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中古車業界研究


 

中古車業界についてです。

まず新車と中古車の販売台数のデータを見ていきます。

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水色の方が新車の販売台数、そして赤色の方が中古車の販売台数となっています。

日本の新車の販売台数は500万台ぐらいです。ちなみに中国は、3000万台弱です。すごい数ですね。ですので、中国での新車販売台数が世界経済に与える影響が大きいわけです。

中古車販売台数は、グラフでみると700万台ほどになっていますが、これはエンドユーザーへの販売台数というわけではありませんので、注意が必要です。このことについては、後で説明いたします。

 

中古車業界ですが、いくつかのプレーヤーが存在します。昔は、買取店と販売店・ディーラーとの間にブローカーがいて仲介していました。しかし、現在では、ブローカーに代わって、オークションという画期的な仕組みができました。USSやオークネットなどがオークションビジネスを手掛けています。

中古車業界は今説明したようにプレイヤーが大きく三者いるわけです。買取店とオークションをしている会社と中古車を売る会社(小売店)とがあるわけです。

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業界地図で見ると緑色の部分がですね中古車の買取ですね。IDOM、ガリバーです。それからカーチスやバイク王です。

それからオークションをやっている会社があります。USSがトップです。シェアが4割強です。

それから実際に店舗に並べて売る会社です。今すごく伸びているのがネクステージです。それからケーユーホールディングスなどです。

この図から気付くことは、USSが圧倒的に収益性が高いということです。逆に買い取り業や販売業は収益率が低いです。

 

中古車販売台数と言いましても、まず車を売りたい人が買取店に売ったりディーラーに直接売ったりします。下取りの場合は直接販売店に売ります。

買取店に売る場合は、買取店に1回売り、次に販売店に売り、次に中古車を買う人に売ります。このように途中で何度も名義が変わっていくので、中古車販売台数のグラフでは販売台数が700万台弱でしたが、実際の販売台数がそれほど多いわけではありません。実際にエンドユーザーが中古車をどのくらい買っているかというと、だいだい250万台、3兆円くらいだと色々な調査から考えられます。

 

では、マーケットオークションがどれぐらい発達したかというのをみてみましょう。オークション業界のパイオニアであるUSSの業績の推移をみるとオークション市場がゆるやかに着実に伸びてきたことがわかります。

そして、オークション市場が発展してきたがゆえに急成長を遂げた会社があります。

中古車販売店のネクステージです。中古車販売店小売業なんですが、非常に特徴があります。それは、車種別に専門店があるということです。従来の中古車販売店は、いろいろなメーカーの車種が置いてある総合デパートのような感じでしたが、ネクステージは車種を絞って店に並べるということをやりました。これができるようになった背景にはオークションが発達したということが挙げられます。オークションマーケットが発達したおかげで、車種別の中古車販売店を作れるようになったわけです。そして、ネックステージが今、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばしているということです。

 

では、市場規模の話について見ていきます。

自動車といっても分類の仕方があります。普通自動車・小型自動車・軽自動車などに分類する法律があります。

道路運送車両法です。

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普通自動車は3ナンバー車です。全長4.7m超、全幅1.7m超、全高2m超、排気量2000㏄超のいずれかに当てはまるものをいいます。軽自動車は、黄色ナンバーで、全長3.4m、全幅1.48m、全高2m、排気量660㏄以下などの条件を満たす車のことです。

それぞれ管轄している業界団体が違って、普通自動車と小型自動車だけの販売台数のデータがあったり、軽自動車だけの販売台数のデータがあったりするので調べるときに非常にややこしいです。

そのようなことを頭においてもう少しいくつかデータを見ていきたいと思います。中古車輸出台数と輸出台数率のグラフです。

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こちらの赤色の方が国内の販売台数です。水色の方が輸出の台数になります。

中古車と言っても、17~8%ぐらいは輸出になります。この輸出に力を入れている会社がアップルインターナショナルという会社です。

業界大手のイドムですが、昔は赤色の方、中古車の買取に力を入れていたんですけれども、今は水色の中古車販売の方に力を入れていると

ということでビジネスが変化してきています。

中古車買取と中古車販売ではどちらの方が在庫が多くなるかというと、販売の方が駐車する土地が必要、在庫も必要といえます。

中古車買取の方は買ったらすぐオークションに出せばいいわけですので、あまり在庫の金額は大きくならないといえます。

ということで同じ中古車ビジネスのようでも資金繰りという意味では性格がまた違います。

 

中古車ビジネスをしている企業の財務指標を考えてみます。

買い取りを行っているIDOMの営業利益率は2.4%、オークションを行っているUSSの利益率は47.9%、小売のネクステージは2.6%となっています。USSの利益率が非常に高くなっています。この理由としては、シェア40%強という独占的なビジネスを行っているためと考えられます。バフェットのいう有料ブリッジ企業に近いものであると考えることができます。

 

中古車業界をまとめると、中古車業界は、ややディフェンシブで成熟業界といえます。業界には、買い取り、オークション、小売とそれぞれにプレーヤーがいます。買い取りと小売の垣根は低下していて、両方を行う企業が増えてきています。オークションビジネスには特性があり、収益性が高いビジネスとなっています。そして、オークションの発展により、ネクステージのように専門店が出てくるようになりました。

 

 

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