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プラントエンジニアリング業界研究


プラントエンジニアリング業界についてです。

プラントエンジニアリング業界とは、原燃料を生産するプラントを作る企業です。

このプラントを設計し、部品を調達、建設現場を管理監督するには普通の建設業とは全く異なる独自のノウハウが必要となってきます。

プラントエンジニアリング業界の顧客は、東証の業種分類でいうと鉱業に分類される企業となります。

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ビジネスの分類でいうと上流に位置する業界です。そして、すべてのビジネスの根本になるエネルギーを扱う企業を顧客としているということで、景気循環的だといえます。エネルギーの需給は、世界の人口増加やエネルギー自体の価格などに影響を受けます。これらの要因が結果的には、プラントエンジニアリング業界の企業の業績にも影響を与えるのです。

 

プラントエンジニアリング業界は業種見取り図でいうと、建設業の中に含まれます。業種係数は23と高くなっています。

 

業界規模は図のようになっています。

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この図には、石油化学関係以外にも造船など、様々なエンジニアリング業務を全て合計した状態ですので、若干世界的なエンジニアリング専業の需要を反映していない部分もありますが、日本国内のエンジニアリング企業の合計受注高を表しています。

2005年~2007年まで高いですがリーマンショックの時にかけて下落しています。3~4割減となっています。その後V字回復しており、非常に景気の影響を受けやすい業界だということが見て取れます。

 

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国内の総合エンジニアリング企業としては、日揮・千代田化工建設・東洋エンジニアリングの3社が強いです。

海外で言うとベクテル・KBR・サムスン・現代エンジニアリングが代表的です。韓国のサムスンや現代が非常に安値で巻き返してきているようです。

しかし、特に石油・ガスプラントに関してはやはり日揮、千代田化工、ベクテル、KBRが特に強いといえます。

 

プラントエンジニアリングの会社ですが、ビジネスのフローとしては下図のようになっています。

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FS(フィージビリティスタディ)という企画段階を経て、設計します。

設計が決まれば、部品を調達します。そして、建設し試運転を行います。そしてその後、O&M(オペレーション・アンド・マネジメント)として運営していく中でのサポートをしてきます。つまり、プラントを作るかどうかという設計の段階から最終のサポートまで幅広く行うのがプラントエンジニアリングの企業です。

この中で、一番重要なプロセスは一番最初のFSです。最初のコンペに出す企画段階にその企業が今まで蓄積してきたノウハウが発揮されるわけです。そこが、日揮や千代田化工、ベクトルなどが強い部分です。

 

エネルギーの需要は人口増加の影響を受けます。世界の人口増加をみると、流れが変わる変局点が2010年頃です。ですので、今までは世界人口が右肩上りに増加してきた時期と言えます。こでまでは、非常にエネルギー需要が高まった時期だったわけです。今後10年くらいはその余韻がありますが、その後はだんだんと人口増加のスピードは落ちていき、それに伴いエネルギー需要量も増加の幅は減っていきます。

プラントエンジニアリング企業の決算書を見るときに、面白い点は受注残高です。

巨大なプラントを作るには、1年~数年の期間がかかります。受注してからプラントが完成するまでに時間がかかるわけです。ですので、いくら受注したのかという受注残高が将来の見通しの先行指標になるのです。そのため、受注残高を公表している企業が多くあります。1年間の売上と受注残高とを比べてみると、今後何年分の売上に対する受注が残っているかがわかります。

受注してから製品を納めるまでの期間が長いビジネスをやっている会社では、この受注残高というのが非常に重要になります。

では、受注は得たが利益が出せなくなるようなリスクを抱えているプロセスはどこでしょうか。それは、設計のプロセスです。このプロセスでどれだけミスを犯さないかによって、利益がどれだけ出るかが左右されます。

 

プラントエンジニアリング業界の代表的企業である日揮は他社に比べて非常に利益率が高くなっています。それは、おそらくフィージビリティスタディの部分と詳細な設計の部分で素晴らしいノウハウを持っているからだと考えられます。

 

エンジニアリング企業が、海外にプラントを作る過程で、現地の人々に多くの雇用が発生しています。そして、日本の企業は海外で現地の人を雇用する過程で、単に労働力として使うだけでなく、教育し、将来的にはそのプラントをオペレーションしてメンテナンスしていくことができるような人材を育成しているそうです。つまり、人材の育成や雇用の創出にもつながっており社会貢献しているといえます。こんな企業は応援したくなりますね。

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