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農産物業界研究


農産物業界についてです。

農産物業界は東証の分類では水産農林業になります。

水産農林業の中でも水産物関係の企業と農産物関係の企業がありますので、これらを分けてアクションでは分類しています。

水産農林業は、アクションでは特にディフェンシブという業界に分類しています。これは我々の生活に欠かせないもの、絶対必要なものだからです。

水産物は、魚介類を扱う業界です。企業では、日本水産、マルハニチロ、極洋などがあります。

農産物の企業では、ホクト、サカタのタネ、カネコ種苗、ベルグアース、ホクリョウなどがあります。

水産農産物の市場自体は小さいです。日本の人口が1億2千万人ほどなので市場の上限が決まっているわけです。

では、日本の名目GDP と農林水産業のGDPを図で示します。

日本のGDPが500兆円弱ですがそのうち農林水産業のGDPは、画面の下のほうにうっすらと見える赤色の部分です。非常に小さい割合です。

もう少しグラフを拡大して、今のグラフの中から農林水産の部分だけを切り取って表示したのが次のグラフです。

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この図でみると、農林水産業のGDPは下がってきていることがわかります。

農業に関してみると、20年前8兆円ほどあったGDPが、現在では5兆円ぐらいまで下がっています。

人口の減少の影響から農業のGDPが減っているとも考えられますが、日本の人口はそこまで急激に減少していません。農業のGDPがここまで減っている理由は、安い輸入農作物に日本の農業が負けているからです。

 

次に2010年から2014年までの農林水産物の輸出と輸入の量を合わせて表示したグラフを示します。

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グラフの0より上の部分が日本から海外にどれだけ農林水産物を輸出してるか、0より下が輸入額になっています。

例えば2014年で見ると6.3兆円ほど海外から農林水産物を輸入しています。

小麦やとうもろこし、冷凍野菜、牛肉などが多く輸入されています。

 

また、農業総産出額という資料をみてみると、日本の農業GDP5兆円の内訳がわかります。

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割合として多いのは、米21%、野菜26%、乳用牛9.2%、鶏9.3%となっています。しかし、それ以上に、野菜などは海外から輸入しているという現状です。

農産物のマーケット自体は日本の人口というものがある以上、上限が決まっています。しかし、その中で今、海外の輸入品がいっぱい入ってきているわけです。特に冷凍野菜や牛肉などが、安いという理由で輸入品に負けてしまっていますが、このあたりは頑張って国内企業がシェアを取り返していく余地があるのではないかと思います。

 

日本の農産業の中では、種子・種苗などの上場企業はあるものの、農業専業の上場企業は見当たりません。それは、規制があるからです。

第二次世界大戦後の農地改革で、地主の下で働いていた小作人が自作農となりました。その後、時代に合わせて、農業も大規模化するべきだったのが、農地売買などに関する規制により大規模化が進みませんでした。そのため、農業への企業の参入もなかなか進まない状況があり、農業のGDPは減少の一途をたどってきたといえます。

 

続いてビジネスモデルについて考えてみましょう。

農産物業界のビジネスモデルという意味では基本的には製造業と同じです。

 

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設備投資とは、例えばビニールハウスを作るとかあるいはトラクターを買うとかそういう事も含めます。

もう一つは研究開発としましたが、要するに品種改良です。虫が付きにくい品種を開発するなどの研究をして、実際に作物を生産します。そしてできた製品をJAであったり、イオンなどのエンドユーザーに直接販売するといういうビジネスモデルです。製造業と同じような仕組みです。

 

この農業、農産物を生産する、あるいは農産物のもとになる種子・種苗を製造販売するというビジネスの特徴や難しさとは、天候に左右されることです。農産物の需要は、ほぼ安定的に決まっています。問題は供給です。

農産物の供給は天気が良くても悪くてもダメです。天候に恵まれ、供給過剰になれば、商品の値段が下がってしまいます。逆に天候不順や天災などで損失を被るリスクもあります。このように供給について予測不可能である点がこのビジネスの難しいところであり、投資判断の難しいところでもあります。

 

なので農産物業界というのは、投資対象としてはあまり魅力がありません。

なぜなら、規制があり、大規模生産や新規参入が難しいため、また、供給の部分で、天候に左右され安定したビジネスになりにくい難しさを抱えているためです。

 

一方で農業に関連する業界、例えば農薬業界や肥料、農業機械などは、安定的な需要があり、市場も世界中にあるので農産物業界より魅力的だと考えます。

今後、輸入品に打ち勝つような大規模生産や高品質な商品を作る企業が参入してくると、おもしろくなってくるかもしれません。中国産などの野菜より安価な国産の野菜等が出てくる時に大きなブレークスルーはあるでしょう。

農産物は我々の生活と切っても切れない非常に重要な産業なので、輸入品に負けず、国内の企業に頑張ってもらい自給率が上がっていくことを期待したいです。

 

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