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リンゴの皮むき工法で知られるベステラ(1433)。吉野社長にインタビュー!


【1433】ベステラ

開催日2019年 03月 26日
出演吉野 佳秀 社長

ベステラの吉野 佳秀社長に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューしました。

ベステラという社名の由来

ベステラという社名ですが、今は横文字の名前が当たり前のようになりましたが、40年以上前にベストと、テラというラテン語で地球や大地という意味の言葉で、この素晴らしい地球をという、合成語を作りました。非常に当時はユニークでした。しかも名古屋のど田舎でプラント解体の専門会社を作るという非常にユニークなスタートはさせていただきました。

 

幼少の頃から、名古屋を出て東京でプラント解体を始めるまで

1974年設立になります。この時私は31歳でした。
会社を作りましたが、名古屋のマーケットが小さかったということもございましたし、私どもの会社の規模が小さすぎてなかなかお相手をして頂ける、いわゆる仕事をいただける状況ではなかったです。当時から解体の仕事はございましたが、プラントそのものがそんなに多くなかったですから、頻繁にあるわけではなかったんです。例えばプラントの中の一変圧器ですとかモーターですとか、プラントの中の主要な機器の解体というのはございました。ですから、そういうところから仕事がスタートしたというふうにお考えいただいて結構かと思います。

私は、12歳で父親を亡くしまして、当時家は貧乏のどん底にあったと思うんですが、しかしどうして5万円のお金があったのかわかりませんが、高校1年生15歳の時に、その5万円のお金を持って、名古屋の小さな株屋さん行って、株をくださいと買いにいきました。私は何かで株という話を聞いて買わずにはいられないということで、とにかく株だ株だということで行って、15歳で株を買いました。当時株屋さんが、気を使っていただきまして、忘れもしません、合併前の富士製鉄の株を96円で500株を買って、5万円で少しお釣りを頂いた、そういう記憶があります。でその時にもらったか株主番号は今でも持っております。富士製鉄の株主番号ですか5000番台から始まって5000番台の若い番号の株主番号でした。ずいぶん株は増えて、売却して300株ほど端株で残ったものが延々と残ってました。ですから今でも配当いただいております。当時は信じられないことが起こりまして、2割配当でした。それから2年に1回ぐらい増資をしておりまして、増資、それから2割配当ということを2年おきに繰り返しておりました。で18歳で働くようになりまして、今度は楽しくて、自分のお金で投資ができるわけですから、地元のトヨタ自動車の株だとか素晴らしい株でした。100円の株が1000円になるので、笑いが止まらないぐらい素晴らしい高度成長の時代でございました。ですからその時代に、初任給がまだ1万円ちょっとぐらいの頃の話しですが、25歳ぐらいまで働いて、株式投資をして稼いだお金が約4000万くらいありました。
当時の4000万なので、今だと何億ということだろうと思いますが、泡銭は身につかずでして、 会社を作ったりして全部使い切りました。40歳の時には、逆に4千万くらいの借金ができまして、名古屋を離れて東京に出稼ぎに来きました。若くて元気だったんですね。
東京に行って、何が起こるか分からなかったんですが、もっと大きな世界に行ってみようということで、引越し荷物を自分のトラックの上に積んで、自分で運転して出てきました。私は名古屋を出るときに、東京行くと言って出たんですが名古屋の私の友人たちはとうとうあいつは夜逃げしたということで、夜逃げの話がずいぶん広がりました。
私も東京へ行くと言って出たんですが、東京にはとてもいけませんでして、東京を通り越して、千葉県八街市という田舎行きまして、十数年そこで苦しい生活が始まったわけです。そこでもやはりプラント解体をやっていましたけど、やはり同じように仕事がない、仲間がいない、お金はない、借金はあるというような状況でした。

リンゴの皮むき工法を思いつく

50歳をちょっと過ぎたくらいですね。東京に出て来て10年ちょっと経った頃です。
このままでは、東京では勝てないと、どうしたら勝てるだろうかということを真剣に考えていました。このまま一生を終わっていいんだろうかと、いやそれは自分自身が許せないということで、一番勉強したのはプラントそのものの仕組みです。石油プラント、化学工業プラント、製鉄のプラント、いろんなプラントの仕組みを勉強する、まず誰よりもよく知ることが大事だということから始めました。
それからお客様が一体何を欲しがっていらっしゃるのかと、プラントをお持ちのお客様が何を欲しがっていらっしゃるのかということを考えました。安い値段で工事をしてくださいよということなのか、合理的に新しい工法を求めていらっしゃるのかということを真剣に考えました。そして、気がついたことがあります。それは作った人には壊せないということです。作った方は必ず、地球の大きな力に勝つために、しっかりした基礎を作り、クレーンを置き、そして足場を組んで作ったと同じように上から下してくると。逆の手順しかできない。
自分の家を壊すときに、大工さんに壊してくれとお願いする方は多分いらっしゃらないと思います。だって大工さんは壊し方知らないですから。あの人は作る人ですから。あの人にもし家の解体を頼んだら、3倍も4倍も取られると思います。屋根瓦を外し、畳を出し、障子を外しと作った逆をされるはずですね。ですから大工さんに壊し方が分かるはずがない。プラントを作った方も、作ることの専門家の方々が壊せといっても、壊す手順はわかるわけがないし、壊し方を知らない。ですから、そうだ、我々はあの作った方々が全部地球の大きな力と戦っている中で、我々はこの地球の大きな力を利用して地球の大きな力に助けていただければ、壊す人の解体ができるんじゃないかという、この発想に行き着いたんです。絶対に、作る人にはできない発想が我々壊す人の中から生まれてきた、これが私の最大の転機50歳過ぎてからだと思います。

プラントとは基本的には金属でできているもの、大きな装置、橋や煙突、製鐵の溶鉱炉、製油、石油化学プラントであったり、いろんなプラントがあります。こういうものはほとんど金属でできております。ですからビルだとか家のようなコンクリートや木でできているものは他の業種の方にお任せしまして、私どもは鉄でできている、金属でできているものだけをやります。これは、いろんな形でつながっております。配管だとか電線だとかいろんな形でつながって、一つの工場ができているわけです。非常に複雑ですので、この仕組みをわかってないと、なかなか解体が難しいし、爆発事故を起こしたり、火災事故があったり、いろんなガスが出たり事故が起こりうるんですが、仕組みをよく分かってきちっとその仕組みに準じて工事を進めていけば、非常にわかりやすい装置なんです。
プラントの特徴を植物が水と太陽の光から光合成をするように原材料 Aと Bが入ってきて、その装置の中で合成されて新しいCという製品が生まれるわけです。AとBとそれから生まれてくるCとは全く違うものが生まれてくるんですね。ということは、AとBを原材料にして、Cを生むためには、必ずそれぞれの仕組みがないと合成が起こらないということで、そういう面ではこの仕組みさえ知っておけば、このプラントを壊すのはそんなに難しいことではないです。
プラント解体を専門にしている会社は、今まではなかったと思います。
建物を解体する業者の方々はたくさんいらっしゃいますけれども、プラントに特化した会社はたぶん私どもしかないと思います。ましてや上場している会社となると私どもしかないと思います。
どういうところが競合になるかとよく聞かれますが、競合になる会社は直接はないんです。
プラントを作っておられる会社、いわゆる工事会社、千代田化工さんとか、プラントエンジニアリングの会社が工場に出入りしておられますので、そういうところが窓口になって解体をするということが今まで多かったです。ですが、考えてみるとあの方々もみんな作った方なんです。メーカーとは違いますが、組み立てをやった方なんです。メンテナンスをやってた方なんですね。ですからこの仕組みを変えなければいけないということで我々が名乗り出たわけです。
解体する人ならではの考え方の中でも特に特徴的なのが、りんご皮むき工法です。
ちょうど今豊洲に新しい市場が出来ました。あの豊洲の新しい市場の元は東京ガスの豊洲工場だったんですね。あそこにガスタンクが10基くらいありました。丸い球形のタンクです。あれを壊さなくてはいけないが、どうしたらあの仕事がいただけるだろうかと考えました。
大きなものは直径40メートル、圧力が10気圧くらいあるので、この容積の10倍くらいのガスが入るわけです。これを開発で壊すわけです。
なんとか仕事が欲しいということで、3年以上眺めてたんです。
3年以上隣の東京電力から、毎日のように「仕事がほしい、仕事がほしい」と眺めていて、フッと思いついたのがあのりんご皮むき工法でした。

あの巨大な40メートルのタンクを下から覗いてますと、まるで巨大なんです。
上から切ったやつをドーンと落とすと、中のタンクの底に当たってガンガンと音がします。しかし、もし底がなかったら、地面に落ちるだろう。
一番下を見てると巨大ですから、これがなければ、上から切ったやつは下に落ちる。
片付けてまた次のやつは下に落ちてくる、また片付ければなんとか解体できそうだと。それは「吉野、お前ね、50年以上貧乏のどん底で確かに若い時に少し株で儲けたかも分からないんだけども、人生の大半は恥ずかしくて言えないくらい貧乏してたお前にね、一度だけチャンスをやるよ」と、あの信じてない神様がそっと背中を押してくれたんだと、身震いしました。
そうだ、つないだままでいいんだと。つないだままだと、自分の重さで重力があるから、どんどん下に落ちてくる、切って落とさなくていいんだと、気がついた瞬間に身震いがしたのと、あ、ひょっとしたら自分の人生が少し変わるのかなと予感がしました。

これは、ガスの業界ではガスホルダーと言います。石油関係の会社ではガスタンクと言います。この一番底を取っちゃうんです。そして、今もう少し広げました。上から落ちてくるのを助けるために。まず下を取って、あとは、リンゴの皮をむくように、どんどん繋がったまま切っていきます。繋がってますから、自分の重みで下に落ちていきます。ほうっておいても、下に落ちていきます。
これが下から見た絵ですね。
今あの真ん中の上にあるところが一番頂上の部分です。
頂部のてっぺんを2周くらい切ったところです。自分の重みで下に落ちてきていますね。
これは非常にきれいなところですね。
だんだん下へ落ちていきます。きれいですね。たまりませんね。これこそ解体の美なんですね。外に出ません、自分の中に落ちていきますから。安全ですし早いです。

当然工期が短くて済みますから安くできます。
従来の考え方の、予算で3分の1ぐらいの値段でこの工事ができるようになりまして、世の中の仕組みを変えることになりました。
これは今我々のあのリンゴスターというロボットで切っているのかもわかりません。
リンゴスターというロボットも作りました。最後に縦に切って、これが終了すると柱を取り、これで終わるわけです。

ですので、今までのやり方を全部そっくり変えてしまったというわけです。
立体にあったものがとちょうど蛇がとぐろを巻くように平面になった。ですから風が吹いても安全ですし、人が長期間上に上がらなくてもいい、しかも足場もいらない。中に落ちるから何の危険もないわけです。ゲームのやり方を変えたということで、リンゴ工法は画期的なものになりました。

3年以上遠くから眺めながらあの工法を思いついたわけです。仕事がほしかったということで、仕事をいただいたわけではなくて、新しい工法を考えることによって仕事をいただいて、会社が利益を得ることができたわけです。ああ、このことなんだと、お客様が欲しがってるのは新しい解体の方法を欲しがっているんだと気付いたんです。

我々は一番下流の、現場で仕事をする部分は監督だけを残して、後は捨てよう、もしくは逆に上流の部分、考える力、工事を計画する力、お客様に説明する力を充実させることによって、プラント解体工事の設計をする会社にしていくべきだと考えました。
工事会社としての工事をする部分は外注する。むしろすべての能力は前半、設計の方に集中して新しい工法を考え、そしてそれをどうやって計画書に落とし込んで役所の手続きをするか。また、先方のプラントメーカーの会社の方が、会社の中で予算を取らないといけません。会社の中で稟議をとって工事計画を承認していただくためには、計画書を作り、予算を作り、それで先にプラントを持っている会社の中で予算を通していただいて初めてこの計画案は表に出ていくわけですね。

観光庁の届出をしたり、入札のための手続きの資料にしたり、この基本的な部分を我々がやるべきだと考えました。
プラントを持っている会社の方々は壊したことがない方ですし、壊すことは知らないわけです。まして50年ぐらい経ったプラントですから、その時に作った方はもう会社におりません。若い方々が解体の工事の計画をするといってもプラントの運転をしていた方が解体をご存じなわけはないですので、我々が先に行って、その会社の方に代わって工事の計画をして差し上げるわけです。先に乗り込んで、工事の計画をしてさしあげるわけです。先方の会社の係員の代わりに、専門家としてのアドバイスとそれから問題点、予算の作成、工事の計画、こういうものを全部して差し上げるのが我々の仕事ですね。

日揮とか千代田化工さんとかが作る側のエンジニアリングの会社であるとするならば、ベステラはこれを解体していく側のエンジニアリングの会社です。
作った人には壊せない、作った方々は壊し方をご存知ない。いずれまた我々のところに発注が来るんですね。今大きなプランを持っているお客様が皆その仕組みがやっと分かってきたわけです。作る人と壊す人は違うんだと。上場したと言う知名度もやっといただけましたので、あそこに頼めばいいんだということで今いろんなところから新しい発注をいただいております。
今まで下請けの工事が多かったんですが元請けの工事が多くなっております。下請けと言いましても、各電力会社、製鉄会社、石油会社、全部子会社を持っています。〇〇エンジニアリングという企業があります。実際にはそこが元請けになるんですが、同じ会社だということで、我々が元請けと言っても、過言ではないといえます。

自分たちで施工するんではなく主にエンジニアリングなので66名という従業員数になっています。工事の計画やサポートをする部分がありまして、実際に現場で管理をする人たちは30名ちょっとくらいしかおりません。基本的に30数名の人たちが年間で50億くらいの工事を施工する、ですから1人あたりだいたい1億5000万から2億くらいの工事を年間でやって行きます。
お客様が求めていらっしゃることは新しい壊し方なんだということです。壊すということは芸術だと。作るだけが芸術じゃない、壊すことも芸術なんです。地球の大きな力を巧みに利用して、その力を借りながらいかに省力化し、合理化し簡単に安く早く壊すかです。より安くより早くより安全にが我々のモットーなんですけれど、安全にが付かなくてはいけないんです。もう一つ付け加えるなら、最後にもう一つより安全にの後に安心してお任せくださいと、安心もつけて差し上げなければいけないと思います。
我々は今、成立させた特許は20数件になります。ほとんどが工法の特許です。
これが今の特許の数でございます。
左側のものは、全部成立した特許です。タンク、ボイラ、煙突という大きなくくりがございますが、これはほとんどが火力発電所の解体のための特許です。火力発電にあるタンク、ボイラ、煙突を解体するためにこういう工法の特許が必要だということで出したものです。
この辺までは私が考えた工法です。最近は若い人たちがいろいろ考えたものが特許として出ております。そういう面では、いいDNAを伝えることができたと思っています。

これからの成長戦略

右側にあるのは、風車です。世界中に風力発電の風車がたくさんございます。風力発電の風車です。これも、壊し方を考えた人は誰もいなかったんですがこの風力発電を壊すということで、3つほど特許を出させていただいております。

初期に作られたものは、キャパという規模が小さすぎます。発電量が小さすぎます。また、初期に作られたものは羽根が回転すると、音がするという、いわゆる近隣に迷惑をかけるということがあります。それから、地方自治体が、何か特別な目的があったわけでなく、我々こうゆうエコなことをやってますよという、公園の中に用もないのに半分見せるためだけの風車があったりします。
今日本全体では正確な数字はちょっと分かりませんが、2017年末に2225基と書いています。たぶん今3000基くらいあると思います。
ところが外国へ行きますと、何十万基とあるわけです。34万基と書いてますね。
同じものが外国にあるわけですから、いずれ我々は外国にも出ていかなければいけないのかなと思っています。

風力発電に関する特許も3つほど出しております。
今は、風車を作ったのと同じ方法で、クレーンを置いて釣って下すという方法でやっております。もともと一番簡単に考えるんでしたら、根元から倒してやればいいんです。
根元から倒せば誰も上に上がらなくていいので、安全に解体できます。けれど、これは、場所によって出来るところと出来ないところがあります。
基本的には倒すことが一番簡単です。地球の力を借りるということでは合理的なやり方だと思います。
新しい工法をお客様が知ってくれるとありがたいんですが、我々の会社が小さいため、「お前らのアイディアを俺たちが使うわけにはいかんだろう」などと言われたこともありました。
我々は上場する理由のひとつに、「お前らのような小さな会社の技術を我々が使うわけでいかんだろう」というこれを、なんとかしなければいけないと思ったんです。作った人達の発想をなんとかして変えなければいけないと。「お前らの」という言葉を「あなたたちの力を借りたい」と言わせたかったんですね。それが我々が上場する最大の目的であったわけです。

我々四十数年で地道にやってきまして、リンゴ工法が生まれてからは、利益も本当出るようになりましたしお金はたくさんあったんです。お金はたくさんある、お客さんはたくさんいらっしゃる、でなんで上場しなくてはいけないのかとよく言われました。でもそうじゃないんです。
我々は世の中の仕組みを変えたいんです。世の中の仕組みを変えることによって、解体というのがこんなに美しいものなんだと、こんなに沢山の需要があるんだと、これからも必要な役割なんだということをわかっていただきたいという風に思いました。
上場して、まず優秀な人たちが会社に仲間として入って来てくださいましたね。人的な資源が最大の効果でございます。それから金融機関が、我々は特に資金を必要としないんですけども、とにかくお金を使ってくれと来てくださるようになりました。今まで背を向けていた人たちがにわかに来てくださるようになりました。それから最大の変化は、本当にプラント解体の専門がいたんだと、それまでそんな会社があると知らなかったけど本当にいたんだったらあなたがたにお願いしようという人達が少しずつ出てこられました。

最大のお客様は、日立プラントさんなんですね。あの日立さんが我々にプラント解体、特に原子力のプラント解体を一緒にやっていただけないかという、提携の申し出をくださったんです。もちろん日立という会社は作られる会社で、たくさんの原発を作ってこられたわけですけど、解体をするということはこれから始まることです。我々原発というと福島の爆発事故が起こった1号機~4号機のことを気にしますが、今廃炉が決まった原発が既に24基あります。電力会社だけで60基の原子炉がありますが、廃炉を決めたのが既にに24基です。東北電力の女川から福島の福島原発の福島第一が6基、これは事故のあったやつですが、そのとなりに4基ありまして、計10基あります。東京電力で10基です。それから東海は原電事業で電力会社とは違います。浜岡に2基、これは中部電力です。伊方は四国電力です。玄海は九州電力です。
島根にあるのは中国電力です。大飯と美浜は関西電力。敦賀も原電事業です。能登半島の先に佐渡島があって、佐渡島のですぐ下に、東京電力の柏崎の刈羽原発が7基あります。東京電力は福島に10機と、刈羽に7基と全部で17基持っとるわけですが、実際に稼働できる原発は2~3基なのかな。17基のうち15基前後は廃炉にしなくてはいけません。
北海道電力は何の印もありません。小樽のところ、凹んだ積丹半島のところに泊原発というのがあるんです。泊原発に北海道原発が2基持っていますが最近の新聞報道によりますと、泊原発のしたに活断層があるんではないかと言われています。ということで活断層がないということを北海道電力さんは証明をしてくださいと、それが証明できない限り再稼働はできませんこういうことです。そうするとここにあるうち、まだ計画にないものも含めて、60基のうち3分の2くらいは廃炉になっていくのではないかという風に思われています。これはベステラにとっては大チャンスです。
日立さんとの提携があります。私どもだけでは人数少ないので、呼び掛けたのが40年来の仲間でありました一部上場会社の第一カッターさんです。第一カッターさんに協力をお願いしましたら、第一カッターさんも一緒にやろうということになりした。
日立プラントさんが上にございまして、これから廃炉をやっていこうということで、我々と第一カッターさんでプラットフォームを作ろうと、プラント解体技術のプラットフォームを作り、ここに各電力会社、例えば九州電力、四国電力、中国電力、北海道電力といろんなところに地元に業者がいらっしゃいますので、この地元の業者をこのプラットフォームの中にのせていきたいですね。そして、強力なプラットフォーム作りをして、どこの原発でも対応できるような仕組みを我々が発信元になってやっていきたいということです。日立さんの営業も含めて、誰かがやらなきゃいけない、でも誰も真剣に考えていないけど、誰かがやらなきゃいけない原発のこのビジネスを、我々が真っ先に手を挙げてやろうこういうふうに決めたわけです。
そのために先ほど申し上げました特許がございました。二十数件の特許はほとんど火力発電の特許だというふうに申し上げました。原子力発電所と火力発電所の根本的な違いは何かというと、水を蒸気にする仕組みが違うんです。
蒸気を作るということでは共通しててですね、作った蒸気でタービンを回して電気を起こすのも一緒です。
水をどうやって沸騰させるかという仕組みだけが違うんです。これを核融合反応によって蒸気を作り出すという原子力発電と、石油だとか石炭だとか天然ガスだとか、化石燃料を炊いて水を沸騰させ蒸気を作るという、この仕組みだけです。
だからボイラーなのか原子炉なのかとのいう、ここだけが違うんです。
あとは全部一緒です。ですから我々が今まで作ってきた二十数件の特許、火力発電所の解体に関する特許は、これから原子力発電所に活きてくるんですね。使えるわけです。でこのたくさん我々が持ってる、ボイラー・タンク・煙突・クレーン、また、 3Dで計測して3Dで計測した計測データを基に計画書を作るという画期的なことも今やっております。それから今日お話ししませんでしたけれども、我々無火気工法という火を使わない原発用の解体の工法、火を使わないで解体をするということをやっています。今主に巨大な変圧器を 、原子力発電所の変圧器もやりました。誰も壊せないというものを火を使わないで500トンもあるような大きな変圧器を解体して、電力会社から非常にお褒めをいただきました。油がいっぱい浸み込んだものですので、火を使ったら燎原の火のように燃えがりますので火は使えません。それからもう一つは、PCBという有害物質が含まれているケースが多いということです。
そうすると火が使えない、ましてやPCBという有害物質がある場所で火を使うとどうなるかというと、ダイオキシンやPCBだとか有害物質は3000度で溶かしますと、その有害物質がガスになるんです。ガス化するんです。そうするとマスクで吸えなくなるんです。ほこりでしたらマスクで吸えますけどマスクで吸えなくなるんです。ですので、一切高温になる、火を使うような解体はしていけませんというのが、この原子力発電所の中の変圧器ですとか燃えるものに対する解体です。我々40数年前からずっとやり続けてきたことが、今まさに原子力発電所のところで脚光浴びる、我々の新しい持っている技術を再発見してもらうということでは非常に役に立っているということになります。

このグラフは、横軸に50年くらいの年数が出ていて、縦軸に何10兆円という建設投資額、ビルも何もかもを含んだ全体の建設投資額が書いています。1965年、東京オリンピックが開かれたのがその前年の1964年です。50年前のプラントっていうのは、10兆円ぐらいの建設投資額のところですね。今我々が壊してるのは、この頃にできたものです。その後建設投資額はうなぎ登りに上がっていって、90年にピークアウトしましたけれども、それでも80兆円を超えるところでピークアウトしましたが、今でも50兆円を超える建設投資が続いています。
これから我々の目の前に現れるのは、この大きな波です。この波が我々の前に順次現れてくるわけです。
原発もこのころに作られたんです。
まだこれからのビジネスですね。

これから古くなって効率が悪くなったり、企業は再編成が進んいます。石油業界も造船の業界も、セメントの業界もすべてのところで企業合併が行われております。余剰設備を持っている理由がなくなってきたんですよ。ですから余剰設備を壊そうよと、政府も余剰設備の解体には補助金を出して解体しなさいよと後押ししています。
政府は作れ作れと言って作ってきたわけです。ところが今度は油でいうと燃料をそんなに使わなくてもいい車も増えてきました。ハイブリットや電気自動車ができたり、油はそんなに使用されないような時代になってきました。若い方も車離れが起きています。そうすると当然設備は縮小していかないといけません。企業合併も進んでいます。出光とシェルが合併したり、三菱と日石が合併したりと企業合併も進んでおりますから余剰設備をお互いに持っている必要がなくなりました。政府はエネルギー基本計画というので、こういう計画で生産設備を縮小したりするところには、解体に費用を出しましょうとあります。もっと分かりやすく言いますとガソリンスタンドが少なくなりました。ガソリンスタンドは一番多い時は6万3000件あったんです。6万3000件あってこれを減らさなくてはいけない、半分にしなくてはいけないということで、ガソリンスタンドを壊すために政府は全部補助金を付けたんです。だからガソリンスタンドは構造的に少なくなりました。
世の中6万件を超えると、自然淘汰されるという、そういう小売業の原則があります。6万件を超えたところとしてはクリーニング業界とガソリンスタンドがあります。今まもなくコンビニが6万件に達しようとしています。どうなるかわかりません。

会社の売上は、15億とか20億とか、40億と、今季は約50億ですね。
我々は工事をやっておりますので、一本調子で延びていくワケにはいかないです。その代わり地道に売り上げを伸ばしていきます。右側の営業利益が、少しででこぼこがあるように見えるのは、これは工事の完成基準というところですね。5億円の工事が1ヶ月先にずれると工事の利益が全部次の期に移ってしまうんですね。そういうことがありまして、バラつきができます。平均的には同じように伸びております。でこういう見えにくいのをなくそうということで、監査法人の皆さんとも十分話をしまして完成基準から進行基準にして平準化していこうということで、非常に平準化されて毎期の売上が10億10億10億くらいいって、最後の期に20億近くポンと上がって、非常に綺麗な売上のカーブを四半期決算で出せるようになっております。一時、期完成期基準ででこぼこがありましたが、間違いなく同じ基準で同じように伸びてきているというふうにお考えいただければと思います。
この先についてもかなり積極的に売上が伸びていく計画です。
ゲームの仕方を変えなきゃいかんと思っています
先にあった新しい原子力発電所の解体は、これから30年40年、ひょっとすると100年くらい続いていくかと思いますが、私の時代を過ぎて若い人たちの時代に残していかなければいけない大事なプラットフォーム作りを今我々は達成しなければいけないと考えています。将来的には最後の表にありますけど、1000億という、50億の会社が1000億という大ぼらをふいたわけです。この1000億、社長 お気は確かですかとよく聞かれるんですが、いや大真面目ですと。できれば私の代に成し遂げたいと思っております。
今我々の基本的なコアの部分でやっている仕事は、3年経っても70億ちょっとくらいしか行かないという集計をだしております。では、ここまで行くのにあと30年くらいかかりますかということになりますが、いやそうではありませんと。我々はコアの部分で一生懸命力をつけながら新しいプラットフォームを作ることによってこの1000億の達成を成し遂げたいとこのように思っております。
で当然誰が見ても無理な話なんですが、しかしこれを目指してやろうとする気持ちにはいささかも変わりはありません。原発をこれからの最大のビジネスのチャンスして捉えて、廃炉工事に向かっていくということ、仲間を増やさなくてはいけないということ、それから安易なM&Aをやるんじゃなくて、もっと仲間を増やすことによって、お互いに資本をもち合いながらアライアンスを強化していくという、このM&Aによって、この大目標を達成してみたいなと思っております。

英語が得意じゃないものですから、もちろん中国語を話せませんので外国の解体現場を見たことがないんです。ですが、我々と同じ気持ちの会社は外国にたくさんあると思うんです。なぜかというと同じ設備は外国に必ずあるんです。ガスタンクも石油プラントも、製鉄工場も全部あります。むしろ私どもは外国の方々がどういう壊し方をやっているのか、1回教えていただきたいくらいなんですね。日本の日本伝統の美しい合理的な解体を外国に持って行きたいです。
日本のこの優しい綺麗な美しい解体を外国に持っていくことも絶対必要なことだろうと、この繊細な技術はで必ずできるはずです。
あのダイナマイトでダーっとやって、誇りがワーと舞うようなあれは見たくないと思いますね。知らない間になくなっていると、この美しい合理的な解体をぜひともどっかに持っていきたいと思っています。

仕事をする上で大事にしていることは日々研鑽すること、仲間を増やすことでしょうね。
もうこれ以外ないと思います。毎日毎日考え続けなくてはいけないんですね。あのボーッとしてたらチコちゃんに怒られます。
毎日考える。日々研鑽。
人間は身震いがします。何かを発想したとき、ロボットではできない、人工知能ができない、人間は何かを思いついたとき身震いします。
この身震いをした時に本物の知恵が生まれるわけです。身震いする、これだと思います。

個人投資家へのメッセージ

会社をつくって50年近くなりますが、日々研鑽を忘れたことはありません。
これからももっともっといい仕事、そして良い発想を、この社会に世の中にご提案させて頂きたい。そして我々が壊していくプラントから新しい世界が、新しいアイディアが生まれてくる、その礎に我々なっていければ、こんなに幸せなことはない。
たった一回の人生たった一度の機会しかない、これを一生懸命生きなかったら何のために生きてきたのか意味がないと思います。燃え尽きるまで一生懸命生きたいと思います。
今日どうもありがとうございがとうございました

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