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祖父が始めた事業を受け継ぎ発展させる竹本容器(4248)の竹本社長にインタビュー!


【4248】竹本容器

開催日2017年 10月 16日
出演竹本 笑子 社長

竹本容器の竹本笑子社長に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューしました。

化粧品などに使われる容器が得意

当社は、形ある器を中心としまして、その容器というのは化粧品向けだったり食品向けであったり、そういう容器を必要としているお客様がいつでも必要な数だけ容器を調達できることをミッションとして取り組んでおります。
容器というのは、6割ぐらいは化粧品関係が多いです。化粧品というと、化粧水であったりシャンプーなども含めての化粧品関係です。
化粧水が入っていたり、洗顔水が入っていたりするものです。
3CCのポンプ(1回押すと3CC分の溶液が出てくる)が付いている、シャンプーやコンディショナー、ボディーソープなど向けの容器もあります。

スタンダードボトルで安く、早く

当社の場合は、金型があって形をつくっていくという容器に特化しています。
金型というのが非常に開発するのに時間もかかりますし、費用もかかりますので、当社の方でその投資をしまして、容器を必要としているお客様はいつでも容器を選べるような状態にしているというのが当社の特徴であります。
容器は、スタンダードボトルとカスタムボトルとに大きく2つに分けられます。スタンダードボトルの方は、当社のような容器会社が所有権を持っている容器ということです。広くオープンに使える金型になっています。既製品ということです。
カスタムというのはお客様が所有しているという意味で、所有してるお客様しか使えないということです。
大量生産する場合と、逆に完全にユニークな唯一無二のようなブランド独自のボトルを作るときには、カスタムボトルとなります。

スタンダードボトルはもう少し少量生産で多様なようものを作るときに向いています。

お客様からすると、カスタムボトルではなくスタンダードボトルを利用するメリットは、金型を開発する期間が必要ない点がまず挙げられます。より早くボトルを作ることができます。金型がない場合だと、最短でも2ヶ月、通常は3ヶ月は生産に期間がかかります。
金型製作は、日本では専門メーカーに依頼しますが、中国では自社で作っています。生産拠点は、現在、日本・中国、そして将来的にはインドにもできます。金型は100キロ~1トンほどのものまであります。
スタンダードボトルのメリットの2つ目は、お客様が金型費用を負担しなくてよいということです。金型は、やはり何百万円とかかるものですので、スタンダードボトルを利用することで投資のリスクが抑えられます。
当社にしても色々な金型を作るわけですが、中にはあまり使わなかったものもあります。当社の中でも分析をしたりいたします。また、今年売れなくても、また5年後くらいに売れるということもあったり、やっていて面白いなあと思うこともあります。

スタンダードボトルであっても、お客様のオリジナリティが出せるようにバリエーションに制限がないことが当社の使命だと思っています。
お客様は色を変えたり、印刷をしたり、ラベルにしたり、キャップの組み合わせを変えたりすることで表現できるようになっています。

一つの金型から作ったスタンダードボトルからでも、色やラベル、ディスペンサー、キャップを組み合わせることで色々なパターンを作れます。無限といってもいいですね。
お客様のニーズを具体的な商品に落とし込むのは、当社の営業になります。こういうイメージじゃないかなというのを何パターンかチョイスしてお見せするわけです。色を付けたり、その会社様のラベルを手配して、このような感じですと提案します。

スタンダードボトルとカスタムボトルの割合は、2008年の化粧品・トイレタリー容器の資料によりますと、市場規模が1500億円、その中で当社が推測するにはスタンダードボトルが2割ぐらい、カスタムボトルが8割くらいではないかと考えています。
カスタムボトルの方は横ばいとしても、スタンダードボトルの方が増えていっていると思います。
これはやはり開発の期間を短くしていきたいというお客様からの声から、感じるところです。
今まで2年先の新製品販売を計画していたお客様が1年先に、1年先と思われたお客様が半年先などになってきています。
あとは、旬で売っていきたいということもあります。天候がこうだから秋物を早めにとかそのような要望もあります。
ゼロベースでお客様からお話をいただいて、スタンダードボトルから選ぶという前提において1ヶ月で納品ということもあります
使用される一般のお客様の好みも多様化している、嗜好が成熟しているという意味で、「私のだけ」というものが好まれる傾向もあるんだと思います。
インターネットの普及というのが大きいと思いますが、流行りの変化が早いということもあります。
そういう意味ではスタンダードボトルで、まさに今この時期に合っているものを作ることが求められているんだと思います。

祖父が1950年に竹本容器を創業

竹本容器という会社を始めたのは祖父になります。
1950年に創業。会社としては1953年に設立しました。
祖父の代はガラスがメインだったんですが、1960年くらいからプラスチックが出てきました。当時は食品向けが中心でだんだん化粧品向けにシフトしていきました。
当初は、漢方が入ってるような瓶を取り扱っていました。容器をガラスメーカーさんから仕入れて店頭で販売していました。
1960年ごろからプラスチックの容器に変わっていきました。金型は当社が提供して、容器の生産は委託していました。

祖父からは、仕事の話を、大変な話なども、面白おかしく聞かされていました。仕事って大変だけど面白いんだなと感じていました。祖父からはいつかは、うちの会社を手伝ってくれといわれていました。子供心に何ができるかはわからないけれど、何か手伝いたいなと思っていました。その後、祖父から継いで父が社長をし、次に私が継ぎました。私が社長をしてくれと言われたのが、20代だったので「できないでしょう」と思いましたが、本気で言われましたので、「やるかやらないか」であれば、やろうと思いました。竹本容器のIR資料にある「挑戦」なくして進化なしという言葉は父の言葉です。社員の方に向けても失敗を恐れるなと、失敗していいんだと、大切なのはそこから学び次の手を打つことであるということをよく言っていました。失敗しないでやっていくと、変化に対応できなくなる、変わるという勇気がなくなっていくからということです。変わるためには新しいことをするわけです。新しいことをやるときに、100%成功しろと言うのは難しいので、変化を促してあげるためにも挑戦しろというメッセージなんだと思います。

いろいろ調査ももちろんしますが、やってみないとわからないこともたくさんありますので、そこで尻込みするのではなく前に進んでいくことが、当社の中では一番重要だと考えています。私自身も、新製品開発で、これはいけると思ったのが、思ったほどお客様に選ばれなかったりなど、たくさんの失敗をしています。失敗をしたらその理由はなんだったのかという追跡をします。社員の方も、失敗してそこから何を学ぶかさえきちんとしていただければ、失敗は全然かまいません。そうはいっても、怒られるので萎縮してしまう人もいらっしゃいますが、私は失敗よりリカバリーの方が大事だと思っています。また、これも先代の教えですが、変化していくことも重要と考えています。強いものが残るのではなく、環境の変化に対応できたものが残るという考えです。軸をぶれずに変わっていくことが大切ですね。父が、毎年社員の方には研修を通じて、挑戦や変化の大切さを伝えさせていただいています。

成長戦略 ~海外展開、化粧品以外の分野への展開~

会社として今後の展開としましては、2つの軸があります。
海外・日本国内での展開と、化粧品のさらに先の分野への展開という2つを考えています。例えば、メイク関係、コンパクトや口紅の容器などの分野も考えています。食品関係でも新しくやっていきたい分野もあります。食品は大量生産の分野でしたので、当社としてはそこでの差別化が難しかったのですが、大量生産ではない分野がどんどん増えていますので食品分野でもやっていきたいですね。
地域的な広がりとしては、今後インドで工場を作り、インドの内需をベースにしながらもヨーロッパやアメリカへの輸出をしていきたいと考えています。インドの子会社は生産・販売の拠点となっています。中国にも工場がありますが、中国で生産されたものはほぼ中国国内で販売されています。インドでは、格差が大きく、富裕層、中間層が増えてきています。ですので、化粧品を買える人口が増えているわけです。インドの化粧品マーケットは今後大きくなっていくと予想がされています。

アメリカは日本の2倍・3倍とマーケットがあります。中国は成長率は一服したような感じはありますが、それでも需要は伸びています。大学時代にイギリスに留学していた経験から、海外に対する心理的な壁はあまりありません。人種、国を超えて分かり合える可能性があるんだと思ってます。ですので、海外展開も積極的に行っていきたいと思っています。

他の業種と比べて、消耗品ですので、景気の良しあしにあまり影響されないと思います。
また、当社の製品開発の中でも、バリア性を他の樹脂に置き換えて、全体的には使用する樹脂を減らしていくような環境への配慮はしています。あとは、リユースしていただけるような開発をしたり、飲料ペットのリサイクル材を使用して製品化するなどしています。

インド工場の稼働は2018年6月を予定しています。グジャラード州というところに建設しています。いろいろな州政府と交渉して決めました。インドではお祭りなどイベントも多いので、男性がお化粧をすることも多いです。

私の気持ちの切り替え方は、寝ることですね。寝不足はよくないので。夢でも仕事の夢をよく見たりはします。
社長になってからは、最後の判断を自分がするわけなので、常にそれでよかったのかと考えることが増えました。考え直して、違うと思ったらやり直すようにしています。

原材料はプラスチックですので、原油の価格によって仕入れ値段も大きく変動します。為替にも影響を受けます。
1年間で4500社のお客様と取引しています。リピートでご利用くださるお客様もよくあります。当社の傾向としては、春夏が売り上げが上がり、秋冬にかけて落ち着くというイメージです。

シャンプーなどで詰め替え用の袋が販売されているものがありますがこれは、当社にはあまり影響はありません。業界全体でいうと、今まで毎回ボトルで売れていたものが、初回だけがボトルで売れて2回目3回目は詰め替え用になって、ボトルが売れないということで、影響はあります。しかし、当社の方では、そこまでのボリュームゾーンでのお取引がないので、影響はあまりありません。カスタムボトルの方が影響が出ていると思いますが、小口のものは詰め替えまでまだ出ていないので、影響は少ないです。

競合は、スタンダードボトルの品揃えをされているということで、商社になります。メーカーであって、かつスタンダードボトルというケースはなかなかないので、スタンダードボトルというシェアでは当社がトップだと思います。

直接お会いしたことはないですが、いろいろな経営者の方の書籍を読んだりして学んでいます。

個人投資家のみなさんへ

世界で活躍する日本の容器メーカーとしてやってまいりたいと思っております。
いろいろな途中途中、困難な時もあるかと思いますが全力でやってまいりますのでどうか末永いお付き合いの程よろしくお願い致します。

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