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介護業界研究


介護業界についてです。

市場規模は拡大しています。介護保険給付費と要介護認定者数のグラフです。

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介護保険給付費は、国が負担している9割部分の介護費になるので、実際の介護費はこれの1割増しになります。介護保険は2000年からできました。そこから2倍以上に給付費は増えています。

介護給付費は現在10.5兆円ですが、2025年には19.8兆円まで増える予測です。これは、高齢者の絶対数が増えるためです。団塊の世代が高齢者になります。

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75歳以上は後期高齢者と呼ばれます。層別人口の推移をみると、後期高齢者の人口は今後も2060年くらいまで増え続けます。

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介護、医療、医薬品のマーケットはその頃まで伸び続けるでしょう。団塊世代が後期高齢者になることと、長寿になってきていることで、後期高齢者人口は増えるでしょう。人口動態の観点から、介護業界はおそらく成長すると予想できます。

介護サービスの種類をみましょう。主な業態として、通所サービス、訪問サービス、有料老人ホームなどの施設などがあります。介護と似た言葉に看護があります。看護は治療や療養サポートのことで、介護は日常生活のサポートです。

要介護の方に提供する介護サービスはトータルで、9.2兆円ほどお金がかかっています。その中で、通所介護が1.1兆円、訪問介護が8500億円、通所リハビリテーションが4000億です。介護福祉施設サービス、いわゆる特養が1.7兆円です。介護保険施設サービス、いわゆる老健が1.2兆円、介護療養施設という医療行為を伴う施設に2600億円となっています。これは、公的な施設で行われているものについての金額です。

介護保険サービスの利用手続きについてです。

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サービスを受けたい人は診断を受けます。要支援1・2か要介護1~5に審査をうけます。審査に従って、これだけの予算でサポートを受けられますというような仕組みになっています。

介護事業者のビジネスモデルをみてみましょう。

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介護業界の収入は、利用者が1割を負担して、残りの9割は介護報酬として国から支払われます。その他、居住費や食費があります。支出面で一番多いのは、人件費です。例えば、訪問介護では、利用者1人当たりの収入が3751円に対して、人件費は77.5%です。通所介護では61.8%です。6割強が人件費になるわけです。非常に労働集約的です。

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収入の9割は国からですが、国からだけではありません。介護保険の運営主体は市町村で、40歳以上が加入し被保険者となり、給料から介護保険が天引きされます。9割のうち、半分は被保険者が支払ったものです。残り50%が公費ということで、国が25%、都道府県と市町村が12.5%ずつを負担しています。これだけ、公の資金が入っているので、介護報酬は公定価格です。介護報酬は3年に1度改定されます。

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大きな特徴としては、価格が公定価格であることと、労働集約的であるということです。

労働集約的であるため、この業界で起こっていることは人材不足です。有効求人倍率をみると、介護分野の求人倍率は3.57倍です。

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この人手不足を解消すると期待されているのが、外国人労働者です。外国人労働者を受け入れるルートとして、3つあります。1つは、EPA、経済連携協定に基づきインドネシア、フィリピン、ベトナムから介護人材を受け入れるものです。4年間ですが、介護福祉士の資格に合格すれば、永続的に滞在が可能になります。もう1つは、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。3年ないし5年日本で実習を積んで、技術を学び祖国に帰って技術を広めるというものです。もう一つは、在留資格に介護が追加されました。最長5年ですが更新ができます。移民という言葉は使わないながら、介護の現場で外国人を受け入れる制度が着々と増えています。

厚労省の試算によれば、2025年に約38万人が不足する見込みです。2025年は団塊の世代が75歳以上になる年です。この38万人分が外国から来て、衣食住を日本で消費してくれたら大きなビジネスチャンスです。

介護の業界は賃金が低い背景には、非正規職員が非常に多いということもあります。また、離職率が高く、転職する人も多いので、若い人が多いということもあります。

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業界で最大手はニチイ学館です。訪問介護・通所介護中心では、ツクイ、ユニマット、セントケア、ソラストなどがあります。有料老人ホームなどがベネッセ、SOMPO、ウチヤマです。介護用品では、パラマウントベッド、フランスベッドなどがあります。

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業界の特徴をまとめると、売上が介護報酬として公定価格によっているということです。また、労働集約的て人材不足であることです。

関連ビジネスでは、配食サービスや移送サービス(福祉タクシー)、ベッドや杖、歩行者などの介護機器にはビジネスチャンスがあるかもしれません。また、外国人労働者という人材ビジネスも投資対象としては魅力があるかもしれません。

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