ベクトル(6058)西江会長兼社長にインタビュー!過去最高の売上・利益!2026年には100億円を狙う計画。理由は、顧客本位のサービスにあり!
【6058】ベクトル
開催日 | 2023年 04月 18日 |
出演 | 西江 肇司 会長兼社長 |
ベクトルの西江会長兼社長に2023年2月期決算についてインタビューしました。
2023年2月期 通期業績
2023年の4月14日に発表された2023年2月期の決算をみてみます。
売上高5,502億円で去年よりも14%増です。営業利益に関しては62億円です。これは計画より上振れで、前年比で言うと +22.4%の着地となっています。当期純利益が31億円で、計画を達成。前期よりもプラス53%となっています。計画通り利益を出すように経営しています。 PR事業自体がメインで、支払いが少ないビジネスモデルなので社内でウォッチしているのは売上高ではなく、粗利益です。先ほどの数字でいうと、むしろ売上総利益351億円の方が社内では目安にしています。
営業利益の部分に関して言うと、前期が51億円、それに対して今回決算が62億円ということで11億円増加しています。PR 事業は、コロナがなくなったので、回復しています。海外はまだ影響を受けていますが、国内は回復しています。また、この中に「ジョブTV」という新規事業のマイナス 5億円も入っているので、そのマイナスを抜くとPR自体は順調というのが現状です。先行投資のマイナス5億円を入れてもなおプラス8億円だったったということですね。
海外は、中国などに進出していますが、海外はマイナス1~2億円ぐらいです。コロナから戻れば、3~5億円ぐらい出るモデルとなっています。ハワイでは旅行ツーリズムみたいなPRを行っているので、2年後には3~5億円くらいには戻っていくと思います。
一方、プレスリリース配信事業では利益が凹んでいます。子会社のPRタイムズという会社です。事業自体は順調ですが、中期で35億円を目指すために今期は強烈にコストを踏んで広告宣伝費などに使っていますので、そこが下振れている要因です。
もともと粗利益が50億円くらいあるビジネスなので、ちゃんと経営すれば25億円くらい利益を出すというのは全然問題ないと思います。
売上高552億円、営業利益62億円の内訳がセグメント別に書かれています。重要なところはこのPR広告事業です。売上高295億で利益はほぼ30億円です。これは過去最高になります。かなり強いトレンドになっています。
PR・広告事業
売上高、売上総利益が着実に伸びてきています。1つの要因はコロナが終わったことです。テレビや新聞、WEBに広告を載せるのは広告代理店の仕事です。企業のニュース等をメディアに載せるのがPR会社の仕事です。ニュースやコンテンツを作って、オーガニックに、お金をあまり払わずに話題としていくのがPRです。PR分野では、動画メディア・動画コンテンツが激増しています。動画コンテンツをそのままデジタルアドとしても使用できます。今までのPRは、少ないコストで大きな宣伝効果が得られましたが、1度メディアに取り上げられると、そのPR効果は2度目からは期待できませんでした。しかし、動画コンテンツが出てきたことで、そのコンテンツを動画広告の枠で繰り返し使えるようになりました。
世界の大企業では、広告費の多くをSNSに費やしています。テレビにはあまり割り振りません。そして、我々の会社では、記者発表、イーコマース、インフルエンサーを呼んでのイベント、縦型動画tiktok、アフィリエイトまで一気通貫で請け負うことがきます。一貫して請け負えるのは、我々ベクトルグループしかありません。
7兆円の広告マーケットに広告代理店大手2社がありますが、2社の提案にはテレビがついてきます。今っぽいPRは我々の方が得意です。ですので、大手と我々とで一緒に仕事をしたりもします。一気通貫で全て持っているというのが我々の戦略です。
テレビは今後ますます落ちていくと思います。オンデマンドに慣れてしまうと、テレビに興味が持てなくなってしまうのではないでしょうか。特に、今の子供などはテレビに全く興味がないと思います。我々は、テレビは狙っていません。今風にあまりお金をかけずにモノを広めていくのが我々の会社だと思っています。
電通さんや博報堂さんはゼネコン、元請けであって、仕事を振ってくれるので競合ではなく、棲み分けています。我々はZARAとかユニクロと一緒で一気通貫して全部自分たちで作るという感じです。例えばデジタルアドも自分たちで買う、タレントのキャスティング会社も買うなど、全部必要なものを揃えて安く提供する、シンプルにスピーディーにということを考えています。
デジタルアドという分野も2年前まで全く関係ありませんでした。しかし、今ではデジタルアドしかないといってもよいくらいです。今の広告というのは、2次元の広告はまずほとんどありません。2次元広告には誰も反応しません。今の広告は動画です。ニュースやコンテンツのようになっているものです。そういう時代に入ったわけです。我々が、コンテンツを出して、スピーディーに作ったものをデジタルアドで挙げれば広められるわけです。ですので、デジタルアドの会社を買いました。我々は、PRを武器として、今っぽくものを広める時に必要なインフラを持っている会社という感じです。高級なフランス料理ではなく、マクドナルドを狙っています。
リテーナー契約というのは、いわゆるコンサル契約で、半年や1年契約で毎月月額課金するような契約です。去年の時点では769件だったのが今回の決算では953件まで積み上がっています。これさらに2026年に向けて1,500件まで積み上げていくというふうな計画になっています。基本一度契約したら弁護士などの契約と同じで、よほどのことがない限りやめることはありません。 ですので、順調に積みあがっていくと思っています。リテーナー自体は年間1,000万円くらいから3~4千万円くらいの契約です。これまでのPRについての予算は年間3千万円くらいでしたが、最近では、PRに全体として年間2億円くらいの予算が付くようになってきています。リテーナー契約の件数がそれほど増えなくても、単価が上がってきているという感じです。リテーナー契約をしている企業さんは、銀行も車のメーカーさんも服のメーカーさんも、大企業さんがほとんどです。我々は記者発表からメディア掲載、SNS拡散まで全部やりますというのが戦略です。
広告の市場は7兆円規模の売上があります。けれど我々はまだ500億円ほどです。あと10倍に売り上げが増えてもおかしくないわけです。大手広告代理店さんはいるわけですが、他にはプレーヤーがいないんです。PRやPRとSNSの大手がいないんです。ですので、マッピング的にはすごくいい位置にいますね。国内でもPR会社では1位です。アジアでも1位です。PRで世界一になることにこだわってはいません。そうではなくて、先ほど言ったように、お客様目線です。お客はPRでもSNSでもどちらでもよくて、要は広めたいわけです。そんなにお金をかけずに効率よく一番うまく広めることができる企業という立ち位置です。PRにこだわるっていう感覚がないです。逆にPR会社にこだわらなくなって結構強くなってきました。
もう一つPR広告事業の中でタクシーのサイネージ事業は、過去最高利益となっています。サイネージの設置は我々でやり、広告費用をタクシー会社と分けています。ベクトルのお客さんの広告は、流れている広告のうち2~3割だと思います。その他、普通にいろいろな広告が流れています。
ビデオリリース配信事業
ちょっと前まで2~3億円ぐらい利益が出てました。しかし、コロナの影響をとても受けました。PR業界は4割くらいコロナの影響を受けます。広告業界はもっと影響を受けるのですが。ビデオリリース自体は動画を撮るのですが、これを広告で当てる事業であるので、コロナにより赤字となっていました。また、2億円~3億円ぐらい利益が出てきた時に、結構従業員を増やしました。それで人を増やしていきなりコロナにぶつかったので赤字となりました。今の時点でもう元に戻ってきているので、今回ゼロで出してますが、もっと上振れるのではないかと思います。基本的には動画のリリースみたいなものを作って、それを ターゲットに当てます。作るのはただで、何人に当てたらお金がもらえます、というような形です。 昔はPRとかプレスリリースなどは、文書で出すことが中心でしたが、今では動画でのリリースに変わっていると思います。tiktokとかでは文字がありません。縦型動画が今、一番伝わるのではないでしょうか。一言で覚えさせる時代に切り替わっていると思います。10秒ぐらいで1個のニュースリリースを読むのと一緒なので、これに対応することが重要ですよね。ベクトル本体のPR事業でそのような対応をしています。
ダイレクトマーケティング事業
健康食品、例えば痩せるための食品などです。我々は、物を広めるプロですので、1度、商品の広告を作って2週間ぐらいすると販売データが出るので、それを見て売れる商品だとデータが出れば、積極的に広告展開をしています。
PRや広告とうと一般的には広めるだけですが、我々は購買の仕組みに至るまで提案します。売り上げの注文までもらうところまでやるわけです。その刈り取る(売上注文までもらう)というところまでできるノウハウを持っているのが強みです。広告代理店などでは、テレビCMや広告の予算はありますが、刈り取りの提案まではフィールドが違うのでしません。そこまでやるのがベクトルです。PRから刈り取りまでを提供するので、そのプロモーションでいくら売れたかが分かるわけです。
今では縦型動画が普通です。2年前にはありませんでした。それに対応していくのが非常に重要です。今の方はYouTubeも見ますが、YouTubeは長いので、それを切り取って縦型動画にするわけです。そのようなことを一気通貫してできるのが特徴です。ダイレクトマーケティングが伸びているのは、他の事業の説得力につながると思います。
メディアCMS事業
これは見ての通り トントンになったぐらいです。オウンドメディアの会社なので、会社の記事を書いてメディアを作るわけです。今までは人がやっていましたが、2023年頃からチャットGPT出てきて、7~8割をチャットGPTで書けるんです。ですので、文章作成コストが低減し、人件費がそれほどかからなくなり、経営も好転するだろうと考えています。100点満点の記事ではないですが、修正が必要な15% ぐらいを自分でカスタマイズするという感じです。一瞬でゲームのやり方が変わりました。
HR事業
以前も 言ったように経営改革をして今も利益が出る構造になっているので順調に進んでいます。コンサル+Saas型に変えました。
投資事業
順調です。持っている株をどこのタイミングで売るかだけです。今、PRキャピタルという概念で、要はベンチャーキャピタル×PR会社みたいなものをシステム化しようとしています。近々どう いうことやるかは発表できたらなぁと思っています。基本的にはいろんな会社に投資して、そのうちの一部が上場して、含み益が発生していて、これを売却した時点で売上になるということです。
今回、この決算説明資料とは離れる部分もあるんですけれども、期中の間に結構いろんな会社の株式を、例えば買い増しするとか事業の譲り受けをするということが、IRで発表されていました。MAも含めてです。例えばビタブリッドジャパンの買い増しがありました。これは韓国との合弁で、すごく利益が出ていたので、もともと買い増ししたかったんです。韓国の会社の調子が悪くなって、買ってくれというので、買いました。買い増しする前だと持ち株割合は50%ちょっとだったんですが、買い増しでほぼ95%とかぐらいまで上がっています。他にもターミナル社をM&Aしました。私の下にM&A部隊があるので、そのM&A部隊がいろんな情報を集めてきてその中から決めていますし、私も直轄しています。マスタービジョンという会社では、カメラを10~20台くらい置いて、360度全角度から撮影して、それを視聴者が全て好きな角度に動かして見られるというようなサービスを提供しています。この前の井上選手のボクシングの試合などもそうやって撮っています。今までの写真撮影も、これからは、360度カメラで撮って、AIでカメラの動きを変えながら、どのアウトプットが良いか聞いてきて、撮るというようなことが普通になってくると思います。カメラを普通のデジタル回線で動かせるという技術があまりないのですが、その技術を持っている会社です。面白いです。
AMYはジョブTVのフランチャイズバージョンです。今季6000万円ぐらい利益が出ていますが、来季も1.5億ぐらい利益が出ると思うので買いました。
採用マッチングプラットフォーム「JOBTV」
ジョブTVは、会社説明会動画のNetflixです。就職活動したいと思ったら、わざわざ 交通費を払って会社説明会に行かなければいけませんでした。しかし、ジョブTVなら、家で見ることができます。会社説明会動画を Netflixにしているような感じで見れます。プラス、就職活動生も企業にそこから申し込めます。履歴書に動画をつけるわけです。競合は新卒で言うとマイナビとリクナビです。そちらは文字と写真2枚くらいしかなくて、昔からその形態は変わっていません。ジョブTVは、去年は7万人くらい就活生の登録者がいましたが、今期は4月の時点で既に7万人くらい登録者がいるので、15万人~20万人くらいまで増えるのではないかと思います。番組などでも動画就活ということで取り上げられてもいます。就活生も、去年は、登録はしているものの、動画を付けている学生は実際には5%もなかったと思いますが、今ではほぼ9割くらいは動画を付けています。この事業モデルって、いかに学生集めるかなわけです。こんなに学生さんを集めている会社は多分あまりありません。新卒で就活してる学生さんは30万~50万人ぐらいでしょうか。そのうち登録者数は、15万人~20万人くらいはいくのではないでしょうか。企業からしたら、特に中小企業は、説明会に来てもらえなければ、企業を見てもらえることがなかったわけです。ですので、会社の規模に関係なく、全国の学生さんに会社について見てもらえる機会ができるわけです。
基本は全部タダでやって最後成功報酬という形です。ただ、企業さんもすごく喜んでくれているので、少しマネタイズを考えいこうかなと思っています。順調です。去年5億円ぐらいマイナスで、今年がマイナス3億円ぐらいなんです。来年には3~5億円くらい利益が出る見込みです。なぜかというと新卒のサイクルが遅いからです。春先に就活して、入社は次の年になります。入社して売り上げになるので、売り上げが出るまでにタイムラグがあるわけです。中途採用の方も始めています。セグメントとしては、おいおいHRのセグメントに分類していく方向です。
クラウドは3000社あって、リクナビ、マイナビの代理店は何万社ってあるわけです。1つの会社が新卒採用を2人、中途採用を3人ぐらい取ったとすると粗利500万円ぐらいです。それが1000社あったら粗利で50億円です。それが我々の第一目標なんです。いいところは、支払いがあまりない、コストがあまりかからないところです。PRタイムズと同じで、そういうモデルです。第2段階のフェーズでむちゃくちゃ当たる可能性もあります。中途採用もやってますし、第二新卒は、ジョブTVがそのままスライドするので、すごいことになる思います。我々は転職エージェントという概念でやっています。全部をネットで完結してやるかというと、新しすぎて無理があるので、転職エージェントという概念でやっています。就活の方にも、「みんな動画を載せていますよ、動画を載せるとスカウトが来ますよ」、というとみんな動画を載せるようになります。新卒だけだと、プラットフォームも1年で入れ替わりますが、第2新卒も入ってくると、データを全部持っているわけですから、面白くなると思います。
これは私が考えたビジネスです。これから、動画の業界テレビをやるつもりです。そしてその次からベンチャーTVをやるつもりです。日本中の ベンチャーの会社1000社のプレゼンが全部入っているわけです。をれを投資とリンクさせようとしているわけです。社長のプレゼンは15分ぐらいですが、それを全部見れるんです。あと例えばミリオネアTVとか終活バージョンなどを考えています。フランチャイズTVもその流れです。
例えば会社のIRの方は、会場説明会において延々と同じ話を投資家に向かって繰り返し行っていました。それを動画にすることで、営業も必要なくなるし、実際の説明会動画を活用することで製作コスト、人件費もかかりません。IRは今後は変わっていくと思います。
2024年2月期業績予想
売上高で 630億円の目標となっています。直近今回の実績が552億円でしたので14%増える計画になります。営業利益が72億円。前の期が62億円でしたので約10億円増えるという計画になります。当期純利益は40億円です。前の期が31億円でしたのでこれも26%増えるという計画になっています。これは最低達成する目標です。マーケットは伸びていってるので問題ないかなと感じています。この通りでいけば一株あたりの配当金は25円になるであろうということです。セグメント別利益では、PR広告事業がさらに伸びる、プレスリリースの方も今回凹んだけれども 回復するという計画です。ビデオは黒点する計画です。
西江会長兼社長の職務
私は、戦略を立てていますね。例えばPRで1000社を2000社にしろとか、SNSの動画のリテーナーが今2~300社なのを2000社にしろ、タレント付きのパターンを300社とれとか、結構わかりやすい指示をする感じです。絶対売れるだろうというようなものをやったりとか、あとは社長に任せるという感じです。例えばダイレクトとかでも優秀なので、全部任せています。大まかな方向性や数字の指示を出しています。
今、2026年の営業利益は、計画では100億円を一応公表していますが、僕自体は500億にするためにはどうすればよいかを考えています。2012年に上場して10年間で約20倍にしています。そうしたら、22年そこから32年までで10倍ぐらいでも全然いけると考えています。今の営業利益をスライドしていけば、200億円になります。そして各事業の営業利益トレンドの積み上げとM&Aなどによる新たな事業利益を計画し、どうすれば目標達成になるかを考えています。リアルに償却が終わったら利益がどうなって、とかM&Aの予算はいくらでとか、投資の事業で毎年30億の利益を出すにはどうすればよいか、などを考えて実行してく感じです。
業界の将来
これからは、テレビの地上波というような概念はなくなっていくかもしれません。ニュースも、今でもタイトルしか見なくなっています。動画が付いていれば、動画を見て、文章を読まなくなっています。それが普通になってきています。それに合わせる体質をもつ会社にしています。広告業界はどちらかというと古い体質ですが、我々は古くはないので、そこがいいとこだと思います。物を広める一気通貫の企業です。ノークリエイティブを狙いたいです。クリエイティブというと複雑なものだと思うのですが、現在ベンチャーでも当たっているのは、非常にシンプルなものだと思います。ですので、シンプルな、ノークリエイティブを狙っています。
ベンチャーにはいま、250件くらい投資しているので、1日3件ぐらいいつも見てます。当たっているベンチャーもそうですし、世の中のサービス自体もシンプル化していると思います。
株主還元施策
配当性向30%で続けていきます。利益が増えればそれに伴って配当金も増えていきます。今回であれば一株19円です。来期、利益が増えればさらに増えていくということです。
株価は現在の数字には満足していません。営業利益100億円までは私の中では見えていますので、長い目で見守っていただければと思います。