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飲料業界研究


 

飲料業界についてです。

飲料業界は、食料品業の中に分類されています。

飲料は飲めばなくなります。ビジネスの特徴として投資家が好むものは、使えばなくなるものです。なぜならディフェンシブだからです。

景気の良し悪しに関わらず使うというディフェンシブな性格があるわけです。

また、飲料業界は、食生活に根ざしているのでシェアの変動が比較的緩やかということも特徴です。

食生活は我々のは味覚や生活に根ざしているので、案外シェアの変動は緩やかです。技術革新のスピードが遅いともいえます。

逆にシェアの変動が激しいものとしては、ゲームやファッション、携帯、電子機器などが挙げられます。

もう一つの特徴としては、国内市場は成熟しているということです。

飲料市場のグラフを見てみましょう。

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飲料市場はだいたい3兆5000億円ぐらいで安定しています。

品目別出荷額をみると、大きなトレンドしては、炭酸飲料が減っており、お茶や水が伸びています。

この背景には高齢化に伴う健康志向の強まりが考えられます。

おそらくこれから高齢化していく、例えば中国でも同じようなことが起こるでしょう。また、世界も高齢化していきますから、その時に世界で大ブレイクできるのは、今厳しい日本で経験を積んでいる日本企業のはずです。

最後の特徴としては、海外は非常に成長しているということです。

海外の成長は驚きをもって感じるほどの成長です。

グラフを見てみます。

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飲料市場の世界データがふさわしいものがなかったので食市場のデータとなっています。農水省の報告書の中にあるものです。

2009年世界の食市場は340兆円でした。そして2020年には680兆円まで増えるであろうという予想です。激増です。中国・インド・アジアの食市場はというと82兆円から129兆円へとこれも爆増です。

ですので飲料市場も当然これと連動するような形で増えるはずです。

これは、決して、世界の人口が倍増したからというわけではありません。人口も増えていますが、所得が増加した結果です。今まで飲み物や食べ物が買えなかった人々の所得が増え、買われる量が倍増したわけです。

それをデーターから確認してみましょう。

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これは新興国に限ってますが所得層別の人口推移です。単位は億人です。

2000年から2020年まで予測が入っていますが、30億人台後半から50億人を目指して増えていきます。ポイントはこの内訳です。この赤色の部分がその人口の中でも低所得者層です。具体的に言えば可処分所得が5000ドル、つまり年収が60万円くらい、月収で言うと5万円くらい以下の人たちがこの赤色のグループです。

そして水色の部分が下位中間層の人たちです。この人たちが可処分所得5000ドルから15,000ドルのグループ。

次が青色で中間の上位グループで可処分所得1万5000ドルから3万5000ドルの人々。そして、紫色の部分が富裕層で年間で可処分所得3万5000ドル以上、1ドル120円とすると日本円で年収400万円ぐらいの人々です。

低所得者層の人たちが減ってきて、少し生活に余裕が出てくる中所得者層が著しく増えているわけです。

そのため、人口の増加度合以上に豊かな人々が増えていることで、日用品、食料品、飲料品などはこの恩恵に預かり需要が増加しているわけです。

世界の飲料市場はゴールドラッシュです。

 

データは古くなりますが、海外の飲料企業がどれくらい海外売上を上げているかという表を示します。2012年度のものです。

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アンハイザーブッシュインベルというビールの企業では、海外売上90%です。

コカコーラでは58.9%。ハイネケン59.4%。ネスレ71%。キリン30.4。アサヒ10.0%、サントリー30.6%となっています。ここから日本の企業がいかにゴールドラッシュに乗り遅れつつあるかということがわかりますね。そして今、必死で追い上げているわけです。今飲料メーカーの経営上最も大切なことは、国内のシェア争いなどではなく、この海外のゴールドラッシュにいかに参加するかということなのです。

 

日本の主要な飲料会社というとサントリー、アサヒ、キリンですね。

これらの企業の中で海外事業を最もうまく展開しているのは、どこでしょうか。

海外に対する売上ですが、2015年ではサントリーが5,700億です。キリンは6,200億、アサヒが2,500億です。営業利益は、サントリー440億、キリンが332億、アサヒが35億となっています。

利益の水準で見ればサントリーの勝ちです。また、売り上げの伸びでもサントリーが一番売れているということで、このゴールドラッシュに一番乗っているのは実はサントリーです。海外売上比率はサントリーが43%、キリンが32%、アサヒが13%です。国内市場をみるとアサヒが強いわけですが、海外にどれだけ展開できているかという観点で見るとサントリーとキリンの方がよいことがわかります。

 

世界の低所得者層の減少、中間層の増大により、食・飲料市場の拡大のスピードは人口増加のスピード以上に格段に速くなっていくでしょう。大きな市場がそこにあるということがわかりました。飲料業界は、これから成長業界として注目業界ですね!

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