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旅行業界研究


旅行業界についてです。

旅行業界の市場規模をみてみましょう。

出国日本人数の推移をみると、横ばいです。

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海外旅行は横ばいです。旅行取扱高をみると、国内の取扱い高は横ばい、海外はやや減少です。

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訪日外国人旅行者数は2012年頃から急激に伸びています。

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中国、韓国、台湾、香港などからの旅行者数が多いです。

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2013年、2014年からの訪日外客数が急激に伸びたのは、ビザの取得要件の緩和と円安の要因が大きいでしょう。アベノミクス、黒田バズーカの影響で円安が進み、日本への旅行が非常に安くなりました。そして、安倍政権の日本再興戦略によりビザの取得要件が緩和されました。中国だけでなく、タイやインドなども国ごとに要件は違いますが、取得要件が緩和されました。安倍政権の功績といえます。ビザの要件緩和というのは、例えば数字ビザです。例えば3年間に1度ビザを発給してもらえば、何度来日してもよいというものです。その他、要件が「十分な経済力を有するもの」から「一定の経済力を有するもの」に所得の要件が緩和されたりもしました。また、アジアの国々の所得水準が上昇したことも要因の一つでしょう。海外から日本に来る旅行ビジネスは、非常に伸びるはずです。今後も訪日観光客はまだ増えそうです。東京オリンピックなどもあるからです。

2015年に海外旅行に行った中国人は1億1700万人です。その中で、日本に旅行した人数は499万人です。この海外旅行人数は2億人まで増えると言われています。2015年に日本に来た中国人は、全体の4.2%です。ですので、海外旅行をする中国人も今後まだ増えますし、その中でシェアアップを図れば、まだまだ日本への観光客は増える余地はあるでしょう。非常に息の長い成長になる可能性があります。

外国人観光客を増やすために政権ができることは、ビザの発給要件を下げることです。発給要件を上げ下げすることで、観光客数をコントロールできます。

国内の旅行消費額をみると、外国人観光客の消費が増えたため、国内の旅行消費額も増えています。

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規模としては25兆円の規模があります。非常に大きなビジネスです。日本のGDPが548兆円なので、訪日外国人旅行で使っているお金は4.4兆円、約0.8%ほどです。国内観光消費額は26.7兆円なので、GDPに占める割合は5%ほどです。民間消費に対する割合でいうと、訪日外国人旅行が1.4%を占めているので、馬鹿にならない額になっていますし、今後の成長性も見込めます。

日本の一般的な旅行客が海外旅行するときには、基本的にはJTBや近畿ツーリストなどの日本の旅行会社を使うでしょう。同じように、中国の観光客が日本への旅行をするときには、中国の旅行会社を使うでしょう。つまり、訪日外国人が増えても、日本の旅行会社は儲かりません。

では、訪日外国人の増加によって儲かるのは、どこでしょうか。旅の三要素というものがあります。アゴ、アシ、マクラです。つまり、食、交通、宿泊先が恩恵を受けているのです。また、和装などの体験サービスも恩恵を受けています。投資するなら、このような業界でしょう。

国別外国人観光客数ランキングをみると、フランスは8260万人、アメリカは7747万人です。

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そうみると、2404万人の日本はまだまだ増える余地がありそうです。世界の観光客数の母集団は非常に大きいので、まだまだ伸びしろはあるでしょう。

旅行業界で非常に儲かっている企業は、和装の和心(9271)、旅行商品の比較サイトのオープンドア(トラベルコ)、楽天トラベル、じゃらんなどです。これは、旅行をする際に、ホテルの予約をネットの比較サイトなどを使って予約する人が非常に増えているからです。人々の購買行動が昔と変化したためです。

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従来は旅館・ホテルへの電話やFAXで予約していた、あるいは旅行代理店を通して予約していたものが、クラウド予約に変化したのです。今では、ネット経由での予約が3割ほどになっています。まだ伸びしろはあるでしょう。

旅行会社のビジネスとして、収益源は、旅行者からの取扱手数料、運送機関や宿泊機関からの手数料、そして他社ツアーを販売した場合の手数料です。手数料ビジネスですなので、フロービジネスです。そして、サービス業であり差別化が難しいという特徴があります。しかし、前受け金ビジネスであるというポジティブな面もあります。キャッシュフローがよいです。

業界地図をみましょう。大手は、JTB、エイチ・アイ・エス、近畿日本ツーリスト、日本旅行、阪急阪神など電鉄系も多いです。それからネット系で、楽天、オープンドア、海外ではトリバゴ、エクスペリアなどがあります。

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業界の特徴をまとめましょう。

日本人による旅行消費は頭打ちです。海外旅行も今一つです。日本人の海外旅行を支援する企業にユーラシア旅行社というのがあります。訪日外国人旅行は増加トレンドで成長余地は十分あります。中国でもまだまだ旅行者は増えるでしょうし、その中での日本のシェアもまだ増える余地はあります。また政府もビザの発給要件を下げることにより、更に訪日外国人旅行者を増やすことも可能です。観光客を増やすために打つ手はまだあるわけです。グローバルに見ても、まだまだ観光客はいますので、訪日客に対するアゴ、アシ、マクラの企業はまだまだ伸びる余地があるということです。魅力的です。国内の旅行市場は頭打ちですが、日本人による旅行は旅行会社を通した発注から、ネットサービスを通した発注へとチャネルが変化しました。楽天トラベルやトラベルコ、エアトリップ、スカイチケットなどが注目です。しかし、株価は割高になっています。そして、統合型リゾート施設整備法案が成立しましたので、これも観光としての日本の魅力が増すことから訪日外国人客の増加につながるでしょう。リスクとしては、テロ、戦争、新型ウイルスの影響を受け、一時的に旅行客が減るということはあるでしょう。そのような時は旅行業界の株は急落するでしょうから、そこが買うタイミングになるといえます。

旅行業界に投資するなら、旅行会社そのものではなく、仲介会社かアゴ、アシ、マクラ、の業界でしょう。

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