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葬儀業界研究


葬儀業界についてです。

死亡数の推移をみると、2015年以上は予測ですが、死亡者数は2040年頃までは増えますが、その後はピークアウトし減っていきます。

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今では、130万人が1年間に亡くなっています。出生数を思い出すと年間約100万人が生まれていますので、ざっと年間30万人ずつ人口は減っていくわけです。

葬儀業の年間売上高の推移をみると、横ばいです。

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死亡者数は増えているのに売上は伸びていません。単価が減っているためでしょう。葬儀の単価の推移をみると、2007年頃以降減少しています。

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ピーク時からすると10%減ほどです。年間に亡くなる方が130万人、葬儀1件の単価が140万円なので、葬儀業の市場規模は1.8兆円くらいです。大きな規模です。葬儀の単価が下落している背景には、1つには価格の明朗化があります。今まで不透明だったものが、明朗化され価格競争が生まれました。2つ目には、家族葬の増加があります。また、高齢化により葬儀の参列者の減少もあります。3つ目には、異業種の参入があります。JAや電鉄系が参入しています。今後も単価の下落は続きそうです。

葬儀を行う場所にも変化があります。自宅での葬儀が減り、葬儀会館での葬儀が増えています。自宅での葬儀が減ったのは、家が狭くなったということがあります。葬儀業者としては、会館での葬儀が増えるのは追い風です。

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葬儀会社としては、専門葬儀会社と冠婚葬祭互助会があります。専門葬儀社は、公益社やティアなど、葬祭業を営んており互助会を持たない企業です。葬儀の約4割を行っています。それに対して、互助会というのは、会員さんから毎月一定額を徴収し、会員が葬儀を行う際に積立金を葬儀費用に充当する仕組みです。相互扶助の目的で作られています。戦後貧しい時代に始まった仕組みです。平安レイサービスやサン・ライフなどがあります。

業界地図を見てみましょう。

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専門葬儀社としては、燦ホールディングス(公益社)、ティアがあります。互助会としては、上場しているところでは、サン・ライフ、こころネット、平安レイサービスがあります。市場規模が1.8兆円くらいと考えると、各社の売上を見ると上場している企業でもシェアが低いということがわかります。小規模な事業者が多く群雄割拠です。上場会社が明朗な価格で拡大する余地はまだまだあるということです。異業種参入の中で注目は、鎌倉新書、アスカネットです。鎌倉新書は、葬儀業者の比較サイトです。アスカネットは、遺影を作る企業です。葬儀そのものの事業は激戦になっていますので、周辺産業の方が投資対象としては魅力があるかもしれません。

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業界の特徴をまとめると、死亡者数は2040年頃まで増加してきます。そして葬儀単価は減少しています。単価が今後上がっていくことはないと思います。ですので、市場規模は近年それほど拡大していません。成長産業ではありますが、緩やかな成長といえます。景気の影響は受けにくいディフェンシブな業界です。そして、業界1位でもシェアが低い群雄割拠状態なのでシェアアップによる売り上げ増は見込めるでしょう。葬儀社よりも、それをターゲットにした周辺ビジネスの方が魅力的かもしれません。

 

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