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バリュートレンド

廃棄物処理業界研究


廃棄物処理業界についてです。

廃棄物処理の流れをみてみましょう。廃棄物とはゴミです。紙ごみやプラスチックなどのゴミもありますし、し尿などもゴミです。ゴミは排出されて、再利用されるものもありますし、再利用されずにゴミ収集車で収集運搬され、再生されたり、中間処理を経て最終処分されたりするものもあります。

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廃棄物といっても、産業廃棄物と一般廃棄物があります。産業廃棄物とは、事業活動で生じた諸々のゴミで、事業者が処理の義務を負います。それに対し、一般廃棄物は家庭から出るゴミで、市町村が処理の義務を負います。産業廃棄物の量と一般廃棄物の量の比は9:1です。非常に多くの産業廃棄物が出ているわけです。

産業廃棄物処理業者は都道府県知事の許可制です。知事は、産業廃棄物の多量排出業者からの処理計画に基づき、処理業者への事業許可を与えています。廃棄物を処理してほしい企業は、処理する業者をある程度目星をつけたうえで、行政が許可を与えます。このような形態なので、競争は緩やかになります。価格競争になりにくいのです。産業廃棄物の量と処理業者の量がほぼイコールになるわけです。ですので、産業廃棄物業社のバリュートレンドをみるときれいな形になっています。そして、景気循環であることがわかります。産業が停滞すれば、廃棄物も減り業績も下がります。しかし、都道府県知事の許可制で守られているため、比較的景気循環の影響を受けても緩やかであります。

産業廃棄物の処理状況をみてみます。1年間に3億トンほどの産業廃棄物が出ます。そのうち19%は直接再生利用します。80%は中間処理をします。1%は直接最終処分します。技術が必要なのは中間処理です。ここで上場企業が頑張っています。ダイセキなどです。中間処理をして残ったものは、再生利生されたり最終処分されます。

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産業廃棄物排出量の推移をみてみましょう。

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波打ちながら徐々に減っています。市場規模は約4兆円です。

産業廃棄物の総排出量、再生利用量等のグラフです。

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再生利用が増えています。再生利用をするためには、中間処理が必要になります。

産業廃棄物の業種別排出量をみると、一番多いのが、電気・ガス熱供給・水道業です。次いで、農業・林業、建設業となっています。

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次はベステラの中期経営計画から、解体市場の拡大についての資料です。これをみると、建物の取り壊しは、これから増えていくことがわかります。建設関連の廃棄物は強含みです。

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同じようなことが、オカダアイヨンの資料にも載っています。解体マーケット需要はますますこれから増えていくようです。解体が多く発生すると、廃棄物も多く出ます。建設関連の廃棄物業界はこれから長いスパンで熱い業界であると予想できます。ですので、廃棄物の中でも、建設関連の廃棄物は注目度が高いです。

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廃棄物業界の中でも、得意分野が企業により細分化されているので、バッティングは少ないようです。そこからも、競争は比較的緩やかで収益性が高くなります。

産業廃棄物処理業の許可件数のグラフです。

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収集運搬事業者が一番多く、中間処分業者は約1万者、最終処分業者は800者となっています。最終処分には大きな装置が必要なので、数は少なくなっています。

代表的企業は、ダイセキです。その子会社にダイセキ環境ソリューションがあります。それからタケエイという建設関連の産業廃棄物を処理する企業があります。それからアミタ、リファインバース、エンビプロなどがあります。

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業界の特徴をまとめます。市場規模は4兆円弱で成熟しています。そして、許可制で供給量がコントロールされている、いいビジネスといえます。技術が必要な中間処理の付加価値が高く、そこに上場会社も集中しています。そして、ゴミの9割は産業廃棄物であり、景気循環の影響を受けます。産業廃棄物の多い業種は、電気・ガス・熱供給業・水道業、農業、林業、建設業です。そして、特に建設業は今後成長しそうなので注目です。

 

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