建設機械業界研究
建設機械業界です。
建設機械業界は、景気循環タイプですので、投資対象としては難しい業界です。
建設機械業界は、大きく分けると、工作機械業界、総合重機、農業機械、建設機械と大きく4つの機械に分けています。
工作機械というのは、金属などを加工する機械です。大きな工場などで使われている機械です。
代表的な企業としては、森精機、オオクマ、牧野フライスなどがあります。
次に、総合重機は、原発や宇宙関連の機械など幅広く作っている企業です。
三菱重工業などがあります。
次に農業機械は、トラクターやコンバインなどを作っている企業で、クボタや井関農機などがあります。
今回取り上げる建設機械というのはクレーンやショベルなどの機械です。代表的な企業としては、コマツ、日立建機などがあります。
業界規模として建設機械出荷金額のグラフをみてみると非常に景気循環の影響を受ける業界だということがわかります。
リーマンショックの時は、出荷額が大きく落ち込んでいることがわかります。
建設機械の業界を細分化していくとフォークリフトやクレーン、建機レンタル業界などがあります。
クレーンでは、タダノが世界2位です。カナモトや西尾レントオールなど、建設機械を建設会社にレンタルするビジネスも並行して成立しています。
油圧ショベルの中ではコマツが世界2位です。世界1位はキャタピラーです。建設機械の業界の中では、油圧ショベルのマーケットは非常に大きなものとなっています。その大きなマーケットでコマツは世界2位といういいポジションに付けています。
建設機械業界の位置づけについて考えてみましょう。
建設機械の業界のお得意さんは建設会社です。
建設業界の主なお客さんは不動産屋さんです。不動産会社、施主が建設を発注し、最終的に建築されたビルにテナントが入ります。
ということで、建設機械業界は、ビジネスでいうと上流に位置する業界といえます。
景気循環の影響を受けやすいのは、上流です。ですので、景気により業績は非常に大きく変動します。そのため、投資対象としては非常に難しい業界です。
ビジネスモデルは非常にシンプルです。
コマツがしている工夫、仕掛けで非常に有名なものとして、GPS、コムトラックスというシステムがあります。
世界中のコマツの油圧ショベルの稼働状況をGPSで把握しているわけです。
油圧ショベルを生産する際に、今後どれほどショベルが必要になるかを考え、見込み生産します。作り過ぎてもいけないし、足りなくてもいけません。
そこで考え出されたのがコムトラックスです。
世界中で売っている建設機械、油圧ショベルが、売ってから今までどれぐらい稼働したかを把握しているわけです。
平均的に何百時間、何千時間使ったら買い替えの時期だなというのが、予測できるわけです。予測ができれば、生産の精度が上がるわけです。
作りすぎあるいは少なすぎというのを減らして適正な量だけ生産するということが非常にやりやすくなるわけです。
ですので、受注→生産→流通→試運転というフローの受注・生産の部分であらかじめ予測をして生産をするという工夫を産み出したわけです。
また、買い替えまでいかなくても、メンテナンスの必要性も稼働時間により把握できます。もっというと、メンテナンス自体もセットのサービスとして売ってしまうわけです。それによってさらに売上と利益を増やしていくということもしています。
また、無線操縦というシステムもあります。人が乗らずに遠隔地から操作するというようなことも今はできるようです。
商品の付加価値という意味で、無線操縦は、人材不足であるとか操縦できる技術を持っている人の制約がある、あるいは、危険な地域での作業などを無線で行うことができる、そのような製品を作ることで、非常に工夫して売り上げを伸ばしています。そして、今世界2位になっているわけです。無駄のない生産をおこなっているため、利益率ではキャタピラーを上回っています。
コマツは海外売上が78%となっています。国内では、建設機械の需要は限られているため、海外展開に積極的です。
コマツとキャタピラーを比べると、収益率はコマツの方がよいですが、ROEはキャタピラーの方が高くなっています。これは、キャタピラーの方が自己資本比率が低く借入が多くなっているためです。自己資本比率の高いコマツの方が不景気に強く安定した経営が期待できるといえます。