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リース業界研究


リース業界についてです。

リース業はその他金融業に分類されます。その他金融業は、消費者金融・クレジット、リース、その他金融にアクションでは分類しています。

リース取扱高の推移をみると、1998年には7兆円強取扱高があったのが、リーマンショックで激減して、その後横ばいです。成熟業界だということがグラフからもわかります。

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2008年に激減したのは、リーマンショックの影響がまずあります。リース業は設備投資と業績が連動します。設備投資が縮小するとリース業界も冷え込みます。そして、もう一つは、リース会計基準の改訂も影響を及ぼしました。それまでは、リースしている企業は、リースしているものに関してバランスシートに記載しなくてよかったのですが、この基準改定によりリースしている資産に関しても資産に計上しなければならなくなりました。このため、リースするメリットが減少し、リースの利用が減りました。これとリーマンショックが重なったのでリース業界にとって冬の時代がきたと言えます。

リース業界の業界地図をみてみましょう。トップはオリックスです。次は、三井住友ファイナンスリースや三菱UFJリースなどです。

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リース業のビジネスモデルです。銀行や投資家からお金を借ります。または、社債を発行して引き受けてもらい資金調達をします。その資金で資産(車やPC)を取得し企業にリースします。もしくは、資金の貸し付けをしたり運用をしたりします。

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リース会社は資金調達が非常に重要になります。ですので、リーマンショックなどで金融市場が機能しなくなると、非常に経営が危険になるというリスクがあります。

企業はなぜリース会社を利用するのでしょうか。リースだと、例えば120万円のパソコンだと、分割払いで10万円で12か月や5万円で24か月などでお金を払えばいいことになります。すると、企業としては、非常に資金繰りが楽になるわけです。また、金融機関からの借り入れより簡単で少額でも使いやすいというメリットがあります。実質的には借り入れと同じ機能があります。お金がない企業でも設備投資ができるようになるわけです。

ファイナンスリースとは、ユーザーが選んだものをリース会社がユーザーに代わって購入し貸与するもので、リース期間が終わるとその物も使い切ってしまうことが多いです。それに対し、オペレーティングリースは、使用期間が終わっても、まだ他の人が使えるようなものというイメージです。中古市場が存在するようなものです。貸借対照表では、ファイナンスリースは流動資産に、オペレーティングリースは固定資産に計上されています。

リース会社は、会社の資産の半分ほどが、未回収債権です。これを回収できるかどうかが事業遂行上のリスクといえます。ですので、リース会社にとっては、不況で貸出先の企業が倒産することが一番怖いことだといえます。また、有利子負債も非常に多くなっていますので、金融市場が荒れると厳しくなります。普通の企業なら売上高の金額を超える借入はあり得ません。売上高の半分でも厳しいのが現実です。これに対して、リース会社は売上高の何倍もの借り入れをしています。しかし、収益も安定してキャッシュが入るビジネスとなっていますので、よほどのことがなければ、大丈夫です。リース会社は、多額の借り入れをして、その資本で資産を購入しリースして収益を得るビジネスです。ですので、レバレッジを利かせてビジネスを行っているので、自己資本比率は低くなっています。不況時には非常にリスクが大きいビジネスといえます。業績は比較的ディフェンシブに近い景気循環です。株価は景気循環的に大きく変化します。業界としては、成長、衰退サイクルに入っています。信用リスクの高さもあり、業種別PERは低くなっています。長期投資の対象としてはふさわしくないといえます。

 

 

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