自動ドア用センサーでトップ!オプテックスG(6914)の小國社長にインタビュー!
【6914】オプテックスグループ
開催日 | 2019年 02月 19日 |
出演 | 小國 勇 社長 |
オプテックスの小國社長に経営理念や事業に対する想い、会社の将来像等をインタビューしました。
オプテックスグループ 小國 勇 社長
オプテックスに入社して今年で38年目になります。
会社は創立40年です。
創立の2年後に入社しましたので、38年目です。
オプテックスは1979年に設立されました。入社以来、部長まではずっと海外も含め営業畑を歩んできました。
役員になってからは経営企画などもしました。
本社は、滋賀県の大津市、琵琶湖のすぐそばにあります。周りは自然がいっぱいのとても環境のよい場所にあります。
売上高400億円の高収益企業。社名の由来は?
売上高401億円、営業利益で49億円という非常に高収益な会社です。
社名は、創業者が考えました。事業の方向性や内容がわかる社名にしようということで、光学技術のオプチカルテクノロジーに、無限を表すXを末尾に入れて、OPTEXという社名にしました。40年前には斬新な名前でした。
自動ドア用センサーを開発
創業の翌年1980年に世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサーを開発しました。
それまでは、自動ドアの開閉用センサーというのは、足でマットを踏むと中の接点がくっつき、ドアが開閉するというマット型のスイッチでした。
けれど、マット型では、体重の軽い子供ではドアが開かない、掃除の際に水をまいたり雨が降ったりすると、マットに水が入って故障が多いなどの問題点がありました。安全性や確実性に欠けていたわけです。
そこで鴨居のようなところに遠赤外線を受ける機械を取り付けるタイプを開発しました。温度により赤外線の量というのは変わります。ですので、地面の赤外線量と人間が来た時の赤外線量との差を検出する装置になっています。実はセキュリティのセンサーも同じ原理です。
接触するところが一切ないので、長寿命であり安全であるわけです。
これが、世界で初めての赤外線の自動センサーです。
もともとセキュリティセンサーからスタートしたオプテックスですが、ある展示会に創業者が出席した際、自動ドアを製造しているメーカーから、セキュリティセンサーのセンサーを自動ドアにも使えないかという話があり、そこから開発に結び付きました。
それが、世界初の遠赤外線を検出するセンサーになったわけです。今では、近赤外線という、センサーから赤外線を出し、返ってくる赤外線量の変化を検出するタイプになっています。マット式の自動ドアはもう使われていません。
国内シェア50%!
開発当初は、電話でのアポの際も、なかなか商品をお客様に理解していただけず苦労しました。デモンストレーションまでいけば、便利な商品だと採用されることが多かったのですが、デモンストレーションまでもっていくのが当初は難しく苦労しました。
最初、一番多く採用されたのが喫茶店やレストランの自動ドアでした。
飲食関係は衛生面から、できるだけ触らずにドアを開けたいという要望がありました。
愛知県では、今から40年ほど前に既に衛生のために自動ドアを推奨する条例がありました。ですので、愛知県での普及率は非常に高いものでした。
現在では、ほとんどの官公庁、民間のビル、飲食店だけでなく様々な店舗でオプテックスの自動ドアセンサーが使用されています。マンションなどではセキュリティを絡めた自動ドアが採用されており、国内シェア50%以上のトップ企業となっています。海外でもシェア20%となっています。その他、新幹線の車両内の自動ドアにも採用されています。今後、一番車両数の多い東海新幹線にも使っていただくことになっています。また、セキュリティを兼ねたカードで開くタイプの自動ドアなども作っています。
最新の画像認識センサー
最新のものでは、カメラの画像認識で動作するセンサーがあります。
通常の自動ドアは、ドアの前に人が立つとドアが開きます。このような自動ドアでは、お客さんがお店に入って来られない場合でも、前を通っただけでドアが開いてしまうことがあります。例えばこれが夏ですと、せっかく冷房が効いていても、熱い外気が中に入ってしまい、電気代が上がったりということがおきます。
そのような問題を解消するのが、新しいeスムースセンサーです。中に入ってくる人なのか違うのかをカメラで認識して、人が中に入ってくる場合だけドアを開けるシステムです。また、人の歩く速度も認識し、早く歩いてくる場合には早くドアが開きぶつからないようになっています。ゆっくりだとゆっくり開きます。これで、安全性に加え、空気の流入を効率よく抑えることで省エネにつながっています。車椅子の方が、自動ドアに挟まれるという事故も昔はありましたが、このセンサーでは、そのようなこともなく安全に通ることができます。
海外への展開
自動ドアは、海外ではヨーロッパが普及していますが、競争相手もあり、まだ、日本ほどのマーケットシェアは獲得できていないので、今後伸ばしていきたいと考えています。
全社的な売上等をみると、前期2018年12月期の売り上げ401億円のうち、国内の売り上げが43%、欧州中東アフリカが32%、アジアオセアニアが13%、北中南米が12%という分布になっています。
今後さらにというと、北米、アジアはまだまだマーケットシェアが低い地域なので、特に伸ばしていきたいと考えています。
商品の種類別で見ると、自動ドアのシェアは高いですが、全社の売上でいうと大体11%です。
特に売上のシェアで大きいのが防犯という分野になります。これは、屋外用の防犯センサーとなっています。
セキュリティのセンサーを一番最初に始めた際、室内に侵入者があれば検出をするというセンサーからスタートしました。現在もそのセンサーは主力としてあります。
しかし、よく考えれば、部屋の中あるいは建物の中に入られてから検出したのでは遅いだろうということで、36~7年前から屋外用の防犯センサーの開発に取り組んでいます。建物の中に進入する前に検出して侵入を防ぐというものです。
建物の周囲を警戒する、あるいは窓がいくつもあるところでは、壁伝いのところを警備し、そこに人が来た時にはON-OFF信号を出し、警備会社に信号を送るシステムです。警備会社に信号が行くと、巡回で回っている警備会社のパトカーに連絡が行き、警備員が現場に急行します。そこで何か不穏な動きがあると、その場所を見張りながら警察に連絡するという流れになります。
この屋外用侵入検知センサーは世界でシェア40%となっています。40年近く開発を続けています。金額的には100億円ぐらいの金額です。つまり全世界で400億円ぐらいのマーケットということです。あまり大きなマーケットとは言えません。
実は室内の方がマーケットが大きいです。
なぜなら屋外では誤動作をする要因が多いため、屋外用センサーを付けたいと思う人があまり多くありません。誤作動とは、人が来ていないのに、犬や猫、雨、葉っぱなどでセンサーが反応してしまうことです。誤動作してしまうと、警備会社からするとコストがあがってしまい困ります。ですが、葉っぱが飛んでくる、犬が横切る、雨が降るなど、実はこのセンサーの中では、いろいろな信号が出ています。このような信号は葉っぱである、あるいは雨であるとちゃんとセンサーは区別しています。長い間情報を蓄積していないと、そのような区別をするノウハウはないのですが、長い間やっていると、こういう波形が出るとこのような物だというのがわかるわけです。これが他社との差別化となっています。
他の会社はあまり屋外用センサーを主力ではやりたがっていないのですが、我々は積極的にやっており、全世界でのシェア40%を獲得しています。
グローバルニッチNO.1を目指して
グローバルニッチナンバーワンという言葉を我々は使っています。ニッチ分野というのは、世界的に見て1000億円以下のマーケット、市場規模を言います。しかし我々は、もっと小さな400億円、300億円のマーケットではあるけれども、実は全世界にあるマーケットでNO.1を目指そうと考えています。
例えば自動ドアのセンサーもまだマーケットとしては、200億円はないと思います。そこで、我々はマーケットシェア30%を獲得しているわけです。まさにニッチな領域で全世界ナンバー1をとるということです。
グローバルニッチの一番のミソは、ビジネスチャンスはあるけれど、それほど大きなマーケットではないということです。それほど大きな売り上げにはつながらないので、大企業が参入しようとはしない分野だということです。しかし、あまりにも小さい企業では、全世界にマーケットはあるわけなので、世界的な展開はできません。全世界に展開するにはそれなりの体力も必要なわけです。そのような分野を狙っているのです。まさに、ニッチではあるけれど全世界にあるマーケット、これをグローバルニッチと呼んで、そこでナンバーワンをとろうとしています。それを、いろいろな製品分野で達成してきており、現在3分野でNO.1を獲得しています。我々は、「小さな池の大きな鯉になろう」と社内でも言っております。
海外への輸出、FA製品
工場は日本と中国にあり、産業用のセンサーを作っています。売上で21%を占める、FA(ファクトリー・オートメーション)分野の製品を作ってヨーロッパにも輸出しています。
ジックというドイツの会社と提携をし、我々が中国や日本の工場で作ったものをジック社に販売し、ジック社がそれをヨーロッパで販売しております。
ファクトリーオートメーションの製品の一つにシュリンク装着機というものがあります。賞味期限の日付の印字がズレることがあるのですが、それをカメラで検出します。文字を認識し、間違った印字があるとNGの信号が出ます。信号が出ると、その商品をハネたり、あるいはラインを止めるなど行います。このような画像認識が使用されています。また、正しいラベルが商品に貼られているかを検査するセンサーもあります。商品にキャップがきちんとはまっているか、違う商品のキャップがされていないか、など検査するカメラやセンサーもあります。また、イチゴの向きをカメラで認識し、情報をデータ化して同じ向きにケーキの上にのせるというような製品もあります。これを応用して、コンビニのお弁当パックにロボットがおかずをのせていくような場面で使われたりしています。
また、製品にへこみや歪みがないかを検査する際の照明として使われている製品もあります。暗い状態ではカメラからするとよく見えないので、光らすことによって傷を見えやすくするという役割があります。
どのような周波数でどのような光を当てればよいかを事前に調査しロボットに搭載しています。このマシンビジョン照明も全世界30%のシェアを獲得しています。国内ではシェア50%を越しています。この検査用照明は、CCSという上場会社を2016年に買収し、2018年に完全子会社化したものです。この照明も、長年のノウハウが必要で、他社にはなかなか真似できない製品となっています。現在では、大量生産のためだけでなく、品質向上のため、物づくりの自動化が進められています。人間が介在するとどうしてもミスが出るためです。機械のミスは、中途半端ではないので、ミスが出ればラインをすぐ止めると対応ができます。対応しやすいのです。物づくりは、経済の影響で落ち込むことはあってもなくなることはありません。ですので、中長期で見ると、ファクトリーオートメーションの業界は伸びていくと考えられます。たとえば、自動車をみてみると、電子部品の搭載の数は昔から比べると、2桁も3桁も増えています。ですので、検査をする場所というのはものすごく増えているわけです。ロボットも同じことです。今後は間と一緒にラインに入って働くロボット(協働ロボット)がますます増えるでしょう。ロボットが何かいろいろなことを人間に代わって行う場合、人間の目の部分がないと何も出来ません。ですからロボットが増えれば増えるほど目の部分が必要になってくると言えます。
ファクトリーオートメーションの分野では、より細かな判断をしていこうとしています。たとえば、形がバラバラなものを検査させることで判断のレベルを上げていこうとしているので、まさにAIも深く関わってくると考えています。
企業理念、第2期創業期
企業理念は、『「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す!」新しいことをやってみよう!』です。もともと創業者が40年前に会社を設立したときに、我々が世の中に受け入れていただくには、役に立つことでないと受け入れていただけないと考えたわけです。今までと同じことをやっていてもダメで、新しいことに挑戦して新しいものを提供していこう、と。そういう風土がないと前に進んでいけないわけです。実は2年前に持ち株会社化に体制を変えました。第二創業期と位置付け、もう1回原点に戻ろうということで、ベンチャースピリットあふれる企業集団目指そう、新しいことをやってみようということを理念にしております。
単純な言い方をすれば、定型業務であったとしても何か変えられないかということをみんなが考えよう、これが新しいことをやってみようということだと考えています。
そのような雰囲気や風土がないと、なかなか積極的な企業集団になれないです。だからもう1回問い直そうという形で、新たにまた企業理念の位置づけのし直しをしたわけです。
仕事へのこだわり、社会貢献
40年近く経ちますが、世界初の自動ドアセンサーをお客様にご説明し、感じていただき、最後には「いいなぁ」と言って採用していただいた当時のことが、今思ってもやはり一番楽しかったです。この時の経験があるからこそ、またさらに新しいものをという気持ちに今もなれるのだと思います。
仕事上の一番のこだわりは、日々向上心を持って前へ前へということです。そしてもう一つは凡事徹底ということです。どれだけ平凡なことであっても、何事でも徹底しないといけないということです。
社会貢献活動として、我々の子会社の中にアウトドアのスポーツクラブがありまして、滋賀県の小学生・中学生に体験学習をしていただいています。琵琶湖の生き物などを観ていただき、琵琶湖の湖面でカヌーに乗って水と遊んでもらう。こういうことを通じて、我々がいかに環境を大事にしていかなければいけないかということを体で知ってもらおうという活動をしています。年間で多い時には1万7000人くらい生徒さんに来ていただきました。最近は少子高齢化ですので1万3000人くらいに減りましたけどもご参加いただいています。
我々は、何千億円企業ではありませんが、グローバルニッチナンバーワンを目指し、そして世の中に奉献していこう、そのような思いで事業を展開しております。
私どもの会社に興味を持っていただければ非常に幸いです。