【2984】ヤマイチ・ユニハイムエステート
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【ヤマイチ・ユニハイムエステート(2984)】2024年3月期第4四半期 決算説明
ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社、専務取締役経営企画本部長の山田です。
本日は2024年3月期の決算説明についてご報告いたします。
このような流れで本日お話ししたいと思います。
まず始めにイントロダクションとして、当社の概要について簡単にご説明します。
当社は不動産開発、不動産を0から作ることをベースに不動産開発・賃貸、販売、そしてマンションの3セグメントが主力です。
不動産開発賃貸セグメントは、特に商業施設の開発を得意としており、不動産開発販売セグメントは、一般顧客向けの戸建分譲に加え、法人向けの産業用地、事業用地の開発と販売も手掛けています。
マンション事業は、主に分譲マンションの企画販売をやっています。
当社の3つの強みで、まず始めにこの素地という山林、田畑、休耕地といった未利用地、こういったところを0から開発するノウハウを有しています。
もう1つは用途を限らず多様な商品ラインナップで開発を行うところです。
そして3つ目にストックとフロー、販売と賃貸収益、こちらをバランスよく手掛けることで安定的な企業価値の向上を図っている点が当社の強みです。
基本的には「土地の価値を最大化するビジネス」を掲げて、不動産業界に新しい価値を提供したいと思っています。
それでは、2024年3月期の決算のポイントをこちらに記載しています。
成果として、まず利益計画を達成することができています。
内容は多少でこぼこありましたが、最終的には利益率の高い案件が進捗し利益計画を超える形となっています。
2つ目のポイントは賃貸収益を獲得し、フロー収益が拡大しました。計画していた商業施設のリニューアルを計画通りにこなし、また不動産M&Aによって新規の案件の取得も成功しました。今後の安定収益源を獲得できたものと考えています。
3つ目、マンションセグメントにおきまして、当社では初となる開発した案件を不動産投資ファンドで最終出口をリートとする形の販売に成功しまして、こちら初めてのスキームではあったのですが無事に終わることができ、今後の同じような案件につなげていきたいと思っています。
課題としては、賃貸不動産あるいはM&Aをいくつかやりましたので、償却費が増加しており、見た目の利益率に影響しているところです。
もう1つは新築戸建ての市況全体が悪化しており、こちらの対策が必要であると考えています。
3つ目は建設コストの高止まりと期間の長期化で、建設コストの高止まりは数年前から人手不足等々により資材価格が上がっていることに加え、いわゆる2024年問題と呼ばれる働き方改革の影響で、特に大きな現場は建設期間が当初計画より長期化しているところがありますので、この辺が課題かなと考えています。
こちら数字面のハイライトで、前年比較をお示ししています。
売上は200億8300万円で前期比7.8%の増加です。
営業利益は一方、23億4300万円、-6.6%。経常利益も、19億3500万円、-9.3%で増収減益の決算となっています。
増収減益は元々ある程度予想していた範囲で、減益となった理由は右側に記載している通りの項目でして、プラス部分はストック収入が増加した一方で、この賃貸等不動産のリニューアルに伴うコスト等が効いてきまして、前期よりもダウンする結果となっています。
ただ、計画比は減収増益になっており、内容はこちら右にポイントを3つ記載していますが、賃貸セグメントでリニューアルコストを保守的に見積もりしていましたので、その部分が上ぶれした形になっています。
販売セグメントは、戸建て分譲がなかなか苦戦し、計画比では下ぶれという結果にはなったのですが、法人向けの不動産販売が堅調で利益としては最終的に上ぶれとなりました。
マンションセグメントは概ね計画通りに販売が進んだのですが、終盤で高価格帯、高価格住居について少し鈍化したかなという認識でして、売上としては下ぶれする要因となりました。
ただ一方で、販売コストも少し保守的に見ておりましたので、この部分が抑制できたことによって利益としては上ぶれとなっています。
トピックをいくつかご紹介したいと思います。
まず始めにM&Aによる収益不動産、収益物件の獲得で、昨年の12月に収益不動産の獲得を目的として不動産会社を買収しました。
富士物産と言う会社で千葉県市川、主要な物件エリアが市川市周辺でして、東京駅から3〜40分ぐらいのところに物件があり、非常に好立地に物件を保有していると評価し、買収しました。
大きなスキームとしましては会社さんが後継者不在で、不動産とその他の資産を持っている会社で、当社が全株式をまず取得して、そして不動産以外の資産の整理や事業の整理を社内で行い、最終的に不動産だけの状況にしてバリューアップしていく、こういう流れで取り組んだ案件です。
こうした結果で賃貸等不動産の資産が増加しており、当社は2022年6月に上場したのですが、そこから比べて約37億円のネット投資を実施して、保有している不動産の金額が時価ベースで増加させることができています。
大体含み益として31億円あり、こちらも上場の時から比べますと約11億円の増加となっています。順調に進んでいる状況です。
不動産開発販売セグメントのトピックとしましては、先ほども申し上げましたが法人向けの土地販売。
こちら当社が得意としています素地からの開発、こちらの案件は販売売却が進みましたので、戸建て事業の下ぶれをカバーできたかなというところです。
上が関西・和歌山でやっていた案件で、下が東京都の東村山市で仕入れた土地に関して売却が進み、関東エリアでも当社が得意とするこういう土地販売の事業がうまくいっていると思っています。
戸建事業は課題で触れましたが、建築資材の高等や物価高、原料高等と戸建て住宅、主に郊外や地方都市の顧客マインドがかなり悪化しており、市況としてなかなか厳しい状況にあると認識しています。
こちら当社だけと言うよりは日本全体の傾向でして、アフターコロナの特需以降、こういった形で新築着工件数が下降の傾向を辿っています。
対策と言ってもなかなか特効薬はありませんので地道なことをやっていくしかないのですが、まずは商品企画の見直し、いわゆるタイムパフォーマンスやコストパフォーマンスのいい間取り、これまでからちょっとずつ工夫し、変えてやっていくとか、あるいは省エネ・創エネ商品の導入によって生活のランニングコストを少しでも抑えるとか、こういった改善をしていきたいと思っています。
また、販売方法も、フリープランや注文住宅のように0から完全にやっていくとどうしても打ち合わせの時間が長期化して色々な販売コストがかかってきますので、できるだけ積極的な提案で選択していただくような販売スタイルを増やしていきたいと思っています。
続きまして、マンション事業のトピックとしまして、ポイントでも申し上げたシニアマンションの売却案件で、初の不動産ファンド向けの開発ケースです。
本件は非常にいい場所、兵庫県西宮市にある土地を当初取得しまして、取得時には特に用途を決めずにスピード重視で取得した案件でして、取得後は自社利用あるいは賃貸利用して次の用途を検討しました。
色々な用途を検討したのですが、最終的にシニアマンションにいい場所ではないかと、当社で企画、許認可の取得、リーシング等々進めまして最終的に運営会社をくっつけて投資法人に売却する形になりました。
こちら取得から5年ほどかかってはいるのですが、特に慌てることなくじっくり1番利益率の高い方法を選択できたと思っています。
立て続けにM&Aを実施したのでそちらのご状況を簡単にご報告しますと、ニューライフサービスは分譲マンションの管理会社で、こちらも売上利益ともに大幅に改善することができています。
エルアンドビーは、主に埼玉県で商業地の開発あるいは店舗の工事請負をする会社でして、利益率がかなり悪い状況ではあったのですが当社で色々改善し、売上としては少しダウンしましたが利益は大幅に改善し、黒字を達成しています。
続きまして貸借対象表のポイントをご説明したいと思います。
まず始めに現預金が前期末から大きく増えており、23億円ほど増えているのですが、これはたまたま引き渡しがあってかつ工事の支払いがまだというタイミングでして、この現金額をずっと手元に寝るというより、また支払いしてまた次の案件に投資するサイクルに回っていくということです。
固定資産ですが、当社の場合固定資産の多くは賃貸用の不動産になりまして、収益不動産の獲得に応じて増えていく形になりますので、こちらについてもほぼ増額分は収益不動産の獲得ができた結果と理解していただければと思います。
借入関係は短期と長期それぞれありますが、短期借入金が大きく増えています。
関東で大型の開発用地を取得しまして、それがかなりウエイトを占めており、短期借入金が増加しています。
長期借入金のうち返済期日が1年以内になったものについては振り替えますので、こちらの分が減った形になっています。
こちら資産の状況と経営指標のダイジェストです。
現在、総資産として490億円あり、当社の商品である棚卸と土地の固定資産の状況を右側の円グラフで示しています。
棚卸にありますが、7割ぐらいが現在開発中あるいは工事中の案件で、3割ぐらいが販売中の完成した在庫となっています。
固定資産はほぼ賃貸用の不動産になっており、6割弱ぐらいが商業施設で、37%ぐらいが住居系、残りがオフィス、駐車場になっています。
主な経営指標でお示ししている通りですが、少し大きな仕入れをしましたので自己資本比率が前年度よりも少しダウンしている状況になっています。
償却が大きくなってきまして、営業利益としては少し低下しているように見えますが、EBITDAの償却前の収益力で前年よりきっちり成長できており、今後もこの稼ぐ力を磨いていきたいと考えています。
また、配当性向は先日18.9%で社内決議しまして、この通り株主総会に図りたいと思っています。
続きまして、当社の今後の成長戦略をご説明したいと思います。
まず当社の強みと課題で、強みはこの関西基盤の独自ビジネスモデルです。
なんと言っても素地からの開発はあまりプレイヤーがおりませんので、この田畑、山林、未利用地、こういったところを開発していくところを一番の基盤として考えております。
そして、開発した土地について戸建て、商業施設、分譲マンション、色々な商品ラインナップで最も利益率が高くなる、土地の価値が最大化されるような開発を行うところが当社の一番の強みであると考えております。
課題としては、この強いビジネスモデルをより大きなマーケットにどうやって移していくかが大きなテーマです。
特に営業エリアの拡大で、下とも絡むのですが、素地はやはりかなり地元に密着した業者さんが情報を獲得する傾向がありますので、やはり地元に一定の地名度や実績が必要で、こういったところの拠点が1つの課題です。
また、色々なあらゆる不動産のソリューションを提案するためには、やはり色々な専門家、色々な経験を積んだ人間が必要なので、人的なリソース、この辺りがマーケットを広げるにあたって課題であると考えています。
そこで我々の成長戦略では、まずフェーズ1、フェーズ2と記載させていただいています。
フェーズ1、IPOから前期末までにビジネスモデルを関東へコピーする作業をずっと続けてまいりました。
それぞれ主力の内容でマンションの分譲は現地でベテランの人材を獲得できましたので東京支店を設立しまして、用地の取得や企画を今進めているところです。
商業地開発は、埼玉を中心として店舗開発を得意としていますエルアンドビーをM&Aして、こちらで現在色々な物件を仕込んでいるところです。
戸建て分譲は、前期末に株式会社大成住宅、こちらも埼玉を主戦場とする企業ですが、こちらと資本業務提携を結び、当社が開発した土地を大成住宅で販売する、あるいは戸建の建築をする事業スキームの構築を今進めている最中です。
不動産賃貸は、先ほどもご説明した通り富士物産の買収で関東エリアでの物件を増やすことに成功しています。
こういった形で、関東エリアでようやくピースが揃ったかな、戦う体制が整ったかなと考えており、2025年以降、より大きなマーケットでビジネスモデルを深掘りしていくことで新たな企業価値を高めていくビジネスをしていきたいと思っています。
皆さまご存知だと思いますが、関東エリアがいかに魅力的か、関西の人間からすると映るわけでして、需要面から言いますとやはり人口の流入が多く人口が増えている自治体もあり、大阪も増えてはいますが、やはり東京あるいはその周辺の都道府県、非常に大きなポテンシャルを秘めていると思っています。
また、不動産を供給する観点からも、我々が得意とする素地からの開発の用地が、関西ですとどうしても山や川がすぐありましてなかなか開発の余地が限られてはいるのですが、関東平野は非常に広く、まだまだ当社からすると色々な開発を提案できる場所があるなと考えていますので、供給サイドからも非常に魅力的なマーケットであると考えています。
こちらは関東エリアの進捗状況で、M&Aや提携によってマンション事業、賃貸事業、戸建て事業、それぞれ整ってきています。
加えまして、次世代の3Dプリンターを日本で初めて実現したSERENDIXさんと資本業務提携を結んでおりまして、国内外含めて新しい次世代の住宅事業の開発を今協議している状況です。
こちら昨年のポイントのところでもご説明した、不動産M&Aという手法を今回取ったのですが、当社は非常に過去から得意としてはいるのですが、非常にニーズとしても多くありまして、案件としてもかなり増えてきている実感があります。
実際、企業の休廃業や解散の件数は高い水準を保っており、後継者不在の企業さんもたくさんあります。
こういったところを当社で株式を取得させていただいて、清算して不動産を取得するスキームに今力を入れています。
売り手サイドからしますと、不動産を個別に売却するよりも株式として売却する方が税務上のメリットが期待されるのと、事業の整理という非常に繁雑なところを省略できる点で非常にメリットがあると。
当社としては、そういう取得の仕方をする企業があまりないものですから、当社も取得にかかる不動産の価格競争と言いますか、取得に関する値段の釣り上げを回避できますので、比較的値段を抑えた状態で物件を取得することができると考えており、今後も力を入れてやっていきたいスキームとして考えています。
こちらが成長戦略のまとめとなっています。
最後に中期の計画と業績予想についてご説明します。
こちらは過去のキャピタルアロケーション、何にお金を使ったかの実績でして、IPOの準備期間は当社もある程度IPOスケジュールがありましたので短期決戦を重視した投資を行ってきました。
こちらをご覧いただきますと、大体33億円程度が販売用の不動産に投資されており、賃貸用不動産は入り繰りもありまして大体2億円程度のネットの投資となっておりました。
人材獲得が必要で、一定の金額を人材あるいは財務強化に使ってきたのがIPOまでで、上場後前期末までで賃貸収益あるいはM&Aにかなりのウエイトの投資を行いました。
一部配当等々も上場後やってきまして、今こういったバランスで投資をしてきたのが実績です。
今後の投資計画としまして、もう少し販売用の不動産への投資の割合を増やそうかなと考えており、前期までほど賃貸に偏重と言うよりは、販売用の不動産への投資を額増やすのと、賃貸不動産を獲得したことで安定した収益源が獲得できましたので、しっかり株主還元をしていきたいなと考えています。
ポイントを右の方にも整理していますが、短期投資販売用不動産、今開発している大きな案件いくつかあるのですが、それらに販売用不動産が多くありまして、これらの工事が進捗すると必然的に販売用の短期投資の割合が増えてくるかなと思っています。
関東エリアのビジネスモデルを進行させることと、それに加えて海外投資と書いているのですが、長期的な投資、こちらもこの3年以内にやっていきたいと考えています。
そして株主還元の拡大ということで、賃貸収益が積み上がってきましたのでこれらを原資といたしまして3年間で配当性向を3〜4ポイント上げていきたいなと考えています。
中期計画の更新で、現在開発の大きな案件がいくつかあるんですが、販売の部分や工事の遅れではなく、許認可を取得するところが行政とのやり取りになりまして、少しまとまった期間で動いているところが似たような期間で動いている案件が今走っており、場合によっては少し前後する可能性があるかなと思っています。
ですので、単年度というよりはここから3ヶ年で達成したい計画という形で右側の方に今回表記させていただいており、3年間の累計で数字を達成していきたいと思っています。
売上としては780億円、営業利益としては69億円、経常利益としては56億円、純利益として35億円を達成したいなと思っています。
ちょっと償却が今見ている範囲でやりますので、ちょっと利益率としては物足りない数字ですが、またいい仕入れが入って状況は変わってくるかと思います。
あくまでも今見ている数字というところでご理解いただければと思います。
配当性向も23%後半ぐらいまで平均で持っていきたいと思っていますので、ここら辺をしっかりやっていけるように収益を獲得していきたいと思っています。
ポイントを整理した通り、ちょっと25年3月期あるいは26年3月期が開発の谷間となる可能性があるところが現在の懸念点かなと思っています。
来年の通期予想、先日リリースさせていただいた数字です。
売上は240億円で増収を見込んでいる一方、営業利益・経常利益はわずかにダウンするような計画となっています。
こちらはちょっと償却が重くなっていることが多くの理由でして、その他ポイントとしましてはこの法人向けの不動産販売、こちらについてはもう一件一件の単価や利益が大きくありますのでここを計画通りきちんとこなせるかどうかがこの年の計画のポイントかなと思っています。
一方、マンション事業のこの夏に完成するユニハイム横浜神之木台という計画があるのですが、こちらは竣工前に契約完売しており、ここのマンション売上が読めているのが今期の大きな特徴かなと思っています。
最終的にEBITDAは前期より5%ぐらい増加する計画を考えており、収益力そのものとしてはきちんと成長していきたいと思っています。
右側に四半期ごとの売上の推移を記載しています。
前期がちょっと極端に4Qに寄った計画でしたので、そこまではいかないと考えており、特に夏に竣工する案件は抜いてますので、前年ほど極端な下期偏重ではないかなと考えています。
繰り返し申し上げている償却費の推移で、少し補足的に記載していますが、減価償却とのれんが前期より1億円ほど上がっていますので、これを加味しますと営業利益としてはそこまで落ちていないと言いますか、少し上がっているぐらいかなという認識です。
配当につきましては、少し控めと言うと怒られるかもしれませんが、この4月5月でファイナンスを実施しまして、そちらも加味しつつ、配当性向としては微増と計画させていただいています。
ただ、先ほど申し上げましたように三ヶ年の計画の中でしっかり還元を拡大していきたいと今のところ方針としては固めていますので、こちらも前倒しできるものがあればできるだけ積極的に還元していきたいと思っています。
株主優待、この24年3月で権利を持たれている株主様は、先日ご案内が送られてきたかと思います。
それぞれ株数に応じてポイントを付与する形になっており、今順次申し込みを受け付けている状況です。
もしお手元にない方がいらっしゃいましたらホームページや運営会社にお問い合わせいただければと思います。
以上を持ちまして2024年3月期の決算説明を終わりたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。