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損害保険業界研究


損害保険業界についてです。

損害保険業界は寡占化しています。業界トップは東京海上です。そして2位はMS&ADインシュアランス、3位はSOMPOホールディングスです。世界的に有名な損害保険会社といえば、バークシャー、アリアンツなどです。国内の企業でも海外に進出すれば、まだまだ伸びしろはあります。

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国内の損害保険業界は、成熟業界です。正味収入保険料の推移はやや増えていますが、今後それほど大きく伸びることはないでしょう。

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損害保険業界の最も大きな収入源は、自動車保険です。正味収入保険料の49.4%ほどが自動車保険で締められています。そして、火災保険が13.8%、自賠責が12.4%となっています。

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ですので、損害保険業界の市場規模は車の台数や家の戸数に連動するということです。その観点からいくと、国内では、損害保険業界はあまり伸びないと言えるでしょう。それは、人口減少による自動車利用の減少と世帯数の減少があるからです。保険業は内閣総理大臣の免許が必要ということもあり、新規参入が難しく寡占化が進んでいます。

技術の進歩により、自動運転が行われるようになると、事故が減るため、自動車保険料は減っていくでしょう。現実にも、自動ブレーキを搭載した車の保険料は安くなっています。

世界の損害保険業界の市場規模は、約237兆円、そのうち日本は6%の約13兆円です。ですので、日本の保険会社もグローバルに展開すれば、大きなビジネスチャンスが広がっているといえます。東京海上などは、海外売上が伸びてきているので今後の成長が楽しみといえます。

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損害保険会社は国内は成熟ですので、売上を伸ばすために、海外へ展開するという方針と他分野へ多角化するという方針とがあります。損害保険だけでなく、生命保険や医療保険などの分野へ展開するのです。

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東京海上は海外に積極的に展開しています。特に東京海上は欧米に進出していっています。MS&ADはアジアに進出していっています。関連型多角化はどの企業も行っています。SOMPOホールディングスは保険以外に介護事業を展開しています。それぞれの会社で戦略の違いはあります。

損害保険会社の収益源は、保険料です。保険料は純保険料と付加保険料とに分かれます。

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純保険料は将来保険金として支払われるために充当されるお金です。会社の事業に使うお金や企業の利益となる部分を付加保険料といいます。保険会社によって、バラつきが大きいのは付加保険料です。付加保険料は企業により自由に決定することができます。純保険料の方は、あまり保険会社によって差が出ない部分となります。純保険料については全ての保険会社が参考にする、ベースとなる参考純率というものがあります。これは、損害保険料率算出機構というところが算定しています。自動車保険の参考純率でいうと、安全運転支援技術の普及により事故率が低下すれば、参考純率が下がり、純保険料が下がるのです。ですので、この参考純率の上下によって、純保険料収入も変化するわけです。

 

保険種目別正味収入保険料の推移をみると、例えば自賠責保険の推移をみると、結構収入の増減があります。これはまさに、保険料の参考にしている事故率が上がったり下がったりしたせいでしょう。

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大地震などが起きたときに、損害保険会社が潰れないように、再保険というものがあります。損害保険会社が払いきれない保険金を代わりに払う会社です。この会社を日本地震再保険会社といいます。これは、大手の保険会社が出資しあって作っている会社です。これを、さらに政府が再々保険をするという制度となっています。トータルで11兆円までは保障されています。再保険会社の中で有名な会社がジェネラルリーです。バークシャーの中の会社です。

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保険会社では、保険金を支払う前に保険料が入ってきます。前受金ビジネスです。生命保険や旅行会社もこのようなビジネスです。保険会社は資産のうち大半を金融資産をしてもっています。バフェットはこの保険会社が持つ多くの金融資産に注目し、うまく運用したわけです。損害保険会社の総資産のうち75.4%が有価証券です。この資産をうまく運用できるファンドマネージャーがいれば、損害保険会社の業績はとてもよくなるでしょう。

損害保険会社の財務健全性を示す指標として、ソルベンシーマージン比率があります。

損害保険業界は比較的ディフェンシブで国内は成熟、海外は成長に位置すると考えられます。

 

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