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ベクトル(6058)西江会長兼社長にインタビュー!複雑な広告業界をシンプルに!営業利益100億を目指す!


【6058】ベクトル

開催日2022年 07月 19日
出演西江 肇司 会長兼社長

ベクトルの西江会長兼社長に事業内容やビジネスモデル、決算についてインタビューしました。

西江会長兼社長のプロフィール

 私は岡山県出身で、中学生の時から一人暮らしをしていました。一軒家で自由に暮らしていました。友達が家出をしてきたりして楽しく暮らしていました。

 

2023年2月期第1四半期決算について

 第一四半期の売上高は、前年同期より17%増の131.3億円となっています。売上総利益は前年同期比123.8%、営業利益は前年同期比130.6%となっています。当期純利益は前年同期比188.8%となっています。

 もともと、PR自体がリテナービジネスなので、売上については予想通りといえます。

 上場直後の2013年2月期の売上が51億円、営業利益が7億円だったのが、10年後の2023年2月期には、売上高531億円、営業利益62億円の計画となっています。

 10年間で売上高10倍、営業利益8.6倍となっています。大きく成長しました。株式上場の際、機関投資家に向けてロードショーをしたときに、当期純利益30億という目標を立てました。その計画に洗脳されて成長してきた感じです。今は、営業利益100億円を目指していますが、私の頭の中では300億円目指しています。それを目指して経営しています。中期経営計画では、2026年2月期、営業利益を100億円目指しています。

 

セグメント別利益計画

 大きく7つの事業に分かれていますが、HR以外は企業のPRを支援していくという共通した事業内容となっています。

PR・広告事業

 日本の大きな企業さんがクライアント様となります。モノを広めるときに、企業さんはメディアに載りたいわけです。「ガイアの夜明け」に載りたい、「カンブリア宮殿」に載りたい、記者発表してメディアに取り上げてほしいなど考えるわけです。その時に、頼まれるのがPRです。それを実現するためのプロセスを我々がもっています。PRの世界では我々は圧倒的に大きいです。  

 我々の会社の中に、記者発表できる場所が4か所あります。そこで行った記者発表をウェブニュースに載せたり、テレビに載せたりします。契約形態は、年間契約が多いです。一度契約すると、継続して契約されることが多いです。毎年、PR会社を変更するのは、また1から説明が必要となり面倒ですから。弁護士を毎年変更しないのと同じですね。そして、リテナー契約として、年間1500万円~2000万円くらいで契約をされている企業さんが多いです。その契約の中で、年間通じてPRのお手伝いをします。わが社は、業界で断トツの規模というだけでなく、PRの他にもITやデジタルなどすべてを横断的にできるという強みがあるので、一度契約されると、継続してくださる企業さんがほとんどです。

 リテナー契約は、2022年2月期に769件であったのが、2023年2月期には1000件を目指しています。そして2026年2月期の目標は1750件です。そして、リテナー契約している企業さんに他の商品もアップセルしていくわけです。

 

海外展開

 海外は、上海、香港、インドネシア、ベトナム、タイ、ベトナム、ハワイなどに展開しています。アジアNO.1を目指してやっています。日本企業の現地法人のPRをお手伝いするというのが多いです。通常ですと、海外事業だけで3~5億円ほど利益が出るのですが、コロナの関係で1億円ほどの見込みになっています。

 

モノの広め方の変化

 私たちの仕事は、モノを今っぽくPRして広めることです。モノの広め方も変わってきています。昔はテレビ、雑誌、新聞、ラジオだったのが、今ではそのようなものはほとんど利用されません。今は、縦型動画が流行ったりタクシーが出てきたりしています。また、今までモノを広めるのに5億円ほどかかっていたのが、5千万円ほどでできるようになっています。少ない予算でPRを使って広めることができるわけです。そして、国内では、ニュースリリース、記者発表、SNSやインフルエンサーの活用など、すべてできる企業が私たちしかないわけです。他の企業は分業です。これらすべてをできるところが我々の強みですね。電通さんや博報堂さんは、競合というよりパートナーです。コンペの時などに呼んでもらっています。弊社の売り上げの4割くらいは代理店さんです。代理店さんは、大元の取りまとめのような感じです。たとえば広告PR費用が6億円であれば、そのうち5千万円をPRのベクトルに、テレビCMはどこどこに、というふうに取りまとめてくれています。

タクシーサイネージ

 タクシーの広告を仕掛けたのも弊社です。タクシーの後部座席にサイネージを搭載し動画広告やコンテンツを配信しています。日本交通さんグループとエスライドがタクシーアプリの2台巨頭となっています。このサービスは、ソニーさんがもともとクライアントさんで、その付き合いの中で、決済の部分はソニーさんが、広告のデジタルの部分は我々がやらせてもらったという感じで始まりました。タクシー会社さんと広告料を分け合う形です。コロナ禍を食らって、去年は売り上げが落ちましたが、だいぶ戻ってきています。3か月前くらいに広告枠を売ると、すぐ満稿(上限枠いっぱいに広告が入ること)になります。タクシーに乗ると、他にすることもないので、広告を見てしまうからでしょう。年々需要は拡大しています。

 

eコマースサイト「ヒロメル」・PR BANK

 次の成長への種まきとして、一つは「ヒロメル」という事業があります。モノを広めるときのケーススタディを買うという感じです。広めたい商品がある企業が、同じような商品で広告・PRで成功した事例、担当者を選んで発注できるというシステムです。このサービスの内容や費用対効果がまだはっきりしておらず、お客様には伝わりきっていないので、まだこれから詰めていかなければならないサービスです。

 もう一つは「PR BANK」というものもあります。これは、PR活動をレポート化したもので、リテナー契約の方にも利用していただけます。また、「タレントコミュニケーション」というものもあります。PRにタレントさんを起用したいと思っても、費用が高く起用できない企業もたくさんあります。そのような企業さんに、タレントさんの肖像権だけを月額50万、年間600万円で売るビジネスです。世界的に流行っているビジネスです。本当に中小企業を対象としたビジネスです。電通や博報堂さんは、広告ツールとしてタレントさんを使ってテレビをまずもってきます。それには5億、10億という費用がかかります。ですが、私たちはタレントさんを使うけれど、タクシーとデジタルで広めるなど、5000万円~1億円くらいでやるわけです。それが今、めちゃくちゃ売れています。そのような安い分野には、電通さんなどは進出してきません。なので、我々はクライアントさんにお金をかけずに効率的に広めるというサービスを提供しています。例えば、ジョブTVは、大学生30万人に見てもらえばいいわけです。テレビCMする必要はありません。30万人に見てもらうのは1週間かかりません。そのように、モノを広めるカジュアルな方法を狙っています。

 

プレスリリース配信事業

 こちらも順調に成長しています。PR TIMESという上場している企業の親会社がわが社になります。いろいろなメディアにニュースリリースを配信する会社です。PR TIMES自体はもともとベクトルの子会社として始まった企業です。この分野において、我々は後発でした。その頃はIT会社がニュースリリースの配信をしていたのですが、IT会社はPRについてはあまり詳しくなかったわけです。その点、PR専門で強みをもっている我々が伸びていったということです。利用企業数は、前期が54426社、直近が69257社でかなり伸びています。上場企業の約50%が利用しており、国内シェアNo.1です。今期は先行投資をして、種をまき、その後、利益を刈り取っていくというイメージです。

 

ビデオリリース配信事業

 売上は前期より少し減少しています。広告業界は5割以上、コロナの影響を受けました。PR業は2~3割ほどです。このビデオリリース事業は広告の分野になるので、コロナの影響を受けました。コロナになる前は2~3億円の利益が出ており、好調だったので人を増やしたのですが、コロナになり大きく影響を受けたこともあり、業績が減少しています。来年には戻るのではないかと考えています。商品説明等の動画を無料で撮影、制作し、動画の視聴拡大やランディング施策を受注しています。動画制作は無料で行い、それを配信する場合には、お金をいただくという事業です。

 

広告とPRの違い・ベクトルが目指すもの

 広告は動画を一つ作るのにもとても時間をかけます。PRは、ノンクリエイティブです。まったくクリエイティブではない、とまでは言えませんが。

 世界では、広告業界の中で、広告とPRの垣根はなくなってきています。しかし、日本はいまだに、動画は動画だけ、インフルエンサーはインフルエンサーだけ、タレントはキャスティング会社、PRはPRだけする企業という具合に細分化されています。そこで私は、それを一気通貫して安くする会社がないと気が付いて、PRベースだとすべてができると考えました。広告業界の、マクドナルド、ZARA、ユニクロ、ニトリを狙っています。クリエイティブに作りこむのではなく、タイムリーに、撮ったものをすぐ、今っぽく、効率よく、お金をかけずに広めるということを行っています。それをできるのがわが社の強みです。電通さんや博報堂さんなどが競合になるかといわれると、そうでもないです。デジタル広告を作る会社も代理店さんの傘下に垂直統合されていることが多いので、我々のような立ち位置の企業がいないのです。今、縦型動画がすごく流行っていますが、縦型動画をやる企業が他にいないという感じです。

 ビデオリリース事業の中のセールスビデオアナリティクスという新サービスもコロナ禍において開発しました。営業マンが顧客に動画を送るというものです。これらの事業も加えて5億円の営業利益を目指しています。

 

ダイレクトマーケティング事業

 簡単に言うと、DtoCの事業です。インターネットでダイレクトに売るというビジネスです。自社商品を売っています。今はターミナリアファーストという商品がとても当たっています。広告宣伝費をかけたり、最初安くして買っていただいたりすることで、第1四半期は赤字になりますが、その後、年間購買系なので後半にかけて利益が上がっていきます。

 

メディアCMS事業

 オウンドメディアという、企業が自分でメディアを持つというのが増えてきていますので、そのオウンドメディアの販売を行っています。有名なものでいうと「トヨタイムズ」があります。オウンドメディアを作るシステムを提供したり、制作自体をお手伝いしたりします。伊藤忠やユニリーバなどのオウンドメディア制作をしています。売り上げの中心を、月額課金で定期的にCMSの利用料でいただくという風にシフトしていっています。

 

HR事業

 人事評価のためのクラウドです。中小企業さんが利用されています。人事評価制度のない企業さんに、人事評価制度を作ってクラウドにもっていくまでを得意としています。そこに月額課金でシステムを提供しています。去年の第2四半期からコストカットを大幅にすることで、収益性が大きく変わりました。SaaS型に切り変えたということもあります。

 

JOBTV

 会社説明会をスマホで見られるサービスです。そして、求職者が自分で自己PR動画を撮り応募できます。企業もわざわざ面接しなくて済むわけです。今では6万人が登録しています。最初は1000社という目標でやりましたが、すでに1000社は超えています。人事の方に来てもらって、動画を撮るだけなので、お金もあまりかかりません。動画を撮るのも、載せるのも無料です。採用したら成果報酬としてお金をいただきます。ですので、あまり企業さんも断りません。マーケットは今後もっと大きくなるのではないかと考えています。10000社くらいには絶対になると思います。スカウト制度があることで、マイナーな会社も学生さんから見てもらえるということもわかってきました。マイナーな企業さんからすれば、自社について知ってもらえるチャンスをもらっているような感じですね。あるようであまりないサービスです。

 

投資事業

 200社くらいに投資しています。投資をしながらその会社を有名にするということをやっています。IRのPRを実験的にやり始めて、成功しているパターンです。わが社が投資することで、単に資金調達するだけでなく、PRもするという感じです。投資でもNo.1を目指したいですね。

 

中期利益計画

 営業利益100億円を目指しています。メインのPR事業でもリテナー契約を積み上げていき、その他の事業もサーズ的な構造で利益を伸ばしていく見込みです。また、ROE22%を目標としています。現在は新規事業の影響で下がっていますが、そちらも軌道に乗れば、もう少しROEも上がっていくと思います。

 

将来について

 経営者なので、5年後など先を見通して経営を行っています。あとはシンプルを狙っています。JOBTVもボタン1つ押すだけです。モノを広めるにも100ページ200ページの企画書を見る必要はないのではないかと思います。ボタン1個か2個押したらすむような、そんなシンプルを狙っています。

 

投資家のみなさんへ

 我々の業績がやっと正常化し、利益も出ていますが株価はあまり変わっていません。ですので、ぜひ買ってください。電通さんを超えるつもりでやろうと思っていますので応援お願いいたします。

 

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