1.5年から3年ぐらいあって、投資をしてバリューアップする期間が5年くらいあって、回収期間、エグジットを目指していくというのが5年ぐらいあって、全部で10年先です。お金を出した人がこの途中で換金したいと思っても、日本は、アメリカに比べると、やはりまだ遅れていますので、途中での換金というのは非常に難しいです。なので、投資家が限られるということもあります。ただ、アメリカ等では「セカンダリー市場」というのがありまして、こういうそのファンドの途中期間であっても、そのファンドに対する投資持分を売りたいと言ったら、それを買い取る人たちがいたり、アメリカに限らず海外にいたりします。これは日本でもすごく増えると思います。ベンチャーキャピタルとかは、かなりVCブームで投資先の企業が山のように増えていますが、これが全部上場できるわけではありませんので、最終的にはそういうプライベートでの売買ということになります。だから、上場市場という機械的にボタンでトレードできる市場と同時に、非公開市場というのが車の両輪で、両方とも流動性を持たないと資源の最適配分ができないんです。今までの証券会社であり、それから今の法律は、昔は証券取引法だったのですが、いわゆる「一項有価証券」という、毎日流動性があって時価がつくものしか証券会社とか投資信託が日本で扱えなかったんです。今は。だけど、その毎日時価はないけれども、別に町の自動車工場だって株式会社で株券があり、こういう株式というものを発行している会社はたくさんあるわけです。これを売買仲介するとか、専門家がいないわけです。そこのところで、価値をちゃんと算定して次の人に引き継ぎ、受け渡しをする、その仲立ちをするのが私たちオルタナティブファンドの役目でもあるわけです。

 

事業投資(未上場PE)~バイアウトファンド~

バイアウトファンド1号は10社に投資しました。いずれも一つ一つストーリーがあり、私も見ますけれども、バイアウトにはバイアウトのチームがあります。チームメンバーと非常に密にコミュニケーションしながらやっています。

世代の壁を破った会社の一つに「TSUNODA」という会社があります。これは「ツンツンツノダの自転車」で昔、私が若い頃にサイクリング車に学生カバンなどを載せて、かっこいい自転車を作っていた会社です。今では自転車は台湾や中国製が主流で、スポーツサイクルはシマノなどがありますが、時代が変わってきたので、ユーティリティサイクル(実用自転車)のようなものは日本ではなかなか手掛けることが少なくなってきました。実は上場していたのですが、当時の社長さんは角田家の3代目の方で、お父様がバブルの真っ只中に亡くなってしまって、他社に修行に行っていたのですが、突然呼び戻され会社を引き継ぐことになりました。ただ、その時にはもう自転車を作るということにおいては、赤字がどんどん広がってくる時代でした。長男ではなかったのですが、この会社を継ぐといったときに、銀行から会社の借入にすべて個人保証させられるという状況でした。必死になって、お父さんが昔ボーリング場を作るなど色々あって大変だったものを、必死になって整理してきたわけです。最終的にはもう日本で自転車を作るのではなく、OEMにして、そのOEMもやはりブランドの競争力という点で、最終的には閉じていくという判断をされました。そうすると、本業がないままの会社になっていき、ショッピングセンターの運営など、そちらの方の形になってきました。そうすると、やはり元々の自転車製造業としての上場企業の形でずっと市場にいるというのは不自然ですし、それは評価されない。株主からの評価も非常に下がってしまう、ということで、角田さん自身は一生懸命そういう事業者として、その時代に合わなくなったものを時代に合わせて作り替えていったわけですが、ご親戚の方などからすると、「お父さんの代は良かった」などと、非常に辛い思いをされたのだと思います。そこで私たちが上場していた会社をTOBでデリスティング(上場廃止)した上で、別の会社さんに不動産事業を引き渡すことになりました。買収されたところも、そういったところを本業にされているところです。しかし、角田さんはそこで、ご親戚の方々も皆含めて株を換金でき、そのお金で新しく今度は自分が親からではなく、自分の手で新しい仕事をされていて、今でも時々お酒を飲んだりさせていただいています。

世代の壁でもう一つ言うと、2号ファンドの方からミューチュアルという会社があります。これも上場会社をデリスティングしたのですが、事業はミューチュアルという薬などのパッケージングの会社です。私たちの社員が世代交代も含めてデリスティングの相談などに行ったのが、今からだと4年くらい前で、2、3年かけて「じゃあやりましょう」ということでデリスティングしました。デリスティングは上場を廃止することです。TOBをかけて上場廃止します。もちろんプレミアムを上乗せして。現在はまだ投資中の状況です。ただその時に、やはり社長さんの悩みが「後継者がいない」ということでした。デリスティングした時の社長さんの年齢は92歳でした。いわゆる食品のパッケージングなどと違って、薬は錠剤であって、カプセルであったりパウダーであったりと、すごく専門的なものなのですが、このパッケージング技術自体はサプリメントや化粧品など、いろんなものにも使えますし、今はやっていませんが、将来はやはりアジアなどでもサプリやコスメティックの市場、ジェネリックの市場が広がってきます。ここはその元々の事業があって、それを伸ばしていく事業です。ただ、後継者の方がなかなか不在だったので、マーキュリアが入りました。

このバイアウトファンド1号は、2016年から始まって、運用実績が15%超です。10社投資して、今エグジット済みが4社あります。約223億円のファンドサイズで、だいたいこれ使い切った、200億円ちょっと投資したのですが、すでにこの4社のエグジットでこの200億円ちょっとはほぼお金を回収していますので、そういう意味ではそれを返した上で、あと6社ぐらい残っているということです。残り6社売却した分は全部プラスアルファになってきます。割と良い運用成績なのではないかと思います。会社評価を入れると15%超ということです。分配したお金というDPI(Distributed to Paid-In capital)という指標があるのですが、投入したお金のインプットと受け取ったお金というので言うと、ちょうど投入したお金を全部お返しし終わったところです。

この残りの6社の中で、「国の壁を超えた」という会社もあります。水谷産業などはそういうところがあります。水谷産業は元々、自動車大手メーカーの二次下請けで、アルミダイキャスト部品などを製造していました。私たちがこの会社の買収契約を結んだのは2019年末で、まだ新型コロナウイルスが発見されていませんでした。買収が完了したのが2020年2月か3月で、ちょうどその頃に新型コロナウイルスが発生したため、私たちはかなり緊張しました。しかし、その後もコロナ禍の期間中も順調に売上を伸ばしておりました。水谷産業は元々、日本のメーカー系列への納品がほとんどで、売上も日系企業が中心でした。しかし、中国にも工場を持つ日系自動車会社が、日系以外の企業にも積極的に部品を供給し始めました。これはクロスボーダー、つまり国境を越えた取引の拡大を意味します。ニュースでも報道されているように、中国ではEVが非常に伸びています。中国の国産メーカーだけでなく、アメリカやヨーロッパのメーカーも中国でのEV生産を増やしており、その際に軽量で精密な部品が必要とされ、水谷産業の部品への需要が高まりました。マーキュリアが介入する前には難しかったことですが、マーキュリアが関わることで中国法人の社長がより自由な営業活動を行えるようになったことが大きいです。競合他社への販売を制限するようなことがなくなったため、社員のやる気が非常に高まりました。

国境の壁を越えるという点では、かつてエグジットした「イズミ」という会社も同様です。イズミは元々、電気シェーバーを製造しており、日本ではイズミブランドとして、また有名メーカーのOEMとして、アメリカではレミントンというブランドのOEMとして販売していました。製造は中国で行われていました。「中国で製造しているのだから、中国国内でも販売すれば良いのではないか」という発想から、中国のスマートフォンメーカーであるシャオミに持ち込んだところ、パソコンに接続できる髭剃りの開発を提案されました。シャオミとしては、自社で設計することなく、望むデザインの製品を開発してもらえるメリットがありました。これもマーキュリアの人間がシャオミとの橋渡しをしました。このようにして、企業の価値を高めていくのです。

バイアウト1号ファンドは、現在エグジットに向けて進んでいますが、すでに第2号ファンドが始動しています。第2号ファンドの総額は、以前よりもかなり増え倍になりました。第1号ファンドに投資してくださった方々は、すでにほとんどの資金を回収されていますので、再度投資していただくことができました。また、第1号ファンドの際に投資を見送った方々が、その成功を見て加わってくださったというイメージです。「今回は見送るけれども、期待しているから見守っているよ」という方々もいらっしゃいます。その結果、今回、第2号ファンドでは、資金を出してくれる投資家層も大幅に広がりました。ファンドの投資家を見ていただくと、生損保や海外の年金基金が入ってきています。第1号ファンドの時にはいなかった投資家たちです。先ほども申し上げたように、金融機関などは自社で企業を評価できるため、アクティブに事業に関わりながら自分で判断できるので、1号ファンドから投資しやすい傾向にあります。しかし、生損保や年金基金のようなパッシブな投資家は、社会的意義よりも運用成績のみで判断するため、マーキュリアのようなバイアウトファンドの1号ファンドのような実績のないものには投資しにくいという事情があります。そのため、しばらく観察期間を置いて、運用方法や安定性を見てから投資を決定するという流れになります。ファンドビジネスは実績、信頼を積み上げていくことが大切です。

ファンドの規模ですが、1号ファンドが約200億円、2号ファンドが400億円です。やはり得意不得意の業種があるように、規模においても得意不得意があります。私たちが何兆円もの企業を扱うことができるかと言えば、経験値や人材の面から考えても難しいでしょう。マーキュリアは、大体この中堅くらいのサイズ、いわゆるミッドマーケット、スモールアンドミッドのバイアウトに特化していると言えます。2号ファンドは2022年に組成され、昨年2023年9月にファイナルクローズしました。投資期間が5年間ですが、この438億円のうち、約350億円程度を投資すれば、次のファンドの準備に入るようなイメージです。おそらく2026年頃に次のファンドを始めることになるでしょう。私は「コアファンド」、つまり柱となるファンドだと考えています。人気という言葉を使ってしまうと、2016年に事業承継問題が話題になり、ベビーブーマー世代が70歳になるという状況を考えました。2025年にはもう80歳になりますから、時代とともにテーマも変化していくという側面があると思います。

 

資産投資(不動産・航空機・再エネ)

伝統的な4資産以外は全てオルタナティブ投資に分類されます。プライベートエクイティやベンチャー投資が典型的ですが、資産性のものとなると、やはり王道は不動産です。

日本の不動産については、すでにいくつもの上場商品や日本の不動産会社が手掛けているものがありますが、私たちはクロスボーダー、つまり海外の不動産をリートとして組成しています。この海外不動産を組み込んだリートは、現在香港証券取引所で「Spring REIT」として上場しています。主な投資先はオフィスビルになり、一番中心となるのが北京のオフィスビルです。この「チャイナセントラルプレイス」というオフィスビルは、北京で最も良いオフィスビルは何かと質問すると、ほぼトップ5以内に入ってくるようなビルです。マーキュリアは2005年にスタートしましたが、このビルに投資したのは2007年でした。当時、中国は2001年にWTOに加盟したばかりで、リーマンショック前の中国は、世界の工場というイメージでした。世界の工場としてモノを製造し輸出するなら、上海や南部の深圳のような工業生産が盛んな地域や、地方政府が中心となるでしょう。しかし、中国が豊かになることが見え始めた当時、「マーケットとしての中国にモノを売りたい」、例えばルイ・ヴィトンなどのブランド商品を売りたいと考える企業が増えていました。中国でモノを売るためには、中央政府のある北京に行かなければ、出版物やブランド品の販売は難しいと判断しました。その視点で見ると、東京のような中心地が上海で貿易金融や工場が南部にあるとしても、中国国内でのマーケティングを考えるなら、やはり北京に行かなければならない。マーケティングのヘッドクォーターは北京になければダメだということです。

私は大阪生まれですが、私が子供の頃は製薬会社の本社は全て大阪にありました。しかし、東京が国際化し、日本が市場を開放すると、外資系企業も含めて皆東京に行きました。銀行、証券会社、生命保険会社、製薬会社もそうです。つまり、上海が大阪だとすれば、国際化が進む中で、中国市場に外国企業が参入するには北京に来るしかない。日本で言えば東京のような場所です。このビルがオープンした当初は、『VOGUE』のようなファッション雑誌の出版社など、当然規制の多い分野の企業も入居していました。金融機関も、例えばドイツ銀行などは今でも入居しています。それから、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のようなスポーツリーグも、中国市場を重視してマーケティングの拠点を置いています。入居しているのは外資系企業の割合が非常に高いです。現在、稼働率は89%と、常に95%程度だった時期に比べて少し落ちていますが、これは隠さずに申し上げると、やはり中国が現在内向きになってきているため、外資系企業が以前に比べてオフィススペースを減らす動きがあるためです。しかし、日本でも非常にグレードの高いビルで外資系企業が撤退した後は、国内企業が入居します。ロケーションとしては非常に良い場所です。

航空機ファンドは、まさに上場した当時、「世代の壁を超える」という中で、年金などの将来を考えると、これから年金はどんどん給付を増やしていかなければなりません。出ていく方が多いでしょうから、安定したキャッシュフローを計算できるような投資商品を作るのが良いだろうと考えました。その中で考えると、航空機は15年ごとに世界の航空需要、特に旅客需要が倍増すると言われています。中国だけでなく、インドなどでも今後大幅に増加するでしょう。一方で、航空機を製造し供給できるのは、実質的にボーイングとエアバスの2社しかありません。そのため、価格も利回りも非常に安定しています。不動産よりも高い利回りが見込めますので、安定的にキャッシュフローを得る投資対象として航空機が良いだろうと判断しました。ファンドが航空機を購入し、航空会社にリースする仕組みです。航空会社向けのリース料ファイナンスのファンドとも言えます。航空機自体はファンドが所有します。日本の航空会社は人気があるため、リース料が非常に低くなります。日本の航空会社に貸したい気持ちはあるのですが、非常に人気があるのが現状です。航空機は全て標準化されています。ボーイングで言えば737シリーズ、エアバスで言えばA320シリーズは、標準機として全て仕様が決まっています。整備方法も世界中で標準化されています。そのため、ある会社が使わなくなったとしても、別の会社が使いたいと考えることが多いのです。現在、新造機を発注しても7~8年経たないと手に入らないほど需要が高いです。常に需要があります。そのような背景もあって、コロナ禍でも買い進みました。

再生可能エネルギー投資は、元々はエネクス・インフラ投資法人に由来します。取得累計で1000億円を超える規模の発電所を取得し、国内の上場インフラファンドとしては最大の取得額となりました。しかし、国内の太陽光発電所の利回りが非常に低くなってしまいました。では、再生可能エネルギーが最も必要とされている場所はどこかと考えた時、台湾は日本と同じようなFIT(固定価格買取)制度があり、必要性が非常に高いことが分かりました。台湾のFIT制度は、日本よりもさらに使い勝手の良い形になっています。台湾は工業国であり、二次産業が盛んなため、一人当たりの電力消費量が日本の1.6倍と非常に電力を消費します。しかも、化石燃料への依存度が高いので、太陽光発電施設の導入を大幅に伸ばさなければなりません。ただ、台湾は日本より少し遅れてスタートしています。日本も初期の太陽光発電施設は、外国の投資家やインフラファンドに抑えられてしまいましたが、それと同じように、国内の投資家が動く前に「これは大切だ」ということで積極的に投資を進めています。日本での経験から、状況をよく理解しているということです。これも投資家がファンドにお金を出して、ファンドがこの発電設備を所有するということです。そして、売電収入を得て、それを投資家の方に還元するということです。ただし、この発電所も開発すると永久に所有するわけではありません。台湾国内でも、生保などの機関投資家はキャッシュフローが見込めるため、ESG投資として完成し稼働が始まった発電所を購入したいと考える人々がいます。株式や企業と同じように、エグジット(売却)することもあるということです。完成すれば売却しても良いと考えています。不動産や航空機、そして再生可能エネルギーなどは、大体5%程度の利回りを目指すイメージでした。

 

マーキュリアホールディングスの営業収益発生モデル

管理報酬は、投資期間の間は、コミットしてくれた金額に対して、バイアウトファンドの場合だと2%です。400億円集まるとなると、2%で8億円です。これは基本的に良い運用をするためのお金なので、それであの競争力のある人材を獲得し、運用のためにかなり使います。優秀な人材に投資先の会社をしっかりとサポートしてもらい、バリューアップさせていく。ただ、ポイントは、一つのファンドが12年くらいの期間があるということです。つまり、一度このファンドレイズを行うと、この管理報酬の部分は10何年間ずっと続くわけです。サブスクリプションモデルのようなものです。サブスクモデル以上に途中で解約できないわけですから。

例えば、ファンドが400億円で、最初のイニシャルクローズでは100億円、その後300億円、400億円と集まりますが、後から参加した人は不公平だと感じるでしょう。第3次募集の投資家は途中から参加することになるので、第1次募集からの間の期間の管理報酬相当分も支払ってもらう必要があります。ファイナルクローズの時に、ギリギリまで投資案件をいくつか見てから参加したいと考える人もいるわけです。第3次募集になると、ある程度どこに投資しているか分かってくるので、その時点でファンド立ち上げからの管理報酬の分担を求めることになります。投資期間が終わると、投資先をどんどん売却していくので、管理資産の残高が減っていきます。エグジットが始まると、私たちも投資家としてファンドに出資しているので、自己投資の収益が計上されます。この自己投資収益は、まさに会社の資産の4分の3を投入している部分です。ハードルレートを超えていたら、そこから成功報酬が計上されます。この成功報酬は、ファンドライフの終わりの時期に計上されます。先ほど申し上げたように、上場してから65億円の成功報酬を計上しましたが、この成功報酬にかかるファンドの募集は、全て上場前のファンドによるものです。上場後のファンドは、先ほどのバイアウトの話でも触れましたが、成功報酬ステージに今年おそらく到達します。一つのファンド商品が10年から12年間のプロジェクトであり、しかも収益の大部分が後半に計上されるので、四半期決算があまり参考にならないです。一年単位ですらまだ短いです。それが良いと思っているわけではなく、だからこそ、投資の手触り感について、投資家の方々にも自己勘定投資を通じて、ビジュアルも含めて「このように投資しているのだ」ということを見ていただけるようにしたいと考えています。

安定して得られる管理報酬が会社全体で見た時に販管費、つまりランニングコストとほぼ同じくらいなのです。基本的には販管費、人件費やオフィス費用が全てこの管理報酬で賄えていますので、赤字になる心配はありません。ファンド契約期間も長いですから。この自己投資収益や成功報酬の部分が、いわゆる黒字になる部分ということです。手堅い経営で借入金もありません。

 

マーキュリアホールディングス グループミッション

弊社のミッションは、「ファンドの力で日本の今を変える」です。この前提として、日本には素晴らしいものがたくさんあります。例えば、大谷翔平選手は日本出身ですが、世界市場と繋がることで、日本ハム時代の給料の100倍になりました。日本の選手としても素晴らしいですが、世界で通用するからです。良いものがなければ、そもそも勝負になりません。良いものがあるから勝てるわけではなく、良いものが市場に繋がることで、その価値は非常に大きくなるのです。2001年当時、私は世界銀行で働いていましたが、当時を振り返ると、日本は液晶で世界一、リチウムイオン電池でも世界一でした。通信技術も当時のcdmaOneという第3世代は、現在の第5世代とは異なりますが、世界のトップレベルでした。インターネットに接続できる携帯電話も、iモードだけでしたし、ZaurusやCLIEなどもありました。iPhoneが登場したのは2007年です。だから、要素技術は全てあったのです。日本には輝いているものがたくさんありました。だけど、それらを組み合わせてiPhoneは作れませんでした。なぜでしょうか。それは心の壁なのです。市場から考えるのではなく、「私たちはこれを作っているから勝てるはずだ」と思いながら、そのポテンシャルを世界市場に埋め込んでいくことができなかったのです。ファンドの力でその壁を打ち破りたいと思っています。もちろん、強引なことはできませんが、やはりマーケットの声に耳を傾け、そこにビジネスのチェーンを組み込んでいくようなことは、国の壁を突破する上で重要です。そして、それにはリスクが伴いますので、エクイティの力でそのリスクを負担するというのが、私たちの考え方の一つです。国内向けの電気シェーバーを中国向けにも展開したのは、日本の中で輝いていたものを海外に広げた例です。このファンドは私のお金ではなく、お客様の投資家のお金です。だから、その方々に対する投資運用業者としての忠実義務と善管注意義務を果たしながら、そのお金をどのように回していくのか。そして、株式を取得するその力とは何なのかというと、経営です。取締役を指名し、経営に影響を与える。例えば、同族会社でオーナー企業の場合、相続が発生すると現金で相続税を払わなければならないので、会社の中にお金を貯め込む傾向があります。本当はアジアに進出したいのに、納税のことが優先され、事業の成長機会を失ってしまうということがあります。納税のお金を用意する必要がある。上場会社でもないとなると、現金を使えないなどの問題が発生します。だから、そういった部分について、ファンドのお金がそれを肩代わりするのです。そして、経営者を交代させる。必ずしも息子さん、娘さんよりも、もっと良い経営者がいるかもしれません。そうすると、従業員もやる気が出ますし、「新しい市場を取りに行こうよ」という動きになります。ファンドの力というのは、このように経営に関与することによって、会社の方向性をより勝ち筋を探しに行くようにすることなのです。その勝ち筋を探すための良いものは、日本中にもっとあります。もちろん、私たちは何でもできるわけではありませんし、未来を見通して素晴らしいものを見つけることができる人もいます。やはり孫さんのような方はすごいです。この孫さんのビジョンファンドと私たちの違いは何かというと、孫さんはこれの逆だと考えます。ファンドの力というよりも、孫さんという偉大な人のビジョンによって、日本ではなく世界や人類の未来を変える、というよりも「作る」というイメージです。天才的な人はそのようなこともやりますが、私たちはそこまで天才的ではありません。良いものがたくさんあるのに、その価値が発揮されていないではないか、見えていないのではないか、という問題意識を持っています。そのようなものをきちんと舞台の上に押し上げていこうとしています。どうしてもファンドというと、上場株を扱っているヘッジファンドやアクティビストファンドのようなイメージになってしまいがちです。上場株の場合は、インサイダー規制があるので、取締役になったりハンズオンで経営に関与したりすることはできません。インサイダーになってしまうと、売買もできなくなるからです。結局、上場株のファンドは、株を安く買って高く売るという目的、または会社の中に眠っているお金を配当させる、株を買い戻させる、といった形でしかエグジットの方法がありません。しかし、私たちは非公開株を扱っているので、市場価格はありませんしトレードもできませんから、インサイダー規制は関係ありません。気にしなくて良いわけです。当然、会社の中に入って、会社の人々と「どのような事業が必要とされているか」「どのような商売をしたいのか」「海外進出したいのか」「取引先を紹介できるか」といった議論ができます。だから、同じファンドと言っても、上場している有価証券をインサイダーになれない前提で、売買で扱う方と、私たちのように別に売買が目的ではなく、事業構築を長期かけて行うのでは、考え方と運用者の性格も変わってくるということです。ファンドの力で色々な壁を打ち破っていくわけです。国の壁だけでなく、色々な壁を越えていく。

一番最初に2005年に私たちがこの会社を始めた時、ちょうど中国がWTOに加盟し、ベトナムがアメリカと貿易投資協定を結んで、世界の市場が繋がっていく時期でした。指をくわえているだけではなく、日本の良いものを世界中が求めているのだから、それを持っていこう。パートナーを見つければどんどん広がりますよ、と。一つは、先ほどのチャイナセントラルプレイス。中国の不動産で、国際的な企業が中国市場に進出したい時の受け皿を香港で上場させる。これは国の壁だと思います。それから、先ほどのイズミという、日本の会社で中国で生産し、日本とアメリカで売っている会社が、中国で生産して中国で売る。これも国の壁を超えた例です。それと同時に、「当たり前のこと、5年後の常識」というのが私たちの価値観なのですが、要するに奇抜なことではなくて、やれることをやっていないではないか、という問題意識です。だから、この保険の分野で言えば、「心の壁」です。ライフネット生命保険とほけんの窓口、この両方のゼロイチ(立ち上げ)に私たちが関わっています。一番最初の投資ということです。当時の保険業界は、70年間新しい保険会社の認可が降りておらず、業界全体の慣習という壁がありました。基本的に、保険会社が専属の代理店を通じて、かなりの高コスト構造で販売していました。例えば、がん保険がないと言っても、A社のがん保険が嫌だと言っても、B社のがん保険を教えてくれないのです。比較できないし、がん保険がダメだったら、じゃあ「こちらに五大疾病特約付きの保険がありますよ」とか、その会社の中の別の商品は見せてくれるけれど、比較する、ということはできない時代だったのです。当時すでに、インターネットを使ってネット証券(マネックス証券さんなど)やネット銀行はありました。それから、「〇〇ダイレクト」のように電話で損害保険を販売する会社もあったわけですから、生命保険をネットで売れない理由はないはずです。だから、これはもちろんテクノロジーの側面はありますが、本当のブレイクスルー、テックブレイクスルーではなく、既存のテクノロジーを保険分野に適用することで、このライフネット生命保険のような製造直販の会社ができたわけです。では、ほけんの窓口は何なのかというと、これはビックカメラやヨドバシカメラのように、保険は作らないけれども、40社の保険会社の代理店として比較して、「家電量販店のように選べる」というサービスです。そのような業界の常識や慣習のようなものを打ち破って、業界の効率性を高めていったのが、この「心の壁」のステージです。実はAIなどでもそうですし、日本の中のシステムなどでもクラウドでもそうですが、「心の壁」や大企業でも「これをやれば良いのに」と分かっていても変えられないことがあります。別にそのやり方でなくても良いではないか、ということがたくさんあります。変えられることがあるのに、分かっているのに変えられないものが日本には多すぎませんか、ということです。だから、国の方は政治もあるので、そんなに変わらないかもしれませんが、民間企業は経営が変われば「このような無駄なことはもうやめませんか」と言える。これが「ファンドの力で日本の今を変える」ということなのです。そして、その壁を超えることで、企業の価値がぐっと高まるわけです。自分の得意なところに集中する、それから、今儲かっていても、世界がもっと広がっていくなら、もっと儲けなければならないとか。世代の壁も超えていく。

これからのマーキュリアは「では次に何の壁を越えようか」と考えた時に、「市場の壁」というのを設定したのです。例えば、先ほどの太陽光でも不動産でも、パッと考えると、個人でも「面白いなら、私も少し投資したいな」と思う人もいるかもしれないです。テレビで、みんなで大家さんのようなコマーシャルがあって、「私も実は小口で投資していますよ」といったものもあります。あれらは全て金融商品ではないです。だけど、そのようなものに対して、私たちは非常に規制の厳しい中で、しかも効率的に大きな資産を管理しています。もし私たちが誠実に管理することを信じていただけるのであれば、個人の方々にも積極的に私たちのファンドに投資していただきたいのです。日本には「特定投資家規制」というものがあって、プロ投資家になるには、個人の場合3億円以上の金融資産を持っていなければなりません。このような商品を、私たちが手掛けるオルタナティブ商品を個人に直接販売する、つまり法律的に募集勧誘行為を行うことは禁止されているのです。だけど、「みんなで10口の不動産を持つ」というようなのは、これは不動産業と同じようなものです。だから、経済的には誰かが管理して、管理する人はフィーを取って、回収した家賃を配る、ということなので、むしろこれを金融商品として行った方が、非常に厳しい規制の中で効率的になるわけです。たまたま投資する先が、みんなで所有する不動産か、あるいはバイアウトファンドのような企業なのか、ということです。そこに壁があるわけです。これは考えれば簡単にできるはずなのですが、実際にはできない。お金の流れが流れていけない壁がある。日本の投資信託は、上場有価証券や、毎日時価がついて流動性のあるものでないと組み入れられません。ボタン一つで売買できるものでないといけない。だけど、私たちが投資しているものは、ボタン一つでは売買できず、きちんと契約しないと売買できないですし、契約した後にデューデリジェンスとか、売買にかかるトランザクションコストも時間もかかりますので、このようなものは金融商品の中には、今は入れられないのです。だけど、プロの投資家はその金融商品として、このようなものを購入できるのです。

 

世界のオルタナ投資

このようなオルタナティブ投資は、世界的には日本よりも広がっているものです。銀行があまり低流動性資産を持つと、流動性などのチェックで規制の監視が厳しくなるため、銀行ではなく、そのような資産はノンバンクが持つという流れがあります。NBFIというノンバンク金融機関のことです。銀行ではない人たちです。銀行ライセンスはBIS規制で毎月チェックされますが、銀行ライセンスを持たない人たちが、このような金融商品で、少しリスクのウェイトが高い、そこからリターンを目指せるようなものを持ちましょうと。金融安定理事会(FSB)が、リーマンショック後のアメリカの金融機関の健全性をチェックするために、金融資産のありかをチェックしています。銀行はそのようなリスク性の資産を増やしにくいので、その代わりの受け皿となるのがノンバンクです。このノンバンクがどんどん大きくなっています。投資信託も入っています。だから、資本市場のアセットの決済者の中間の中立ちとして、市場の、上場していない市場のプライベートアセットを取得し、それを上場したり売却したりして、その流動性を高めていく。

海外でももちろんある程度は制約があるので、誰でも投資できるわけではないですが、まずプロ投資家規制というのが、日本の「3億円ありますか」という基準ではなく、自分がプロ宣言をして「ちゃんとリスクを取れますよ。私はプロですよ」という意思表示によって、投資選択の自由がより広く選べる人が多いです。海外では、このようなオルタナティブ投資、特に低流動性のバイアウトファンドなどに投資しているのは、年金基金や「エンダウメント」と呼ばれる大学の基金です。ハーバードやスタンフォード、イェール大学のそのような基金です。それから、「ファミリーオフィス」というロックフェラー財団のようなところがオルタナティブ投資を行っています。この人たちはもう財産があるので、キャッシュフローよりも資産を長期で複利運用できるためです。そのような人たちは、オルタナティブ投資の比率が非常に高いです。

これからオルタナティブ投資が活発になっていく。一つは個人の方にも本当に投資できるような商品を作っていきたいと考えています。ただ、それは規制があるのですぐには作れません。だから、そのようなものを意識して、私たちは商品開発をしたいですし、少なくともマーキュリア株に投資している人は、間接的にオルタナティブ投資に一緒に投資していただいています。そしてもう一つは、年金です。最終的な受益者は個人なんです。国民の人たちです。私たちです。今の年金は賦課方式で、現役世代が仕送りをする形なのですが、積立方式の場合、20歳の人が今入れている年金の支払いは60歳以降にならないと解約できないわけですから、毎日時価があって流動性がある必要はないわけです。だから、海外の積立方式の年金は、複利効果を得るために長期投資をして、そこにオルタナティブ投資を結構入れているのです。だから10年解約できなくても別に良いわけです。それよりも複利をどんどん取っていきましょう、ということなのです。

 

個人投資家の皆様に

お金というものは循環する、巡り巡ることによって経済を大きくしていきます。その中で、日本の2000兆円ある貯蓄の非常に大きな部分が銀行預金になっています。この銀行預金というものだけではなく、これがより経済成長に結びつく、将来が楽しみなものに行く。それはベンチャーだけではなく、日本の今を変える。日本には良いものがたくさんありますから、そのようなところに皆様の貯蓄がしっかりと流れていくような、このような仕組みを作っていきたい。その中で、正直にどのようなものに投資し、どのような形でお金が流れているのか、そのようなことをしっかりと説明できるような仕事をしていきたいと考えています。株主の皆様にもぜひ一緒に応援していただけたらと思っています。ありがとうございました。

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