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証券会社業界研究


証券会社業界についてです。

証券会社業界は、景気循環業界です。日本のGDPは今後伸びていくことはないので、証券会社業界も伸びることはないでしょう。

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営業収益の推移をみると、景気循環だということがわかります。そして成熟しています。

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証券会社の業務には大きく4つあります。流通市場に関する業務が2つ、発行市場に関する業務が2つです。

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流通市場については、委託売買業務と自己売買業務があります。発行市場には、引受業務と募集売り出し業務があります。最も収入源になっているのは、委託売買業務ですが、自己売買業務でも大きな収益を得ています。証券会社の業績は、株価に連動します。株価が上がれば業績も上がります。

証券会社の引受業務というのは、発行企業から販売する目的で証券会社が株を買い取ることです。売れ残りは、証券会社が所有することになります。引き受けは1社だけが行うこともありますし、複数の証券会社が行うこともあります。

募集(公募)は新たに発行される株式を同一条件で勧誘することです。追加で新たに株式を売ることです。それに対し、売出は既に発行する株式を同一条件で勧誘することです。大株主などが既に持っている株式を他社に売る場合などです。立会外分売は売出に当たります。企業は、資金調達をしたい場合には公募を行います。資金はいらないけれど、株主を増やしたい場合は売出を行います。

引き受けの仕組みをみてみましょう。例えば、企業が上場するときに、仮条件として800円~1000円くらいにしたとします。買いたい方は、いくらくらいで買いたいか手を挙げてくださいと言って、人気があるので、公募価格を1000円にしました。そして、1000円で1000万株発行という条件が決まります。すると証券会社がその株を売りさばきます。個人投資家が1000円×1000万株で1000億円を振り込みました。この100億円のうち、上場会社に渡される金額は95億円です。5億円は証券会社の取り分となります。だいたい総額の3~7%くらいが証券会社に入り売上となります。IPOをしたい企業にしてみれば、公募価格を高く設定してくれる証券会社を選びたいと思います。その方が株の希薄化を避けながら多くの資金を調達できるからです。そして、証券会社についても、公募価格より初値の方が高くなってほしいと思っています。

オーバーアロットメントとは、発行した株が全部売れた場合に、主幹事証券の判断で追加で売ってもよい株のことです。主幹事証券からすれば、さらに儲けが増えるので、一生懸命売るでしょう。オーバーアロットメントは大株主から株を借りて追加で売ります。この借りた株をどのように返すかには2通りの方法があります。1つは、初値が公募割れした場合は、初値で市場から借りた分の株を買って、大株主に返します。これをシンジゲートカバーと言います。もう一つは、公募価格が予定より高くなった場合です。この場合は、発行企業から新たに株を元々の公募価格で新規発行してもらい、その株を買って返却するグリーンシューオプションという方法があります。

公募増資をする場合、株価は下がります。株数が増え直近実績×PERが減るためと、供給が増えるためです。機関投資家なら増資の発表があると、空売りします。そして、増資の時に調達します。これが、増資を利用して利益を出す仕組みです。

業界では、野村がトップです。景気循環株で成熟業界なので投資先としての魅力はあまりありません。

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