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農業機械業界研究


 

農業機械業界についてです。

まず農業機械業界の動向です。

まず、農業機械にはどのようなものがあるでしょうか。

例えばトラクターであれば、肥料などの散布、田植え、草刈り、耕耘などを行います。小さい物なら100万~200万円、大型の物であれば900万~1400万円くらいまで様々なラインナップがあります。

今までクボタは、小型のトラクターが得意でした。大型の物はアメリカのディアなどが得意としていました。これは、日本の田畑が小さく、アメリカの田畑は広大なためです。しかし、近年では、クボタは大型に、ディアが小型のものに挑戦しており競争が行われています。

田植え機については、アジアや中国で特に売れています。ハイスペックなものでは、8~10列の苗を一度に植えていくことができます。

その他、コンバインなども農業機械です。

 

今、農家では、高齢化、担い手不足が起こっています。そのため、国策として集約農業、規制緩和をして、農業を企業化、大規模化しようとしています。これは、農業機械メーカーにとっては、大型の農機が売れるようになるチャンスではある一方で、販売台数の減少や厳しい価格交渉など難しい課題も出てくるでしょう。

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水稲作10a当たりの直接労働時間の推移を見ると、時間は激減していることがわかります。しかし、機械が行きわたったであろう2000年以降の減少度合いは少なくなっています。今後は、自動運転などにより更なる労働時間の減少が目指されています。

 

国内の農業機械市場は、縮小しています。

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これは、機械の作業効率がよくなっていることと、農家の減少によります。また、農業機械は耐久財であるため、買い替えのタイミングによって循環的な出荷金額の推移となっています。この買い替えのタイミングは、気候に左右されるため、気候が良く豊作で資金に余裕がある年は買い替えを行うが、不作で余裕のない年は買い替えを控えるなど、農業機械の売上は、景気循環というより天候循環的といえます。

 

世界的にみると、農業機械は売れています。しかし農業機械の輸出額の推移をみると、循環的に変動しており、投資対象としては判断が難しい業界だといえます。。

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トラクタの輸出先国をみると、アメリカが一番大きな輸出先です。一方、中古トラクタの輸出ではベトナムが大きな割合を占めています。

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次に各層別国ごとの将来人口の推移です。緑色のところが先進国の人口、赤色が中間国、水色が途上国となっています。

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中間国や途上国の人口が今後どんどん増えていくことがわかります。

次に所得階層別国ごとのGDPの推移グラフをみてみましょう。

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2010年から2050年にかけて、中間国の人口は先ほどのグラフでは、1.5倍に増えていましたが、GDPは5倍に増える予想です。つまり1人当たりGDPがすごく増え、食べ物に対しての需要がますます増えてくるということです。

 

それダイレクトに示したものが次の資料です。

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2000年と2050年を比較すると、例えば穀類では、2000年時点で消費量が17.8億トンだったのが2050年には29.3億トンに増えるであろうということです。畜産物や農産物もそれぞれに増えていきます。トータルで見ると45億トンぐらいから約70億トンにかなり増えるということです。なので食料需要が増えれば、それだけ農薬や肥料、そして農業機械も需要されるであろうことが予測できます。

世界のGDPが増えますが、特に中間国で急激にGDPが増えていくということです。ですので、これらの国で、農業機械に限らず食料品だとか日用品だとかビジネスをしていることが、長期的に日本企業が繁栄していくためには必須だということが見て取れます。

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国地域別に言いますと、中間国の食糧に対する需要は22.8億トンから33.2億トンに急増する見通しです。そして途上国は10.3億トンから21.3億トンに増えるということです。とにかく中間国・途上国の食料重要が急激に増えるということです。

 

世界の人口が増え、一人当たりGDPが増加することで、今後世界で畜産物の不足(肉の不足)が起こってくると考えられています。そのような未来を見据えて、アメリカの企業で植物(エンドウマメ)などから肉、人工肉を作る取り組みをしている企業も出てきています。

 

農業機械の代表的な企業としては、クボタ、井関農機、やまびこ、丸山製作所、非上場ですがヤンマーなどがあります。アメリカの企業ではディアは必須です。

 

農業機械業界をまとめると、農業機械の国内需要は縮小していっています。国内においては、農業の大規模化が進み農家の数が減少しているためです。しかし海外は需要が増加しています。これは、人口増加と一人当たりGDPの増加により食料の需要がどんどん増加していっているからです。ただ、現在世界の企業は、耕作面積を拡大することよりも単位面積当たりの収穫量を増やすことに注力しています。効率的だからです。それでも足りない部分を農地の大規模化、自動化による効率化によりまかなうことも目指されています。もう一つの特徴は、農業機械は耐久財であるといことです。また、天候循環で天候の影響を受けます。さらに、将来的には、植物肉というビジネスチャンスもあるかもしれません。

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