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家電量販店業界研究


家電量販店業界についてです。

電気機械器具小売業及び電気事務機械器具小売業の業界の推移です。

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事業所数は減ってきて、売り場面積は増えています。売上高は近年は横ばいです。このことから、店舗の大型化、統廃合が起こっていることがわかります。小売業の業態別販売額の推移をみると、百貨店が落ち、コンビニが伸びています。スーパーが粘り腰です。

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白物家電の国内出荷額の推移は横ばいです。エアコン、電気冷蔵庫、洗濯機も横ばいもしくは減っています。

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街の電気屋さんより家電量販店が優れていた点は、安いことと品揃えの多さです。家電の出荷額が冴えない理由としては、製品が長持ちすること、海外メーカーの台頭(安い物と高級で良い物)があります。家電の輸出金額の推移をみると、日本製品の海外輸出がほぼないということがわかります。その他というのは部品です。輸出がない理由は日本製品が高いということや円高の影響があります。

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一方輸入品は増えています。家電そのものとして、国内メーカーが苦戦していることがわかります。

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家電量販店の業界1位は、ヤマダ電機です。次いでビックカメラ、エディオン、ヨドバシとなってます。家電量販店は2009年~2011年頃はエコポイントとテレビの地デジ化により特需があり業績がよくなりました。この頃が一番良かった時代です。

ヤマダ電機は郊外型、ビックカメラは駅前型の店舗となっています。

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家電量販店の天敵というと、価格comでしょう。ネットや価格comなどがなかった時代には、チラシや実際の店舗で値段を確認するしかありませんでした。その頃に比べると、現在は消費者の情報量が増えたことで、家電量販店の収益が減ったといえます。これは、家電が機能が比較しやすい商品であることに起因しています。機能が比較しやすいので、価格comなどの媒体で客観的に比較されてしまうと、実店舗で店員さんのアドバイスを聞くニーズが減ってしまいます。ネットだけで、その商品の機能が十分わかるからです。また、欲しい商品が決まれば、どこで買っても同じなので、最安値や最安値付近の店を選んでネットで注文するという消費者が増えています。つまり、厳しい価格競争が起こっているとともに、家電量販店は展示会場としての機能となっているわけです。

業界自体は横ばいであり、さらにネットのシェアが増えてくるので、家電量販店業界はとても不利と言えます。

価格comで驚くほど安価な店が存在するのは、おそらくそのような店は、郊外に安い賃料で倉庫を借り、安い人件費で商品の発送を行っているからでしょう。それに対して、例えばビッグカメラなどは、駅前の一等地に店を構え、人材を揃えて接客しているので、高コストなってしまいます。

家電量販店の海外展開はプラスに働くでしょうか。おそらく、海外展開しても、ネットなど状況はどの国でも同じでしょう。ですので、手づまり感があります。海外がダメなので、家電量販店が売上を伸ばすために、ネット通販をしたり、日用品や化粧品の販売、家やリフォームサービスの提供など事業の多角化を図っています。これから、小売業では、ますます事業のボーダーレスで厳しい競争が繰り広げられてくるでしょう。

家電量販店業界をまとめると、業界としては成熟しています。eコマースの拡大が猛烈な逆風です。海外展開に戦略的な意義があるかは疑問です。そのため、日用品や化粧品、薬などに商品を広げて戦っています。

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