日本一の園芸会社を目指すユニバーサル園芸社(6061)の森坂社長にインタビュー!
【6061】ユニバーサル園芸社
開催日 | 2017年 03月 16日 |
出演 | 森坂 拓実 社長 |
ユニバーサル園芸社の森坂社長に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューします。
事業内容
もともとは、事務所やホテルなどに植物をお貸しする「貸し植木」「レンタルグリーン」から始めました。そのため、今でも収益の核は植物をレンタルすることです。レンタルグリーン事業の中には、幅広くギフト商品を扱ったり、造園工事を行ったりということも含まれています。レンタルはほぼ企業向けですので、その他としては、個人向けにお店で買っていただいたり、ネットで買っていただいたりという事業を行っています。今後は個人向けの店舗なども増やしていきたいと考えています。それと、M&Aでお話のあった、卸売業として植木屋さんに植木を卸したり、造花の卸などをしています。
レンタルグリーン事業では、お客様はお金を払っていただくだけで、その後の水やりや葉っぱを掃いたり、交換したりは、全て当社がさせて頂いております。定期的に月2回訪問して、水をやったりお世話をしております。私が植木屋さんの世界に入った49年前、18歳の時には、もう、このようなレンタル事業はありました。戦後復興とともにこういう業界は栄えていきました。戦前は、観葉植物はまだなかったので盆栽のレンタルなどがありました。それが、戦後になって需要が出てきて、植木屋さんがレンタルを始めたわけです。
なぜオフィスに観葉植物を置くようになったのか
50年前は、観葉植物を置くオフィスはとても少なかったです。営業に行っても、「うちは喫茶店じゃないから、そんなものはいらない」とよく言われました。その当時の主力は喫茶店やバー、ホテルでした。それが、だんだん事務所比率が高くなっていき、20年もすると7:3で事務所での需要が多くなっていました。その背景には、ビルがたくさんできたことがありました。また、高度成長時代は人手不足の時代で、新入社員を採用するときに、会社訪問の際に印象を少しでもよくして人を取りたい、そのために植物をという需要もありました。そして、世の中の成長と比例して、働く人のために植物をおきたい、またお客様のために植物を置きたいということで需要が非常に伸びました。それが、25年ほど前にバブルがはじけ、非常に需要が減りました。バブルがはじけて7年間くらいで3割は減りました。最近のリーマンショックでも、売上は落ちましたが、景気が悪かった3年間でトータル10%、1年当たり平均3.3%ほどの下落でした。100年に一度の大不況という割には、結構安定していました。
バブルがはじけて大阪での需要が減った時に、憧れの東京に打って出ました。その東京進出がなければ、今のわが社はないと思います。今では、東京の売上が55%ほどになっています。
海外への進出
大阪から東京に進出したから事業が継続できたんだと思います。そして、東京は世界で一番発展している都市だと思いますが、競合もおり伸ばすにも限界があります。ですので、どこかに市場を広げないとまた止まってしまいます。そこで、中国など新興国に行かなければと思い、中国や後進国にも進出したりしました。しかし、そこは私が創業した時のような感じで、事業として成長していくのに何十年という時間がかかると感じました。それは、違うなと思い、アメリカに進出しました。アメリカには同業社がたくさんありました。アメリカでは、日本と違って、我々くらいの年齢になると、事業を譲渡するのが一般的なようで、M&Aの話もとても喜んで受け入れてくれました。そして、3つの企業を買収しました。アメリカには伸ばしていく余地がまだまだあると感じました。ヨーロッパは保守的というか少し雰囲気が違いました。将来的には、他の国にも伸ばしていければよいなあと思っています。
「人生二度なし」の精神
私はもう69歳ですが、まだまだ頑張らなくてはいけないと思っています。私は「人生二度なし」と会社でもよく言っています。人生は1度しかない。だから精いっぱいやろうということです。もともと、人はいつか死ぬものです。それは、みんな分かっていることです。しかし私には、死ぬのがすごく怖いという自覚が子どもの頃からありました。それを忘れられないので、何かに打ち込みたくなるのです。そうやって、何事にも必死に打ち込むので、仕事でも認められますし、お客様にも認められました。私は、十分に生き切りたいという欲があるのです。ですので、高校を卒業して、勉強はできず、特別な武器はありませんでしたが、一生懸命することは得意でした。すると、私が就職したのが園芸という小さな業界だったので、一生懸命すると業界でトップになることができました。そして次は世界1になろうと言っています。なぜなら、人生は1度しかないのだから、限りある人生なのだから、ということです。それだけの想いでやっているのに、うまくいかないのであれば、それは何かさぼっているということです。もっと頑張らなければと思います。上場については、あえて窮屈な思いをしてまで上場する必要はないじゃないかとおっしゃる方もいます。しかし、上場することで株主様からちゃんとやっているか監視されたいのです。ちゃんとやっていなければ、「何をしているんだ」と怒られるから怠けることができない、そのために上場しました。
社名の由来
当初はユニバース園芸という名前でした。会社にした時だったと思いますが、ユニバーサル園芸社にしました。ユニバーサルという名前にして、世界に打って出ようなどとは、思っていませんでした。けれど潜在的にはあったのかもしれません。後になって思えばですが。
創業してから現在に至るまでの印象に残っているエピソード
大きな出来事といえば、東京進出です。第二の創業といえます。もう一つは上場です。会社を公的なところに出して、正しく事業をやっていると示す場は、証券会社を通じての上場しかありません。怠け心を起こさないために上場しました。この2つは大きな意味がありました。もう一つは、アメリカ進出です。まだまだ世界に広げることができるという展望が見えました。
上場前後で変化したこと
上場すると、さらに業績など伸ばさなければという思いになりました。その変化にごく一部の人をのぞけば、ほとんどの従業員は賛同して楽しんでくれていると思います。例えば、ホームセンターに我々は押されていたのですが、そこでファームというおしゃれな園芸店を作りました。すると、来てくださるお客様がおしゃれな若い方が多くなりました。それまでは、従業員は、オシャレに気を配っていなかった、どちらかというと、土にまみれて汚くなるのも厭わないという感じだったのですが、お客様、時代の変革に合わせて、お店も植物の植え方も、従業員自身も変わらなければいけないと、どんどん変化していってくれています。昔の園芸業界から大きく変わろうとしてきています。そのため、全国から同業他社が視察にきています。
フラワーショップ広尾店がすごく人気があります。ツリーハウスを作ったところ、マスコミにも多く取り上げていただきました。若いお客様が観光に来ている感じです。我々はお花屋さんや切り花販売を後発でやったわけです。ですので、ちょっと他とは違うおしゃれなことをしないと、既存のお店に負けてしまいます。新しい風を吹き込まなければやっていけないわけです。生花店は東京で2~3店舗、大阪で4店舗ほどやっています。国内の切り花市場にもチャレンジしています。
人材採用時の取り組み
昔は陶器の土植えの鉢は非常に重く、私もぎっくり腰に苦しみました。しかし、今は、技術の進化により、鉢はプラスチックになり大きさも小さくなりました。土も軽くてよい土が開発され、とても軽くなり、昔に比べれば女性でも持ち運びしやすくなっています。昔は、やはり男性ばかりの職場でしたが、15年~20年ほど前から女性も活躍しなければ企業がやっていけないという世の中になり、女性を採用したことがありました。しかし、やはりしんどくて皆辞めてしまいました。そこで、今は採用試験に体力テストを取り入れています。スクワット100回や腕立て伏せなどです。するとだいぶ定着率がよくなりました。
一般家庭向けレンタルはしないのか?
一般家庭向けレンタルは、何十年も前からやらなければいけないと思っています。ひと昔前までは、一般家庭の植物は自分でかわいがるものでした。自分の家に業者が来て、水をやって育てたものを、レンタルだからまた返すというのは、馴染みませんでした。オフィスでは、植物の世話を社員がやらないという時代背景になってきていたので、レンタルが馴染みました。ところが、世の中がこれだけ発達してくると、いろんな人が出てきます。きれいなマンションに住んでいるから、植物を置きたいが世話はしたくない、そのような時代になってきつつあるのかな、とは思います。ですので、家庭向けレンタル植物は、チャレンジしなければいけないと思っています。
日米の従業員の違い
アメリカの従業員は、働く時間も短く、休日も多いです。なのに、商売が成り立っています。生産性が高いといえます。商品の値段が高く設定されてもいるんでしょう。日本とあまりにも違いますが、日本のようにしてくれと言っても無茶苦茶になりますので、なんとか日本の良さも加えていきながらやっていこうと今、スタッフが行って頑張っているところです。
経常利益20%
これまで、業績が非常に伸びてきています。特にここ5年ほどは急激に伸びています。零細企業の常として、売上を伸ばしても儲けた半分が税金で取られてしまいます。それが嫌で、売上をあまり増やさない零細企業も多くあります。ですので、税金のことは諦めて、利益を増やすという風に意識を変えることが大変なんです。たまたま、私の会社はその意識変革ができたんです。昔からうちの会社は経常利益を20%ほど出してきました。それは他の会社にはないことです。売上を伸ばすために、色々新しいことにチャレンジをすると、どうしてもすぐには利益が出ません。今度のアメリカでも投資して色々なことをしたので、四半期の利益は下がっています。いろいろなことをすると、売上は上がりますが、利益率は下がってしまいます。ある程度は仕方ないかと思っていますが、13%は切りたくないというのが目標です。ましてや10%を切ってはいけません。利益率を下げてでも売上を伸ばしたくなりますが、そこは我慢して利益率を保てば会社は安泰だと考えています。
将来の成長イメージ
将来目標は売上高100億円、経常利益13億円を目指しています。100億円というのは、商売をやっていると認められる最低の金額だと思います。ですので、一つの大きな目標は100億円です。また、世界一の園芸会社を作るという目標も掲げています。そのためには、売上高300億円が目標になります。我々の業界にすれば、とんでもない目標ですが、市場はあります。
後継者について
後継者については、社内で人を育てていくことを考えています。次の人を育てて継いでいくためには、やはり会社は上場会社でないとダメだと思います。今、経営の中核を担っている人間は50歳くらいの者です。その次に40代、30代と10年おきに経営を担う人間を育てていかなければいけないと、社員にはいっています。確実に人は育ってくれるでしょうし、やっている仕事に夢や希望があれば、人はやる気が出てきますので、後継者については心配していません。また、市場のステップアップについても目指そうと考えています。
個人投資家の皆さんに一言
地味な業界ですが、そんな業界で金字塔を打ち立てようと頑張っています。ぜひ応援していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。