百貨店業界研究
百貨店業界についてです。
百貨店は衣類を中心とした商品を扱っています。顧客は富裕層で所在地は都市部、大きさは大きいです。それに対し、GMSは、様々な商品を取り扱い、顧客は家族連れ、郊外に位置し巨大な商業施設です。年齢別男性が百貨店利用頻度のグラフをみると、若い世代では、百貨店をほぼ使わずGMSをよく使い、年齢が高くなると百貨店の利用頻度が上がっています。
ここから、子育て世代はGMSを利用し、年配のお金に余裕がある方は百貨店を使っていることがわかります。女性の方が顕著で若者世代はGMS、年配世代は圧倒的に百貨店を利用していることがわかります。百貨店の売上をGMSが奪っていたとも言えます。
百貨店の売上高の推移をみると、12月が毎年売上が突出しています。
これは、ボーナス、お歳暮、クリスマスなどの影響です。7月も売上が多くなっているのは夏のセールなどの影響です。百貨店の売上は、今が底打ちで、これから年配の富裕層の方が増えていくので、微増していくと考えられます。今まで通り、富裕層の女性をターゲットにするとともに、インバウンドを取り込むことで、百貨店の売上はこれから上がっていくのではと考えられます。
百貨店の歩率(店舗が百貨店に払う率)は約30%です。消費者に魅力のある店舗を入れると、百貨店の売上は伸びるわけです。それに対しGMSの歩率は15%です。このようなコスト構造もあり、百貨店は高級路線にならざるを得ません。GMSは郊外で家賃も安く、リーズナブルに価格設定できます。逆に言えば、富裕層の女性をターゲットにしているので、百貨店は高級路線になり、歩率も高く設定できます。その代わり、高齢女性が行きやすい駅に近い都市部に店舗を構えなければなりません。GMSはターゲットが家族連れなので、値段はリーズナブルに設定しなければなりません。そのためには、建築費などの安い郊外に店を建築し、歩率を下げて商品の値段も下げるわけです。このように、ターゲットが違うので、店舗を構える立地も歩率も違うということです。
百貨店最大手は、三越伊勢丹ホールディングス、第2位はJ.フロントリテイリング(大丸)、3位は高島屋です。百貨店業界の縮小により、合併が起こりました。
利益率が低い理由としては、売上に対して、人件費などの費用が多いためと考えられます。利益率を上げるには、売上のボリュームをもっと上げるか、経費を下げるか、歩率を上げるかなどが考えられます。
百貨店業界は、やや景気循環の成熟業界と考えられます。