i-plug(4177) 中野CEOにインタビュー!人材業界の挑戦者!新卒20万人が登録するOfferBoxで労働生産性を向上させる!
【4177】i-plug
開催日 | 2023年 06月 12日 |
出演 | 中野 智哉 代表取締役 CEO |
i-plugの中野CEOに創業の背景や人材業界、2023年3月期決算についてインタビューしました。
事業内容
主力事業は、オファーボックスというサービスになります。これは学生さんにっとては就職活動ですし、企業さんからすると新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスになりますま。
求職者が自分のプロフィールを公開して、企業さんがプラットフォーム上で自社に会いたいなという人や、採用したい人を見つけてオファーを出します。そして、出会って採用するといったサービスです。大学の3回生とか4回生の就活をする子たちが、自分のプロフィールを登録します。そして、その新卒生を取りたい企業側がそこからオファーしていく。そんなイメージでビジネスモデルはすごくシンプルになっています。 ペースボックスはこのオファーボックスの転職版です。25歳から35歳の若者層に特化したサービスになってます。ダイレクトリクルーティングサービスなので構造は至ってよく似ています。けれど、1回働いたことある人たちなので、オファーボックスに比べると経験や職歴などが追加で必要な情報になってきます。あとは、今までの経験から、志望条件やマスト条件、この職種からのオファーはいらないなど制限をかけられるというのが、オファーボックスと違うところです。
適性検査はエフワンジーというサービス名でやっています。こちらはいわゆる新卒採用とか中途採用、配置、育成など結構HRの幅広いところで使えるアセスメントサービスになっています。自分自身や働いてる方がどういったパーソナリティを持ってるのかっていうことが可視化ができるサービスになっていまして、特徴としては性格診断とか能力テストとか、測定範囲がかなり広く、結構マニアックに使えるというのが特徴かなと思います。企業が従業員や就職候補者にエントリー時から受けてもらって可視化できます。また、組織自体で活躍している人とそうではない人の傾向が、どういうものがあるかとかを分析できるので、組織の再現性を上げるためにも使えるようなサービスとなっています。うちの会社で活躍してる人ってこういう個性があるよみたいなことがわかるわけです。そこがわかるわけですから、採用時に単純にいわゆる勘と経験で行う面接だけではなく、定量的にも保管できるように使われている企業さんもたくさんいらっしゃいます。
OfferBoxの特徴と機能に込めた思い
オファーボックスは いわゆる学生さんが自分のプロフィールを公開します。企業さんが自社から見て会いたいとか、採用したい学生さんを見つけに行って 企業側からオファーを送るアプローチをするというサービスです。従来でいくと 学生さんが企業さんが作った求人ページを見つけて、学生さんからエントリーというアプローチの仕方ですから、それがもう本当に鏡に映したような真逆になってるというのが最大の特徴です。我が社では、起点の違いっていう風に表現してますが、まだ社会で働いた経験がほとんどない学生さんから自分に合った企業を探しに行くということと、逆にもう全員社会で働いていて、毎年何度も採用活動してる企業さんから自社にあった人を探しに行くのと、どちらの方が精度が高くなりやすいかということなんです。企業側は、毎年採用をしているので、採用がうまくいったうまくいかなかったという情報がずっとストックされてるわけです。学生さんの就職活動は、人生でも基本的に1回だけで、フローで情報が流れてくるので、どっちの方が精度の高いアプローチになるかというと企業さん側だろうと考えています。企業の人事の方がずっと蓄積してるノウハウや経験値から、大学生の情報を見て、この子が自社に適してると判断する方が精度が高いわけです。
エントリーシートの書き方に関しは、根本的にサポートしていません。例えば社会人の場合は転職をする時は、履歴書と職歴書を出すことが常識になっています。比較的フォーマットが統一されていますし、それを書いていくとだいたい判断しやすいと思います。しかし、大学生になると職歴はもちろんないですし、年収みたいなものもないです。それに代替する、予見するような、過去にどういうことに取り組んできたかとか、どういう価値観があるのかっていうことを面接で聞くわけです。なのでかなり多様なことを聞いて、何を考えてるか、その人の価値観によって人の違いを見定めるわけですので、こういう風に書いたらいいよという風にサポートなどすると全部一緒になってしまいます。めちゃくちゃ多様なので、あえてすごく多様に書けるようなプロフィールのフォーマットにして、こう書いたらいいよみたいな情報は我々からは全然出さないです。そこに逆に個性が出てくるのが、いいなという風に思っています。
創業の背景と企業パーパス
創業は今から 約11年前の2012年の4月に設立しました。当時3人でスタートしたんですけど、私は前職が今のパーソルグループでして人材業界で働いていました。働きながらビジネススクールに通いまして、そこで出会った仲間と1年間くらいスクールで一緒に過ごし、卒業と同時に設立した会社になります。年齢的にはちょうど私は真ん中で、6つ上と4つ下という3人で始めました。当時プラットフォームビジネスがすごく注目されていて、プラットフォームというパワーを持って社会課題を何か解決したいという共通の思いを持ちました。その3人のメンバーで、考えていく中で、我々は企業を目指している立場であり、もう一つは学生の立場でもありました。その中で出てきたのが、学生時代にキャリアについてもっと考え、それから社会に出て働いたらもっと楽しい世界があったんじゃないかと考えていました。実は大学生の1~2年生向けのSNSを作って、成長を加速させるような授業をやろうと考えていたメンバーなんです。最初は、プラットフォームで教育を加速する事業を考えたんですけど、創業手前ぐらいでどう見積もっても資金が持たないとなりました。
当時大学生で、インタビューしていると、3年生4年生になってくると、就職活動の悩みや課題が多いことがわかりました。入り口から改善できないんだったら出口から改善していこうと考えました。当時いろいろ聞くと、就職活動が大変なのに入社して3年後に3割以上離職していたんです。ミスマッチですよね。ここからまず解決しようというので、2012年にアイプラグを設立したというところです。その原因は、いろいろあるのですが、まず求職者から見えてる情報と働いてるところから見えてる情報の格差がすさまじくあるということです。入社しないとわからない問題です。そもそも特に就活生は、働いたことがないのでなかなかイメージしきれないということがあります。期待と現実とのギャップから生まれるパターンとです。
新卒は、今の大卒で45万人います。企業数も何万ってあります。新卒採用してる企業で約3万5000社って言われているので、だからお互い選択肢が多すぎるという事です。就職活動では、そのうちのほんのちょっとしか出会っていないわけです。いいマッチングとミスマッチ、いわゆる改善すべきマッチングがあるとすると、いいマッチングになる未来の方の出会いを多くして、ミスマッチになる可能性が高いところを少なくしていくっていうのは根本的な改善になります。
もう一つはコミュニケーションの問題です。最初にお互い人と人なのでしっかり話して深く話せる時間を確保することが大切です。この2つが解決策になるんじゃないかというのが、私たちが考えている大きな仮説ですね。アイプラグのプロダクトであるオファーボックスはそれを解決するようなサービスになっているので、いろいろと一風変わった仕組みがたくさんあるのが特徴かと思います。
会社の目的、パーパスは一人一人が持つキャリア・ポテンシャルを引き出すということです。キャリア・ポテンシャルというのは、造語になります。一人一人が持つ可能性、人生100年時代にあって生涯にわたる変化成長、新しい選択肢を獲得できること、これらが実現すればキャリア・ポテンシャルを引き出せるんじゃないかと思います。そして、一人一人がイキイキワクワクしていったら、最終的には日本の労働生産性も上がっていって、労働人口が減る中でも日本としてやれることが増えるんじゃないかと思います。日本をまず良くしてから、その先やっていこうというふうに思っているので、キャリア・ポテンシャルを引き出していきたいなというふうに考えています。
求職者と企業の良いマッチングとは
早くやめるからミスマッチだという短絡的な話ではありません。入社する時にこれぐらいの期間頑張って働きたい、企業さんもこれぐらい働いてほしいっていう期間の合意みたいなものがある思います。また、誰もがお客さんに喜んでほしいとか世の中に価値を提供したいと思って働く方が多いですし、企業さん側ももちろん民間企業の営利団体ですから、しっかりと利益を残してほしい、活躍してほしいと思います。ですので、お互いが納得する一定期間を生き生き活躍するという2つが揃うのがいいマッチングだというふうに思っています。そういうのが揃ってる時は、結構仕事してても楽しいと思いますので、そこがすごく作りたい世界観です。そのような場所が1%でも2%でも増えるだけでも結構インパクトがあるんじゃないかなと思うんですね。
オファーの送信数制限は、初めにオファーボックスを思いついた時から入っているアイデアなんですが、課題は組み合わせの問題とコミュニケーションの質の問題だと考えています。質の方でフォーカスするとインターネット上は、オファーを無制限に送ろうと思ったら送れます。ただ実際にコミュニケーションする時はリアルタイムにコミュニケーションするので無制限ではありません。インターネット上で起こる時間の流れと実際にコミュニケーションするリアルタイムとは違うので、リアルタイムに合わせると、制限数が絶対必要だろうと思いました。最終的に1社に入社するので、適正なコミュニケーションの社数は、一人一人に存在しているんじゃないかと思います。実際、就職活動の歴史でいくと、もともと専願制度と言って1社しか選考を受けることができなくて、そこがダメだったらもう1社という制度でした。高校の就職活動なども、現在でもこれがベースです。
逆に併願制度がありますが、今のインターネットでは無限併願のようになっています。一括で探して、一括でエントリーもできるし一括でスカウトも送信できるわけです。そんな世界から生まれるコミュニケーションはなかなかミスやロスが多いと思います。マッチングの精度が下がってしまいます。だからこそ、そことも違う最適解みたいなものが存在していると思って、まずは制限してみようと思ったのです。それが正しいかどうかわからないけれど、やりながら見つかるのではないかと考えて、スタートから制限をかけています。そんなことやるの?ってよく言われました。基本的に絶対に成り立たないと言われました。100人に聞いたら100人に言われました。
人材業界について
人材業界は参入しやすいです。そして単価が高いです。人材紹介もそうですし求人に掲載すると、掲載料金も単価が高いです。他の業界と比べたら非常に高いです。参入はできて、ビジネスとして成り立ちます。けれど、ただその先、業界を変えるほど大きくするというところにはものすごい壁があるんです。2階建て構造みたいな壁が存在してるわけです。初めは参入障壁としてはめちゃくちゃ低いんですが、少しするとめちゃくちゃ高い壁があるんです。どんどん参入して入ってきて、とりあえず一定の生活できるぐらいの収益は出せる構造になっています。そういう業界になるとサービスのクオリティーのばらつきがかなり出ます。いい部分もあるし 課題になってる部分もあるっていう風に私は人材業界全体を見てて思います。先にいるお客さんが一番大事です。働いている求職者と企業さんとを考えると、そっち側を一番よくするようなことをチャレンジする企業がいないと変わっていかないんじゃないかっていうふうに思ってます。
成功報酬としては、年収の35%が多い状況です。これはずっと変わらずです。働く方は年収ベースが400万ぐらいから1000万までなど違いがあります。また、マッチングのプロセスなどの評価にはまだメスが入ってはいません。そもそも35%が適正価格なのかっていう問題もあります。オファーボックスを作るときに、100社の企業さんにインタビューして、各社の採用単価を聞いてみました。今、わが社は報酬38万でやってるんですけれど、採用単価がこれ以下の会社は2社しかなかったんです。単価設定を38万円にすれば、98社はコスト構造上は使えるわけなので多くの企業さんが使えるわけです。その方が求職者としては選択のパターン、選択肢が増えます。できるだけいろんな企業が人材紹介サービス使ってくれている方が、求職者としては選択肢が増えます。ただ、企業数が増えると、すごい組み合わせの数になるので、これまでは人を介してやるとものすごく人件費がかかり、価格が高騰するからできない、ということの繰り返しだったんです。しかし、テクノロジーの進化した時代では、テクノロジー側が処理してくれますので、新しいテクノロジーを使うことでいわゆるコストダウンをしていくことができます。結果、たくさんの企業さんが使えるようになり、求職者さんもそれで喜ぶ未来が作れると思っています。それをやることで適正価格は変わっていくと思ってます。変わりだすのかどうかみたいな、今そういうちょうど分岐点みたいな状況じゃないかなと思います。
オファーボックスとかペースボックスでは、高いレベルでマッチングしていけるように、そこをより進化させるための仕組みとなっています。例えば、オファーの流通量を制限したり、本気でできるだけ真剣に会話ができるようなルールベースにしたり、できるだけ細かくプロフィール出してもらったりなどです。たくさん本気度の高いデータが流通します。これをAIで機械学習をしていくと、精度が上がっていくということにチャレンジしていってますね。
新卒の採用は1人38万円ですが、早期定額プランは一人25万円の単価でやっています。業界平均は、成功報酬でいくと、人材紹介がだいたい85万から 90万円という状況です。なので、すごく業界からは嫌がられてはいます。また、サービス提供を始めた初期には、単価が安いので悪い学生しかいないでしょとすごくお客さんから言われていました。もうどうせ潰れるでしょみたいな、絶対的に無理と言われたんですけど、僕は絶対成り立つと思ってやっていました。一定規模になって利益が出る構造になれば、38万円でも全然できるということを証明できると思ってずっとやってきました。実際、オファーボックスの方はしっかりと収益を出せている状況になったので、今の新しいテクノロジーを使いながら、企業さん側も学生さん側も安価で使え、お互いが真剣に使うことによってテクノロジーが補填していい出会いがどんどん増えていくと考えています。逆に言ったら未来が悪くなるような出会いが減っていくと、いいマッチングの量が増えてくるわけです。そして、就活自体ももっと楽しくなるんじゃないかなって思っています。それが年々年々増えていくと世の中が良くなるかなって考えています。
エントリーはなしで、オファーだけでとか、送信数を制限してとか、今まではまずなかったので、全部逆張りをしていったということです。こんなことをしていると、お金がどんどんなくなっていくので、その都度大丈夫なのか?というような話はありました。けれど、たとえ会社がうまくいっても課題の解決にならなければ、意味がないのではないのかという話をしました。極端な話ですが、逆の選択をしても、ミッションもビジョンも多分実現できないから、その方法を変えるんであれば、まずミッションである「繋がりで世界を ワクワクさせる」というその文字から下方修正しようみたいなことを言っていました。「世界をワクワクさせる(ちょっとだけ)とか(できれば)」とかって言うのと一緒だから、やるんだったら、それを実現するためにチャレンジしていこうということを常にしていました。意味のある単価だったらいいと思います。お金を頂くということはそれに見合った価値を提供していることなんで、価値をしっかり提供してお金をいただいて、だから契約が継続するわけです。そこは本当にできてるかどうかとかを考えなければいけません。価値を提供して広げていくのに必要な金額はしっかりいただくし、民間企業で株式会社ですから株主や投資家にもちゃんと価値を還元する、その金額とはいくらなんだみたいなことはすごく重要かなと思います。
なぜ新卒のオファーボックスから先にやり始めたかというと、一番初めの創業の時に学生さん向けて始めたということもありました。それと、私や創業メンバーの思いもありました。創業した当時、私の子供が2人いまして、2歳、3歳とかで、この子らが大人になった時に使ってもらうようなサービスを作ろうと、創業メンバーで話をしていました。創業メンバーにも、みんな 一緒ぐらいの子供がいましたので。その子供たちが先に使うのは就職活動からなので、そこから始めていくという個人的な思いもあって新卒の方から始めました。もちろん、ビジネス上で考えても、人生のプロセスのできるだけ早い段階から課題解決をした方が、その後良くなるので、早い方がいいという考えもありました。ミスマッチが起こらないようにするなら、新卒の時からミスマッチがない方がいいということです。市場規模はもちろん転職の方が圧倒的大きいんですが、本質的に世の中に対して価値が多く残るところからやった方がいいっていうのもあって就職活動の市場にチャレンジしました。
2023年3月期業績
2023年3月期の実績のサマリーは、まず売上高は37億4100万で着地しました。前年同期 23.0%増でうちオファーボックスは33億7100万、同じく23.0%増という着地になっています。営業損益は、損失でマイナス4億1100万で、前期はオファーボックスと新規事業のペースボックスに対しても積極的に投資をしていったので着地としてマイナス 4億1100万となっております。オファーボックスは先に受注が先行していって、当期と翌期にも分けて売り上げを上げるので、受注高を先行しようとして、出させていただいています。ですので、受注高は 39億4100万と、前年同期比28.7%増です。そのうちオファーボックスで、先にお金を支払っていただいているもの(早期定額プラン、25万円のもの)は、28億840万で前年同期比の38.6%という着地になっております。黒字になるビジネスモデルは出来上がっています。前期を振り返ると、大きな戦略としてはオファーボックスでしっかりと収益を出して、そこからオファーボックス成長のための再投資と新規事業であったり、M&Aした会社への投資をして、実際この先々を作っていく事業の種にちゃんと投資していこうという戦略方針を取っています。特に前期は創業の中でも一番投資に振った期になっております。特にペースボックス、中途採用向けの部分の投資が大きかったです。
ペースボックスの市場は市場規模も大きいですし、できるだけ早く垂直に立ち上げていくことがすごく大事になってくるので、私たちの今の体力的にもこれぐらいはいけるんじゃないかという、投資額で言うと5億6,900万の投資を実行しました。投資の内容ですが、プラットフォーム事業に必要なものは3つです。1つは 企業さんを集めること。プロモーション的な営業みたいなことです。2つ目は求職者プロモーション、集めること。3つ目は、出会いの場、プラットフォームを作ること。この 3つになります。基本的に求職者プロモーションは、インターネットの広告がメインになるので、人は介在しづらいのですが、企業さんの開拓とプラットフォームを作っていくには、人が必要になります。そこで、人件費という形の投資が必要となります。
オファーボックスの時と同じで、はじめの使っていただき方ってすごく大事なんです。自転車に初めて乗るときに、補助輪をつけたり、お父さんに後ろをもってもらうと安全に怪我なくすぐ乗れると思います。サービスも同じで、一番初めにあまりいい思い出がないと次は使わないという傾向があるので、初期のフォローアップを大事にしながら、そこへの人員の増加も行っています。もう一つ去年と比べた時に増えた経費の要因としてはHR関連費用があります。これは、オファーボックス側の投資になります。企業さん側へのいわゆるフォローとなります。新規で年3,000社ぐらい増えていっているので、そこへしっかりとフォローしていき、将来使い続けるお客さんを増やすための投資を行っています。また、グループ自体も増えていってるので、管理部の体制の強化など、そのあたりの人件費と採用費です。早期定額型のサービスと成功報酬型のサービスは、我々としてはどちらを選んでいただいてもよいのですが、企業さんから見ると2つ違いがあります。一つは使える期間が違います。成功報酬型はいわゆる就職活動時期になるので3年生の終わり3月から卒業年度までということになります。早期の方は、名前の通り早い時期からなので3年生の4月からインターンシップの時期も含めて通年使えます。それと、成功報酬の方は名前の通り、初期費用ゼロで全期無料で使えます。そして、採用できた時に38万円をいただくということで、リスクはありません。早期定額型はすごく単純に言うと映画の前売りチケットとよく似た構造になっています。1900円のチケットは、前売りで買うと1300円にディスカウントされます。ただチケットを買って見に行かなくても返金がありません。それと同じ構造で、1人当たり38万円の1/3ぐらいのディスカウントで、早期割引だと25万円になります。3 人プランだったら75万とか5人だったら125万みたいな形で先に購入いただくわけです。リスクの観点からいくと、初めに使う時は採用できるかどうかわからないので、だいたい成功報酬から始められます。そこで、いい学生さんと出会えたり実際採用できると、このサービスは使えるなとなるわけです。すると、オファーボックスには、20万人ほどの学生さんが登録しているわけなので、どうせ使うなら早期定額プランで、という風に移行していくことが多いです。
1人採用出来たなら、3人ぐらいいけるでしょとなります。すると、1企業さんあたりのオファーボックスを使っての採用のシェアが上がっていきます。また、私たちにとっては、早期定額プランは先にお金を支払っていただくので キャッシュフローの改善になり、さらに投資をしやすくなる構造になっています。お客さんにとっても、我が社のファイナンス上でも上手く回るようなバランスでやっています。企業側にとっても、早期定額はメリットがあるので、オファーボックス売り上げの75%は早期定額型となっています。私たちとしては 毎期ストックで繋がっていくっていう構造になってます。そこが受注高ベースで前期比プラス38%ということです。リピートのお客さんが来てるということです。
一方ペースボックスはやや苦戦しました。求職者は、約1.8万人の登録まで進捗しまして、これはだいたい計画通りでした。企業さんの方は、785社登録があったんですけど、これも オファーボックスのアカウントは開通してるのでシナジー効果で案内もできますからそこは順調に行きました。しかしマッチングでは、想定していなかった課題とかもあり、進捗が想定より少し後ろにずれてしまい、期中で全然売り上げが上がりませんでした。今期そこは改善していこうとしています。マッチングの部分での課題というのは、想定していないターゲットの違いなどがありました。例えば新卒と違って中途採用では、企業さんが取りたいターゲットとしていろいろな職種が出てくるわけで。とりあえず募集はするけれど、絶対に取りたいところと、いい人がいれば取りたいというところが違っていたりするので、そこでのキャッチアップが弱かったというのがあります。あとは求職者の登録がどんどん来たのですが、実際企業さんから求められやすいターゲットとそうじゃないターゲットとのずれが生じたりということがありました。けれど、この1年間やってみて、どのような企業さんのニーズとどのような求職者のマッチングは成立しやすいということはだいたいわかってきたので、そこに注力してマッチングの質を上げていくということを今期実行しようと思っています。
サービスの価格を業界並みにすれば、短期的には売り上げは上がると思います。しかし、本質的なプラットフォームの価値というと、コミュニケーションの質の高さとたくさんある組み合わせの最適解なわけです。適正価格より価格が上がると、使う企業さんは必ず減ります。そうなるとたくさんある中から最適化を出せるというもう一個の強みが進化しなくなります。ですので、適正な価格を追求してサービスを改善していかないと長期的に見ると競争優位性はなくなると思います。どこを目指して どういう状況を作っていくかは、すごく大事と思ってます。私たちは今はまだまだ市場のシェアを取っていく段階ですが、多くの組み合わせからいい最適解を出せるようなプラットフォームになっていくと、企業さんも求職者側も、「よく違いはわからないけど、なんかいいね」となっていくと思います。そのようなものを作っていくことが大事だと思っています。そこの優位性は確保したいなと考えています。
実際決定オファーボックスを使って就職が決まった数は着実に増えおりまして、昨年は 6,422名で前年同期27.8%増で着地しました。全体に占める割合まだまだ少ないです。全体では、45万人いるので、まだ1.5%です。この決定人数と売上は相関して上がっていきますので、伸ばしていくことが必要です。ここが伸びていないのに単価が上がって売り上げが上がった場合は、どこかで止まると思うので、この決定人数が社内で一番大事にしてる数字になります。
手っ取り早く売り上げを上げて、今の瞬間カンフル剤的な伸び方をしても、多分投資家の方々は、そこを期待していただいているのではないと私は思っています。それだと、瞬間的に利益を出して配当をどんどん多くするとか、どこかに会社を高い時に売却する方が喜ばれるのではないかと思います。けれど、そのために会社という公器を使うのではなく、もっと先々の課題に対して解決していくことで会社としてもっと成長し、事業も伸びると思うので、そっちの方が私は大事かなと考えています。そのためにも結果をしっかり出します。
2024年3月期業績予想
2024年3月期は、まず主力のオファーボックスは30%の成長を見込んでおります。あとペースボックスのところは昨年プラットフォームの確立が遅れたので今期はしっかり確立させようと考えています。売上高は前年同期比の36%増の50億880万円オファーボックスが28%増の43億2600万円と予想しています。営業利益は7900万円で経常利益は7400万円の予想になっております。
オファーボックスもペースボックスも事前のKPIがあるのでそこの伸びからしっかりと予測していくのですが、昨年まで培ったストックが既に動いてるので、そこから予測していきます。去年しっかり投資していないと今年伸びない、今年もしっかり投資していないと来年伸びないということがありますので、投資のバランスを取りながら今期も進んでいきたいなと
4月、5月の月次としては、4月が前年同月比プラス100%ぐらい、5月もプラス70%ぐらいで受注は進んでいます。けれど、正直に言うと昨年の4月~5月ごろの学生さんの動きは良くありませんでした。コロナ明けの影響が一番大きかったと思いますが、この数字はその反動でもあると思います。今年の学生さんや市場の動きをみると、コロナ前の安定に戻ってきていると感じます。社内としてはしっかりと前もって提案し、いろいろな強化をしているので、しっかりと計画通り進めていこうと考えています。
株価は結構上がってきているのは嬉しいですが、ここから先が大事だと思っています。
利益の増減の要因として一番大きいのは、売上増の部分です。あとは昨年は事業の種をしっかり増やすために投資をしました。種を埋め込む方が大きな投資額となるので、今期はそこからちゃんと種を成長させて黒字化に転換を見越しています。ペースボックスへの投資額は昨年とほぼ同等で、その中でしっかりとプラットフォームの確立をまずはやっていこうという風に考えています。
中期経営計画 ローリングプラン2023(2024年3月期~2026年3月期)
経営計画は、毎年ローリングしていこうという方針でやっています。なぜローリングするかというと、資産ができてそこから成長させていくというモデルがほぼ全事業共通していますので、昨年の結果をもとに 再度練り直したというのが今回の大きな流れです。全体的に言うと、去年発表させていただいたところから、だいたい1年遅れぐらいの進捗で見てまして、あとは今ちょっと見えていない角度の低いところは、できるだけコンサバで見ながら計画を再度作っていったのが、こちらのローリングプラン2023になります。マーケットの規模の大きさからすれば売上100億も届くマーケットで戦っていますので、成長は止まってる状況ではないのでしっかりとやっていこうというふうに考えてます
新卒事業のサービス別売上について、まずオファーボックスは、早期定額プランと成功報酬と2つに大きく分かれます。早期定額の方は過去から成長率も維持できてますから、しっかりストックを貯めてさらにリピートしてどんどん成長させていく計画になっています。ユーザーとなる企業さんが積みあがっていきます。そして、学生さんも、もちろん人は完全入れ替わりますが、前年の学生さんに喜んでいただける状況を作ると、翌年はその学生さんたちの口コミで評判は残り、登録につながるという、ストック構造が生まれることになります。実は、学生さんの登録は先輩から後輩や同期同士でなど、40%強ぐらいは口コミで登録があるんです。
そして、信頼という意味で 企業がたくさん集まれば集まるほど学生さんも集まってきてどんどんプラットフォームとして価値が上がっていくということです。
ペースボックス、中途採用の方では、マッチング成功1人につき50万円としています。業界の平均より安いです。その上で、2年間の返金保証をしています。
オファーボックスを一番初めにに思いついた時にやりたかったのはこの定着保証だったんです。ただどう考えてもキャッシュがもたないので 成功報酬からスタートしました。お客さんが喜んでいる時にそれが価値が届いているということですので、そこでお金を頂くというのが商売の基本だと思っています。入社も嬉しい、 採用も嬉しいと思いますが、その後定着していること、定着して活躍していることが本質的な価値だと思います。ですので、もう1段踏み込んで定着保証というのを今回チャレンジしました。50万でスタートして、1ヶ月目でやめたら全額返金、2ヶ月目だったら48万と減価償却するみたいにやっています。効果は2つ出ると考えています。一つはそれに向かって組織が考えるので、どういう定着をしてるのかを考えて改善できることです。もう一つはこういうマッチングであればこれぐらい定着したが、こういうマッチングだったら入社したけど定着はしてなかったというデータがたまります。このデータを機械学習するなりサービスを改善していくと、本質的な価値に対してのサービスに変わってくると思っています。一時的には返金により利益は減りますが、長い目で見ればよりマッチングの精度を上げるためのヒントになると私たちはそう思ってます。
インターネットの広告の市場も最初はそうだったと思いますが、テクノロジーとサービス品質改善との掛け合わせでどんどんユーザーにとって良い方向に変わっていったと思うんです。マッチングも同じだと思います。どんどん改善していくことで、最終的に競争優位性のあるサービスを作っていけると思っています。
マッチングの精度を上げるための戦略ですが、オファーボックスやペースボックスも基本的には同じ構造です。マッチング効率を上げるというのは何かというとで、求職者が登録している中で何パーセントがオファーボックス経由で決まるとかペースボックス経由で決まるかというのが、わかりやすいマッチング効率の指標になってます。現状オファーボックスで言うと約3%の決定効率となっています。7年前1%でした。これを上げていくことがいわゆるサービスの生産性が上がる=収益性が上がっていくということなので、一定時間かかりますが実行していくということになります。上げる方法は本当にシンプルです。企業さんと求職者が登録するので、お互いの魅力、気になるところをどんどん可視化していくことになります。UXの改善であったり、プロフィール内容の改善によって、マッチングに必要な、興味を持つ持たないという情報をしっかりとお互い出してもらえるようにしていきます。2つ目はコロナによってちょっと変わってきたと思うんですが、就活も転職活動も全部オンライン上でやることが主流になりました。ですので、それを掛け合わせた時に考えるとオファーボックスの中にも単純にオファーを飛ばすだけではなくて、例えばインターネット上の複数人でやる小規模のイベントなどを考えています。また、昨年10月に事業成就したんですけど、大学近くに就職カフェ10店舗の運営をしています。今後就活はオンラインが継続しますが、大学はリアルなので、その間に寄るところが必要になる可能性は高いと考えています。ここの新しい融合体が就職カフェとなります。コロナになってオンラインに触れたけれど、今後リアルも含めたハイブリッドになった時に新たな出会いの仕方というのが、プラットフォームのかけ合わせが必要になると思っています。そのようなことにもチャレンジするのが出会いの機会の増加ということです。
コロナ前は就職の合同説明会が主流でしたが、それは一定すごく価値はあります。業界的な言い方で言うと偶発的な出会いです。予期せぬ出会いが大きな価値になります。また、1日とか2日のビッグイベントに多くの人が集まることによって熱量が上がるという2つの効果があります。偶発的な出会いはインターネット上でもと出すことは可能なのですが、一方で今から始まりますというイベント、記念日みたいなことも重要です。オリンピックや万博、ワールドカップがあると一気に盛り上がったりするのと一緒で、リアルで集まる日というのは重要なので、それがゼロになることはないと思います。しかし新しい進化版も多分できてくると思うので、僕たちが合同説明会をリアルでやることは基本的には考えてはいません。しかし、偶発的な出会いを人は結構求めているので、合同説明会の新しい融合版と進化版は作っていけるのではないかと思っています。
そしてもう一つは、データ活用によるマッチング効率のさらなる向上です。従来からやっていますが、プラットフォームはオファーボックスでいくとどんどん広がっています。広がり方はもちろん関東圏、関西圏、東海県中心にシェアが上がってきたのですが、この3年間で地方にも広がっています。そうすると、日本列島でエリアを超えてどんどんオファーが飛んでいるわけです。今までは、エントリーしてもオファーにしても、どっちかにまず行かなければいけませんでした。それがなくなって、オンラインで出会ってそのまま就職が決まる事例がたくさん出てます。それを入れた時にどうなるのかという新たな観点から見えてくることが増えています。ですので、このようなことを織り交ぜながら新たな出会いからのマッチングの創出をすると、効率性も上がっていくと思うのでこのようなことに取り込んでいます。中期経営計画の期間中にオファーボックスの決定数は2万人の決定を目指そうと思っています。45万人分の2万です。私の中で2万人というのは結構シグナルになる数字だと思っています。2万人って実際リアルで見るととんでもない人数になります。民間サービス経由ですと、全体の5%ぐらいの決定になるので、そのくらいの数字が出るとインパクトな構造になるかと思っています。決定が出る前の出会いの数でいうと、とんでもない数字になるので、そこで体感価値を得てもらうという意味で、わかりやすく2万人を実現しようという風に考えています。
それとプラスして、中途採用、ペースボックスの方は来期に黒転を目指しています。オファーボックスと違う点は、1つは単価が高いことです。もう一つは売上高で行くとサイクルが早いです。新卒は1回転するのに1年以上、1年半ぐらいかかっているんですが 転職はリードタイムが3ヶ月ぐらいなので、回転が速いです。回転が速いので、売上も上がりやすいわけです。それとコスト構造の話で行くと法人の獲得がオファーボックス側で開拓できている点もあります。新卒採用してる企業さんは、転職市場から人気の高いところが多いので、そのようなシナジー効果も使いながら早期に成長させていこうと考えてます。2025年の3月期には黒転するイメージです。
転職市場にも新たな考え方みたいなものを持ち込んでいくと、業界全体の動きが変わっていき、すごくいい価値を提供できたんじゃないかと思うのでしっかりと実現したいと思います。
私は、人材業界に長くいるのですが、みんなンプルに良くしたいと思っています。けれどその手段があまり多様になってなかったことが弊害かなと思います。極端にいうと50万で2年間の返金保証をつけているサービスがあれば、逆にすさまじいマッチング精度で単価が年収の50%とかというサービスもあっていいと思います。どの業界もいろんなサービスが乱立してるけれど、支払っているお金に見合った価値とか、あまたの人が使えるようなサービスなどが入り混じることで市場は良くなると思うので、そんな風にできたらなと思います。
投資家の皆さんへのメッセージ
アイプラグは、創業まだ12期目の若い会社ですが、この「つながりで世界をワクワク させる」というミッションを実現していくと、日本、ひいてはその先の世界の中の労働市場の環境を一つでもよくできるのではないかと思い、それに果敢にチャレンジしていきたいなというふうに思っています。しっかりと実績を出しながら 成長していきたいと思いますのでぜひ応援よろしくお願いします。