携帯電話販売業界研究
携帯電話販売業界についてです。
携帯電話販売代理店の構造をみてみましょう。
ドコモやソフトバンクは携帯電話キャリアと言います。キャリアとは、携帯電で話をする電波を提供する会社です。携帯電話を販売している店舗はドコモ等の直営ではほぼありません。代理店がやっています。ユーザーはどこかの代理店から携帯電話を購入し使うわけです。今回取り上げる業界は、この販売業界です。
携帯電話端末の販売台数・出荷台数は、減少しています。
これは、人口減と飽和しているということが理由として考えられます。また、買い替えサイクルが長くなったということもあるでしょう。携帯電話の平均使用年数は、この10年ほどで2.5年から4.4年へと伸びています。
携帯電話の契約数の推移をみても、伸びは緩やかになってきています。
10年ほどで1.6倍ほどには伸びています。そして、日本の総人口数を越えているので、2台持ちをしている人が増えていることもわかります。契約数は増えているのに、平均使用年数が伸びていることもあり、販売台数は減っているというのが現在の特徴です。
アメリカと中国の携帯電話契約数の推移をみると、中国の伸びが飛びぬけていることがわかります。中国でも人口を越えているので、2台持ちになっていることがわかります。
販売代理店のビジネスモデルを見てみます。
メーカーから、まずドコモなどのキャリアが携帯電話を買います。それを次にキャリアから販売代理店が仕入れます。それを消費者に売るわけです。ですので、販売代金が販売代理店の売上になります。それプラス、販売手数料も代理店にはキャリアから支払われます。さらに、継続手数料というものもあります。その販売代理店で購入した消費者が継続して携帯電話を契約している限り、継続手数料というものが代理店に入ります。これはストックビジネスと言えます。また、消費者のプラン変更や故障対応などした場合のアフターサービス手数料もキャリアから支払われます。その他、各種支援金なども支払われています。
販売代理店とキャリアでは、キャリアが立場としては強いです。手数料の決定権はキャリアにあるので、キャリアは絶大な力をもっています。
携帯電話の端末の販売についてみてみます。
例えば、85000円で仕入れた端末を代理店は80000円で販売します。なぜ赤字となるような値段で売るのかというと、一つは価格競争が激しいので値下げして売るしかないということ、もう一つは、赤字で売ったとしても後から販売手数料が入ってくるので、トータルでみれば利益が出るという考え方です。また、継続手数料というストック型の収益もあります。これは、通信料の数%が入ってくるもので、長期ユーザーになるほど高率になる設定になっています。
販売代理店のタイプにはいくつかあります。
専売店は単一のキャリアブランドのみ販売している代理店です。併売店は、複数のキャリア製品を取り扱っている店舗です。家電量販店も併売店の一種です。専売店は修理やアフターサービスも提供している点で併売店と異なります。キャリア直営店もごくまれにあります。
業界最大手はティーガイヤです。ここは、複数のキャリアを扱っています。続いてコネクシオ、光通信などがあります。また、中堅では、ベルパークというソフトバンク系列の企業などがあります。大きな産業であり、裾野の広い業界です。
携帯販売業界をまとめると、市場規模は成熟から衰退といってもいいでしょう。その背景には、SIMフリー端末の普及があります。これは、販売代理店で端末を購入しなくてよいため、代理店からすればマイナスです。また、キャリアによる直販も増えていますし、買い替えサイクルの長期化もあり、市場規模は衰退に差し掛かっています。今後業界では、業界再編が起こり集約されていくでしょう。ですので、この業界で投資するなら大手しかありません。
また、キャリアの交渉力が強いのも特徴です。そのため、代理店の営業利益率は非常に低いものとなっています。そして、ディフェンシブな性格もあります。これは、ユーザーの母集団が大きいため、ある程度安定的な買い替え需要があるからです。また、継続手数料というストックビジネスの性格があるからでもあります。
ビジネスとしては、非常に身近でおもしろい業界ではあります。投資するなら、業界再編が起こるので、業界大手でしょう。