ホテル業界研究
ホテル業界についてです。
ホテル業界はサービス業に分類されます。
ホテルの施設数、客室数のグラフをみると、増加しています。
ホテルの利用者は、海外からの観光客数の増加により増加しています。
訪日外客数は2013年で1036万人、2014年で1341万人なので、この1年だけでも300万人増えています。訪日外国人観光客の恩恵を受けるのは、ホテル、百貨店、ドンキホーテなどでしょう。
ホテルをカテゴリーに分けると、帝国ホテルなどの老舗ホテル、ホテルニューオータニなどのグランドホテル、アーバンリゾートホテル、リゾートトラストなどの会員制ホテル、大和ロイヤルなどのビジネスホテルなどがあります。
ホテルのビジネスモデルをみてみましょう。
まずは直営タイプです。帝国ホテルなどがそうです。帝国ホテルが不動産を所有し、従業員も帝国ホテルが雇い、人事権も帝国ホテルが持っています。一般的なホテルのイメージです。それに対して、賃貸借契約という形態もあります。ホテルの不動産を持っている会社と、事業主体は別の会社である場合です。このようなビジネスの主なものは、リートです。リートはホテルだけ持っていて、運営は他の会社がしているわけです。リッツカールトン、東横インなどがそうです。
景気が良い局面では、直営方式の方が儲かりやすいです。しかし、景気の後退局面や横ばいの時期にはリース形式が儲かりやすくなっています。直営では、売上が増えれば増えるほど利益が増えます。しかし、リースの場合は、売上が増えても減っても、安定して賃料が入ってきます。売上が一定水準に達するまで(稼働率が低い場合)は、定額で家賃がもらえるリートが儲かります。しかし、一旦、利益が出始めると、稼働率が上がる限り儲かり続けるのが直営方式です。ですので、景気の良い場面では、帝国ホテルなどが儲かり株価も上がります。しかし、景気後退局面ではリースの方が儲かりやすいのです。同じホテル業界でも、直営かリース形式かでビジネスモデルが違います。
そして、直営とリースのあいの子のような形式もあります。ホテルの建物や従業員、運営権はAさんが持っているけれど、ブランドだけ海外の有名ホテルから借りてくるというパターンです。コンビニに近い形です。ウェスティン都ホテル京都やプリンスホテルなどです。また、建物、従業員はAさんが持っていますが、人事・運営権やブランドはBさんが持っていて運営するというマネジメント契約の形態もあります。パークハイアットなどがそうです。
最もハイリスクハイリターンが直営形式、ローリスクローリターンがリース形式ということになります。
フランチャイズパターンを見てみましょう。
ホテルの建物や従業員を持っているのはAさんですが、ホテルチェーンの傘下に入って契約料を払う代わりに運営ノウハウなどを提供してもらいます。ネームバリューもあるので、お客さんも集まりやすくなります。
続いてマネジメント契約は、ホテルの建物を持っているのはAさんですが、キースタッフをホテルチェーンから派遣してもらって運営を行ってもらう形式です。
ホテル業界の業界地図をみてみましょう。
御三家というと、帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオータニです。それからロイヤルホテルや藤田観光があります。鉄道系では、プリンスホテルが有名です。鉄道会社は鉄道の稼働率を上げるために、ホテルを鉄道沿線に作るなど仕掛けをしているわけです。鉄道系は廉価なところが多いです。外資系では、インターコンチネンタルやマリオット、ハイアットなどがあります。
帝国ホテルのような高級ホテルは簡単には作れません。客室数、稼働率、単価はほぼ横ばいなので、大きく成長は見込めません。ですので、帝国ホテルは勝ち組ですが、投資対象としては面白みがないといえます。今からホテル業界に投資するならば、まだ今から客室数を増やせるホテルを狙うべきでしょう。高価格帯をターゲットにしたホテルやビジネスホテルでしょう。都市型のホテルは今後それほど伸びる余地はないでしょう。
ホテル業界は国内は、景気循環の成熟です。外国人観光客の増加により、成熟の右寄りから左よりに巻き戻っているような感じもあります。